ヒーローものといっても一人を除けばただの人間に過ぎない。彼らは自警団のような形で世の犯罪と戦う者達だった。
しかし、超越的な力を備えたある一人ヒーローが誕生することで世界の有り様は一変する。
アメリカ軍人でもあった彼は冷戦時代の米ソの軍事バランスを一変してしまったのだ。
そしてアメリカはベトナム戦争
...続きを読むでもそのヒーローの力により勝利を収めニクソン政権は1985年の今も健在。
だが、軍事的優位にたつアメリカはソ連に対し傲慢になりやがてそれはソ連の自棄な核増産を生み、全面核戦争の危機が叫ばれるようになった。
また、自警団として活動していたヒーローの存在はかえってギャングなどによる自警と称しての暴力を誘発させ、警察の権威も衰える結果となりあげくストライキも頻発。
そこで議会は私的な自警行為を禁ずる法律を制定させるに至る。そしてヒーローの大半は引退し姿を消していった・・・そんな世界の話。
物語はヒーローの一人が何者かに殺される場面から始まる。ヒーロー狩りか?一体何者の仕業か?法律に反しながらも未だにヒーロー活動を続けるロールシャッハは事件の真相を暴くべく調査に乗り出すのだが・・・。
現実にヒーローというものが存在したら社会は結局どうなるのだろうということをまずは示してみた作品。
特にDR.マンハッタンと呼ばれるヒーローは核実験により体が原子に還元されてしまったものの精神は生き残っており自ら体を再構築することに成功。以後原子を操れるスーパーヒーローとしてアメリカの国防、科学技術に多大なる貢献を果たすことになる。
終盤事件の真相が近づくにつれ正義とは何か、人類全体としての世界の平和を守るための正義とは何かという問いかけになってくる。
あくまで冷戦時代に核戦争の危険が迫った場合という前提条件がつくけれど、一つの解答ではあるかもしれない。