たかどのほうこのレビュー一覧
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たかどのほうこ(高楼方子)さんの『つんつくせんせい』シリーズも本書で四作目となり、その奇妙奇天烈さは変わらないどころか、ますます絶好調に感じられた、そこには計算された意外性と偶発性の面白さがあるからだと、私は思う(2002年作)。
丘の上にあるりんごの木に真っ赤なりんごがいっぱい実ったということで、つんつくせんせいはつんつくえんの園児たちを連れて、丘の上にあるりんごの絵をスケッチした後、みんなで採って食べましょうということになったのが、まさかこのような結末になるなんて、いったい誰が予測できただろうか?
その意外性として、つんつくせんせいのキャラクターにあると思い、保育園の先生ならばまずは子どもたちのことを第一に考えるべきだと思いそうなところを、何の迷いもなく自分の欲を優先させてしまう、こうしたお茶目な(!?)毒を持ったキャラクターというのは方子さんの得意技となっているため、相性も抜群に良い。
次に偶発性について、これがまたつんつくせんせいであり、その美味しいところ全てを持っていく大活躍ぶりには、園児を差し置いてどうなんだと思われるかもしれないが、本書を読んでもらえば、きっと納得してもらえると思えるような憎めない印象を抱かせてくれる。
その根拠として、つんつくせんせいの人間性を包み隠すことなくリアルに表現している点があり、それは子どもの絵本だからこそ、子どもたちの心により信頼できるものとして届くんじゃないかな〜と感じられた、その最たるものがつんつくせんせいの生み出した見事なオチなのだが、そこには嘘をついたことと園児に喜んでもらおうとしたことが彼女の中で等しく存在していたことから、要するに人間の善意と悪意とが等しく共存している様を表していたのであり、子どもの絵本とはいえ、方子さんは大人だって完璧な人間では無いんだよということを、さり気なく主張していたことになる上に、読後感として既に充分愉快だったものを更に愉快で温かい気持ちにさせてくれた、そのお話としての後味を良くしていることが何よりも凄い。
そして、カバー折り返し裏の方子さんのメッセージでは、彼女の一番好きな動物や彼女自身のお茶目な毒も知ることができたりと、こちらも相変わらず絶好調なのだ。
《先週の公園レポート》
(本書の内容とは全く関係ありません)
彼岸花の周りをゆらゆら飛び回っては、そこに留まるクロアゲハを眺めながら、クロアゲハの羽もよくよく見ると赤色の部分があって、対照的でありながら似ているところもあるんだなと感じられた、自然の中では人間以上に秋を感じているのだろうなと思った、そんなひとコマ。 -
Posted by ブクログ
ここまでに読んだへんてこもりシリーズの中でいちばん好きかも。
・まるぼ(実はヤカン)が、頭の上のなべごとお水を奪われてしまったなべえもんのために水を提供するべく、気持ちをひきしめて興奮を鎮めて自分の中のお湯を水にする姿のかわいらしさ。
・きまぐれろの美点と欠点が「やさしいこだけど すぐあきる」と、即席で作ったきまぐれろの歌に歌われているところ。
・マドモアゼル・クックちゃんのお料理教室の黒板に書かれていた指導内容。お料理の心がまえ(要点は「くいしんぼうかつおせっかいであれ」)が長くて、炊き込みご飯のレシピは一行「①きる②たく」のみ。
・クックちゃんとホンリエーヌちゃんが実は仲良しのお友だちで「あら〜なにしてるの」と始まる女の子トーク。
・きまぐれろのきまぐれぶりをみんなが実はかなり理解していて、「なべを持ってこの状況になったらやつはこうしたくなったに違いない」と簡単に推理できちゃっている。
・ぼさこうが最近ハマっているのがフライパンテニスという遊びであること、ラケットにされる自分のなべを想像して泣いちゃうなべえもん、テニスって難しいからどうせ空振りだよとなぐさめる面々、そして本当にへたっぴで空振りだったことがあとで確認されるながれ。 -
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小学校四年生のツンちゃんが大好きなルーちゃんと過ごす一週間のお話。
ルーちゃんはママの妹。大人だけど遊び心を忘れないすごく素敵な人で、主人公のつんちゃんはルーちゃんが大好き。絵かきのルーちゃんは絵を描きながらいろんなお話をしてくれます。
挿絵はそれほど多くなくて文字が多め。語りも落ち着いているので、小学校中高年向けかな。
以下、少しネタバレあり。
ルーちゃんは、つんちゃんが学校で感じたモヤモヤを別の視点に転換するようなお話を毎回してくれます。それがとってもすてきなの。つんちゃんがいうように他の子の「かたをもつ話」ばかりかもしれないけど…やっぱりすてき。楽しくなるお話ばかりだけれど中には『時計坂』を彷彿とさせるようなゾクっとくるものもあって、読み応え抜群です。
私は水曜日のスーキーちゃんのお話が特に好き…いや、ソーラやスーやポリーもみんなすてきだなあ。バラエティに富んでいて甲乙つけ難いです。
現実世界のルーちゃんとつんちゃんは鉛筆書きのカット、対するルーちゃんのお話の場面はとても鮮やかなカラーのイラスト。その対比も面白いです。そして全部読み終わってから表紙をじっくりみると…それぞれのお話の主人公はもちろん、わんぱくな男の子や小人たちも描きこまれていて、じっくり眺めるのが楽しくなっちゃう。
そしてお話の最後のページは心がほわっと暖かくなって、なんだかポロッと泣けました。 -
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小さい頃に見たきれいなもの。あの時に感じた気持ち。あれは一体なんだったんだろう?を形にしたお話。
筆者の講演会を聞いてから読むと、子供の頃のほうこちゃんと今の方子先生が出会ったら…という風に読めてファンとしてはワクワク。
作中作もキュンキュンしちゃうすてきな可愛いお話ばかりだよ。特にもぐらのお話が好きでした。
ほうこ先生の作品では今作のように年齢を超えた友情が度々描かれるよね。これがかなり素敵な関係性で、自分も小さき人々を尊重して一人の人間として接したいなと強く思わされる。
今回は挿絵はご自身ではないんだけど、高橋和枝氏の柔らかい色使いやほんわかした作画が物語にマッチしていてすてき。
読書感想画中央コンクール課題作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読みました。
かわいいお話でした。
さて、
このお話は、
高橋さんちの、とれたボタンを入れておくための、茶の間にある、古い、ちょっとすてきなかざりだなの、いちばん上の、いちばんはじに、おかれた、ひらたい、お花のような、白いお皿の中で、繰り広げられる、
入れられた数々のボタン、そしてボタンのようなものものの、遍歴が語られるお話です。
ですが、視点をある出演者に固定すると、
いまどき流行りの、
転生のお話、と言えるのかもしれません。
つまり、
大女優の舞台衣装の、豪華な、ドレスについていた、白くて・まるくて・ややたいらで・おもてに小さなふちかざりのついた・高級なボタンである、「ホワイト夫人」の、転生のお話。
「ホワイト夫人」は、好奇心旺盛に、お皿にやってくる、数々の、ボタンや、ボタンのようなものものに、語りかけ、かれら・かのじょらの、話を聞きます。
でも、どんな話を聞いても「ホワイト夫人」には、ゆるぎない、ある信条が、あったのです。
それは、
『どんなものについていたかということが、ボタンのひとがらやひんせいを決める』というものです。
しかし、
「ホワイト夫人」の気持ちは、「ボタン穴のない・台つきボタンでもない・ひらたくて・まるみがあって・つるりとしていて・にぶい黒光りのする」、その名も「石蔵」さんと出逢って、変わっていきます。
すなわち、
『人間いたるところに青山あり』
つまり、(どこにでも活躍の場はある)。
そして、
「ホワイト夫人」は、「石蔵」さんと、ともに、高橋さんのおばさんにつまみあげられ、
新たな場所へ、転生するのでした。
パチンッ、 パチンッ。
と。
ああ、人に歴史あり。
人生、何が起こるか分からない。
天性から、転生へ。
めでたし?
めでたし!
ボタンたち、そして、ボタンのようなものものに、幸あれ。
ぜひ、
お読みください♪