千々和泰明のレビュー一覧

  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    戦争の終わらせ方として、これまで自分の頭にあったのは①敗者・弱者が自ら白旗を挙げる②勝者・強者が軍事力を背景に相手に降伏を強要し、相手が受け入れる③第三国による仲介・調停
    この3つぐらいで、条約や協定も勝者の論理に裏付けられているものという認識でした。この本を読んで、戦争の終結は「紛争原因の根本的解決」を目指すのか「妥協的和平」を目指すのかによってそのプロセスにおける戦略も変化し、いかにタイミングが大事かということを思い知らされた。優勢勢力側の「将来の危機」と「現在の犠牲」を天秤にかけることはもとより、第三国の思惑や周辺国・関係国のパワーバランスを推測することも戦争終結への大切な視点である。近

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    2023年04月12日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    太平洋戦争(大東亜戦争)については明確なゴールがなかったように思う。対米で言えば石油をはじめとした資源の確保だったのかもしれないが、それならあそこまで戦域を拡大する必要はない。日中戦争についてはもっとよくわからない。国家としての意思はなかったのでないだろうか。

    スタートがグダグダだったため、ゴールも見えないまま戦争を走るしかなかったのではないかと思う。

    では、ゴールの設定が明確であればいいのかというとそういう簡単な話でもない。明確であってもそこに至るまでのアプローチが難しい場合や、明確ではあるがゆえに他の選択肢を(過度に)除外してしまうこともある。

    この本では、将来の危険と現在の犠牲を天

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    2023年02月06日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    20230203-0304 戦争はいかに収拾すべきなのかについて、二度の世界大戦と朝鮮戦争、湾岸戦争、湾岸戦争からアフガニスタン、イラク戦争に至るまで、どのように収束してきたのかを戦争当事者双方の考え方を分析している。これら一連の戦争にはすべてアメリカが関わっているのは興味深い。筆者は最後に我が国の安全保障政策のあり方に言及している。実はこの本の前に筆者の最新作「戦後日本の安全保障」を読んだが、本作を読むことで、より理解が深まったと思う。現在ロシアによるウクライナ侵攻は続いており、この戦争後をどのようにすべきかについて知りたいと思ったのがこの本を読んだ動機だった。

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    2023年03月08日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    結論から言うと「戦争遂行能力の高い側」が出口を考えないと戦争は終わらないということ。2022年8月現在のウクライナ侵攻では、やはり集結へのイニシアティブは、残念な事実として、ロシアにあるという現実。理念よりもリアリズムの大切さを学んだ。

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    2022年08月17日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    戦争はいかに終結するのかという問いに対し、紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマという視角が提示されている。すなわち、将来の危険と現在の犠牲とのトレードオフの中で、均衡的に戦争終結の形が決まるというものである。この観点から過去の6つの戦争を整理し、戦争終結の統一的な理解を試みている。問い立て自体が面白いし、緻密な事例の整理と分析により、パワーのみが戦争終結の形を決めるわけではないことなど、得られている示唆も興味深い。

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    2022年08月08日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    ロシアの一方的なウクライナへの侵略を機に読んでみた。紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマという視点は新鮮だった。ウクライナ紛争の例で言えば、どちらも将来の危険が大きすぎて停戦合意は容易でないことが予想できる。
    ただ今一つ納得感がないのはどうしてだろう。何というか、こういった打算的な計算だけで戦争の成り行きが決まるとも思えない。戦争には大義が必要であり、もちろん当事国双方ともに彼らなりの大義があるのだが、国際社会からみてどちらに理があるのかで戦争の終わり方も変わってくるように思う。
    このあたりを先行研究を含めてもう少し丁寧に解説してほしかった。

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    2022年07月26日
  • 戦後日本の安全保障 日米同盟、憲法9条からNSCまで

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    中国の近年甚だしい覇権主義だけでなく、2月のロシアのウクライナ侵攻により、日本も安全保障の重要性が以前にも増しているはず。このテーマで本を探したところ本書に出会った。
    戦後日本の混乱した体制下で最善と妥協のせめぎ合いから仕組みがスタートしたところから解説。時代とともに変化した内容を功罪別け隔てなく説明してくれるのは○。色々考えさせてくれる。
    問題は自分の知識、考え方がアップデートされてなかったこと。後半は結構辛かった。
    2022年以降を生きる人たちには、少なくとも日米安保体制と憲法9条の前半2章は読んでほしい。好著。

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    2022年07月03日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    22/06/19
    戦況がずっと流れているのも滅入るが、戦況の把握は必要だということが悲しくもよくわかる

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    2022年06月19日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    ネタバレ

    「戦争なんてしなければいいのに」と感情的に考えてしまうが、
    現場では何を考えているのか知ることができる良書。

    以下読書メモ。

    戦争がいかに終結するのかは
    「紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」という視点から考えられる。
    それは、優勢勢力側が「将来の危険」と「現在の犠牲」のどちらをより重視するかで決まる。

    「紛争原因の根本的解決」の極に近いのが、
    両世界大戦、アフガニスタン戦争、イラク戦争。
    「将来の危険」の方が大きいと考えられたから。

    「妥協的和平」の極に近いのが
    朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争。
    「現在の犠牲」が多大となることを恐れたから。

    劣勢勢力側は、自分達が守ろうと

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    2022年05月06日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    「将来の危険」と「現在の犠牲」を検討しつつ、戦争終結形態へと落着する。それが「根本的解決」になるのか「妥協的解決」になるのかは検討過程がどちらに寄ったものであったかで決まる。
    2度の世界大戦、朝鮮・ベトナム・湾岸・アフガニスタン戦争から戦争の終結過程を分析する。鋭い分析に「なるほど」と思いつつ、国家間戦争はもう生じないであろう今後の紛争解決は、さらに難しくなっているよね。

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    2022年01月08日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    二十世紀の戦争の戦争終結を「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」を両極に置き分析する。

    根本的解決をしたからと言って戦後長く平和が保たれる訳ではない所が難しい。第一次世界大戦ではドイツへの過度とも言える懲罰がやがてナチスの台頭に繋がる。

    一方、妥協的和平であったとしてもベトナム戦争の様に戦場となった国家が安定と成長を成し遂げる場合もある。アメリカが一方的に蹂躙し退却した余りに不条理な戦争ではあるが。

    後は李承晩の頑迷さ。

    出版後の事ではあるが、今のアフガニスタン情勢の変化について著書の考えを聞いて見たい。根本的解決をしたはずだがアメリカが撤退すると瞬く間にタリバンが政権を奪回した。国

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    2021年10月09日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    ・戦争終結の基本的理念は「出口戦略」。いかにして終わらせるか。  
    ・戦争当事者の抱える「将来の危険」と「現在の犠牲」のバランスをどうとるかとそのジレンマ。 
    これらのことにより、優勢勢力も劣勢勢力も、得られるものや失われるものが異なってくる。

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    2021年10月05日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    優勢勢力側の「将来の危険」と「現在の犠牲」をめぐるシーソーゲームを通じ、戦争終結形態は「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」のジレンマのなかで決まるという切り口で、20世紀以降の第一次世界大戦からイラク戦争までの戦争終結過程を分析。
    いかに戦争を防ぐかではなく、始まってしまった戦争をいかに収拾するかという本書の観点は新鮮であり、「紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」という観点にも説得力があった。取り上げられている各戦争がどうやって終結したかということについても、よくわかっていないことが多かったので、勉強になった。

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    2021年09月19日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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     "戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは極めて難しい" 古代ローマの歴史家サルスティウスの『ユグルタ戦争』である登場人物の言として記されているものだが、同じような言葉は最近良く用いられている。


     本書は、戦争の終結に焦点を当てた研究で、著者の依拠する分析枠組みに基づき、具体の戦争について論じたものである。
     その枠組みとは、『紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」というもので、優勢な側が「現在の犠牲の低減」と「将来の危険の除去」のいずれを重視するかによって、戦争終結の形態が変わってくるというものである。
     そして、20世紀の戦争を題材として、終結に至る当事国の

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    2021年08月05日
  • 世界の力関係がわかる本 ――帝国・大戦・核抑止

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    読んでいるうちは理解していてもまた読み終わったら忘れていってしまうのですが。

    それでも中高生向けの内容とのことでした。

    安全を保障する国際体制には、

    最悪を防ぐ、という動機がまずあるということに強く気づかされました。

    小国が被害を被ることは最悪ではなく、大国の論理であり、その歴史を知ることはとても大事だなーと思いました。

    力関係の変化

    ①近世以前の帝国:力の強い国が他の地域を征服していく

    ②近代の主権国家システム:一部の国同士で対等な関係に立ち、戦争は認められる

    ③現代の主権国家システム:世界のすべての国同士で対等な関係に立ち、戦争は認められない

    現在の国連による集団安全保障

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    2025年12月15日
  • 戦後日本の安全保障 日米同盟、憲法9条からNSCまで

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    戦後の日本の安全保障政策について説明したものである。最初の部分は世界情勢と日本の安全保障政策についてであったが、後半は日本の安全保障政策の説明であった。最初に「本書の内容は著作者個人の見解であり、著者が現在所属するまたはかつて所属した機関の見解を代表するものではない。」と書いてあるが、かなり機関よりの説明である。それだけ意見の規制が強いのであろうか。

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    2025年09月11日
  • 誰が日本を降伏させたか 原爆投下、ソ連参戦、そして聖断

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    原爆に依って戦争が終結したと学んだ・理解している日本人が多いであろう中、ソ連参戦などの複合的要因も含めて、なぜ日本が降伏したのかを論じる本書。
    どの要素が最も効果的だったのかを論じている章は、タラレバ論過ぎてちょっと不毛で退屈だったが、各国の思惑が詳細な時間軸を通じて、生々しく追体験出来たのは良かった。

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    2025年08月22日
  • 世界の力関係がわかる本 ――帝国・大戦・核抑止

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    なんか読んでいくにつれて、ほとほと情け無くなってくる。人類アホすぎん?皆、戦争のない平和な世界を理想としているのに終わらない争い。その理由が利権、土地、エネルギーの飽くなき奪い合い。そして憎しみの連鎖。戦争を引き起こすのは一部の特権階級の暴走で一般ピープルは権威と暴力の前に服従し右向け右。勢力均衡?安全保障?核抑止?
    マジでアホ。

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    2025年07月23日
  • 誰が日本を降伏させたか 原爆投下、ソ連参戦、そして聖断

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    日本が敗戦した1945年8月。広島、長崎と相次いで原子爆弾を投下され、更には不可侵条約を締結していたソ連が満洲に攻め入るなど、8月15日の終戦に向けて直走る日本の姿がそこにはあった。現代史では日本の敗戦理由について、ソ連の日本進出、赤化を恐れたアメリカによる原子爆弾の投下が、ソ連に対する威嚇行動であったとする旨の内容で教えられるそうだ。私の勉強した頃がどうだったか、という記憶はないが、ソ連がヨーロッパでの対ドイツ戦を終わらせて、東へ進出するとなると、強大な兵力により日本が脅かされる事は間違いない。それまで太平洋を中心に日本と激戦を繰り広げながら多大な人的被害を出したアメリカがソ連の参戦を許して

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    2025年07月21日
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで

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    戦争を終結に至らせる要因を、「紛争原因の根本的解決」「妥協的平和」とし、それを見積もるものを「将来の危険」「現在の危険」と分類する。
    第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争をこの評価軸で分析し、総括する。

    なるほどなあ、と思わせる。
    現実に侵攻している、ロシアの侵略、イスラエルの進軍にも当てはまる気がする。

    問題は、その「危険」「原因」の認識が現実に合ってるかどうかだという気がした。特に、「根本的解決」という言葉には欺瞞を感じる。そう思ってるだけで、勘違いの可能性が極めて高い。
    特に、敵と味方を間違える天才、大米帝国においては。

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    2024年02月10日