あらすじ
ボラクチンの計略によるオゴタイ暗殺未遂の件で捕らわれたドレゲネを救出したファーティマ。帝国と戦うべく自分たちが魔女となることを誓ったふたりは、ボラクチンの秘密を利用し彼女に接近、ドレゲネは第二妃の地位を得る。1233年、オゴタイはペルシア総督府を定め、帝国の支配領域を着実に拡大していく。
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怒りを原動力にすることは、強さにも弱さにもなる。
13世紀のイランで奴隷となった少女シタラ。彼女は自分を奴隷として引き取ったファーティマ家に最初こそ反発するも、ファーティマ家の息子ムハンマド坊ちゃんに知識の大切さを説かれ、勉強に身を入れるようになる。しかし、モンゴル帝国の襲来によってファーティマ奥様は目の前で殺され、ムハンマド坊ちゃんの消息は不明。自分自身もモンゴル帝国の奴隷となってしまう。モンゴル帝国の奴隷となったシタラは「ファーティマ」と名乗り、第四皇子の第一皇后に仕えるも、モンゴル帝国への復讐心をずっと抱え込んでいた。そんなとき、似た境遇の第三王子第六妃・ドレゲネと出会い、知恵を使って二人でモンゴル帝国の転覆を誓う。ところが、第二代皇帝の第一皇后・ボラクチンはまた別の立場から、モンゴル帝国をより強固なものにしようとする。
それぞれの大義が、そして、それぞれの感情がぶつかるモンゴル帝国の行く末は……。
シタラはこの時代に文字が読めることで、奇妙な縁に巻き込まれていく。ファーティマ家から受け継いだ知が、彼女の復讐を手助けすることは、美しくもあり悲しくもある。強大な権力によって様々な人の思惑が絡み合う重厚な人間ドラマから目が離せない。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
オイラト族への粛清、南宋、キプチャク、高麗への同時遠征、そしてクチュの急逝までを描く第5巻。
オイラト族への粛清は、それが淡々とスムーズに進んでいく分だけ、機械的な不気味さや気持ちの悪さを感じさせた。まるで、悲恋や悲劇を美しく描かない、という意思もまた見せられたようで圧倒される。
今巻で初登場したコルゲンの表情が魅力的。(彼が今後の展開でどんな役割を担うかはまだ分からないけれど)物語の面白さだけでなく、こういう絵を出してくるから、辛い展開が多い物語でも読めてしまうのだなと思う。
Posted by ブクログ
絵の可愛さでごまかされているけどエグイ話が続く。
ここまで戦は簡略化して内部の権力争いに真剣な歴史漫画も珍しい。
ドレゲネ様が全方位から舐められてて可愛い。
Posted by ブクログ
人の恨みというものは、基本的に消えない。どんな幸せも代替え品にはならない。
ファーティマもドレゲネも恨みを捨てない道を選んだ。帝国規模の相続問題をうまく利用して、敵であるモンゴルを潰すことを生きる目的にする。
シリアスなシーンの進次郎構文に笑う。
ジャムチとか、世界史でやったなぁ。ルールやインフラ整備の妙。頭が良いなぁと感動した事を思い出した。
Posted by ブクログ
なかなか込み入った話で理解が難しい。それぞれに思惑がありつつ、外からの影響もあり。この先、ファーティマが周りをあっと言わせる逆転劇を見せるのではないかと期待。