あらすじ
戦争をなくしたい。兵器のない世界をつくりたい。でも、自分だけ先に武器を手放してしまったら、他の国に侵略されてしまうかもしれない……。そんなジレンマのなかで戦争と平和を繰り返す、世界の国々の力関係を読み解きます。 【目次】第一章 世界の力関係はどう変わってきたか――帝国と主権/第二章 帝国の出現を防ぐ手立てとは何か――勢力均衡/第三章 世界大戦はなぜ起こったか1――脆弱性による戦争/第四章 世界大戦はなぜ起こったか2――機会主義的戦争/第五章 国連はなぜ機能しないのか――集団安全保障/第六章 核兵器はなぜなくならないのか――核抑止/第七章 戦争はどう終わるのか――戦争終結/第八章 人類はまた大戦争を引き起こすのか
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Posted by ブクログ
中高生向けに書かれているとのことで、社会科全般、世界情勢にかなり疎い私でも分かりやすく読み進められました。
色々な疑問も湧いてくるので、ここに紹介されている本も読んでみたいと思いました。
こんなふうに、今まで全く興味がなかった分野なのに「もっと知りたい!」と思わせてくれたこちらの本に大感謝です。
著者が描かれたイラストも好きでした。
Posted by ブクログ
国際政治学の理論は日常的直感と異なるので、ロジックの理解が一筋縄ではいかない。中高生向けに書いたそうだが、殆どの日本人にとって難しく、脳が汗かく必要ある本だと思う。
Posted by ブクログ
著者が「中高生を対象に書いた」と言うだけあって、読みやすい。読みやすいのだが、内容が簡単かというと、そうでもない。たいした厚さの無い新書の中に、囚人のジレンマから始まり、集団安全保障、集団的自衛権、核抑止、そして、戦争の終わり方まで網羅しているのである。
もうこれは、羊の皮を被った狼と言っていいのでは無いだろうか?
Posted by ブクログ
平和というものが得難く、貴重なものだとつくづく考えさせられますね。論理的に正しい行動の積み重ねが、必ずしも全体として正しい結果に至らないという必勝法のない世界の現実は悩ましいばかりです。
こういうリアルな世界を分かりやすく説明してくれるよい本でした。ぜひとも若い人たちに読んでほしいですね。
Posted by ブクログ
中高生に、戦争が起こる仕組み、起こさない仕組みを教える本。
ある意味丁寧に、ある意味粗雑に作られている。
核抑止は論争のあるところなのに、この新書では素直に認めているように読める。
著者自身あとがきでリアリズム寄りになった、と自白している。
読みやすさを重視したためだと。
それでいいのかなあ、、、中高生にとって、はじめて軍、武器、戦争、核を
知る本になるやもしれんのに、そんなシンプルに、、、
もちろん、わかっている、一面の真実であることは。
威嚇されたら威嚇しかえす。
動物の本能、闘争本能ではあろう。
だからって野生にもどっていいわけじゃない。
トランプがGDP2%だ、3.5%だと息巻いているが、
これは単にアメリカの軍事負担を減らして、
黒字経営?にしたいだけ。
これまでとんでもない経済成長の裏打ちの元軍事費を増やしてきた中国が
脅威なのは分かる。
しかし、、、
人類という視点で見たら、軍事費を増やせば増やすほど、
世界中の富が人類にいきわたらなくなるのもまた事実。
その折り合いをどこでつけるかが人類にためされているのだ。
軍事費の競争はきりがない。
そういうことも踏まえた本にはなっている。
どうやって均衡するか。
世界の警察だったアメリカが下りた今日、
正解はない。
富が集中せず分散することは普通に考えればいいことだが、
その状態だとひとり変なトップがいたら均衡は崩れる。
難しいなあ、、、、
第一章 世界の力関係はどう変わってきたか――帝国と主権
第二章 帝国の出現を防ぐ手立てとは何か――勢力均衡
第三章 世界大戦はなぜ起こったか①――脆弱性による戦争
第四章 世界大戦はなぜ起こったか②――機会主義的戦争
第五章 国連はなぜ機能しないのか――集団安全保障
第六章 核兵器はなぜなくならないのか――核抑止
第七章 戦争はどう終わるのか――戦争終結
第八章 人類はまた大戦争を引き起こすのか
Posted by ブクログ
やられる前にやる? 勝てそうだからやる?
戦争が起きる理由がわかれば、平和に一歩近づける。
これからの世界を生きるための国際政治学入門。
戦争をなくしたい。兵器のない世界をつくりたい。
でも、自分だけ先に武器を手放してしまったら、
他の国に侵略されてしまうかもしれない……。
そんなジレンマのなかで戦争と平和を繰り返す、
世界の国々の力関係を読み解きます。(紹介文より)
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さすが中高生向けの新書。
タイトル通りの内容で、とても分かりやすかった。
結局世界はジレンマの関係性で成り立っていて、
理想論ではなく、抑止力により行動のバランスがとられていて
「みんなが武器を捨てたら、核をなくしたら、平和になる」は現実的ではないことがとてもよく分かる。
そんな中でも平和を持続させるために、
世界はパワーバランスをなんとか保とうとしている。
日常の簡単な世界に関する疑問の答えのようなものがたくさんあった。
・「集合行為問題」…部分部分による合理的な選択の結果、全体として不合理な結果に陥ってしまう。「囚人にジレンマ」がまさにそう。
・「囚人にジレンマ」の解決策は、命令できる第三者がいること。国はそうで、強制力をもって犯罪を抑止したり、税金を徴収したりできる。ただし、世界にはそれがない。国連は世界政府ではない。
・国連が機能しない理由は、集合行為問題がはたらくから。また集団安全保障は「みんなが平和に対して協力してくれるであろう」という理想論の上に成り立っている。1か国でも反対すれば機能しない安保理のシステムも、国連が動けない理由。
・ただ無意味かというと、国連があることで、第三次世界大戦という大惨事を防いでいるともいえる。集団安全保障に期待しすぎず最低限の枠組みとして必要。
・核も一緒で「世界が平等に核をもつ「恐怖の拡散」よりも、不公平だが核兵器を独占する国をの数を絞る「恐怖の独占」のほうがマシ」というのが現状。
・戦争の終結は「紛争原因の根本的解決」か「妥協的平和」のどちらかしかない。それを決めるのは優勢側が「将来の危険」と「現在の犠牲」のどちらをとるか。
・アメリカが世界の警察をやめた今、日本も無関係ではいられない。
・
Posted by ブクログ
皮肉な話が核の開発が世界大戦を終わらせており、現在の各地の紛争も核を使わないギリギリのところで行われている。核を撃てば核で報復される、核がない国は核がある国の保護下にはいる、独裁国家は核を開発して攻め込まれないようにする。昨今の沈黙の艦隊ではないが、核を持つことは国家の独立性を担保しようとしていることが北朝鮮、インド、パキスタン、イランをみると感じることができ、この本の内容の裏付けにもなっているような気がする。
Posted by ブクログ
国際政治学を、中高生向けに解説しているため、とても分かりやすく、端的に書かれていたが、分量の割に、とても濃縮された内容だったと思う。
世界史、主に18世紀以降のヨーロッパやアメリカの歴史を振り返りながら、いかに平和を維持しようとしてきたか、何故戦争が起きてしまったのか、などを考察する。ナポレオン以降の19世紀ヨーロッパは勢力均衡によって平和を維持してきたが、ドイツ対等によってバランスが崩れ、「脆弱性」によって第一次世界大戦が勃発し、それに懲りて宥和政策を取った結果、「機会主義的戦争」である第二次世界大戦が防げなかった、という事。(シュリーフェンプランにも触れていたのは、個人的にポイントが高かった。)第一次と第二次の世界大戦の発生メカニズムと防ぎ方が真逆であったという事は、言われてみればその通りではあるが、言われなければなかなか意識できない見方かもしれない。世界大戦後の世界の安全保障のあり方や、核についても、多少の専門用語(おそらく最低限)を交えて勉強できた。
現在の世界も、西のウクライナ、東の台湾に、大戦のリスクを抱えており、「単に平和を唱えるだけでなく、複雑な世界のありようを理解した上で、平和を実現する努力が大切だ」という筆者の意見に、大いに同意する。
この筆者の、他の本も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
なぜ戦争が起こるのか、なかなか終わらないのか、なぜ核兵器は無くならないのか、そんな疑問をぼんやり持っていたので、本屋で見かけた時に思わず購入
中高生向けに意識した書きぶりでとてもわかりやすく読み進めることができました
戦争を進んでしたい国、人はいないのだけれど、防衛は必要、そのための手段、備えは必要、そんなジレンマから武器や核兵器、戦争が起こっているんだなということがわかりました
核兵器が無くならないこと、米露が数千発持ち続けざるを得ないこと、なるほどそういう経緯から現状があるのだな、ということがよくわかりました
核兵器は、既に作れてしまうので、一旦ゼロにしたところでまたどこかの国がいずれ持ってしまう、だったら持たれる前にウチが持っておかないと…ということだと理解しました
「平和」を保つためには、各国間で非常に複雑かつ不安定な状態をなんとか保つ必要があって、とても慎重によく考えて進めないと、いずれまた世界大戦が始まってしまうかもしれない、そういう危機感も持ってしまう内容でした
人間って、疑心暗鬼で愚かな生き物だなぁ、とも思ってしまいました
Posted by ブクログ
良い本でした。中高生向けに書かれたということで、戦争をめぐる国際政治の基本がとてもシンプルに分かりやすく書かれています。
例えば、2度の世界大戦は全く違う原因で起きた(第一次大戦の主要国は皆戦争を望んでいなかったのに戦争に入っていかざるを得なかった。一方、第二次大戦はチャンスがあれば侵略戦争を行おうという国、ドイツや残念ながら日本、を抑止しなかったことが大戦争を招いた)ことを、とても平易に説明していて頭の中がクリアになりました。同じように現在の世界の状況が平易に読み解かれます。
やや単純化されすぎているかもしれませんが、再び世界が戦争と向き合わなければならなくなった今、平和を維持していくために、こういう基本的な理解はとても重要だと思いました。
Posted by ブクログ
中高生向けに書かれた本ということで、非常にわかりやすかった。一般的にこうなれば平和なのに、と考えられる事柄がなくならない理由はこんなことにあったのかと思わせられる内容だった。作者の他の本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
中高校生向けに書かれた本なので、とても読みやすくわかりやすい本でした。
戦争が身近にまで迫ってくるかも?と思えてしまう今、過去を整理し、なぜ今の体制がこうなっているのか、今の体制で何ができて、何ができないのか、どのように理解し考えるとよいのか、基本的なところから教えてもらえてありがたいです。
Posted by ブクログ
タイトル通りの内容。わかりやすい。
中高生向けということで、シンプルだし、ラフな文章になっているからドンドン読める。
しかし内容は現実的でかなりシビア。
単純に平和を望もう、戦争反対みたいになってないのが面白く、そして考えさせられる。
ロシアとウクライナ、ガザイスラエル、の事にも触れていて、簡単に答えを出していないのも良い。
そうはいっても中高生に向けてという本であれば、最後のまとめは(悲しいけど現実的だけども)もう少し『平和』を唱え続けることの重要性も強調して欲しかったかも。
Posted by ブクログ
非常に読みやすい一冊。
文中、随所で“中高生向け”と出てくるが、10代に分かりやすく説明することが一番難しく、平易な言葉遣いで要点を外さず、筋を通していることが求められるので、それが出来ている点で、良書と言えるかもしれない。
日経書評で見かけた一冊だったが、書評子も「理論的視点が明快に示され、ビジネスパーソンにも大いに学びになる」と書いている。良い本は世代を選ばない。
学生時代や若いころ夢中になった国際政治の分野だ。その勢力バランスを、昨今のキナ臭い世相を反映させて、力、要は「戦争」を軸に読み解くもの。
その国家間の関係には「直感に反する理屈」が存在するとして、合理的な個々の判断が不合理な結果を生む「集合行為問題」にあるとし、その発生の因として①脆弱性によるものと、②機会主義によるものがあると分析、それぞれを因に発生した戦争(二度の世界大戦など)を例に、その終結の方法や、抑止力について解説していく。
今現在(2025/5末)継続しているロシア・ウクライナ戦争、イスラエルのガザ侵攻なども俎上に上がる。
ロシアは、第一次世界大戦の各国のように、「相手に対して手を出さなければ弱みを抱える自分がやられるという恐怖から、戦争に入っていかざるをえなかった」と「脆弱性による戦争」の端を開いたとするが、いやいや、ロシアが怖がって先に出を出してくるように、その不安をNATOはじめ西側が煽りつづけていたからではないかい?
あるいは「機会主義」という点では、国際的な抑止がないと見て、機会を取ったのがロシアによるクリミア半島の占領であり(2014年)、本書でいう「ミュンヘンの教訓」をその時、なぜ西側は活かさなかったのかも含めて考えていく必要がある。
という複合的なことまで考えていくと、中高生向けではなくなるので、そこはいろんな情報に触れ、大人が考えて、よりよい出口を探っていかなければならないのだろう。
国際関係の構造、戦争発端の原因、抑止の考え方など、様々な例を挙げるが、それをどう組み合わせていくかが、現代は非常に難しいと改めて思う。核による抑止も、それがあることで第三次世界大戦が“今は”起こっていないとするが、果たしてそれもどうなんだろうと思う。
戦争終結の二つのかたちも提示される。①紛争原因の根本的解決か、②妥協的平和か。
昨日(2025/5/26)、ロシアはキエフに開戦以来最大規模の空爆を行ったとニュースになっていた。
ロシアの求めるのは、間違いなく①だろう。キエフを占領して自国領土としたいわけではない。現政権、ゼレンスキーを退陣させること。
根本原因の排除が最終目的であることは、当初からブレていない。
Posted by ブクログ
•良い学び直しになった(子どもの頃に習った記憶と何かが違い認識を改めるところあり)
•挿絵(似顔絵)がかわいかった
•次は『戦後日本の安全保障』,鶴岡路人『はじめての戦争と平和』を読もう
Posted by ブクログ
サクッと読める良書。
なぜ戦争がおきて(指導者が戦争をおこしたい!または今おこさねば!と思うか)、どのようにして終わっていくかを、過去の戦争や歴史を踏まえて理解できる。
当初知りたいと思ってたのは戦争が起きる理由だけど、読んでるうちにいかにして戦争が終わるのか、ということをもっと知りたくなったので、著者の別な本も読んでみたい。
欲を言えば、もう少し各国の具体的な力関係(各地域のトラブルの種とか)がもう少しあるとよかったなと