オードリー・タンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
今世界で起こっている変化の底にあるのは『西洋の敗北』、宗教ゼロになりアメリカとヨーロッパがニヒリズムに陥っているからとトッドは言う。
下部構造である経済に政治は規定されるが、可視化されている経済の水面下には、教育があり、宗教があり、家族構造があるとはトッドの分析。
宗教ゾンビ化がナショナリズムを生み2度の世界大戦を起こし、戦後に宗教ゼロが始まりニヒリズムからの世界の混乱が起こっている。
トランプがいなくなってもこの潮流は止まらない。日本はどうすべきか、自分はどうすべきか、まだまだ答えは出ないが、トッドは考える方向性を示してくれていると直感的に思う。 -
Posted by ブクログ
うーむ。
わからん。
ぶっちゃけ読めていない。理解出来ていない。かろうじて読み拾うことができる部分がわずかにあるだけという感じである。しかしながら、荒唐無稽でまったく意味がないかというと、おそらくはそうではない。
オープンソース書籍であるこの本は、今なおWEBで多くの人間の手で更新されていて、洗練され続けている……らしい。《らしい》となってしまうのは、私がこの本の趣旨を完全には理解出来ず、さざ波となっている部分を視界に入れる程度しか出来ていないからだ。
序章である第1章を含めて7つの章でまとめられているが、第1章~第7章まで読む順番は決まっていない。円環を描くように繋がっているので、読み始めはどこからでも良いとのことだ。そのあたりは序章の前のまえがき(?)で解説されている。
私は素直に第1章から読み進めていった。第1章は時事関係で、問題提起がメインになっている。民主政治と専制政治についての話は、この本で私がかろうじてつかめたテーマのひとつだ。専制政治について、かなり辛辣に書かれているのだが、最近は本当に洒落になっていないなあ……などと思う。
理解出来たとは口が裂けても言えないが、未来の展望について真摯に向き合っている良書ではあると思う。
あと数年が経過したら、版を重ねた結果としてこの本は進化しているかもしれない。それが少しだけ楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ行政DXを進めるにあたり、これまで私は主に「市民サービスの電子化」や「内部事務の効率化」という観点から捉えていた。
しかし本書では、デジタル技術を民主主義のための基盤として活用し、市民参加を促す仕組みをつくるという視点が提示されており、これまであまり意識してこなかった観点だと感じた。
日本でも、チームみらいが公約への要望をリアルタイムで反映する仕組みを取り入れ、議席を獲得した事例がある。
こうした動きを見ると、今後はデジタル技術の活用によって、民主主義のあり方そのものが変化していく可能性があるのではないかと感じた。
ちょうどそのようなことを考えていたタイミングで本書を手に取ったため、非常にタイムリーな内容だったと思う。
また、国レベルよりも自治体レベルの方が市民の声を拾いやすい側面があると感じている。
今後は業務を進める中でも、市民の声をデジタルで収集・反映できる仕組みをつくれないかという視点を持ちながら物事を見ていく習慣を持ちたいと思った。 -
Posted by ブクログ
オードリー・タン氏の安定感。本書はオープンソースで成長していくプロジェクト、というのが素晴らしい。おかしかったら自分で直せと。日本のカイゼンやPDCA、なめらかな社会といった考えにはサイバネティクスが通底している。pluralityを社会に浸透させていく上でのオープンソースのマインドセットの重要性。一方、オープン性だけだと、合理性の名の下で画一化が進んで協調的創造による発展が損なわれるため、pluralityによる多様性の担保でバランスを取る必要がある。plurality money、plurality市場、うまく行くんだろうか…今は結構、性善説ベースの話に聞こえるが、時代はゆっくり彼女の言う方向に進んでいくのかなと思った。オープンソースコミュニティにもっと財政的支援を。この本の副題があるとしたらオープンソースというキーワードも入りそう。
-
Posted by ブクログ
IT革命は、人類の幸福を広げる力になる。
理由は、人と人のつながりが一気に増えるからだ。
距離や年齢をこえて、誰とでもつながれる。
つなぎ目のない社会は、より自由で流動的になる。
人は、だれかとつながっているときに幸せを感じる。
何歳になっても同じだ。
だからこそ、自分をオープンにすることが大切だ。
オープンソースのように、誰とでも学び合える状態にする。
この考え方は、行政にも必要だ。
情報を開き、市民とつながる。
それだけで、暮らしはもっと豊かになる。
「少し難しそう」「でも面白そう」
その一歩を超えること。
小さな挑戦の積み重ねが、イノベーションになる。
多くの人に否定されたこと。
そこに種がある。
批判されたらやめるのではない。
磨き続ける。
自分も常にアップデートする。
柔らかく、しなやかに。
それが、これからの進化だ。 -
Posted by ブクログ
多元性を尊重する価値観には大いに共感できる。目指したい価値観がいわゆるPESTを網羅した形でまとめられており、論調は極めてポジティブ。類似する形態の文書は他に思いつかないほどユニーク。
ただ著者(陣)の頭が良すぎるのかもしれないが、専門用語が前提なしにどんどん使われていくので、読み手を選ぶ本である。せめて索引は欲しかったかなとも思う。
また、ITを社会が徹底的に使うべきなのは賛同するが、やはり人間の社会性に伴う分断や紛争はそう無くならないのかなとも思ってしまう。例えば、仮にプルラリティ的な投票が常識となっても、個人が僅かに抱く不満のようなものは少しずつ蓄積されていくのではないかな、とか。
加えて、規制の在り方は抽象論にとどまり、悪用に対する抑止として十分かは納得しきれなかった。
しかし上記のような議論を誰かとしてみたいと思わせてくれる時点で良書であると思った。
-
Posted by ブクログ
オードリー氏は、この世に正しい答えを知る者など誰もいない。誰もが自分にとっての正しい答えを持っていていいと若い時に悟った。同時に問題解決の責任を一個人に負わせないことの重要性を理解した。つまり、共創、協働を目指せばよい。
早くから死を意識していたオードリーはアイデアを共有するようになる。つまり、自分が死んだらアイデアも消える。今日のことは今日終わらせる習慣ができた。考えたことを吐き出してしまえば、もう怖くない。安心して寝られる。
分け合っても価値は消えない。
ネットワーク時代に知識の独占は不可能。答えは必ず共有される。
デバイス依存を感じたら25分毎に画面を閉じること。
また敢えてデバイスを触るときにタッチペンを使い、デバイスを体の一部とせず、使い過ぎを防ぐ。
時間を自分でコントロールすることで生活にゆとりができ、幸せになれる。規律は必要である。
リモートワーク時代では、人それぞれの時間の使い方を尊重すべき。
自分の心のマッサージをする。気分の変わること。心地よい体験を行う。
睡眠は大切。
リーダーは管理者ではない。グループに必要なのはコーディネート。これは水平方向の役割。
リーダーに求められるのは、体面にこだわらない柔軟さと折れない心。
リモートワークが選択肢にある以上、社員自らを管理させるしか、選択の余地はない。
知識の習得はオンライン。実務の習得はオフライン。
教育は勝ち負けではなく、受け入れること。
自分の時間の20%を使い、他のことをすれば、次の人生のステップになる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレAIについて、ドラえもんとのび太君を例えにしたり、自転車と山登りを使った説明をしたりと面白い。が、難を言えば同じような話が何度も出てきて少しくどい。この辺は編集の問題かもしれない。
デジタル社会について「デジタルが高齢者に使いにくいのなら、使いやすいように改良すればいい」ととても前向き。これはデジタルに特化したことではなく、全ての事に言えるのではないだろうか。
また、台湾の「鶏婆(ジーボー)」という言葉を紹介している。この字から鶏の麻婆豆腐のような料理を想像したのは私だけだろうか(笑)
これは食べ物ではなく、母鶏のようにおせっかいでうるさい台湾気質の事だそうで、自分に直接利害のないことでも自分事と捉えて行動を起こす、社会貢献をするということで、このような精神こそが民主主義では非常に重要な要素の一つになる、と述べている。
ご自身が手掛けてきたプロジェクトについてもいくつか紹介されている。その中で、デジタル社会に必要なのは、「自発性」「相互理解」「共好」の3つの素養と述べているが、これは私たちが生きる社会全体に言えることではないだろうか。
ちなみに「共好」とは、中国語でゴンハオと読み、共同で仕事をするという意味の「Gung Ho」を中国語化したものとのこと。
日本のデジタル庁と河野行革担当大臣についても大きな期待を寄せている旨が書かれているが、現在デジタル庁は発足はしたものの、HP上では「声を届ける」は説明だけで、「アイデアボックス」は近日公開となっている。
最後に著者が好きな詩人、レナード・コーエンの詩の一節が紹介されている。
「すべてのものにはヒビがある。そして、そこから光が差し込む。」
ヒビを見つけ、また別の誰かがそこに光を差し込む事こそが、今私たちがここに存在している理由だと締めくくっている。
あとがきに、日本ではおなじみの、お世話になった編集の誰々さん、出版社の誰々さんに~みたいな内輪話が一切書かれていないので、とても読後がよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ対話する相手側に立って、調和させる(自己矛盾だけは避ける)
→エンパシー(知性や経験に基づいた理解)xシンパシー(傾聴による相手への理解)
人の話を聴く:反論や意見が湧いても、まず落ち着く
コロナなど緊急時に大切なのは情報公開と透明性
→意識した3F(Fast, Fun, Fair)
ソーシャルイノベーションとは社会を簡単に動かす
→トップダウンより素敵だなと思い行動が効果的
→いわゆる「みんなのことにみんなが協力する」定義
喜びとはGoodSpirit、ギリシャではユーダイモニア
→コーパス:人の攻撃をなるほど分析や評価
→満足感とは内側の話 -
Posted by ブクログ
私たちは誰しもが個性を持ち、一人ひとりが異なる視点と考え、死生観や宗教観、生き方や行動の仕方も生まれながらの多様な環境による影響を日々受けて生まれた時から死ぬまでそれは変化し変質し成長し進化していくだろう。
現代(2026)において、私たちはAIという皆の知識や過去の書物やあらゆる情報からの恩恵を受けることができる時代となった。これから、更に多様で多角的な影響を受け環境や人格形成から気づきの連続により複雑化していくだろう。日本において、未だAIの普及率は少ない。個人レベルでは、生成AIを使ったことがある人は2024年度時点で約26.7%と、米中などと比べてかなり低い水準にとどまり、企業では、生成AIをすでに業務利用している・導入予定の企業を合わせると6〜7割程度に達しており、一方で4割前後は利用する予定がないと答えるなど二極化も見られる。それは本著の指すところの「協働」が核となり、Pluralityは「技術の有無」よりも、「技術を介してどのように多様な人の声を集め、理解し合い、意思決定につなげるか」という“関係性のインフラ”を重視する枠組みとしての機能と活動が意識される「AIへの期待はあるが、どう使えばいいか分からず、意思決定の場にも市民や現場が十分参加できていない」という状況は、まさにPlurality型の合意形成・協働ツールが効きやすい良い土壌であると私は思う。
さて、巷で多様性を説く場で見かけられる「皆違ってみんないい」という枠で、終わる話ではなく、「違いを“そのまま”尊重するだけでなく、それをつないで新しい価値や解決策を生み出す仕組みを作ろう」というところまで踏み込み、Pluralityは「多様な人がただいる状態(ダイバーシティ)」より、「多様な人が交わり、新しい選択肢や解決策が生まれる状態」を大事にする考え方であり、本著が目指すところは「違いを橋でつなぎ、対立を創造に変える実践と技術の体系」と言うほうが正確であると言えよう。
本著はこれからの時代に沿った複雑で多様性に富んだ次世代型の視点であり、これからの常識になり得る良書であると言えよう。 -
Posted by ブクログ
多様な声を生かす未来は単一の正解を求める焦燥からは生まれない。オードリー・タンとグレン・ワイルが示す「Plurality」は対立を否定せずむしろ創造の源として迎え入れる発想だ。テクノロジーは社会を分断する刃にも協働を育む橋にもなる。彼らは後者の道を選ぶ。
AIや巨大プラットフォームに権力が集中すれば人々の声は薄れ民主主義の根が弱る。だからこそ多様な意見が可視化され互いの違いを理解し合える仕組みが欠かせない。
単なる技術論ではない。投票制度、参加型議論、市場設計など社会の基盤そのものを「協働」に向けて編み直す構想である。
世界はひとつの声に支配されるべきではない。多元性を尊ぶ社会こそが孤立した未来を避け共に創る時代を切り開く。Pluralityはその羅針盤となる一冊だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ彼女の思考・仕事・学習・未来観を軸にまとめられた一冊で、どの章も学びが多かった。
特に印象に残ったのは「知識や体系は一人で抱え込むのではなく、仲間と共創することで築かれる」という視点。競争より共創の姿勢は、今の時代に欠かせないものだと感じた。
また、SF小説からは未来を構想する思考、詩からは少ない言葉で多くを表すプログラミング的思考を学ぶという着眼点はユニークで刺激的だった。
さらに「リーダーは管理者ではなくコーディネーター。メンバーが主体的に意見を出せる環境を作ることが役割」という考え方にも共感した。
教育観については、日本のゆとり教育に似た側面も感じつつ、主体性をどう育てるかという示唆に富む内容だった。
多くの気づきを与えてくれる、問いの多い一冊