あらすじ
新たなテクノロジーが次々と生まれ、劇的に変化する時代。オードリー・タンは、まるで未来から来た客人のように、未来から現在を見つめ、オープンで透明性の高い方法で思考をシェアしてくれる。
「大人になってから、何をするにも人と比べることはなくなりました。IQ160という数字も、人と比べるためのものではないのです」――唐鳳(オードリー・タン)
ネットの海は果てしない。どんな知識も簡単に手に入る。大人にも子どもにも、知識を追求する方向を見極める力が求められている。そんな時代にオードリーは独自の知識体系を築き上げてきた。日々複雑化する世界に直面しながらも、情報の海に錨を下ろす方法を知っている彼女は、世界の混乱に右往左往することなく、自分の望む方法で前に進むことができる。
本書は、オードリー・タン個人の学習歴と生活経験から、仕事・学習・行動を見直すヒントを与えるものだ。彼女の働き方や学び方、本の読み方、世界の見方、コミュニケーョンのとり方まで、古い枠組みを打ち壊すきっかけが見つかるに違いない。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「共好」=「共創」の重要性。
具体的には、OKRとORID。
いろいろと示唆に富むことが多く、いろいろな分野のさまざまな場面で生かせることがあると感じた。
Posted by ブクログ
本書は何気なく買った中で、私の中では「大当たり」の本であった。現在や近い未来の状況に関する記載が多いが、案外その内容は古くならないのでは。
IQがめちゃくちゃ高い、もと台湾デジタル庁のオードリー・タンさん。彼女の考え方は高度かもしれないが、大変学ぶことが多かった。
特に印象に残るのは、「独学をする場合、孤独にならないように」という教え。オードリー氏こそ頭がめちゃくちゃいいので、一人で学んだりできそうだし、このような人が一人いれば社会が回るような気がするのだが、そのような意見を言うことが意外だった。
独学をする人ほど何らかのコミュニティに属したほうがいい。モチベーションも維持できるし、間違いにも気づくことができる。
研究会や勉強会というものは理にかなった仕組みだということだ。
オードリー氏の考え方の随所に「共同で何々をする」という思想が垣間見える。
もう一つ印象に残ったのは「目的をもって学びすぎるな」という考え方。「実学」ということも一方では流行っていて、特定の技術や技能が重視されがちだが、この変化が早い社会ですぐにテクノロジーは要らなくなってしまう。オードリー氏は、何らかの目的・用途に沿うように教育をすることは「人間を道具として扱うこと」として批判する。
教師も「学生を監督する」という役割に固執しないほうがよく、むしろその場でスマホで調べたりできるようにした方が集中力が増すというのがオードリー氏の意見だ。この点は反省。その他「間違っても大丈夫」という空気が重要で、生徒や子供が自主的に勉強するように仕向けることが重要である。
その他、集中力や睡眠のこと、子育てのこと等、結構内容は盛りだくさん。本書で引用された本は次々と注文して、順次読む。
第2章で、良質なSFは未来を予知しているので、SFを読みなさいとオードリー氏は述べるが、原作は内容がものすごく面白そうだ(すでに全部購入)。
Posted by ブクログ
『いま陥っている状況は、過去の知識体系には組み込まれておらず、既存の対処法で処理することはできない。模範解答は存在しない。』正に、こういう状況の中で事例とか有識者に頼りがちだと振り返らされる。
他にも、就寝前の習慣として実用書を、批判的な態度を捨てて超高速で読む、それによって睡眠時間すら知識を吸収できてしまうとか、、、真似してみたいものの多分すぐに寝落ちするか、起きて何も覚えていないかだろうな。
こんなにすごい人で、こんなに嫌味がない人がいることが知れただけでも勉強になりました。
Posted by ブクログ
⚠️ネタバレ、乱文注意
本書が一貫して伝えたいことは、個人で物事を捉えるのではなく、社会やコミュニティとして見ることが重要ということであり、経験や能力は所有するのでなく社会に対して解放して共有するべきと言うことでした。
IQ160であるオードリーは所謂”悟っている”状態であるなあと思いました。
競争社会や能力主義というのは要約すれば個人主義という枠組みに押し込まれるわけであって、それでは社会全体はまるで仕切られた個室同士の空間になり、そこに各々にアドバイザーとしてのAIがいて、それを盲信する社会になるという未来予想の警鐘を鳴らす作品でもあった。ひとつの教科書だけではなく複数の教科書がある社会、つまるところの”多様性”のある、”可能性”の多い社会を目指しましょうという話。
Posted by ブクログ
最近YouTubeでインタビューを受けられているのを拝見して興味を持ち読んでみました。
コロナ禍で「天才デジタル相」と注目を浴びていたこともあり、帯に書いてある「誰もが真似できる人生の質を高める方法」を「いや、誰でも、ってわけにはいかないのでは…」と懐疑的に思っていました。
読んでみると、オードリーさんの穏やかな雰囲気に触れられて、全てを真似するのは難しそうでも一つ一つずつなら実践できるかなぁとホッとしました。特に学ぶべきは実行力ですね。頭脳もすごいですが、実行力が素晴らしい。
最新の技術を扱われるのが、このように倫理的な方で良かったと思うこの頃です。
Posted by ブクログ
独自の視点で問題解決に挑む思考法を示した一冊です。多様性を尊重し、柔軟かつ創造的に考える重要性を実感しました。リーダーシップや未来へのヒントに満ちた内容です。
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オードリータンの頭の中を少し覗き見た感じ。オードリーと同じことはできないが、再現性があるものもあった気がして勉強になった。ポモドーロ、GTDメソッド、寝る前に読み朝夢見たことをメモする、など。
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仕事への向き合い方から、具体的な仕事術の詳細まで多岐にわたって紹介されています。自分の時間の二割を使って興味があるものを研究してみる、SF小説から未来を想像してみる、ORIDの考え方など参考になる内容が多くあります。
Posted by ブクログ
オードリータンの穏やかな感じが好き。IQが高い事でも有名だが、彼女はトランスジェンダーであり、小学校でも周りと上手くやって行けずに苦労して生きてきたらしい。そのことが本書で綴られるが、オードリーの青春や生き方を少しだけ覗き見できるような内容が本書の魅力だ。また、そうした“個性”ゆえ、見ている“世界の違い”が面白い。
― 1位だの2位だのという順位のプレッシャーがなくなって、初めて自分の進むべき方向が見えてくる。順位は他人がつけるものであり、それにとらわれることは、つまりは他人が示した道を進んでいるに等しいのです。
― 幼いころから、普通の人よりはるかに多様なジャンルの本を山ほど読んできた。休学した時期も、週に数日しか通わなかった時期も、そのほとんどの時間を読書をして過ごした。読書はオードリーを「いじめ」という暗闇から連れ出してくれた。心理学者の著書を読み、同級生が自分をいじめる理由を理解した。「いじめっ子は他人と比較することで自信を得ているから、少しでも失敗すると焦りを感じるのだ」と。「読書に助けられなかったら、人間関係の泥沼にはまっていたでしょう」
― オードリーが「子どもたちを『役に立たない人』に育てたい」と言う理由はここにある。「役に立たない人になる」とは、あまり早くから特定の「用途」で自分を定義しないほうがいいという意味だ。学ぶ人を「モノ扱い」してはいけない。人は人であって「モノ」ではない。自分を道具とみなし、それにふさわしい技能を習得しようという考えは間違っている。
私の心に刺さったのはこの部分。
IQとか偏差値とか年収とか。美人コンテストとか、世の中の色んな権威すべてがそうだと言えるのかもしれないが、この「人間の物差し」が社会的価値観であり、人間はそれに囚われている。囚われているが、そのレースに乗れなかった人から気付いていく。
誰かの役に立たなくても良いではないか。しかし、そう思えるのは簡単ではない。レースから外れる事での苦難を乗り越えた故の穏やかさこそ、オードリーの魅力。その苦難を少しでも助けてくれるのが、彼女にとっての読書であった。このレースに苦しむ誰しもにとって、読書が救いになるような示唆深い内容だった。
Posted by ブクログ
彼女の思考・仕事・学習・未来観を軸にまとめられた一冊で、どの章も学びが多かった。
特に印象に残ったのは「知識や体系は一人で抱え込むのではなく、仲間と共創することで築かれる」という視点。競争より共創の姿勢は、今の時代に欠かせないものだと感じた。
また、SF小説からは未来を構想する思考、詩からは少ない言葉で多くを表すプログラミング的思考を学ぶという着眼点はユニークで刺激的だった。
さらに「リーダーは管理者ではなくコーディネーター。メンバーが主体的に意見を出せる環境を作ることが役割」という考え方にも共感した。
教育観については、日本のゆとり教育に似た側面も感じつつ、主体性をどう育てるかという示唆に富む内容だった。
多くの気づきを与えてくれる、問いの多い一冊
Posted by ブクログ
語り下ろしですが,彼女の思想体系が垣間見える。ギフテッドならではの苦悩と,それを救ったインターネット上のコミュニティ。「共好」(「共同で仕事をする」という意味のネイティブアメリカンの"Gung Ho"の中国語訳。)がキーワードか。競争よりも共創。
スラッシュワーカーの時代にこそ,ひとつのテーマを徹底的に追求することに価値が出る。「数年も経てば,職業や肩書きではなく,探求するテーマそのものがアイデンティティになる時代が来ると考えられる。」
「役に立たない人」になるために学ぶ,というのは,平井先生の言っていた,「知識は陳腐化する」という金言と通じるものがある。
「人が「モノ」のように扱われ,特定の機能のみで判断される場面は多い。その機能が時代の変化によって淘汰されたり,自動化されたりすれば,大きな挫折を味わうことになる。学びの動機が自分のなかから湧き上がる興味ではなく,外から押しつけられたものだからだ。」
Q 人類の未来はどうなると思いますか?
A SF小説を読みましょう。
Posted by ブクログ
すごく良かった!
リーダーとして責任は取るけど、管理しないこと。命令を下す代わりにみんなが自主的に考えて行動する環境を作ることなど参考になりました。
Posted by ブクログ
コロナ禍のマスク不足の折、在庫管理アプリを開発した台湾のデジタル担当大臣というニュースで彼女を知った。
当時観たいくつかのインタビューを通じて、天才、という印象を持っていた。
そんなオードリーの思考法、仕事法を紹介している本著は、天才の頭の中を覗かせてもらっているようで、興味深く読みやすかった。
自分にとっては新鮮、斬新な考え方が多く、刺激になった。
特に印象的だったのは以下3つ。意識していきたい。
1.大人になって他人と自分を比べることがなくなった理由
このめぐるましく変化する社会の中で、絶対的な正解は存在しない。
1つの正解を一部の権力者や能力保持者が導きだすのではなく、みんなで協力してピースを持ち寄りパズルを解いていくように問題に対処する方が時代の流れに合っている。そこでは自分が誰かより劣っているかどうかよりも、その問題に対してどう対処すべきか、だれがどの部分に向いているのかを考えることが必要になってくる。
また、ピグマリオン効果。指示者に従うのみの縦割り組織でなく横並びの組織の方が、自分はどんな役割なのか、どう動くのが全体にとって得策なのか、メンバーに主体性を持たせることが可能になる。
リモートワークで離れた場所でそれぞれ働くことが可能になった現在は、組織を管理しやすいという点も頷けた。
お互いの能力を認め合い、協力して問題を解決していく。
そこには世界へ貢献している達成感、肯定されている満足感がある。
他人と力を比べて得る喜びよりも、競争よりも共創して得る喜びを、彼女は得たのだ。
2.時間の主人になる
自分の時間の主人は私。
そりゃろうだろと思っていたけれど、スマホを無意味に弄っている時間や突然のメールへの対応など、時間がコントロール出来ず溶けていくことは確かによく起こる。
彼女はポモドーロ・テクニックや食材配達サービスなどを使って時間のメリハリをつけていたが、言及されている中で一番残ったのは「まずは自分を知ること」。
オンオフ切り替えに時間がいるタイプなのであれば、それを助けてくれる勤務スタイルにしたり、アプリを使う。
「自分の感情・認識・注意力のバランスを把握し、自分にもっともなじむ方法を見つけ出す」
時短とかタイパの良さとか、つい頓服に目が向いてしまうが、まずは自分がどんな状態の時に調子よく日々のタスクをこなせるのか、イレギュラーに対応できるのかを、日々の暮らしから見つめなおしたい。
3.学習するための本の読み方
まずはすべて肯定して受け入れて読むこと。
知識の吸収を目的としている読書では、まずはいったんすべてインプットする。いちいち批判していたら時間がかかってしまい非効率だし、自分の考えが凝り固まる原因になる。
Posted by ブクログ
n=1
n=オードリータン
成功する人は、与える人。
与えれば必ず成功するわけではないけれど。
与える余裕が、人を魅了する。
オードリータンは、ギバーの頂点。
Posted by ブクログ
今の時代を過ごす中で何か違和感を感じながらも動けなかった思考や行動などのもやもやがきれいに剥がれ落ちた。
古い概念を変える一歩になった。
「共創」素晴らしいですね。
オードリータンの取材本を読むのは初めてだが、ほかにも読んでみたいと思った。