【感想・ネタバレ】アンダカの怪造学X 空井伊依の伝説のレビュー

あらすじ

人類に宣戦布告したアンダカの魔王軍も、伊依と舞弓の活躍で、残るは悲哀大公と魔王のみ! ついに最終決戦が迫るなか、伊依は人類と怪造生物の共存という夢を実現できるのか!? 人気シリーズ、ついに大団円!!

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Posted by ブクログ

この人の作品はライトノベルらしい世界感やキャラがしっかりしていて、読みやすい。可愛いし

一人の甘ちゃんでポジティブな少女の、夢を叶え、成長していく異世界ファンタジー。

途中、長くなりすぎてダレル部分もあったけれども、
作者が若いだけに、恥ずかしいくらい、夢や若い素直さがあって、楽しめます

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

“同じ言葉を繰りかえす。
「いちどでも、あなたは好きって言ったのかな?」
真っ直ぐに前を見て。
「言葉を尽くしてもいないくせに、ぜんぶ諦めて逃げてたのは誰?ちょっと拒絶されただけで、ぜんぶ怖がって引きこもったのは誰?全てを奪われた?目を逸らして、手を放して、見ないふりして捨てたのは誰?」
世界の全てに憎悪を振りまき、暗闇のなかで拗ねていた過去の自分自身に告げるように。あのとき、光とともに希望を見せてくれた少年の言葉を、受け継ぐために。同じように苦しんでいる目の前の不器用な男を、助けてあげるために。
伊依はすなおに告げた。
「傷ついた?奪われた?あなただけだと思っているの?周りのひとたちに、ちょっとでも迷惑だって思わなかったの?自分が痛いよ寂しいよ。理解してほしいよって叫ぶ前に、あなたは周りを理解する努力をしたのかな?」
「お、俺は――」
「そう。あなただよ」
伊依は相手の目を正面から覗きこんだ。
「魔王じゃない。あなたは化け物の王者じゃない。肩書きじゃない。名前は知らないけど、誰かの複製じゃなく、心をもったあなただ。あなたの自我に言ってるんだ。聞こえてる?聞こえないよね。届かないよね。こんなに遠い。だから――」
自分はこれで限界だ。もう動けない。
だからこそ。
「お願い魔姫さん」
狼狽える魔王の背後から、そっと伸ばされる手があった。”

アンダカ最終巻。
魔王との最終決戦。

ちっぽけだった彼女はおおきくなり、壮大な夢を見事に叶えた。
声を枯らしても叫ぶことを止めなかった彼女の言葉は皆に届いた。
いい話だったー。このエンドはすごく嬉しい。
半泣きだ。

“『それではつづきまして、校長先生のお話です』
戦争のときから立っているという、朽ちかけの朝礼台に向かって、自分の出番かと古頃の校長先生が顔をあげる。先任の宇宙木先生の推薦があり、また本人も希望し、必要な資格なども取得し――万雷の拍手で迎えられた話題の人物だ。
無駄話をしていた新入生たちが、一斉に緊張して押し黙る。
怪造学を志すなら、誰でも彼女の名前を知っている。
でもね。たぶんね。
新入生のなかで、いちばん最初にその名前を知ったのは。
いちばん、尊敬しているのは――わたしだよ。
『はいはいはいっ』
元気よく声をあげ、そのひとは急がなくてもいいのにダッシュで朝礼台に登り、ばたばたと足音を響かせてスタンドマイクを握りしめた。
(中略)
『あたしの夢は、叶ったよ』
噛みしめるように、伊依さんは宣言した。
繰りかえし、わたしたち全てに問いかける。
『あなたには、夢がある?あなたの夢は、なぁに?夢なんか叶わないって、そんな寂しいことは言わないで。夢は叶うよ。それを忘れないで。あなたの人生をたいせつにして。怪造学は、きっとその幸せを、毎日を、支えてくれる。つらいことがあったら、友達も先生もいる。さらに、あなたたちには怪造生物もいるんだからね?』
居並ぶ生徒たちのなかにも、怪造生物をつれているものが数多い。無数に並んだ子供たちと怪造生物の交ざりあった光景を、伊依さんさんは真っ直ぐに、幸福そうに眺めて。
『最後に、怪造学を志すうえで、あたしがたいせつにしてきた言葉を、信条を、みんなに教えます。怪造学に長く伝わっているものじゃないけど、つらいときに思いだせば、絶対助けになってくれるから。その気持ちさえ忘れなければ、独りで苦しむこともなく、心は支えられるから。その言葉はね、簡単だよ』
もちろん、新入生はみんな、言われるまでもなく知っていた。
だから、前もって練習してきたみたいに。
「「「「「怪造生物は友達です!!」」」」」
男の子が。女の子が。声を揃えて、一斉に声を張りあげた。
伊依さんはそれを聞いて、目を丸くしていたけれど。
やがて彼女らしい満面の笑みで、親指をぐっと空に突きあげたのだ。
『――そのとおり!!』”

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2010年07月22日

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