刻への恋に迷いが無くなったおとぎは輝いているね。元々が綺麗で可愛らしい子ではあったけど、刻と触れ合う日々をとても楽しみ、かつてない恋の光を放つようになった
それは刻が以前と同じ接し方をしているからなのだけど、刻は恋心診断で自分の感情の答えを知ってしまった。その為か、おとぎに見せない範囲で彼の変容は生じているようで
それはおとぎと雷の会話に割り込んで花火大会へ一緒に行く約束を取り付けたシーンに象徴されるね
刻は素を出せるという理由以上におとぎとの時間を楽しんでいる。だから二人の関係に入ってくる者を許せない。ただ、おとぎとの関係を進められていないから独占できないだけで
でも、心構えを切り替えたおとぎはそんな心情察せない
おとぎは二人がデート目的で誘ったなんて夢にも思わないから二人を平等に扱う。そうすれば刻はスマートにエスコートする雷の後塵を拝する事になる。いや、まあ雷のエスコートも完璧に効いていた訳ではないからこの点はおとぎの守備力が高かったと評するべきなんだろうけど
てか、浴衣を着たおとぎはかなりの美人さんだったね。無地でシンプルな浴衣とか勇気が要る気がするんだけど、それを当然のように着こなして浴衣に負けない色香を放つのは生半可ではないよ
そう考えるとおとぎの浴衣は褒められて然るべきで、雷の対応は正しくて刻の対応はもう少し欲しかったというところ
まあ、おとぎが気にしてないから問題ではないのかもしれないけど
この点に限らずおとぎは花火大会でのあれこれを気にし過ぎること無く楽しんでいたね。そのお陰で雷の心情に気付かず会話できて彼にクリティカルヒットするような発言もできてしまうわけだ
面白いのはここで雷に効く言葉は幾らか刻にも効いてしまう点。花火よりもおとぎを独り占めしたかった刻が本当は口にしたかった言葉。それは当分の間、封じられた形となったのだろうか…?
16話はかなり意外性を持つ話となったかな。そもそも扉絵が少女漫画であまり見掛けない類だった事も含め
夏休みを前に玉砕覚悟でも想いを告げる者達の悲哀が描かれつつも、それを苦に思う事なくおとぎ達とて己の恋を生きていると示されている
だから限られた時間をせめて楽しみたいと想い人と少しでも一緒に居ようとする。おとぎにとっても刻にとっても物置でのひとときは心躍るもの
恋を楽しむおとぎは刻との関係を進める事を恐れていないね。だから花火大会で刻が手を握った理由を詰めようとするし、交際のイロハも知ろうとする
その精神性が最も現れたのが167ページの発言か。完璧を志していた少女が自分の弱さや不満足に向き合っても「最高にたのしー…」と味わえる。それはそんじょそこらの精神性ではない。察してしまった雷が臆してしまうのは当然かもしれない
だとしたら、雷よりも前におとぎの人柄に気付いていただろう刻が綴るものは一体……?
あと、これまでおとぎの友人という枠でしか見てなかったけど、紅っておとぎに結構重ためな感情抱いてたりする…?