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Posted by ブクログ
“『魑魅寺くん!?』
絶叫し、硝煙と土埃が舞うなか伊依は屍丸の姿を捜す。今のは、ちょっと格好よかった。見直した!……ただの変なひとだと思っていた!
『魑魅寺くん?魑魅寺くぅん!』
『ふふふ……心配いらないとも、伊依さん』
両手を広げた姿勢のまま、煙が晴れたそこに、屍丸は堂々と仁王立ちしていた。
『愛しい貴女を守るためなら、たとえ火のなか水のなか!この魑魅寺屍丸、どのような艱難辛苦も乗り越え、たとえ死せども不死鳥のように――って、あぁ!?』
絶叫し、頭を抱える彼に、みんなが呆れたような視線を向ける。
『しまった!衝撃を受けると増えるのだった!』
叫ぶ屍丸は、なんか十人以上はいた。数えるのも難しい。狭い通路の、鬼京と向かいあう真ん中が、ぜんぶ屍丸の半透明な身体で埋まってしまっているような状況だった。
『バカ丸が当社比十倍以上……』
『うわ……鬱陶しいよ屍丸くん』
『魑魅寺くん、ちょっとごめん、守ってくれたのありがたいけど……前見えないからどいてくれる?』
『君ってつくづく行動が報われないよね。たまに哀れだよ』
『あはは。同じ生き物がたくさんいるってちょっとキモくてチョベリバだよぉ』
みんなのたぶん悪気はないすなおな感想に、屍丸はわらわらと蠢く。
『なぜだ!?なぜみんなそんなに無情な反応をするのだ!?私はいちおう命をかけてみんなのことを守ったのに……!』”
志田桐涼女 しだきりすずめ:香美の幼馴染にしてテロリスト。 ■
ヴェクサシオン:寂憐院友樹。伊依の兄の娘。
続きが気になって気になってページを捲る手が止まらない。
日日日さんは本当いい本を書くなって思う。
ヴェクサシオンの過去が悲しすぎる。
それでは、あまりにも彼女が可哀相だ。
あまりにも――救えない。
“「全ての言葉が嘘なわけじゃないよ」
だから伊依は、思ったことをすなおに告げた。
「嘘じゃない言葉を喋る方法が、ひとつだけあるよ」
「……………?」
涼女は怪訝そうだ。倒れ伏した伊依のそばに体育座りして、世にも不思議そうに眉をひそめている。そんな彼女に、ようやく助けたいと心の底から思えたひとりの少女に、伊依は笑みを浮かべて軽やかに言った。
「嘘をほんとうにしちゃうんだよ」
「は……?」
涼女は、ぽかんとした。一言では意味がつうじなかったらしい。まぁそうだろうと思いながら、伊依は懇切丁寧に言葉を重ねる。
「だからね、喋った言葉に現実を追いつかせるの。言葉を口にしたときにはそれが嘘でも、がんばってその嘘を現実にするために動くの。あたしは、だいたいそんなかんじだなぁ。喋っちゃった言葉は、決してなかったことにはできないけど、だったらその言葉がほんとうになるように行動すればいいんだよね」
なかば自分に言い聞かせるように、伊依は丁寧に囁いた。”
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