トマトスープのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世界は偶然で満ちている。タイミング、出会い、それがちょっとずれていれば、違う結果になっていた。ダンピアはイギリス海軍で死んだかもしれないし、リングローズに会わなかったかもしれない。そうすれば、ダンピアの航海記は生まれないし、ロビンソンクルーソーは居なかったかもしれない。
世界は必然で動いている。大航海時代からの西欧世界の膨張、さらなる価値(主に金銭的)の追求、これによる世界の地理的拡大とそれに伴う知識の拡大、航海などの実需に迫られての自然科学的認知の拡大、それらが知識を追求する冒険を生み出す。ダンピアでなければ、別の者が、アメリカ大陸を、南太平洋の未知の大陸を、東南アジアを、ヨーロッパに紹介する。きっとそうなる。
しかしここはダンピア君の物語がある世界。それを楽しもう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ後に魔女と呼ばれる被征服民の女性が賢さを武器に立ち回るモンゴル拡大期の中央アジアを舞台にした歴史漫画の第2巻。
今巻ではチンギス・カンの崩御後、新しい皇帝が決まり、モンゴルの怨敵である金国への出征が決まるところまでが描かれる。その過程で、ファーティマが後に側近として仕える皇后ドレゲネとの邂逅を果たす。
今巻は今後の話の仕込みにあたる巻になり、1巻ほど話の展開はダイナミックではない。ただ、皇子の兄弟間の軍事的バランスの偏りによる政治的混乱が示唆されていたり、異民族出身でモンゴルの侵略により嫁いできた皇后ドレゲネの怒りの深さが開陳されたりと、今後に燃え上がるであろう不穏な火種が開陳されて読んでいて緊張感を覚えた。
モンゴルでの生活が長くなるにつれて故郷を滅ぼされた怒りがだんだん薄らいでいくファーティマが、自身よりもずっと長い間モンゴルに対して恨みを抱き続けて、しかし恨みを晴らすにはどうしたらいいかわからないでいるドレゲネとよしみを通じるようになったシーンはなかなか魅せてくれるなあと感じた。
傍からみれば有力者に奸臣が取り入る構図そのものだと思うのだが、「故国を奪われた」という共通点を下敷きにして両者の距離が近づくのがわかる演出が個人的に勉強になり、これが歴史モノの醍醐味なのかと知見を新たにした。
なお今巻は13世紀前半の遊牧民の地名が多数登場するので世界史資料集か地図帳が手元にあるとより深い理解が得られるだろう(作中で地図は示してくれるのでなくても問題はない)。
自分はアルタイ山脈の正確な位置をようやく覚えることができた。バイカル湖の南西あたりだったのね。