千々和泰明のレビュー一覧
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国際政治学を、中高生向けに解説しているため、とても分かりやすく、端的に書かれていたが、分量の割に、とても濃縮された内容だったと思う。
世界史、主に18世紀以降のヨーロッパやアメリカの歴史を振り返りながら、いかに平和を維持しようとしてきたか、何故戦争が起きてしまったのか、などを考察する。ナポレオン以降の19世紀ヨーロッパは勢力均衡によって平和を維持してきたが、ドイツ対等によってバランスが崩れ、「脆弱性」によって第一次世界大戦が勃発し、それに懲りて宥和政策を取った結果、「機会主義的戦争」である第二次世界大戦が防げなかった、という事。(シュリーフェンプランにも触れていたのは、個人的にポイントが高かった。)第一次と第二次の世界大戦の発生メカニズムと防ぎ方が真逆であったという事は、言われてみればその通りではあるが、言われなければなかなか意識できない見方かもしれない。世界大戦後の世界の安全保障のあり方や、核についても、多少の専門用語(おそらく最低限)を交えて勉強できた。
現在の世界も、西のウクライナ、東の台湾に、大戦のリスクを抱えており、「単に平和を唱えるだけでなく、複雑な世界のありようを理解した上で、平和を実現する努力が大切だ」という筆者の意見に、大いに同意する。
この筆者の、他の本も読んでみたいと思った。 -
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戦争終結のジレンマ
現在の犠牲を許容して根本的な解決を図る
現在の犠牲を最小限にして妥協的な和平に持ち込む
妥協した場合、将来の危険が残るが、それも織り込むことはできるのか
日本の場合は武力行使は必要最小限となっているとおり、相手国に対して現在の犠牲を強要することは難しい。一方で日本の弱点は損害受任度の低さにある。日本国民は他国の危険に対して、現在の犠牲を払うほど安全保障に興味がないように感じる。また、将来の危険を考えることができるのは余裕のあるものだけで、高齢化が進む日本では難しい。
日本の平和を考えると、経済面で税金という国民の負担=現在の犠牲を払い、抑止力という将来の安全を買うことが、当面の戦略になるのだろう。 -
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戦争と平和を考える際には「いかに戦争を起こさないか」だけでなく起こってしまった戦争を「いかに終わらせるか」について考えることが重要。終戦を分析する著者のフレームは非常にわかりやすい。戦争の終結には「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」の両極の間のどこかで着地することになる。この着地点の決まり方には紛争当事者間のパワーバランスやさまざまな事情が当然絡まり合うが、特に重要なのが勢力的に主導する側から見た時の「将来の危険」と「現在の犠牲」のそれぞれがどの程度の大きさで評価され得るかという観点。このシンプルなフレームに沿って、WW1、WW2(欧州、太平洋)、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸・アフガン・イラク戦争という20世紀以降の主要な戦争の分析がなされる。過去の戦争について理解度がグッと増したと共にウクライナやガザなど現在起こっていることについて考える際の解像度を上げることができた。読んで良かったと強く感じる一冊。
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ネタバレ帯に小泉悠さんが載っていたのでウクライナ戦争の行く末も念頭に購入。
購入動機の不純性はさておき、面白い内容でした。
本書では戦争の終わり方を「権力政治的アプローチ」と「合理的選択論的アプローチ」の2つの視点から解釈し、これまで発生した戦争にこれらを当てはめて説明します。
「権力政治的アプローチ」は軍事力を中心としたパワーバランスを重視する視点、「合理的選択論的アプローチ」は交戦勢力間の合理的な費用対効果の算定を重視する視点ですね。要は戦争は軍事的に強い側が一方的に弱い側をボコって終わるだけではなく、損害に見合ったリターンを得られるのか?の観点も終わり方を左右する、という考え方でしょうか。
そのため(特に後者の視点により)、主に軍事的に強い側においては ”二度と起ち上がれないよう徹底的に相手を叩きのめすのか、それともある程度妥協して和平を結ぶのか” のジレンマが生じます(これを本書では「根本的解決と妥協的和平のジレンマ」と呼びます)。
そして第一次大戦からイラク戦争までの主要な戦争を題材に、このジレンマのはざまに揺れる交戦各国の状況(心境)と戦争終結に至る過程が説明されます。
しかし実際の戦争の構図はそう単純ではありません。本書は基本的に上記の整理構造をとりますが、様々なファクターが複雑に絡み合うそれぞれの戦いの歴史は読みごたえがあります。
個人的にはベトナム戦争の章が複雑かつ緊迫感があり、面白く読みました(アメリカを中心とする西側は圧倒的な軍事力を有していたものの、北ベトナムの背後にいるソ連や中国との全面対決というリスクと、反戦運動に揺れる国内政治という不安定要素にさいなまれます。共産側も北ベトナムの無謀ともいえる強硬姿勢に対し、西側との全面対決を望まないソ連や中国の微妙な姿勢が一線を画します。そしてこれら各国の繊細な心境と打算にお構いなく戦況は動きます・・・)。
戦争が終わるに際して必ず上記の構造が当てはまるかどうかは断言できないと思いますが、戦争終結のロジックを構造的にわかりやすく整理している点が興味深いのと、実際の戦争に当てはめた説明は納得感があり面白いです。
またそれぞれの戦争の、終結に至る経緯や内幕がある程度詳細に記載されており、歴史を学ぶという点でも参考になる1冊だと思います。 -
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ウクライナ紛争だけでなく、イスラエルとハマスの戦い。
私達も、対岸の火事とせず「安全保障問題」に真摯に取り組むことが求められる現代。
本書は、日米同盟/防衛大綱/NSC(国家安全保障会議)のテーマから構成される。
【学んだこと】
〇 日米同盟に関して
⇒米韓同盟と日米同盟は両輪。個別的自衛権よりも、集団的自衛権が本来の側面であること(モノの提供・人の提供だけでなく、日米の互恵関係を、今後どう築くか)
〇 防衛力整備の流れ
⇒米ソのデタント(緊張緩和)状態下での防衛力整備(脱脅威論)から、現在は、相手の能力と脅威に着目した防衛力整備(脅威論)に移行。
〇 NSC(国家安全保障会議)
⇒意思決定の在り方、速度を上げる必要あり。
【総括】
安全保障を理論的に理解することに有用な一冊。
(ただ、もう少し図示化した説明が欲しくなりますが・・)
国際法・国連の機能停止を目の当たりにする現代。将来の日本の在り方とは?
これからも、考えていきたいと思います。 -
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戦争の終結のさせ方について論じた本。
ロシアによるウクライナ侵攻が始まった時にニュースにコメンテーターとして呼ばれていた著者の発言が興味深かったため読んだ。
著者はハナコの秋山に似てる。
戦争の終結とは『将来の危険の排除(自国の脅威を取り除く)』と『現在の犠牲の回避(戦うことで生じる、命やお金などの損失)』の均衡点を探る事である。
脅威を根絶やそうと戦い続けると自国が消耗するし、自国の消耗を嫌がり妥協的に停戦を行うと、脅威は以前存在し続ける。
過去の第一次世界大戦、第二次世界大戦、太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東の戦争(湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争)を題材にどこに均衡点を置いたのかを振り返る。
傾向としては、太平洋戦争までは脅威の排除を重んじ、それ以降は現在の犠牲の回避を重んじる流れ。
ここからは自分の考えで、上記の傾向は核兵器の開発によって戦争を続けても敵国が核を用いた場合、受け入れきれやい犠牲がでるため、脅威の排除に振り切れないからであり。メディアやネットの発達により現在の犠牲が市民の目によく触れるようになり犠牲を回避する世論が起こりやすくなってるからじゃないかとも思う。
ウクライナ侵攻はウクライナ側は犠牲を甘受してでもロシアへの抵抗(脅威の排除)を決めており、ロシアもウクライナのNATO加入を脅威と捉えて根絶しようとしている。お互いに犠牲の回避よりも脅威の排除を優先しているため戦いは長引く。ってことなのか、、、 -
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戦争の終わらせ方として、これまで自分の頭にあったのは①敗者・弱者が自ら白旗を挙げる②勝者・強者が軍事力を背景に相手に降伏を強要し、相手が受け入れる③第三国による仲介・調停
この3つぐらいで、条約や協定も勝者の論理に裏付けられているものという認識でした。この本を読んで、戦争の終結は「紛争原因の根本的解決」を目指すのか「妥協的和平」を目指すのかによってそのプロセスにおける戦略も変化し、いかにタイミングが大事かということを思い知らされた。優勢勢力側の「将来の危機」と「現在の犠牲」を天秤にかけることはもとより、第三国の思惑や周辺国・関係国のパワーバランスを推測することも戦争終結への大切な視点である。近現代の過去100年の主な戦争を事例として、緻密な分析・検証に基づいた本書は現代の混沌とした世界情勢がどこへ向かうのか、そのヒントになるかもしれない。 -
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太平洋戦争(大東亜戦争)については明確なゴールがなかったように思う。対米で言えば石油をはじめとした資源の確保だったのかもしれないが、それならあそこまで戦域を拡大する必要はない。日中戦争についてはもっとよくわからない。国家としての意思はなかったのでないだろうか。
スタートがグダグダだったため、ゴールも見えないまま戦争を走るしかなかったのではないかと思う。
では、ゴールの設定が明確であればいいのかというとそういう簡単な話でもない。明確であってもそこに至るまでのアプローチが難しい場合や、明確ではあるがゆえに他の選択肢を(過度に)除外してしまうこともある。
この本では、将来の危険と現在の犠牲を天秤にかけ、将来の危険(例えばヒトラー)が大きければ戦争は継続され、根本的な解決を目指すし、現在の犠牲が大きすぎれば妥協的な戦争終結を模索することとなる、という理論のもと具体的な事例をもとに戦争終結のプロセスを読み解いていく。
ただ、日中戦争では「現在の犠牲」が大きいばかりに撤兵がができないというジレンマがあった。いわゆる死者への負債というやつで、これは企画院の鈴木貞一も同じようなことを話していた。なので、上記理論も大きな枠組みとして把握する必要があるだろう。
本書で気になったのが、日本軍部の一撃和平論とソ連仲介への期待である。一撃和平とは、アメリカに一撃くらわせて和平交渉に持っていくというものだが、普通に考えて一撃くらわせたら相手は怒るだけだ。相手が戦争継続が不可能と判断するような一撃とは?そもそもそんな一撃を喰らわせることができたなら、それこそ戦争継続ではないだろうか。一撃くらわせて和平に持って行くなんてどうも希望的観測に過ぎる。
ましてや、ソ連の仲介なんてないだろう笑 ソ連が攻め込んでくることの方が確率的には高いというのはリアルタイムでも判断できそうな気がする。
本書は読む人を選ぶと思うが、タイトルが気になった人であれば楽しく読めると思います。 -
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20230203-0304 戦争はいかに収拾すべきなのかについて、二度の世界大戦と朝鮮戦争、湾岸戦争、湾岸戦争からアフガニスタン、イラク戦争に至るまで、どのように収束してきたのかを戦争当事者双方の考え方を分析している。これら一連の戦争にはすべてアメリカが関わっているのは興味深い。筆者は最後に我が国の安全保障政策のあり方に言及している。実はこの本の前に筆者の最新作「戦後日本の安全保障」を読んだが、本作を読むことで、より理解が深まったと思う。現在ロシアによるウクライナ侵攻は続いており、この戦争後をどのようにすべきかについて知りたいと思ったのがこの本を読んだ動機だった。
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ロシアの一方的なウクライナへの侵略を機に読んでみた。紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマという視点は新鮮だった。ウクライナ紛争の例で言えば、どちらも将来の危険が大きすぎて停戦合意は容易でないことが予想できる。
ただ今一つ納得感がないのはどうしてだろう。何というか、こういった打算的な計算だけで戦争の成り行きが決まるとも思えない。戦争には大義が必要であり、もちろん当事国双方ともに彼らなりの大義があるのだが、国際社会からみてどちらに理があるのかで戦争の終わり方も変わってくるように思う。
このあたりを先行研究を含めてもう少し丁寧に解説してほしかった。 -
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ネタバレ「戦争なんてしなければいいのに」と感情的に考えてしまうが、
現場では何を考えているのか知ることができる良書。
以下読書メモ。
戦争がいかに終結するのかは
「紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」という視点から考えられる。
それは、優勢勢力側が「将来の危険」と「現在の犠牲」のどちらをより重視するかで決まる。
「紛争原因の根本的解決」の極に近いのが、
両世界大戦、アフガニスタン戦争、イラク戦争。
「将来の危険」の方が大きいと考えられたから。
「妥協的和平」の極に近いのが
朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争。
「現在の犠牲」が多大となることを恐れたから。
劣勢勢力側は、自分達が守ろうとしている価値が犠牲に見合うものなのかの判断が必要。パワーバランスを変える可能性が乏しいなら、損切りを選択する勇気も必要。
日本の安保のことにも言及がなされている。
日米同盟側が優勢で「将来の危険」が極めて大きいなら相手政府の打倒が追求されるが、自衛隊の専守防衛の原則から外れないか。
「将来の危険」にとらわれ「現在の犠牲」が大きくなる子はないか。
日米で認識がズレたらどうなるのか。
日米側が劣勢なら、パワーバランスを変化させるのか、損切りによって収拾させるかの決断が必要になる。