ああ、おとぎはあんな綺麗に拒絶をするんだ……。
驚きも有ったろうし、咄嗟の行動でも有ったろうけど、そこに迷いは見られなかった。きっとおとぎの中で好きでもない相手に抱かれる事は”正しくない”という判断なのかも知れない。だから雷を押し退けた
他方で弦と紅にも何かあったのかな…?この巻ではその内容が明かされなかったけど、あの対応を見るに弦から紅は恋愛対象として見られていない雰囲気を感じてしまうよ……
おとぎと紅にも、そして雷と刻にも何かがあった。それこそ容易に語れない何かが
そこで間髪入れず、しかし大事にしない程度に話し合いの機会を設ける彼女らは精神が出来ているね。このまま微妙な雰囲気のまま過ごすなんて許せないからケリをつけようとする
心にさざ波が立っていても彼らの心は決まっている。特に刻の「おとぎはもう俺を好きじゃない」という認識を持ったままでも前を向こうとする姿勢は驚嘆に値する。彼はおとぎを好きでいる自分を認める為にあれだけの精神性を持つように成ったのか…
なら、刻をライバル視する雷だって己を成長させなければならない
雷が用意した場は再チャレンジであり諦める為の場。でも、おとぎはそれを許さないね。彼の好きは受け容れられないけど、受け止める為に彼に最後まで告白をさせた。あの瞬間、自分の恋を良いものとして終わらせようとおとぎと向き合った雷も、彼にそんな顔をさせたおとぎも短い間にこれ以上無い成長を見せた気がするよ…
こうしてそれぞれが良い気持ちで前を向けるように成ってくると気になってくるのは、おとぎと刻の間に横たわる勘違い。「もしかしたら」も「それでもまだ…」も容易に抱けない繊細な恋心は相手へと踏み出す勇気を出せなくさせてしまうもの
それだけに「逃げるな」と振り返ったおとぎも、あの瞬間に追い掛けた刻も最高ですよ…!おまけにちゃんと「好き」って言いましたよ、この男は!!
その後のおとぎの反応も良いよね…。一瞬、感極まって涙が流れそうになったのに、それよりも彼が好きな自分の最高の顔を見せる事を優先している。やはり強いね、おとぎは…
でも、同じくらいの強さを見せたのが刻か。この時の彼は自分に不利な状況になっている可能性を承知の上でぶつかっていたわけだから。それは自分の気持ちを伝えられれば満足とかそういう自己陶酔的なものではなく、おとぎと同じ強さを持つ自分でいる為にちゃんと好きだと付き合いたいと伝えたんだろうな
本当に最高のカップルですよ、この二人は!
おとぎと刻は交際を始めた。でも、それは裏側での話。そもそも周囲に見せる表の顔としては完全無欠の美形学級委員である2人は学校で付き合っている素振りも見せられないし、見せたくない
それでも付き合い始めたばかりだから相手との時間や空間をもっともっと増やしたい
この辺の空気感はとても初々しいものでありつつ、ニヤニヤさせてくれる
というか、突然訪れた初デートの場所を何処にしようか?でテンパる2人の様子は本当に初々しいなぁ(笑) あと、おとぎがトイレに行っている間に刻があんな検索をしている刻は可愛らしいね
そして、こういう時に率先してアイディアを出すのがおとぎクオリティ。セルフフォトブースなんて有るんだ、知らなかったな。普通のプリクラよりもオシャレ感があり、逆にそうしたオシャレ感はおとぎに似合っているし、刻にも合いそうだと思えるもの
2人で2人だけの写真を撮る。それは恋人である証を自分達で作り上げるようなもの。どういった距離で映るか、どういった仕草を交わすか、どういった見た目に変えるか。それは付き合い始めたばかりの2人だからこそ心躍る時間と空間と成ったのだろうな
……そう思えるだけにラストの不穏な展開は嫌な予感がするというか、面倒な展開はマジ勘弁というか…!