千々和泰明のレビュー一覧

  • 戦後日本の安全保障 日米同盟、憲法9条からNSCまで

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     題名の通り、戦後の日本における安全保障政策を通史的に解説したもの。もう少し賢い立ち回りをしていたのかと思ったら、天皇制を守るために妥協したり憲法の解釈をこねくり回したりと、これで良いのかと思える内容もあった。現在の安全保障体制にも繋がる内容なので、一読すべき新書だと感じる。

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    2026年02月22日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    戦争がどの様な形で終結されるのか、その方向づけの決定を左右する要因の研究が本書の主題である。
    戦争終結の形の一つは「紛争要因の根本的な解決」を目指すものであり、もう一つは「妥協的和平」で終わらせようとする2パターンであり、どちらに傾いていくかは「現在の犠牲」と「将来の危険」の懸念の度合いが大きな決定要因となる。第一次世界大戦、第二次世界大戦、アフガニスタン戦争、イラク戦争は「根本的解決」が重視されて終結を迎えた事例であり、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争は「妥協的和平」による終結がなされた事例である。
    現在、日本を取り巻く安全保障環境は厳しい状況を迎えている。平和憲法の規定により、交戦権のない専守防衛に徹する事を原則とする日本が戦争回避に全力を注ぐことは当然である。しかし、万が一、戦争状態に突入する様な事態となった場合の事をも想定して、歴史における戦争終結事例の研究から大いに学ぶべきである。過去の戦争の出口戦略を知り、常に頭の体操を怠ることなく学んでいく事が重要であろう。

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    2026年01月06日
  • 世界の力関係がわかる本 ――帝国・大戦・核抑止

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    国間の微妙なパワーバランスが過去の例と現在の戦争についての考察を交えて書かれていて分かりやすく勉強になった

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    2026年01月01日
  • 誰が日本を降伏させたか 原爆投下、ソ連参戦、そして聖断

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    誰が、ってタイトルだけど、
    著者は「誰」には着目していない。何が、だ。
    それに、「聖断」とあるけど、昭和天皇にも着目してない。
    陛下が聖断を下したのは自明のことで、
    それより、陛下が何をもって降伏せざるを得ないと判断したか、
    それを問うている新書だ。

    まずアメリカはなぜ広島、長崎に核を使ったのかその目的から入っている。
    日本を降伏させるために最小のコストで済ませるコスト最小仮説か、
    ソ連に対する威嚇すなわち核外交説か。
    著者はコスト最小仮説をとり、外交説は無理がある、とはしている。
    実際は両面あったのだろうけど。

    さらに日本がなぜ降伏を受け入れたか。
    こちらはソ連要因説と、核要因説。
    陛下の聖断の経緯から、核要因ではない、としている。
    敗色濃厚となった日本は、少しでも有利に配線できるよう、
    ソ連に仲介を依頼していた。
    その回答がきたのが8月9日で、
    そこでソ連参戦を知り、日本は無条件降伏、ポツダム宣言を
    受け入れざるを得なくなった。と。

    そもそもなぜこのように過去の歴史を分析しているか。
    戦争終結論 という政治学の一研究分野なのだそうだ。
    その目的は、まさに今世界で起こっている戦争、紛争を
    いかに終わらせるか。
    もっと言えば始めさせないか。
    ウクライナは核を放棄した故にロシアに攻められた、、
    ならず者がいると秩序は壊れる。
    それが結局誰も得をしない軍拡につながってしまう、、、
    軍拡の費用を平和利用できれば多くの人が貧困から逃れ、
    豊かになれるのに。

    学問、研究は必要だ。


    ●第1章:戦後日米は二発の核兵器使用をどう捉えてきたか
    ●第2章:米国はいかにして核兵器の使用に突き進んだのか
    ●第3章:核外交かコスト最小化か
    ●第4章:日本はいかにして降伏を受け入れたのか
    ●第5章:核要因かソ連要因か
    ●第6章:「妥協的和平」より「根本的解決」を選んだ米国
    ●終 章:忍び寄る現代の核の危機

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    2025年12月25日
  • 世界の力関係がわかる本 ――帝国・大戦・核抑止

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    ネタバレ

    中高生向けということで、とてもわかりやすかった。意味はわかった。だが、こんな世界でホントにいいのだろうか…

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    2025年11月04日
  • 誰が日本を降伏させたか 原爆投下、ソ連参戦、そして聖断

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    ネタバレ

    原爆を投下され、和平交渉の望みとしていたソ連が参戦し、聖断へ。アメリカとしてはソ連に対する牽制もあり、原爆を使いたかったのであろう。6日に投下し3日後の9日2発目を投下。日本は相変わらずの外交下手でソ連に和平交渉を。しかしソ連は日本侵攻への時間稼ぎもしたかったのであろう。日本としてはソ連参戦が一番きつかったのかと思われる。もっと早く終戦を決断できなかったものなもか。最終的にはアメリカ陣営の傘の中に入ることで今に繋がっている。アメリカとしても共産圏に対する壁として必要だったのであろう。

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    2025年10月30日
  • 世界の力関係がわかる本 ――帝国・大戦・核抑止

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    実にわかりやすい本です。一読すべき新書かと。
    あとがきの最後に紹介されている『はじめての戦争と平和』鶴岡路人著も読みたいと思いました。

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    2025年10月17日
  • 世界の力関係がわかる本 ――帝国・大戦・核抑止

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    国際政治学の理論は日常的直感と異なるので、ロジックの理解が一筋縄ではいかない。中高生向けに書いたそうだが、殆どの日本人にとって難しく、脳が汗かく必要ある本だと思う。

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    2025年09月08日
  • 世界の力関係がわかる本 ――帝国・大戦・核抑止

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    著者が「中高生を対象に書いた」と言うだけあって、読みやすい。読みやすいのだが、内容が簡単かというと、そうでもない。たいした厚さの無い新書の中に、囚人のジレンマから始まり、集団安全保障、集団的自衛権、核抑止、そして、戦争の終わり方まで網羅しているのである。
    もうこれは、羊の皮を被った狼と言っていいのでは無いだろうか?

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    2025年09月01日
  • 世界の力関係がわかる本 ――帝国・大戦・核抑止

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    世界のパワーバランスの歴史から入っており、高い視点から考えることができました。特に、核によるパワーバランスの構造の解説は興味深かったです。

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    2025年08月16日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    戦争を終わらせるためには、現在の犠牲を少なくする、あるいは将来の危険性を除去する、そのどちらを優先させていくのか…
    その間における妥協と根本的解決について、第一次大戦から湾岸戦争まで過去の例を分析しながら論じた一冊。
    終章ではそれらの結論がコンパクトにまとめてあるが、こういった分析をわれわれ国民はよく学んでおく必要があると思った。

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    2024年11月14日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    戦争は優勢勢力側が「現在の犠牲」と「将来の危険」のどちらを重視するかによって「紛争原因の根本的解決」で終わるか、「妥協的和平」で終わるかどちらかで終わる、という理論的枠組を使い第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争などを解説してます。

    現在の犠牲の代表的なものは兵士の死ですが、これを算数の計算問題のように扱う戦争というものにやりきれない気持ちです。

    戦争をいかに終わらせるかは大事なことですが、戦争をいかに始めさせないか、がもっともっと大事だと思いました。

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    2024年05月27日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    或る本を読んでいて、その中に別な本に関する言及が在ると、少し強い興味が湧く場合も在る。そしてその興味が湧いた本を紐解くと、それがまた非常に興味深いという場合が在る。こういうのを「読書の発見、歓びが拡がる」とでも呼ぶのだと思う。本書はそういう「読書の発見、歓びが拡がる」とでも呼ぶ経験をさせてくれた一冊だ。
    本書は「在りそうで、存外に無い?」という感じの、重要と思われる主題を論じている。「読書の発見、歓びが拡がる」ということと無関係に、単独でも非常に価値が高いと思う。
    本書を知ったのは『終わらない戦争 ウクライナから見える世界の未来』という本を読んでいた時だった。『終わらない戦争 ウクライナから見える世界の未来』の著者による対談が収録された本に、対談の相手の一人として本書『戦争はいかに終結したか―二度の大戦からベトナム、イラクまで』の著者が登場していた。
    2022年2月以降のウクライナでの戦争は1年半以上も続き、「終わらない…」という様相を呈してしまっている。そういう中で「終結?」、「停める?」というようなことが上述の本の対談で論じられていた。
    戦争の目的を追求して戦闘が繰り広げられる等の展開が在る。そういうことをすると「現在の犠牲」というようなモノが生じることから免れられない。「現在の犠牲」に「何処迄耐える?」ということになってしまう。どんなに犠牲を払っても「将来の危険」を排すべく戦争の目的を追求するという考え方と、「現在の犠牲」を回避すべく妥協的な和平の工作を試みるという考え方が事案の両極のように存在して、両者の間の色々な形での「終結」が図られたのが、これまでの戦争の歴史で、これからの戦争もそういうことになるのであろう。
    ウクライナ、ロシアの戦争に関して言えば、上述書に在るのだが、両陣営は各々に「将来の危険」を排しようと「現在の犠牲」を払い続けていて、「一体、何処迄?」というようになって行くのだと思われるが、互いに排しようとしている「将来の危険」は「非常に高いハードル」になってしまっていて、収束に向けた協議が巧く進められない状態に陥って時日を経てしまっている訳だ。
    本書に出くわした経過の事柄で少し文字数が嵩んでしまった。が、こういう他の本で呼んだ事柄を踏まえて本書を興味深く読んだのだ。
    題名に「二度の大戦からベトナム、イラクまで」と在る。文字どおりにこれらの戦争に題材を求め、戦闘を停めて行く、終結を図るという過程に注目し、「現在の犠牲と将来の危険を勘案して考えた」というような経過に光を当てようとしているのが本書の内容だ。
    本書では、第1次大戦、第2次大戦の欧州関係、第2次大戦の日本関係、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争からアフガニスタンやイラクに至る一連の戦争というような形で「各戦争の終結」が論じられている。
    総じて思わざるを得ないのは「“始める”こと以上に“終える”ことが難しい」のが戦争というモノであるということだ。そして“終える”ことへのイメージが貧しいままに“始める”に至った戦争は、殊に敗れた側にとっては「ロクなモノではない…」というように終始してしまう。
    甚大な犠牲が払われた種々の戦争に関して「その終結」という角度で観て、振り返るというのも有益だと思うのだが、「現在の犠牲と将来の危険を勘案して考える」というようなことは、応用範囲が広いというようにも思う。様々な好ましくない状況から抜け出して行こうとする場合の考え方として有用かもしれない。
    「読書の発見、歓びが拡がる」とでも呼ぶ経験をで、なかなかに有益な一冊に出会えて善かった。

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    2023年10月08日
  • 戦後日本の安全保障 日米同盟、憲法9条からNSCまで

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    1章は日米安保条約で、自助及び相互援助をなす国とのみ対等な相互防衛条約を結べるとしたヴァンデンバーグ決議により、当初は片務的だったこと、朝鮮密約や吉田アチソン交換公文と朝鮮国連軍と日本との関係、極東1905年体制を受け継いだ米国にとって日米安保条約はただの二国間基地条約ではなく極東地域に開かれた同盟であること。2章は憲法9条で、軍国主義の原因と考えられた天皇制を守るために捨て石として戦力不保持を謳ったこと、要塞化した沖縄の米軍で日本を守ることを前提としていたこと、自衛隊の合憲性を説明する必要最小限論の基準とされた可能性がある集団的自衛権の制限、必要最小限論と芦田修正論と小沢理論。3章は防衛大綱で、四次防衛力整備計画が財務省にメタメタにされてもう作るのやめたってなった時に、内局がデタントの影響と経済成長率の低下とを受けて生まれた脅威対応型ではない基盤的防衛力構想と合わせてできたのが防衛大綱。制服は脱脅威論に猛反対していた。だが1985年に中期防で五年計画が復活、基盤的防衛力構想は維持したまま脅威対抗論的解釈がなされるようになった。その後1992年版防衛白書で11年ぶりに基盤的防衛力構想の言葉が出現し、冷戦後の防衛力整備の古証文とされた。4章のガイドラインでは日米共同軍の指揮権を誰が持つのかという話で、ここでも日米、米韓の同盟軍が一体になり得た話とか。5章はNSCで、日本は閣議以外で行政府の意思決定はできないので日本のNSCは審議機関であり、本家のアメリカNSCとは違う。ポジティブコントロールの四大臣会合の任意的諮問事項とネガティヴコントロールの九大臣会合の必要的諮問事項の違い。

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    2023年07月15日
  • 戦後日本の安全保障 日米同盟、憲法9条からNSCまで

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    思った以上に好著。内容が重複する部分が多々あるが、内容自体が自分にとって新規だったので気にならなかった。

    日米安保→物(基地)と人(米軍)の協力である条約には極東条項があり、事前協議があるが、朝鮮密約/吉田アチソン交換文により国連軍を介して米韓同盟/台湾関係法と有機的に結合し、1905秩序の一機能となっている。この現実を無視して外部と線引きを行うことは不適と主張する。

    憲法9条→従来天皇制の身代わりに脱軍国主義の象徴となった9条は、自衛隊設立の際必要最小限度解釈の捨て石として集団的自衛権を違憲とした。その手品がガラパゴス化し、2015の限定行使容認に繋がる。憲法学を勉強すると、日本の憲法学者はこうした歴史的経緯を踏まえることなく文理解釈に拘っているように見える。国際基準からも乖離しているため改革が必要だろう。

    防衛大綱→予算を獲得するための基盤防衛力構想(独力対処/拡大/地理的均衡)は、脱脅威論と脅威対抗論の両方に解釈できる虫の良い構想として長らく活用されてきた。その後、防衛力整備と運用の緊張関係の中で変遷した。

    ガイドライン→人(自衛隊)と人(米軍)の協力。有事の指揮権統一に係る問題。日米は指揮権並立だが、米韓は指揮権統一である。指揮権統一を通じて米日韓が統一されるのは一国平和主義から許容できなかった。こうしてみると朝鮮情勢が日米の安保体制に大きく影響を与えることがわかる。

    NSC→再軍備を伺う改進党と吉田茂の軋轢の中で、国防会議は旧軍を排除した「文民統制確保の為の慎重審議」の場として成立した。あくまで自衛隊のネガティブコントロール審議機関のため、危機管理等の追加で歪な構造になった。

    この本を読んだ時に想起したのが、鎖国令/大船禁止令/田畑勝手造の禁である。どれも制度趣旨が忘れられ、歪な形で継承された。戦後日本も同様の事態となっている。鍵となるのはこうした研究や公文書の開示であろう。アーネストメイの言うように歴史家の知見が正しく活用されれば、制度改革にも弾みがつく。

    また、個人的に日本の安全保障の法的障壁は芦田修正で全て解決できると思っていたが、そのハードルすらも高いという現実を思い知らされた。政府当事者はどう考えているのか、いつか考えをぶつけてみたい。

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    2023年03月09日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    本書は戦争終結という日本ではほとんど研究されてこなかったテーマについて理論と歴史の両面から考えようとするユニークな研究書。切り口が興味深く、未知の研究分野だったこともあり、夢中で読みました。

    著者の千々和泰明さんの専門は国際公共政策。本書で第43回石橋湛山賞受賞。
    「戦争はいかに終結するのか?」という問いに対して、本書は「紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」という提示。そして2度の世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争を題材に、戦争終結を主導する優勢勢力(例えば第2次世界大戦では連合国)が「将来の危険」と「現在の犠牲」のどちらをより重視するかをめぐるトレードオフの中で、ジレンマを解く均衡点について詳細な分析が記述されています。

    「紛争原因の根本的解決」の極での終結を見たのは、第2次世界大戦(欧州)、アフガニスタン戦争、イラク戦争であり、「妥協的和平」の極での終結は、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争。前者はそれぞれナチス、アルカイダ、フセイン政権の壊滅が目標でした。一方、後者の朝鮮戦争とベトナム戦争は米ソ衝突という「現在の犠牲」を回避したため、また湾岸戦争は「将来の危機」を過小評価したため妥協的和平で終結し、結局、イラク戦争に繋がってしまいました。
    本書を読んで思うのは、戦争を終結させることの難しさ。例えば、「根本的解決」と「妥協的和平」のあいだで終結した太平洋戦争の場合、アメリカにとっての日本軍国主義の「将来の危険」と、自分たちの「現在の犠牲」とが拮抗し「ジレンマ」が発生しポツダム宣言は曖昧な内容に。劣勢勢力である日本側は、その曖昧さから、さらなる妥協を引き出す余地があると言う誤った希望を見出し、その結果、2度の原爆、ソ連参戦からシベリア抑留という悲劇を招いてしまいました
    (太平洋戦争は日本側の軍国主義の壊滅という『根本的解決』の極に近い終結を見ましたが、天皇制は継続しているので極ではありません)。

    著者は「戦争終結には、常にこれが正解というものはない」とする一方で、「『現在の犠牲』をためらうあまり『将来の危険』を過小評価して、安易な妥協を行い、その結果、短期間で平和が崩れたり、逆に『将来の危険』を過大評価して、不必要な『現在の犠牲』を生んだりするような戦争終結は失敗であると言える」と断言します。そして、中国の台頭、北朝鮮のミサイル実験が続く中で、有事に日米間で齟齬が生じないよう、平素から出口戦略に関するすり合わせや知的訓練の必要性を訴えます。
    本書が出版されたのは2021年7月でウクライナ侵攻以前です。現段階ではどちら真の優勢勢力か判然としませんが、壊滅的な終結にならないよう祈るばかりです。

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    2022年12月16日
  • 戦後日本の安全保障 日米同盟、憲法9条からNSCまで

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    ちょーおもしろい(語彙
    「興味深く読ませていただいた」などと書けば良いのだろうけれど、正直、ちょーおもしろかった。
    特に、憲法九条について、「芦田修正」が現行の政府の憲法解釈になんの影響も与えていないとは全く知らなかった。渾身の一撃じゃなかったのかよ!<芦田修正

    芦田修正論によらずに、自衛隊合憲論を導くための生け贄に選ばれたのが、集団的自衛権だったとの説明は、とても腑に落ちた。と同時に、芦田修正に今からでも乗り換えようぜ!と思わずにはいられない。

    一度「やっつけ仕事」で作った建前が、いつの間にか「しがらみ」となり、「前例」となり、変えるに変えられなくなっている。そんな中で、「妙な構造」とは言え、よくもまあNSC設立にたどり着けたものだとは思う。そこは政府関係者に努力を評価したい。

    そして、終章である。
    日本の現在の安全保障論議には、「どうやって戦争を終わらせるか」についての観点がほぼない。見た覚えがない。ここまで(内密にでも)考えておかないとまずいよなあと、思うが、ようやく、「終わらせ方の心配」ができるようになったとも言える。とはいえ、ウクライナ侵略のロシアを見るように、侵略者には外交も論理も通じないものである。ある程度以上米軍頼みになるのはやむを得ないだろう、実際には。

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    2022年08月02日
  • 戦後日本の安全保障 日米同盟、憲法9条からNSCまで

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    【戦後日本の安全保障をめぐる同盟、法体系、防衛力の整備と運用の指針、組織といった仕組みは、更地のうえに、先々を見通し、脈絡をつけたうえで合理的に組み立てられた、というわけではなかった】(文中より引用)

    中国の台頭、アメリカの後退、そしてロシアの暴走。国際環境は厳しさを増し、日本が安全保障で果たすべき責任は重くなっている。しかし日本では憲法をはじめ、一度でき上がった独特な仕組みをなかなか変えられない。重要トピックの知られざる歴史をたどり、日本の安全保障の「常識」と問い直す(あらすじより引用)。著者は、防衛研究所主任研究官を務める千々和泰明。

    「パッチワーク的」、もっと言ってしまえば「場当たり的」な安全保障政策が、いつの間にやら「不磨の大典」として不変のものとして扱われてしまう様子が見事に描かれた一冊。内的思考に凝り固まった安全保障観というのはちょっとやそっとじゃ変えられないだろうなという思いを改めて抱く読後感になりました。

    千々和氏の作品は初めてでしたが、今後も手に取ることになりそう☆5つ

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    2022年07月11日
  • 戦後日本の安全保障 日米同盟、憲法9条からNSCまで

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    リアリズム的な日本の安全保障をについて書かれた好著。左翼政党が掲げる伝家の宝刀・憲法九条はそこまで優れたものでもなく、戦争に向かう1歩と主張される集団的自衛権についてのロジックもしっかりと説明がなされている。生徒を指導、教育する立場の人間は1度は読むべき。

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    2022年07月06日
  • 世界の力関係がわかる本 ――帝国・大戦・核抑止

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    歴史が、どういう流れで動いていったかがよく分かる。
    わたしは、こういうことは中高生向けじゃないと分からないのかもしれない。


    そして第2次世界大戦が終わって久しいけれども、我々はいまだその地続きの上におり、小さな選択の積み重ねが、思いもよらぬ望まぬ結果になることもあるのだということを見せつけられました。われわれは歴史の傍観者ではない。まぎれもない当事者なのだ。

    第2次世界大戦、太平洋戦争、きっと「今の流れは絶対に間違っている、絶対によくない。」と当時思っていた人もきっとたくさんいて、でもなんとなく言えない雰囲気に流されて、絶対に間違っていると思っていることが独り歩きするかの如く突き進んでいってしまった。

    わたしたちは、また繰り返すのか?嫌だ。絶対に嫌だ。…じゃあどうしたらいいんだろう?

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    2026年08月25日