秋友克也のレビュー一覧

  • ウルヴァリン:オールドマン・ローガン

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    映画「LOGAN」のアイデア元ともいわれる作品だが、まるで別物の作風だと覚悟して読んでほしい。映画とはまるで違う魅力があるが、マーベルの正史世界とは違うアースの話なのである程度元のマーベル世界を知らないと楽しみ切れないだろう。
    知っている人が読んだとき、あまりに違った世界と化していることに衝撃を覚えることだろう。冒頭のローガンが暮らしている土地からすでに全然違う設定になっているし、ロードムービー的な話になっていくので様々な訪れる土地も独特だ。世界観全体にバイオレンスで刺激的な空気が漂っているのだ。
    そんな世界でローガンがバイオレンスに暴れるのかと思いきや、彼は「戦わない」と決め込んでいると来た

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    2017年08月12日
  • スーペリア・スパイダーマン:トラブル・マインド

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    ドク・オックがピーター・パーカーの肉体を手にしてヒーロー活動を行う衝撃作の第2巻。

    前巻の最後にドク・オックの精神を持つ現在のスパイダーマンの問題点を描いていたので、そのままピーターが肉体を取り戻す話になるのかと思いきや、むしろピーターの問題点をはっきりと示すという構成には度肝を抜かれた。どのような展開かはぜひ実際に読んでもらいたい。

    それでいて、もちろんドク・オックの行動も過激になったり、効率を求めていったりと不安定さをしっかりと描写していく。バランス感覚が取れた素晴らしい構成だと思う。他作品の解説書で大体の結末はわかっているが、それでも最後まで読みたいと思わせる作品なので、ぜひ完結まで

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    2017年08月07日
  • ウルヴァリン:オールドマン・ローガン

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    慣れ親しんだヒーローの理想が失われた世界をまざまざと見せられる哀しみ、そこに蘇るかつてのヒーローの姿(コスチューム)、過去との決別と新たな理想。ヒーローコミックを終わらせ、蘇らせる傑作。結末から逆算された前日譚とは思えない独立した完成度。

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    2017年07月02日
  • スーペリア・スパイダーマン:ワースト・エネミー

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    すでに発行されている様々な邦訳で存在感を示していた「スーペリア・スパイダーマン」がついに邦訳。その本誌だけでなく前日譚「ダイイング・ウィッシュ」もふくめて邦訳されたので待ってましたといわんばかり。

    既刊の解説書に大体の設定がのってしまっているため展開は完全に知っているのだが、それでも実際に読むともう魅力が全然違う。元悪役がヒーロー的な活躍をするだけで面白いのだが、元々のピーター・パーカー本人のような無私のヒーロー性を持っていない悪さを見せつつも、むしろより合理的に物事に対処していく有能さも見せてくれる辺り、複層的な魅力があるのだ。ヒーロー性の部分だけでなく、恋愛のような日常ですら科学的・論理

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    2016年10月16日
  • ワールド・オブ・スパイダーバース

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    他メディアまで巻き込んだ、メタパロディのようなスパイダーメンの数々が最高に楽しく確かにこれは50年かけて様々に展開した作品でしかできない内容。原書通りの構成とは言え外伝・余り物の感じは強く、本編と混ぜて時系列通りに並べてあった方が……とは思ったけど、本編がダレもするだろうし難しいとこだろうか。

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    2016年09月03日
  • スパイダーバース

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    無限のような世界の広がりを体感できるアメコミの魅力に満ちた傑作シリーズ。O.コワペルの精緻で艶っぽいアートは特に本人のペン入れが素晴らしい。

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    2016年09月03日
  • デアデビルボーンアゲイン

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    デアデビル作品の数少ない邦訳。やっぱりフランク・ミラー作品で、名作という評判は聞いていたものの、読み終えたときの興奮は想像以上だった。

    絶望に陥るまでの流れは急転直下だが、そこからの復活は非常に丁寧に描かれており、マットのヒーロー性の根源はどこなのかを考えさせられる展開には息をのむ。それでいて、マット以外の主要キャラそれぞれにも何らかの挫折があり、それらが絡み合うことで作品の雰囲気そのものが絶望から希望へ向かう流れを作っていて、読者としてその雰囲気にはまりこんでしまう。

    Netflixで展開されているドラマを見て気になっている人はまずこれを読むべきだと思う。ドラマで登場したキャラたちが、大

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    2016年08月06日
  • デアデビル:マン・ウィズアウト・フィアー

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    Netflix版デアデビルの原案となった一冊と聞いて読んでみたが、期待に違わない面白さであった。

    デアデビルのオリジンを再構成するにあたり、この作品ならではの雰囲気が作られているのが面白いところだ。その雰囲気づくりに一役買っているのがマット側の視点に立っているものの三人称ベースの語りではないだろうか。このナレーションがどこでも挟まることによって、どんなに激しいシーンでも冷静なトーンで読むことができる。

    表紙に印象的に描かれている黒装束も含め、劇中での衣装の使われ方は非常に面白い。衣装の差異でその時のマットのスタンスがとてもよく伝わってくる。

    なんにしても必読の一冊だ。映画→Netflix

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    2016年07月31日
  • デス・オブ・キャプテン・アメリカ:デス・オブ・ドリーム

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    キャプテン・アメリカ誌だが、表題の示す通り、キャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースの死を描いた作品である。そう聞くと本作を通して「死までの過程」が描かれそうに感じるが、まったく持って違う。死後、親しかった人々が陰謀を暴いたり、反抗したり、巻き込まれたりする作品だ。意外に感じるものの、この効果が絶大であり、やはり丁寧なストーリー展開がなされていて好印象である。

    ヴィランの陰謀は渦巻いている中でスティーブの死と向き合わなくてはならない。そんな心理描写をしっかりとしてくれるため、本巻最後の希望が見える状況が生きてくるのだろう。

    戦線に復帰している相棒、バッキーの動向はとくに肝だ。スティーブ

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    2016年01月01日
  • WATCHMEN ウォッチメン

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     これは、1986年から1987年にかけて出版されたアメリカのグラフィック・ノベルを翻訳したものだ。
    原作は、2009年にザック・スナイダー監督によって映画化されている。映画化については、テリー・ギリアムがチャレンジして頓挫していたものをザック・スナイダーによって実現されたのだと言う。今回、映画を観てから原作を読む順番となったが、原作と映画版を比べると感心する。ぶ厚く、入り組んで、暗い苦味に充ちた物語をよくも料理して映画にしたものだと思った。結末が変更されているけれど、ザック・スナイダー版は本作を理解するための一助になるかもしれない。とは言っても、本作が難解なわけではなく、その圧倒的で、重層的

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    2015年12月09日
  • アイアンマン:エクストリミス

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    映画「アイアンマン3」のアイデア元、「エクストリミス」絡みの事件が描かれたアイアンマン単体の作品。他のヒーローは名前のみで、徹底的にアイアンマン1人しか出てこず、作風の統一感があるのが何より魅力的だ。その統一された作風というのが、「優れた技術者であり、社長であり、ヒーローであり、それらのことで悩める一個人トニー・スターク」という軸で徹底している。

    映画版から入った身としては映画版の飄々とした雰囲気は微塵もなくなかなか悩みから出てこないトニーは意外だが、この悩みがどうにも面白い。
    エクストリミスを巡る話としてその要素がしっかり中心に来ており、それをめぐる他キャラとの絡みの中で、悩みは解決されな

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    2015年08月01日
  • DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト

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    バットマンのアメコミはこれが初めてだが、この一冊だけでも十分楽しめる。後半のエピソードはちょっと合わなかったが、前半の老いたバットマンはかっこよかった。

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    2014年12月01日
  • WATCHMEN ウォッチメン

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    ジャンルとしてはアメコミだが、いわゆる漫画とは内容の密度が違った。膨大な情報量をこれでもかと詰め込んだ小説に緻密なイラストが加えられた、まさにグラフィックノベル。

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    2014年05月31日
  • WATCHMEN ウォッチメン

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    俺などがいうまでもなくアメコミの最高峰だが、全知全能に近い力を持ちながら、好きな女に冷たくされたから月に引き蘢るドクターマンハッタンは、萌えの最高峰でもある

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    2013年04月04日
  • DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト

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    アメコミ界の古典中の古典と言われる『ダークナイト・リターンズ』は、マンネリ化していたバットマンに「ダークナイト」という位置づけを与え、そして再生させた記念碑的作品と言われている。

    で、機会があったので読んでみた。これは確かに傑作中の傑作。衰えたバットマンが無秩序状態のゴッサム・シティに業を煮やして大復活、すると彼の宿敵だったジョーカーも復活。アメリカとソ連は核戦争が勃発し、スーパーマンは暴走的に自警を続けるバットマンとの戦いに駆り出され……と、とにかく圧倒的スケールで物語が進んでいく。

    人間の本性は変わらないよね、という作者のテーマ設定が面白く、トゥーフェイスやジョーカーを「治療した」と嘯

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    2012年11月11日
  • アベンジャーズ:ハルク・ウェーブ!

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    3つの時代のアベンジャーズが楽しめる日本独自編集版。個人的にはカービーの描くドナルド・ブレイクから変身したソーの妙なポージングがツボ。

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    2012年08月26日
  • キングダム・カム 愛蔵版

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    黙示録になぞらえて話が展開しまさが、それにしてもアメコミキャラの喧嘩っぱやさ…!という感はあります。が、何と言っても絵が圧倒的に美しく、これ描くのに一体どれだけかかったんだろうと考えると空恐ろしくなる!

    内容としては、ヒーロー達の2、3世代目が出てきて特殊な力を持つ者が増加傾向にある中、マイノリティかつ特殊であるが故に一種(彼らが考えた)モラルに重きをおいた第一世代とは異なり、第二世代以降は自分の為に力を使うという感覚に。そしてそれが引き起こす惨劇が文字通り世界を燃やすという、大変迷惑極まりない話です。ヤバイ。

    しかし子世代のモラルのなさは絶対に親の教育のせいだ!と思ってしまう笑
    アメコミ

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    2012年07月07日
  • バットマン:キリングジョーク 完全版

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    誕生日に妹の友人からプレゼントとして頂きました!バットマンシリーズが大好きな私が喜ぶの喜ばないの、まあ喜びましたよ!内容はご覧の通り、皆大好きジョーカーさん。アメコミってキャラありきの作家さんの解釈によるパラレルワールドですが、このジョーカーが行う精神的陵辱の仕方が倫理観としても非常に欧米的で、馴染みのない私達には一瞬分かりにくいかもしれませんが、考えれば考える程するめの様に凄く酷いコトをしてたと後から気付かされます。ソレがまた妙に凄い。酷い事は全てダイレクトとは限らないですね。ジョーカーそのものも、此方のジョーカーは何処かしら人間味があるので、同情を誘います。

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    2012年06月30日
  • WATCHMEN ウォッチメン

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    映画から入ってからコミックを読んだが、映画だけだとこの話の完成度は伝わらないと思う。
    なのでコミックを読んでから、映画を観るべきだと思う。(ネットなどで解説もあるので、そっちのほうが手っ取り早いけど)

    またこの話はアメリカのケネディ〜ニクソンの時代背景に密接に絡んでいるので、その当たりについても知っておくと良かったりする。

    アメコミで、かつ1985年に制作された内容なので、アクションシーンの絵などは動きが無く、かつコマ割りも単調なので、漫画というよりは小説を読むような気持ちで読んだほうがいいと思う。

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    2012年06月26日
  • WATCHMEN ウォッチメン

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    ザック・スナイダーが映画で完コピした原作コミック。17~8年前にNYに旅行に行った帰りの便中で、隣の韓国系アメリカ人の方が読んでいる原書が気になり、題名を尋ねたところ、「これ?ウォッチメンって言うんだよ。」「面白そうですね。」「うん、すっごく面白いよ!」 その3年後に札幌のタワレコの洋書コーナーで偶然見つけた原書を即買い。非常に複雑な背景と伏線に苦労しながら読破しました。さらに数年後に古本屋で邦訳版を見つけてこれも即買い。より仔細な読解と詳細な解説に再び感動。2009年のまさかの実写映画化も、原作ほどのディテール再現は望むべくもないけど、ファンとしては十分満足の仕上がりでした。『キングダム・カ

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    2012年02月27日