夏休みに突入した事で学生達はそれぞれの時間を過ごす事に
刻はいつも通りっぽい過ごし方だけれど、おとぎの方は祖母の家に逗留して更に美術鑑賞ですか。ナカナカに趣味の良い事で
おとぎの場合は好きな人と離れてしまうという点が少し寂しいかもしれないけれど、その渦中で自分の心情に一致する名画と出会えた経験は彼女の心情的にかなり良かったのではなかろうか
あの絵に描かれた女性と同じように自分も恋文の共有がしたい。そう思わせられていただけに、時を同じくして思い出の共有がしたいと考えていた刻とメールの遣り取りが発生するのは良いね
これは恋文でも文通でもない。けれど遠くにいる相手と言葉を交わし合う掛け替えのない行...続きを読む 為である
ただ、面と向かった遣り取りで無い分だけ、おとぎは封じ込めようとした自分の想いを意識せざるを得なかったようだけど…
前巻にておとぎと自分の差を痛感した雷。冒頭で自己啓発本を買っているシーンに「おおっ!」と思っていたら、そんな彼に対して紅は痛烈だね
今の雷のままでは確かにおとぎには並び立てないだろう。けれど、並び立てないからと遠回りしようとしたら、もっと並び立てなくなる。おとぎという個人から好かれたいなら彼女と向き合い続けるしかない
面白いのはここで紅が言っている事は、まるで彼女自身がおとぎと向き合う中で培ってきた信念のように思える点か。あまり語られる事はないけれど、彼女は彼女でおとぎの親友で居る為に色々と覚悟を決めているんだろうなぁと思えたよ
急遽始まったコテージ宿泊編。刻がおとぎとの距離を縮める為のイベントは他の思惑も絡まり恋愛劇の様相を呈する事に
前巻でも花火大会にて刻と雷による鍔迫り合いはあったけど、ここに弦や紅が混じる事でより多面的な要素を持つ宿泊となったね
おとぎへの接し方は変わらず雷の方が優勢のようで。困るおとぎに対し行動するスピード感、水着を纏った彼女への賛美
雷がおとぎと仲を深めていると刻はイライラを抑えられない。けれど、人の目があるから表向きの顔を維持しなければならなくて
そう考えると、紅の挑発を受けておとぎと向き合える自分になる為に裏を解放した彼の行為はおとぎへの想いを抑えるつもりは無いなんて宣言に受け取れるのかも
だから彼は今になって。いや、今だからこそ雷におとぎの裏がバレたのは嫌だったと伝えられるわけだ
ここでおとぎの方もムキになって否定するのを止めて、「イヤだった!」と伝え返すのは良いなぁ。こういうシーンを見ると二人ってお似合いなのだと感じられるよ
こうなってくると増々雷の分け入る余地は無くなる。元々がおとぎと並び立てないと藻掻いていたのに、刻は一段も二段も上っていた
ならば彼は刻よりも更に上る事を意識して行動せざるを得ない。それがあの「YES or NO?」に繋がってくるのだろうし。ただ、こちらが想像している通りなら、果たして雷のその行動はおとぎの隣に行く為に正しい行動だったと言えるのかどうか……
それでも彼は上り詰めた。暗闇で足元さえ定かではない中を。その行為を誰が貶せるというのだろうね
おとぎ達が恋の鞘当てをしているのを他所にまさか紅にも恋が訪れるとは思わなんだ。てか、おとぎに向けていた感情が重いというよりしっとりとしたもので留まっている点も意外だったけど
おとぎの隣に居る為に高い目標を自分に課しているだろう彼女としては、大人の男性というものに弱かったという事だろうか?
ただ、不幸だったのは弦が持つ大人っぽさにはそれこそ紅よりも長い人生経験で得た様々が詰まっていたわけで
眼鏡を外し墓に語り掛ける弦はどのような想いであの花言葉を捧げたのか?そしてこれは紅にとって失恋と言えるのか?
彼女の恋物語がどうなるかも俄然気になる構図になってきたね