あらすじ
【内容紹介】
総取材時間20時間以上!
オードリー・タン氏自身が、自らの考え、行動、夢を語る。
世界のメディアがいま、最も注目するテクノロジー界の叡智が、描くデジタルとAI(人工知能)の未来!
台湾は、2020年に全世界を襲った新型コロナウイルス(COVID-19)の封じ込めに唯一成功しました。
本書は、その中心的な役割を担った若きデジタル担当政務委員(閣僚)が、コロナ対策成功の秘密、デジタルと民主主義、デジタルと教育、AIと社会・イノベーション、そして日本へのメッセージを、自身の言葉で語りつくします。
【著者紹介】
[著]オードリー・タン(Audrey Tang 唐鳳)
台湾デジタル担当政務委員(閣僚)
1981年台湾台北市生まれ。幼い頃からコンピュータに興味を示し、12歳でPerlを学び始める。
15歳で中学校を中退、プログラマーとしてスタートアップ企業数社を設立。
19歳のとき、シリコンバレーでソフトウエア会社を起業する。
2005年、プログラミング言語「Perl6(現Raku)」開発への貢献で世界から注目。
同年、トランスジェンダーであることを公表し、女性への性別移行を開始する(現在は「無性別」)。
2014年、米アップルでデジタル顧問に就任、Siriなど高レベルの人工知能プロジェクトに加わる。
2016年10月より、蔡英文政権において、35歳の史上最年少で行政院(内閣)に入閣、無任所閣僚の政務委員(デジタル担当)に登用され、部門を超えて行政や政治のデジタル化を主導する役割を担っている。
2019年、アメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』のグローバル思想家100人に選出。
2020年新型コロナウイルス禍においてマスク在庫管理システムを構築、台湾での感染拡大防止に大きな貢献を果たす。
【目次抜粋】
はじめに
序章 功を奏したITによる新型コロナ対策
第一章 私をつくってきたもの
第二章 デジタル民主主義とソーシャル・イノベーション~誰もが政策に寄与できる社会
第三章 ITは教育をどのように発展させるか~プログラミング思考を身につける
第四章 AIが開く新しい社会~デジタルは人のためにある
第五章 日本へのメッセージ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
台湾人の考え方は日本人の考え方と似ている。親しみを感じるのはこう言うところからなのだろう。益々台湾が好きになる。オードリー・タンさんのAI活用の仕方はすでにある政党でも活用されている。真っ先に訪ねに行ったんだろうね。もっと誰も皆が生きやすい世の中にしていくためにどんどんデジタルAIに意見を出して政治参加して欲しい。
Posted by ブクログ
「私はこう思考する」と基本的に同じ考えをベースに語られており、同じフレーズ・同じ趣旨の記述も多いが、それでも読んでよかった。
オードリーが天才であることは間違いないのだと思うが、それでも考え方やポリシーについてはそこまで特別ではなく、むしろ純粋で共感するところが多い。超人的でまねできないことも書かれているが、それでも少しは近づくことができるような気になり、やる気につながる、そんな感じの書籍だと思う。
Posted by ブクログ
この本はオードリータンさんの考え方が詰まっています。
渋沢栄一翁が言ってたことにも通じます。
とてもたくさんの気づきを得ることができました。
台湾と日本の考え方はとても近くてこの本はきっと日本の「公共の利益」に繋がるヒントが詰まってると思います。
「公共の利益を達成する」ことを
「自分の価値の源にする」
僕は人と比べることに達成感を求める思考があったと思います。
でも人より上手くできたことに達成感を求めるより人と協力して社会問題を解決することの方が価値があるということばに救われるように思います。
例えば中国語の勉強をしていても現時点で言えばきっとゴマンといる中国人の5歳児に及ばないと思います。
誰かに勝ちたいと闇雲に焦り続けるよりも今できることを謙虚に受け止めて一歩一歩進むことに意味があります。
自分自身の自己実現の価値を公共の利益達成にすり合わせていくことで一歩一歩自己実現と社会貢献をイコールにしていければと思います。
「デジタルはあくまでも道具にすぎず、その成否を握るカギは活用する側にある」
デジタルの活用は自分の力を何倍にも高めることができます。
AIが自分より10倍優れているならその効用を使って10倍の社会貢献をすれば良いということですね。
「青銀共創」
青年と年配者が共同でクリエイトしてイノベーションを行なっていくもの。
これは西成のあいりん地区に通じるように思います。
いろいろな社会経験をしてきた年配者の多い地区です。
ただ時代に合わないことも多いように思います。
それなら社会に合うようなアップデートをしていけば良いと思います。
一方で自由に起業したりできるようなたくさんの若者を取り込む仕掛けを作れたら。
「青銀共創」を進めていける地域なんやと思います。
「人々が協力してより多くの価値を生み出すためにはどうすればいいか」
Aクローズドなモデルだけれど見返りがある(国家や政府と国民の関係)
B知り合いのしか交換しないけれど自由に交換する(家族)
C不特定の会ったこともない人と見返りを伴って交換する(市場)
Dオープンでかつ無償の交換を行う(交換モデルX)
交換モデルXを僕なりに考えると学習ボランティアの関係なのかなと思います。
実際のところ僕が頑張って30年前の知識を思い出して受験勉強を教えても僕に減るものはなにも無いです。
ただそこには僕がシェアした知識をその子が受け取って自分の人生を切り拓いてくれるという信頼関係があるのかなと思います。
その信頼もどちらかといえば一方的なもので必ずしも日本の「公共の利益」につながらないのかもしれません。
でも僕はこのボランティアに意義を感じてるしきっと「公共の利益」に繋がってるやろなといやこれからなるんやろなと信じてます。
デジタルの場ではないですがより多くの価値を生み出す社会貢献ができてるのかなあと思います。
「保守」より「持守」
「持守」とは「自分の意志を堅持する、貫く」と言った意味だそうです。
僕は自分で「保守」やと思っています。
その中で僕も自分のこだわりを貫く方だと思います。
ダイエットすると決めたら同じ方法を何年も続けます。
(MAX120キロから今は75キロ)
朝起きて勉強すると決めたら何年も始発で起きて自習室に向かいます。
「伝統文化を守る」という意味で毎週土日の神社参拝は欠かさないようにしてます。
デジタル化の進展でも失ってはいけない信念はあると思っています。
要は壊していけないものは堅持しつつ進歩するために取り入れるものは取り入れることが真の「保守」なのかなと思います。
僕が外国籍の子供に学習ボランティアするのは「保守」からしたらおかしなことなのかもしれません。
でも守るべきものは守って社会貢献を進めることは僕は両立できると思います。
新しいものを排除するのではなく選択することが大切なんやと思います。
「インクルージョンや寛容の精神はイノベーションの基礎となる」
台湾と日本の考え方はとても近いんやなあと思います。
日本の神道は八百万の神という言葉に表されるように万物が神になる可能性があります。
受け入れるということはインクルージョンや寛容の精神につながります。
またいろんなものを受け入れるからこそイノベーションが起こるんやろなあと思います。
台湾と日本は思考信仰の面でも近いんやろなと思います。
「プログラミング思考」
これは単にプログラミングを書くための能力や思考ではなく
自分の持ってる(頭の内外にある)ツールを利用して物事を見る方法や複雑な問題を分析する方法を訓練することが次のステップとしてたくさんの人とチームで問題を解決する基礎になります。
大きな問題も解体と再構築をすることで問題を定義し直して専門的なツールを持つ人がそれぞれ解決していく。
こうしたことを自然にできる人を増やしていく必要があると思います。
これはプログラミングを学ぶことで実現できるんやと思います。
おそらく今後社会に出るときに実用的な思考法であると同時に資格になるのかなと思います。
Posted by ブクログ
IQ180の天才、中学中退後ネットで独習し、起業し、世界中のリーダーと協働し、AppleでSiriの開発にも携わる、いわゆるGIFTED。35歳で台湾のIT担当大臣となり、数々の先進的な政策を実現し、見事なコロナ対応でも世界からも注目されてきた。ちなみに性的マイノリティ。我々凡人からすると別世界の人であるが、果たして日本社会はこのような個性に活躍の場を提供できるのだろうか?
民主主義とはなにか?という根源的な問いへの答えは、タン氏が本書でも言う「誰も置き去りにしない」「寛容(インクルージョン)の精神」なのだと腑に落ちた。この非効率な制度をデジタルとAIを使って発展させていこうという試みと思想が本書のメッセージ。
台湾の近代史についても簡潔に述べられていて、李登輝のリーダーシップの下いかにして台湾が民主化と国際化を成し遂げたのかを思うと、香港政府は共産党中国に完全に飲み込まれてしまったが、台湾は絶対にそのようにしてはいけないと強く思う。
台湾国民の政治参加の意識を日本人は見習わなくてはいけないし、タン氏の活躍もあり様々な政策、改革が非常にスムーズに実行されているようだ。日本では絶対にこうはならない。それはなぜか?人口の多寡、近代化にいたる複雑な過程、世代間の対立、排他的な国民性、国民と政府の信頼関係...台湾に学ぶことはたくさんある。
タン氏は日本のカルチャーや思想にも相当詳しいが、世界の頭脳ともいえるこのような人が日本文化に関心を持ってくれているだけでも誇らしく思う。
Posted by ブクログ
今更感がありますが、仕事でAIを使うようになってきたので、この方の本は読んでおいた方が良いだろうということでページを開きました。
AIとのかかわり方、使い方の考え方もさることながら、自分としては一番共感できたのが、数学は好きだけど計算は面倒くさいからテクノロジーに頼るという部分。
オードリータン氏と同列に語るのは流石に憚られるが、自分も数学は好きだけど、センス無さすぎて文系を選んだ人間なので、考え方さえ分かれば難しい計算はAIに任せてしまえば、仕事は大幅に捗るという体験をまさにしているところなので、AIとの関わり方については、氏の考え方を参考にしていきたいと思います。
新しい著書も早めに手に取りたいところです。
Posted by ブクログ
ITを通じて誰1人取り残さない社会を目指していることが伝わった。あの有名なマスクアプリが、実は一個人のアイデアで作ってみた程度のものから出発したことに驚いた。非営利目的でそんなことができてしまう、台湾の開かれたイノベーションの場に感心した。
14歳の子がストロー無くしましょうと投稿したことで、5000人以上の請願書が集まり、それが実現したことにも驚いた。本当に誰でも政治参加できる国だなと思った。
オードリータン自身は、中学校中退しているものの、学校教育を否定もせず、あくまで個人に合った学習法が大事だと提唱していた。
Posted by ブクログ
台湾の政治のスピード感や民主的な様子を見ると、日本の政治が滞留した泥水のように思えてきます。
もちろん、本書を読んで、手放しでオードリー・タン氏の手腕や台湾の政治などを手放しで礼賛することは避けるべきと思います。
しかし、日本のデジタルに関しては、ビジネスの面でも政治の面でも、先進国の中では圧倒的に他国に後れをとっていると感じられてなりません。
本書を読んで我が国を振り返り、政治状況等を見ていても、デジタルをよりよく活用しよう、使える技術として人々の生活や幸せに活用しようという機運が薄いと感じられてなりません。
デジタルも使い方によっては多くの人を救うことできるし、多くの人を幸せにすることもできる。
それを学べたことはよかったと思いますし、すでにデジタルとは切っても切れない世界で生きる以上、そういったデジタルとの付き合い方を頭に置いていきたいと思います。
Posted by ブクログ
AIと人間の関係の理想の一つは、ドラえもんとのび太の関係である。
インクルーシブ、誰も置いていかない。そのためのクリティカル&クリエイティブシンキングを持った人物の話。
Posted by ブクログ
インクルージョンの考え方が素敵だなと思った。一度少数派の立場に立った人間は少数派を見捨てる選択を取らない。結構性善説的な価値観の印象があるけど、それだけ一般市民に求めるリテラシーも高いのかな。彼女についていけば、AIのリスクを最小化して正しく活用できる人間社会が築いていけそうな気がする。デジタル時代の必須素養として自発性、相互理解、共好。
Posted by ブクログ
「デジタル」、「AI」などのワードと一緒に目にする方なので、バリバリにキレた方なのかなというイメージだったが、それが変わった。誰に対しても優しく、人間が好きな方なのだということが本の節々から感じられた。もちろん、子どもの頃から頭はピカイチでよかったみたい…!
あまり専門的なことは書かれておらず素人に読みやすい。
サイエンスとテクノロジーだけを学ぶのではなく、そこにアートも加えなければクリエイティビティが出ない、という話に納得。
そしてやはり、自分の興味を突きつめることだなあ。
Posted by ブクログ
デジタル一辺倒な人かと思ってしまうけど強制的な平等で無く公平な考えが素晴らしい。開放して誰とでも話せる様な機会を設けるとか日本ではまずあり得ないし羨ましい。日本だと選挙しても人口の年齢バランスで若い世代の意見が反映されない偽りの平等になってるのでオードリー氏の様な逸材は少なくとも政治の世界には出てこれないだろう。
Posted by ブクログ
結構前に読んだのを引っ張り出して再読。
先の都知事選が非常に興味深かった。
ということで引っ張り出したのだが、誰でも使えるデジタル技術という点がとても共感できる。
また著者のように傾聴し全体の最適を考えられるようにありたいと思う。
時折読み返すためにも、手元に残しておきたい本。
Posted by ブクログ
2024-047
オードリー・タンについては、非常に若くして閣僚になったことや、シリコンバレーで仕事をしていたことを知っていたので、物凄く緻密で、ガツガツした人をイメージしていました。
しかしながら、本書を読んだ限りの感触ではありますが、その思考は案外取っ散らかっていて、非論理的な部分も多く、でも、温かみや思いやりのある人物、という印象に変わりました。
また、デジタル系の人、というイメージも強かったのですが、確かにデジタル系に強い人ではあるものの、それ以上に目的を大切にしている人で、デジタルはあくまでも手段に過ぎない、という考えの持ち主であることもわかりました。
ちなみに、比喩を使った説明がちょいちょい出てくるのですが、それらについては、いただけないというか、ピントが合っていないものが多い印象です…。
とはいえ、未来志向で共同意識が高く、個を大切にしつつ、かつ、インクルージョンを大切にする氏の姿勢は、誰もが見習うべきだと思います。
こういう人を増やしていくのが教育の役割なんでしょうね、きっと。
Posted by ブクログ
2024.05
ビジネスや人生の教科書!
以下は、気になることをメモ
台湾のマスク対策のベースは全民保健制度
政府の保険が民間保険と比べても遜色なく信頼されているのは、全民健康保険争議審議会で話し合われるあらゆるプロセスが原稿の一言一句まで透明化されており、どのような作業が進んでいるかも公開されているため
透明性による政府と人の相互の信頼関係によるもの
台湾のコロナ対策
fast fun fair 素早く公平に楽しく
AIはあくまで人間を補助するツール
私とコンピュータの関係は、ジョブズ
精神的な自転車に例えた。
あなたが何をしたいかがあり、自分の代わりに道具を走らせれば良いではない
他人の話を聞くことにより新たな視点獲得できる
①自分自身の生活という角度から物事を見る制限を取り払える
②個人的な経験や背景から述べられたことを通じて、世界はこのような視点でも解釈できると理解できる
未来を学習できる
クリティカルシンキングは父の教え
証拠に基づき論理的かつ偏りなくとらえるとともに推論過程を意識的に吟味する反省点な思考法、物事をクリアに捉えるための思考法
クリエイティブシンキングは母の教え
既存の型や分類にとらわれずに自分の方向性を見つけていく
交換モデルx
ひまわり学生運動
選挙の一票の重さ
インターネットは少人数の声をひろうツール
傾聴の民主主義
イノベーションを進めるほどクリエイティブになる
日本のRESAS
何を勉強したらいいのかわからないのであれば。まだ勉強しないほうが良い
デジタル社会で求められる3素養
自発性、相互理解、共好
能動的に考え、耳を傾け、共通の価値を探し出す
アート教育、アート思考、デザイン思考は、デジタル時代に必須の思考法。既存の可能性にとらわれないようにするため
プログラムには、母国語を自在に使うことが大事
すべてのものにはヒビがある。そしてそこから光が差し込む
不正義に怒りや焦りを感じるなら、建設的なエネルギーに変えて、自問自答してほしい
2度とおこらぬために私は社会に対して何ができるか考えてほしい
怒りは、建設的なエネルギーになり、
前向きな未来の原型を作る道にとまり、
あなたがみつくたビビに他の人が参加し
そこから光が差し込みます
Posted by ブクログ
オードリー・タンさんの冷静に物事をを見る視点、行動力は素晴らしいです。
「『イノベーションとは、より弱い存在の人たちに優先して提供されるべき』ものであり、それこそが誰も置き去りにしない『インクルージョン』です。私たちの社会には、多種多様な人たちが生きていることを忘れてはいけません。」という視点。
使いにくい、わかりにくい、不便だ、といった問題提起があったときに、すぐに「ではどうすればいい?」と考え解決に向けて対応できるところ。
台湾では「地方創生」と言う言葉を中国語に翻訳せずに使っているということです。
同じ漢字を使う国、文字だけでも伝わることがあるのが嬉しく、お互いのいいところを伝え合って、日本もどんどん若い力でより良い方向に進んでいって欲しいなと思います。
プログラミング思考。
マイノリティの視点。
不正義などに対する怒りを、誰かを攻撃したり何かを非難したりせずに建設的なエネルギーにしていくこと。
この世界は完璧ではない、だからこそ欠陥や問題点を見つけ、それに対して真摯に取り組むこと。
オードリー・タンさんのメッセージは温かくて心に響きます。
Posted by ブクログ
とても頭の良い方なんだと思う。
自分が今何を考えててどうしていきたいのか、
ちゃんとわかってる。
しっかり頭の中が整理されてるんだろうなぁと思った。
感情的に物事を考えるのではなく、
しっかり根拠や、理論があって物事を考えてる。
きっと穏やかな方なんだろう。
こういう上司がいたら最高だ。
Posted by ブクログ
デジタル改革が諸外国に比べ、大幅に遅れている日本にとって、必要な考え方がたくさん書かれていました。
デジタルの改革を行うと、得てすれば高齢者や情報弱者は切り捨てられるというイメージがあるが、著者は見事にそれらの人も包括的に救おうとしている。
Posted by ブクログ
柔らかい語口の本だった。コロナが始まったころ日本でも一躍時の人になったオードリー・タンさんの考え方の基本を丁寧に描いてある本だった。この本自体は古びてしまう質のものではあるけれどこの方の考え方はこれからの世界で理念として大切にされるべきものだと思う。
Posted by ブクログ
33歳で引退し、公益のために生きているという。トランスジェンダーで高IQ、中学中退などのキーワードで認識されがちなオードリータン。その心根は純粋に尊敬に値する。素晴らしい。
本著は日本で取り上げられるオードリータンの著作と似通っていてあまり目新しいことが無い。オードリータンのポリシーや考え方を述べている本であり、著作が変わろうと、ポリシーや経験譚が大きく変わる事はないからだ。
それでも改めて読むことでの気付きや共感があった。例えば、こんな表現。「AIと人間の関係はドラえもんとのび太くん」本当に忠実な表現かは置いておいて、このような例えはオードリー独特。来たるシンギュラリティをドラえもんの世界に置き換え、しばし行間から夢想へトリップする。
柄谷行人の交換モデルXの考察も興味深い。交換と言うことを考える時、縦と横に軸を取る。片方は知り合いと交換するか見知らぬ人と交換するかという方向性。もう一つは交換の中で見返りの関係になるかどうか。知り合いで見返りを求めないのは家族関係。見知らぬ人で見返りを求めるのは市場関係。知り合いで見返りを求めるのは就労関係、政治関係。交換モデルXは、見知らぬ人で見返りを求めない関係の事だ。
オードリータンは、これを知識の交換のようなモデルとして想定。知識を誰かとシェアしたからといってその知識が失われるわけではない。オードリーらしい、と思う。私なら単に募金とか宗教、慈善活動を当て嵌めてしまう。オードリーのシェアには、テクノロジーの裏付けがある。
恐らくこの考えが根源となり、オードリーの思考は発展する。自らの利益にならぬようなお節介こそ民主主義では重要。交差性というアイデンティティの差による抑圧を理解する枠組み。圏論という異なるアプローチが共通解に辿り着く数学理論。多様性を認め、差異による価値を損得感情無しにシェア出来れば、そうして到達する世界こそが理想だと考えているように見える。
…そうした到達点の産物の一つに〝萌典“がある。オードリーはとてもキュートだ。
Posted by ブクログ
・Humor over Rumor(ユーモアは噂を超える)
トイレットペーパーの買い占めが起きようとした際、「誰でもお尻は1つしかない。(だから安心してください)」
・2014年ひまわり運動に関与。台湾と中国がサービス貿易協定を結ぼうとしたときに学生が議会との対話を求めて国会に立てこもり。オードリータンはg0vメンターとともにネットライブ配信して学生運動を支援
→ 20の民間団体がネットを通じて話し合い、3週間で4つの要求をまとめて提出
→ 議長は全ての要求に応えてくれた
→ デモとは様々な意見があることを示す行為
→ これが民主化の歴史を変えたのでは無いか?
・ソーシャルイノベーションとは市民がテーマを決め、政府が市民のアイディアに協力することで完成するもの
→ インターネットを使うことで誰もが話し合うことができる。市民がアイディアを出すことができる
・デジタル社会で求められる3つの素養
・自発性
・相互理解
・共好→ お互いに交流し、共通の価値を探し出すこと
Posted by ブクログ
事前知識はほぼなかったけど 読むことができました。オードリータン氏の人となりに触れつつ、台湾の情勢、文化、風土を知ることができる。日本にはない前向きな民主主義、政治参加。本だけ読んでいると、隣の芝生は青いなーと感じるが、果たして…
Posted by ブクログ
すごく特別な感じは受けなかった。尖った人というより、融和、中立的なことを大切にしていることがわかった。今後の教育、ビジネスにおいて科学と技術がコアとして大事だが、アートの部分が違いを生み出す、という点は気づきになった。
Posted by ブクログ
これ翻訳者の名前が書いてないんですが、日本語で書いたってこと…?
語り口がきわめて明快。強い意志と明確な考えをもって書かれていて、シンプルなようにみえるけどものすごい量の知識に裏付けられていることが感じられる。
以前オードリー・タンの本を読んだときは「こういう人が善を為そうとしてくれるのは有難い」とか思ったが、善を為すとかではなく(倫理ではなく)「こうすべきだからする」ってことなんだなと考えを改めました。
Posted by ブクログ
2024/読破
一言 物事の解決にフォーカスし、参画型で考えるのは新しい視点でした。
感想 モデルX(参画型で貸し借り無しの知恵の提供)という概念が、言語化された枠組みとして初めて知れまして、勉強になりました。
プログラミングはオープンソースで学びやすいものであること、台湾は8歳から学んでいるというカルチャーの違いがびっくりでした
下記は印象に残った点
p16
少数の人が高度な専門知識を持っているよりも、大多数の人が基本的な知識を持っている方がいい
「エンパワー」の概念
トラブルやハプニングに直面した際、状況を変えようとする能力のこと
p48
「fast」「fair」「fun」
p78
「ソクラテス式問答法(対話を重ね、相手の答えに含まれる矛盾を指摘して、相手に無知を自覚させることにより、心理の認識に導く方法」
→自分の思考に対して「証拠に基づき、論理的かつ偏りなく捉えるとともに、推論過程を意識的に吟味する。反省的な思考法」のこた
Posted by ブクログ
買ってから長い間読まずにいたけど、もっと早く読んでおけば良かった...!めちゃくちゃ面白かった。
「自分で設計したプログラムから最も縁遠い人たちに使ってもらって意見を集う」になるほどぉぉ〜...とつい唸ってしまった。ついペルソナとなるユーザーに意識を向けがちだけど、常に多角的な見方が重要だよねと改めて。
AIに言及した場面で「AIは人工知能でなく、補助的知能として捉えるべき」「AIは人間の選別に使うものではなく、あくまでイノベーションを産むためのもの。」とあり、これにも深く頷けた。
オードリー・タンさんは考え方は常に自由なのにやることは一貫してて、ほんと素敵。
もっと寛容で相互理解があり、政治・社会活動が自分事だと思えるような社会になっていけば良いなぁと思う。
Posted by ブクログ
コロナ対策において台湾のデジタル技術を活用した感染拡大防止対策を主導したオードリー・タンによる、日本に向けたインタビューをまとめた本です。
発生した問題に国民と知恵を出し合って解決していく。デジタルはあくまで手段であり、プログラミングを学ぶ中で「プログラミング思考」や「デザイン思考」を習得し、スキルではなく【素養】を身につけるべきだとタン氏は主張しています。
素養とは初めて聞いた言葉でしたが、教養とも素質とも違う「心得」「リテラシー」みたいなものだそうです。
そして素養を身につけるために有効なのは、「共同で考えること」「意見を出し合うこと」だといいます。
タン氏が行ってきたデジタル政策の中には、民間から「アイデアを募る」「小さな声を拾う」ということをやっていると本書で語られています。一人一人の意見が尊重される実感があるからこそ、台湾の人たちは政治に関心が持てる・国と信頼関係が築けるのです。日本には圧倒的に足りていない部分だと思います。
>最初から「誰かが違反するだろう」などという先入観を持って強制的なやり方を選択するのは、いい方法ではありません。誰も感染などしたくないのですから、「どのようにすればお互い協力できるのか」ということを考えるべきなのです。それが政府と人々の重要な信頼の源になるわけで、両者の間に相互信頼があったことが、台湾において感染拡大を防いだ最大の理由であったと言っていい
→このマインドは見習いたいですね。
とはいえ台湾が日本から学ぶところが多いとタン氏。日本と台湾が【共同】して意見を出し合い助け合うことで民主主義が前進し発展していけるといいですね。
Posted by ブクログ
オードリー・タン氏の生い立ちや経歴、考え方や価値観がわかる書籍。
タン氏が社会をインクルーシブにすることを第一に考え、そのためのツールとしてデジタル技術を活用すると考えていることが良くわかった。他者に対して優位性を保ちたいという動機があるからAI脅威論が出てくるのであり、公益のためになることをしたいという動機を持てばAIは協力な補助ツールとして捉えられるという。
また、プログラミング思考=大きな問題を小さく切り分けて他者と共同で解決していく思考とする定義は目から鱗。自発的に社会課題に向き合い、異なる価値観を相互に理解し、共通の価値観を見つけて共同して事にあたるという行動様式が重要ということ。
台湾社会のインクルージョンを礼賛するポジショントークが多いのと、著者の価値観を直球で論理的に説明して欲しいのに横道の話が多く密度がうすいこと、(訳者が悪いのだろうが)日本語が破綻している箇所が散見されて読みにくいことから、星3つ。
Posted by ブクログ
オードリー・タンの自叙伝的な本。著者の目から見たデジタル、AIの具体展望について示唆が得られるかと期待して読み始めたところ、著者のより抽象的な思想がメインでそこまでの目新しさを感じず、興味が湧きづらく斜め読みで終わってしまった。著者自体は大変素晴らしい人物。
AIに関する章で、以下点は興味深かった。
・競争原理に囚われていると、AIに自分の仕事を奪われるという発想になる。公共の価値を生み出すことを目指していれば、そこにAIが活用できることが喜びになる
・AIと人間の関係は、ドラえもんとのび太の関係に似ている
・デジタルディバイドを埋めるためには、誰も置き去りにしないインクルージョンの力が必要
・最後に説明責任を負うのはAIでなく人間