千々和泰明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
或る本を読んでいて、その中に別な本に関する言及が在ると、少し強い興味が湧く場合も在る。そしてその興味が湧いた本を紐解くと、それがまた非常に興味深いという場合が在る。こういうのを「読書の発見、歓びが拡がる」とでも呼ぶのだと思う。本書はそういう「読書の発見、歓びが拡がる」とでも呼ぶ経験をさせてくれた一冊だ。
本書は「在りそうで、存外に無い?」という感じの、重要と思われる主題を論じている。「読書の発見、歓びが拡がる」ということと無関係に、単独でも非常に価値が高いと思う。
本書を知ったのは『終わらない戦争 ウクライナから見える世界の未来』という本を読んでいた時だった。『終わらない戦争 ウクライナから見 -
Posted by ブクログ
1章は日米安保条約で、自助及び相互援助をなす国とのみ対等な相互防衛条約を結べるとしたヴァンデンバーグ決議により、当初は片務的だったこと、朝鮮密約や吉田アチソン交換公文と朝鮮国連軍と日本との関係、極東1905年体制を受け継いだ米国にとって日米安保条約はただの二国間基地条約ではなく極東地域に開かれた同盟であること。2章は憲法9条で、軍国主義の原因と考えられた天皇制を守るために捨て石として戦力不保持を謳ったこと、要塞化した沖縄の米軍で日本を守ることを前提としていたこと、自衛隊の合憲性を説明する必要最小限論の基準とされた可能性がある集団的自衛権の制限、必要最小限論と芦田修正論と小沢理論。3章は防衛大綱
-
Posted by ブクログ
思った以上に好著。内容が重複する部分が多々あるが、内容自体が自分にとって新規だったので気にならなかった。
日米安保→物(基地)と人(米軍)の協力である条約には極東条項があり、事前協議があるが、朝鮮密約/吉田アチソン交換文により国連軍を介して米韓同盟/台湾関係法と有機的に結合し、1905秩序の一機能となっている。この現実を無視して外部と線引きを行うことは不適と主張する。
憲法9条→従来天皇制の身代わりに脱軍国主義の象徴となった9条は、自衛隊設立の際必要最小限度解釈の捨て石として集団的自衛権を違憲とした。その手品がガラパゴス化し、2015の限定行使容認に繋がる。憲法学を勉強すると、日本の憲法学 -
Posted by ブクログ
本書は戦争終結という日本ではほとんど研究されてこなかったテーマについて理論と歴史の両面から考えようとするユニークな研究書。切り口が興味深く、未知の研究分野だったこともあり、夢中で読みました。
著者の千々和泰明さんの専門は国際公共政策。本書で第43回石橋湛山賞受賞。
「戦争はいかに終結するのか?」という問いに対して、本書は「紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」という提示。そして2度の世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争を題材に、戦争終結を主導する優勢勢力(例えば第2次世界大戦では連合国)が「将来の危険」と「現在の犠牲」のどちらをより重視するかをめぐ -
Posted by ブクログ
ちょーおもしろい(語彙
「興味深く読ませていただいた」などと書けば良いのだろうけれど、正直、ちょーおもしろかった。
特に、憲法九条について、「芦田修正」が現行の政府の憲法解釈になんの影響も与えていないとは全く知らなかった。渾身の一撃じゃなかったのかよ!<芦田修正
芦田修正論によらずに、自衛隊合憲論を導くための生け贄に選ばれたのが、集団的自衛権だったとの説明は、とても腑に落ちた。と同時に、芦田修正に今からでも乗り換えようぜ!と思わずにはいられない。
一度「やっつけ仕事」で作った建前が、いつの間にか「しがらみ」となり、「前例」となり、変えるに変えられなくなっている。そんな中で、「妙な構造」とは -
Posted by ブクログ
【戦後日本の安全保障をめぐる同盟、法体系、防衛力の整備と運用の指針、組織といった仕組みは、更地のうえに、先々を見通し、脈絡をつけたうえで合理的に組み立てられた、というわけではなかった】(文中より引用)
中国の台頭、アメリカの後退、そしてロシアの暴走。国際環境は厳しさを増し、日本が安全保障で果たすべき責任は重くなっている。しかし日本では憲法をはじめ、一度でき上がった独特な仕組みをなかなか変えられない。重要トピックの知られざる歴史をたどり、日本の安全保障の「常識」と問い直す(あらすじより引用)。著者は、防衛研究所主任研究官を務める千々和泰明。
「パッチワーク的」、もっと言ってしまえば「場当たり -
Posted by ブクログ
中高生に、戦争が起こる仕組み、起こさない仕組みを教える本。
ある意味丁寧に、ある意味粗雑に作られている。
核抑止は論争のあるところなのに、この新書では素直に認めているように読める。
著者自身あとがきでリアリズム寄りになった、と自白している。
読みやすさを重視したためだと。
それでいいのかなあ、、、中高生にとって、はじめて軍、武器、戦争、核を
知る本になるやもしれんのに、そんなシンプルに、、、
もちろん、わかっている、一面の真実であることは。
威嚇されたら威嚇しかえす。
動物の本能、闘争本能ではあろう。
だからって野生にもどっていいわけじゃない。
トランプがGDP2%だ、3.5%だと息巻