あらすじ
SF文学の最高峰ヒューゴー賞をコミックとして唯一受賞し、タイム誌の長編小説ベスト100にも選ばれた、グラフィック・ノベルの最高傑作! アメリカン・コミックスがたどり着いた頂点がここにある――。
“金曜の夜、ニューヨークで一人の男が死んだ――”
1985年、核戦争の危機が目前に迫る東西冷戦下のアメリカで、かつてのヒーローたちが次々と消されていた。これはヒーロー抹殺計画のはじまりなのか? スーパーヒーローが実在する、もう一つのアメリカ現代史を背景に、真の正義とは、世界の平和とは、人間が存在する意味とは何かを描いた不朽の名作。
●収録作品●
『WATCHMEN』#1-12
(c) & TM DC.
感情タグBEST3
あまりにも面白かった
1987年にこの作品がもう世に出ていたなんてビックリ。
オチ含めてこの作品はもうアメリカンコミックとしての頂点の1つだと言っていいだろうというぐらいに面白かった。
魅力的なキャラクター達が織りなす物語や各人が持ってる哲学や思想がほんとうに重厚で
こんなにすごい作品が1987年にもうあったという事に驚きしか感じない。
Drマンハッタンの時間の並びがまっすぐになっていない思考回路の表現や
2代目ナイトオウルというキャラクターの表現の仕方
成功したヒーローであるオジマンディアスとコメディアン
原初のヒーローフーデッドジャスティス
そして何よりも誰よりもロールシャッハ。その魅力があまりにもすごかった。
ロールシャッハとナイトオウルの友情はちょっと最後まで読むとウルッときてしまう
Posted by ブクログ
とにかく凄い!圧巻!!
アメコミが80年代にこんな次元に到達してたなんて!
この密度で、このストーリーを描き切った事がアメコミの奇跡だと思う。
本当に圧倒的でした。
Posted by ブクログ
本編を読み終えたのは、6月の半ば頃だったと記憶しているが、巻末の付録まで読んでから感想を書こう、と考えているうちに、8月が終わろうとしている。
とにかく情報量の多い漫画で、興味深く読み続けていても、中々残りのページがなくならない。こういう漫画は初めてかもしれない。
当初はDC作品のヒーローを用いて、そのキャラクター自体の経てきた歴史なども織り込んで、メタ的なコンテクストを包摂する、というような構想だったらしいが、目論見が外れて、オリジナルのキャラクターで話を展開することになってもなお、依然としてその試みは有効に作用していたように感じた。
暗い時代、恐怖に覆われた1985年が、ヒーローを軸に重層的に描かれていく。世代に跨ったヒーローたちの歴史は、物語の重厚さを担保すると同時に、独立した世界であるにも関わらず、現実で描かれてきたスーパーヒーローものを意識せざるを得ず、また彼らの歴史的変遷と物語を接続する。すわ予習が必要か、と思われるほど、重厚なバックボーンが匂わせられるが、次第にそれらが詳らかになっていくのが興味深い。
ストーリーラインが素晴らしいというより、どこをとっても多重に意味が折り重なっていたり、様々なテクストで物語が補強されていたりと、ストーリーテリングの巧みさ・面白さが関心を引いた。
コマ割や絵柄はさして好みではないが、マッチカット的な重ね合わせの演出が多かったり、アラン・ムーアの作劇の仕方が巻末で垣間見えた点は楽しめた。
丁度、相互理解への理想を抱くばかりで、何もできない自分に嫌気が差していた時期だったこともあり、面白く読んだ。ただし、共通の脅威によって、世界が一つになることは恐らくないだろう。
Posted by ブクログ
Who watches the watchmen?(誰が見張りを見張るのか?)
SF文学の最高峰ヒューゴー賞をコミックとして唯一受賞し、タイム誌の長編小説ベスト100にも選ばれた、グラフィック・ノベルの最高傑作!アメリカン・コミックがたどり着いた頂点がここにある――。2009年3月公開映画原作。
1985年、東西冷戦下のアメリカでは、核戦争の危機が目前に迫っていた。そんなある日、ひとりのニューヨーク市民が殺害される。政府により禁止されたヒーロー活動を続けていたロールシャッハは、独自の調査で、殺害されたのが、かつての仲間コメディアンであることを突き止める。これはヒーロー抹殺計画の第一段階なのか?
事件を追ううちに、ヒーローたちはそれぞれの心の闇に直面し、やがて世界を根底から覆す巨大な陰謀に巻き込まれていく……。
スーパーヒーローが実在する、もうひとつのアメリカ現代史を背景に、真の正義とは、世界の平和とは、人間が存在する意味とは何かを描いた不朽の名作。アメリカン・コミックがたどり着いた頂点がここにある。
スーパーヒーローの人間性を描き切った複雑な人間ドラマ(シルクスペクターはスーパーヒロインの母の期待に応えるために2代目シルクスペクターになった、娼婦だった母を憎んでヒーローになったロールシャッハ、裏の汚い仕事を引き受けていて暴力を生きがいにしているコメディアン、フィギュアを売って富豪になったオジマンディアスなどのスーパーヒーローの人間的な面、人間の愚かさ野蛮さに嫌気が差したドクター・マンハッタンと自分の気持ちを察しないドクター・マンハッタンに寂しさを感じ自分を愛してくれるナイトアウルに心が傾くシルクスペクターの愛憎関係、核戦争の危機やスーパーヒーロー狩りに怯え引退していたけどロールシャッハの危機をきっかけにスーパーヒーローとして立ち上がるナイトアウルとシルクスペクターの葛藤と決意、世界を救うために途方もない計画を実行するオジマンディアスなどスーパーヒーローの葛藤と決意を骨太に描いた熱い展開)と激動のアメリカ史の中でそれぞれのスーパーヒーローが何が本当の正義なのか人間に救う価値があるのか苦悩する骨太なストーリーが組み合わさって、アメコミを超えた、文学作品であり、衝撃のラストに善悪の観念を揺り動かされるはず。
Posted by ブクログ
まるで映画でのズームイン・アウトのような、背景の拡散や収束を見事に描く描写力に、グッと引き込まれたと思ったら、そこは描かれることのなかった、アメリカの戦史の闇……。第三次世界大戦にもしもヒーローたちが関わっていたら? という、イフストーリーでありながら、圧倒的なリアリティで、実在するパラレルワールドかとすら思う。
関わるヒーローたちも、アベンジャーズのような特殊能力があるわけでもない、ただのコスプレ軍団。逆に、たった一人特殊能力を持つ者は、未来予知や巨大化、惑星間のテレポーテーションに、サイコキネシスや「無の空間から物質を創造する」などの力を扱う、まさに全知全能の神のような存在。何、このバランスの悪さ。めっちゃ面白いやん。
メインストーリーは「引退したヒーローが、同じく引退したヒーローの暗殺事件に隠された陰謀を暴く」というミステリー的な流れを保ちつつ、ヒーローとしてのアクションシーンや幻想的で哲学めいた演出を絡めながら、「本物の正義とは何か」と言うテーマに向けて、一切ブレずに進んでいく。
大学生の時に映画で見た時はよくわからなかったけど、今この結末を改めて読んで、すごく納得してしまう。
そして、残念だな、とも思う。
世界は、こんな形でしか平和になれないんだな、と。
Posted by ブクログ
これは、1986年から1987年にかけて出版されたアメリカのグラフィック・ノベルを翻訳したものだ。
原作は、2009年にザック・スナイダー監督によって映画化されている。映画化については、テリー・ギリアムがチャレンジして頓挫していたものをザック・スナイダーによって実現されたのだと言う。今回、映画を観てから原作を読む順番となったが、原作と映画版を比べると感心する。ぶ厚く、入り組んで、暗い苦味に充ちた物語をよくも料理して映画にしたものだと思った。結末が変更されているけれど、ザック・スナイダー版は本作を理解するための一助になるかもしれない。とは言っても、本作が難解なわけではなく、その圧倒的で、重層的な語りに眩暈を感じさせられるので、映画版で整理されたストーリーは大海を渡る櫂になり得ると思うのだ。
この物語の背骨となるプロットは、殺人事件の謎を追うダーティな探偵ストーリーだ。そこにアメコミ(アメリカン・コミック)のヒーロー・ファンタジーが中年太りして重なり、その主軸に沿って黙示録的SFが螺旋を描き、ダークな街を背景にベトナム戦争と冷戦がレリーフとなるアメリカ現代史が苦渋を噛むシルエットを見せ、核の不安と恐怖、暴力とレイプ、挫折と後悔、憧憬と幻滅が、正義と狂気への問いかけが渦を巻くのである。しかもこれらすべてが、凝った重層的構成で語られて行く。
その構成のひとつで目につくのが、章間に挿入される様々な文章(引用、抜粋、新聞記事の切り抜き、インタビュー記事、警察の調書、精神科医のメモ等々)である。例えばそれは、マスクを被ったヒーロー(ナイトオウル)となって犯罪と戦い、引退した男が書いた自伝の抜粋である。
すなわち、物語のアメリカは、覆面を被った自警団=スーパーヒーロー達が実在する世界となっている。彼らは「悪い奴なんか、やっつけちゃえ!」という幼稚な正義感情に鼓吹され、アメコミの紙面から表通りに飛び出て大人になってしまったのである。そこで現実の網に搦め捕られ、泥に沈む。背を丸めて、ポケットに手を突っ込み、見て見ぬふりをして通り過ぎるしかない、人間の愚かさに溺れる。拳と道具で戦うスーパーヒーローは少しもスーパーではなく、卑小で滑稽な自警団として法律で禁じられてしまう。
では、サイエンス味のフィクションであるヒーロー=DR.マンハッタンはどうだろうか。絶対のスーパーパワーを持った彼は、徐々に人間味を失っていきながらも人間の愛憎に振り回される。宇宙の秘密を観照することは、一向に問題を解決しない。DR.マンハッタンの姿は丸裸の現実逃避に見えてくる。そしてそのスーパーパワーを持ってしても、核戦争の危機を押し止めることはできない。陰鬱な不安と恐怖が、コマの各所に記される。例えば、新聞の見出し、ポスターのキャッチコピー、壁の落書きなどが、近付く核戦争による破滅を囁く。
いったい、スーパーヒーローの活躍に胸躍らせた古き良き時代、子供の頃はどこへ行ってしまったのだろう。しかし、ショートケーキじみた子供時代など幻想なのだ。ロールシャッハ=ウォルター・コバックスの少年時代のように、ささくれ立った、粗暴な現実こそが追憶の真の姿なのではないか。
では、大人になればいいのか。オジマンディアス=エイドリアン・ヴェイトのように、大人になって、ビジネスの波に乗ることが正しい選択なのか。その選択の果てには、ついに成長しきれない「やっつけちゃえ!」という感情が、大人の論理を携えて、狂気の振舞いに及ぶだろう。そうして物語は、あまりにも悪い冗談でしかないカタストロフへと墜ちていくのである。
ここに、社会の真の姿があるとは思わない。誇張され、パターン化したイメージが描かれているだけだ。
しかし「ウォッチメン」には物語の真の力が溢れている。読む者の頭を揺すぶり、地獄の劫火を思い出させてくれる。どこから齧っても、こちらの口の中は苦い味でいっぱいになる。その上この苦みには滋養などこれっぽっちもない。だが、これを読まずして何を読むのだろう。べったりとした色彩に塗られたコマの隅から隅へ、ページの端から端へ、舐めつくす視線で読み進み、歪んだ、膨張した想像力の実在を感じ、その坩堝の只中に飛び込むことこそコミックの喜びなのだ。
Posted by ブクログ
ジャンルとしてはアメコミだが、いわゆる漫画とは内容の密度が違った。膨大な情報量をこれでもかと詰め込んだ小説に緻密なイラストが加えられた、まさにグラフィックノベル。
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俺などがいうまでもなくアメコミの最高峰だが、全知全能に近い力を持ちながら、好きな女に冷たくされたから月に引き蘢るドクターマンハッタンは、萌えの最高峰でもある
Posted by ブクログ
映画から入ってからコミックを読んだが、映画だけだとこの話の完成度は伝わらないと思う。
なのでコミックを読んでから、映画を観るべきだと思う。(ネットなどで解説もあるので、そっちのほうが手っ取り早いけど)
またこの話はアメリカのケネディ〜ニクソンの時代背景に密接に絡んでいるので、その当たりについても知っておくと良かったりする。
アメコミで、かつ1985年に制作された内容なので、アクションシーンの絵などは動きが無く、かつコマ割りも単調なので、漫画というよりは小説を読むような気持ちで読んだほうがいいと思う。
Posted by ブクログ
ザック・スナイダーが映画で完コピした原作コミック。17~8年前にNYに旅行に行った帰りの便中で、隣の韓国系アメリカ人の方が読んでいる原書が気になり、題名を尋ねたところ、「これ?ウォッチメンって言うんだよ。」「面白そうですね。」「うん、すっごく面白いよ!」 その3年後に札幌のタワレコの洋書コーナーで偶然見つけた原書を即買い。非常に複雑な背景と伏線に苦労しながら読破しました。さらに数年後に古本屋で邦訳版を見つけてこれも即買い。より仔細な読解と詳細な解説に再び感動。2009年のまさかの実写映画化も、原作ほどのディテール再現は望むべくもないけど、ファンとしては十分満足の仕上がりでした。『キングダム・カム』や『バットマン:ダークナイト・リターンズ』と並ぶメタ・アメコミ・ヒーロー物の頂点。1コマ1コマの画面情報量があまりにも膨大で、「読み飛ばせない」という珍しい読書体験と重層的なメッセージに圧巻の歴史的大著です。
Posted by ブクログ
初アメコミなので最初は読み難く感じたけど面白かった。台詞が多く、
背景の看板や新聞記事にも意味があるので、一コマに込められた情報が
多くて読み応えがある。これはアメコミ全般がこうなのではなく
アラン・ムーアの作風なのかも。
小さい頃の作文で「アメリカが日本に原爆を落としたのは戦争を早く終わらせるためだから良い事だった」と書いていたロールシャッハが、オジマンディアスの計画を断固拒否したのは皮肉だなぁと思った。
とにかく何度読んでも飽きの来ない作品。読むの疲れるけど。
Posted by ブクログ
グラフィックノベルというのを初めてよんだ
本当に未知の体験だった
小説でも漫画でも映画でもドラマでもない
でもどれでもあるような不思議な表現技法だった
まさにカルチャーショックというか
新しいものをまた一つしった気がする
内容に関して言えば、
人間の愚かさを知った「コメディアン」が本当に印象的
コメディアンというとただの芸人というイメージしか持てないけど
ようはピエロ=道化ということ
それからロールシャッハ
まさにロールシャッハテストの用に、時代時代で彼の評価は変わっていたのだろう
しかも主人公だけあって、アメリカンバリューのハードワークというものが本当によく現れた存在だった
強い意志(正義)とそれにもづいた行動は
アメコミヒーローの醍醐味だし
それが汚らしく描かれていたところに逆にかっこよさを感じた
Posted by ブクログ
一人のヒーローの死を引き金に暴かれる陰謀。
超人が存在し、冷戦の歴史を大きく変えた世界での
正義、真実、理想、そして現実をめぐる物語。
アメリカンコミック史上に聳え立つ金字塔が、日本語でいつでも読めるという
そんな喜びを噛み締めながら、1コマ1コマに詰め込まれた情報を
必死に読み解きたい1冊です。
Posted by ブクログ
期待通りに面白いし、マジで救いようのない世の中をバッチリ見せてくれました。
この世はマジでクソww
終始不穏な空気が漂っていて、先に進みたくないなと思いつつも、でも先が読みたい。
結局これが描かれた時代と、全く今の世界は変わってなくてむしろ悪くなっているってゆう。
クソな世の中の堂々巡り
Posted by ブクログ
・ドラマ版を見るに当たり再読
・前に読んだのは10年前以上
・当時読んだ時はあまりピンと来ていなかった
・今回読んだ時の方がスッと自分の中に入って来た
・前回読んだ時〜今回の間にMCUが好きになった事により、アメリカのヒ-ロー文化に対するリテラシーが上がったので、その為今回の方が理解が上がった(気がする)
・以前は日本の漫画文化の方が進んでいる、と思っていたけど、そんな事は無い、と今は感じている。むしろ何処かの部分ではアメコミの方が上?とウォッチメンの様な本を読むと感じる。(何処か?というのは簡単に説明出来ないが)
・ヒーローに対する考察はアメリカの方が上?
Posted by ブクログ
映画を見たので,大まかな筋は覚えていたけど,うーん,重たいストーリーだ.また,内容,コマが濃い.
テーマは「誰が見張り(watchmen)を見張るのか?」
Posted by ブクログ
映画が公開された時に買ったままで放置していたのがずっと心のしこりになっていたのをやっと読んだ。読みにくくてとても面倒だった。漫画の部分も読むのが大変だったのだが、その間に挿入されるテキストの資料みたいなのも面倒で、さらに最後のおまけの創作ノート的な資料も面倒だった。本当にごちゃごちゃしていて忍耐が必要ですごく時間がかかった。
しかし、内容は面白かった。何より登場人物が魅力的で、どの人物もそれぞれの悲哀が感じられた。特にシルクペクターのお母さんとコメディアンの関係が人間の寛容と矛盾が濃厚でよかった。コメディアンが映画でもすごく好きで、強さと自由と孤独と背徳が強烈で、要するに無頼そのもので映画での人物造形が原作に忠実であったことがわかった。映画はミステリーの構成がうまくいってないと感じたのだが、原作は腑に落ちた。何が違うのか映画と見比べてみたい。
同時期に描かれていた『AKIRA』は圧倒的に読みやすく、没入感もある。『ウォッチメン』は全く没入できなかった。
Posted by ブクログ
はじめてのアメコミ。オチはどこかで見たようなもので新鮮さはなかった。エピソードはとても面白い(パリアッチのジョークはこれだけでも本書を買う気になる)。
分厚くて読むのが大変だった。読み返したい。
Posted by ブクログ
映画を見て興味を持ちコミックも購入。市民を含めてそれぞれのキャラがそれぞれの考えで行動しているのでとても好感が持てるキャラクターばかり。ただしナイトオウル2世と二代目シルクスペクターは好きになれない
Posted by ブクログ
物凄い情報量で、読んでてすごく疲れる。章が終わるごとに世界観の補足みたいな新聞記事とかあってそれもすごい量。これを咀嚼して世界観を失わずに3時間未満にまとめた映画版の偉大さがよくわかる。
Posted by ブクログ
ラジオ番組でオススメしているのを聞いて読んでみた。アメコミはスーパーヒーローが活躍する単純な話ばかりと思い込んでいたが覆された。それぞれのキャラクターの人物描写に手間をかけているので読むのに時間がかかるが結末に繋がっているので最後まで根気よく読み続けていれば損はしないだろう。
Posted by ブクログ
むずかしい!60年代のヒーローブームが終焉を迎え、アメリカからヒーローの存在が失われつつある頃、ベトナム戦争にも参加した政府公認のヒーロー「コメディアン」が殺された。しめやかに行われる葬式、露見する新事実、次々と消えるヒーローたち、その真相にひとり立ち向かう精神異常者のヒーロー「ロールシャッハ」。事件はアメリカ全土、そして冷戦世界全体を巻き込むスケールに、静かに拡大していた。舞台はヒーローコミックが存在するアメリカ。コミックの中のヒーローに憧れて、実際にマスクをかぶってヒーローを行う、ただ運動神経がいいだけの男たちが物語の主役。作品内のヒーローの引退後の暴露本「Under the Hood」、ストーリーと同時進行する「黒い船」というコミック、ヒーローの中に本当の超人「Drマンハッタン」の時空を超え、過去から未来まで横断する回想など、いくつものメタ構造がしこまれ、それらが少しずつリンクしていく。最後は怒涛、そして悲壮なラストになだれ込む。こんだけ書いといてあれだけど、私は最後のオチが結局完全にはわかんなかった。いちおう仮説はあるけど、確信を持てない。面白かったけど疲れたなー。ヒーローものは肩肘はらず読みたいのがホンネ。
Posted by ブクログ
アメコミに対する偏見がすっかり落ちました。これだけの密度と深さをもった作品は、日本のコミックにもそう多くはないでしょう。クールジャパン、日本の漫画は一番とか言っている場合じゃない。
海外だってそれぞれの文化に応じて成長しているんですね。それがいままで日本に入って来なかった、あるいは、一部でとどまっていただけのこと。これだって20年前の作品なわけだから、その後もきっと素晴らしい作品がたくさん出ているんだろう。
Posted by ブクログ
-全部お前に任すからな-
SF文学の最高峰ヒューゴー賞をコミックとして唯一受賞したグラフィック・ノベルの最高傑作!ということで3,570円出して買っちゃいました。その価値有。タイプの違うヒーローたちの物語。名言多し。画像の隅の文字、合間に挟まれる劇中劇的な読み物、全てに意味がある。最終的に、ヒーローとは程遠い「凡人」たちが愛おしく感じられてくる。引用は、[ヒーロー]にでなく[一般人]に向けられた一言。
Posted by ブクログ
職業としてのヒーロー「ウォッチメン」が存在する世界。彼らは世の中の正義を守るために戦っていた。しかし、誰がその「ウォッチメン」を見張るのか。すでに落ち目になっている「ウォッチメン」。次々と仲間たちが殺されていく。いったいなにが起こっているのか。
アメリカのTVシリーズ「ザ・ボーイズ」や、日本のアニメ「TIGER & BUNNYタイガー・アンド・バニー」にも通ずる設定。このように、他の作品に流用されるだけあって、斬新な設定はかなり面白い。それだけでなく、ストーリーとしてもよくできている。
Posted by ブクログ
ロールシャッハなど、一部のキャラクターの描き方が秀逸。
自分が日本人であるせいか、アメコミヒーローである必然性があまり感じられない。
良くも悪くもハリウッドにありそうな脚本。期待しすぎか。
Vフォーヴェンデッタよりは好き。
Posted by ブクログ
ヒーローものといっても一人を除けばただの人間に過ぎない。彼らは自警団のような形で世の犯罪と戦う者達だった。
しかし、超越的な力を備えたある一人ヒーローが誕生することで世界の有り様は一変する。
アメリカ軍人でもあった彼は冷戦時代の米ソの軍事バランスを一変してしまったのだ。
そしてアメリカはベトナム戦争でもそのヒーローの力により勝利を収めニクソン政権は1985年の今も健在。
だが、軍事的優位にたつアメリカはソ連に対し傲慢になりやがてそれはソ連の自棄な核増産を生み、全面核戦争の危機が叫ばれるようになった。
また、自警団として活動していたヒーローの存在はかえってギャングなどによる自警と称しての暴力を誘発させ、警察の権威も衰える結果となりあげくストライキも頻発。
そこで議会は私的な自警行為を禁ずる法律を制定させるに至る。そしてヒーローの大半は引退し姿を消していった・・・そんな世界の話。
物語はヒーローの一人が何者かに殺される場面から始まる。ヒーロー狩りか?一体何者の仕業か?法律に反しながらも未だにヒーロー活動を続けるロールシャッハは事件の真相を暴くべく調査に乗り出すのだが・・・。
現実にヒーローというものが存在したら社会は結局どうなるのだろうということをまずは示してみた作品。
特にDR.マンハッタンと呼ばれるヒーローは核実験により体が原子に還元されてしまったものの精神は生き残っており自ら体を再構築することに成功。以後原子を操れるスーパーヒーローとしてアメリカの国防、科学技術に多大なる貢献を果たすことになる。
終盤事件の真相が近づくにつれ正義とは何か、人類全体としての世界の平和を守るための正義とは何かという問いかけになってくる。
あくまで冷戦時代に核戦争の危険が迫った場合という前提条件がつくけれど、一つの解答ではあるかもしれない。