【感想・ネタバレ】天幕のジャードゥーガル 6のレビュー

あらすじ

オゴタイはクチュの次期皇帝を確実なものにするため南宋遠征の総司令官として送りだす。しかし、クチュは遠征途中で不慮の死を遂げてしまう。想定外の事態は帝国に大きな衝撃をもたらし、キプチャク遠征にジュチ家当主バトゥとともに向かうドレゲネの息子グユクに大きな影響を及ぼそうとしていた――。

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怒りを原動力にすることは、強さにも弱さにもなる。
13世紀のイランで奴隷となった少女シタラ。彼女は自分を奴隷として引き取ったファーティマ家に最初こそ反発するも、ファーティマ家の息子ムハンマド坊ちゃんに知識の大切さを説かれ、勉強に身を入れるようになる。しかし、モンゴル帝国の襲来によってファーティマ奥様は目の前で殺され、ムハンマド坊ちゃんの消息は不明。自分自身もモンゴル帝国の奴隷となってしまう。モンゴル帝国の奴隷となったシタラは「ファーティマ」と名乗り、第四皇子の第一皇后に仕えるも、モンゴル帝国への復讐心をずっと抱え込んでいた。そんなとき、似た境遇の第三王子第六妃・ドレゲネと出会い、知恵を使って二人でモンゴル帝国の転覆を誓う。ところが、第二代皇帝の第一皇后・ボラクチンはまた別の立場から、モンゴル帝国をより強固なものにしようとする。
それぞれの大義が、そして、それぞれの感情がぶつかるモンゴル帝国の行く末は……。
シタラはこの時代に文字が読めることで、奇妙な縁に巻き込まれていく。ファーティマ家から受け継いだ知が、彼女の復讐を手助けすることは、美しくもあり悲しくもある。強大な権力によって様々な人の思惑が絡み合う重厚な人間ドラマから目が離せない。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「その血と記憶はいつだって 征服者(モンゴル)を見ているぞ」(p133)

とうとう出たね。理念と武力で抑え込んだかのように見えても、その大地に染み込んだ血は乾くことはなく、首を垂れて近侍するその者の記憶は塗り替えられることはない。

英雄チンギス・カンの子のひとり〈コルゲン〉は庶出であり、母はメルキトから降ったダイル・ウスンの娘クラン。彼の中には征服した者と降った者の両方の血が流れており、その血の記憶が彼個人を繊細にせしめている。「母上はメルキト族の人々を守るために父上に嫁いだ その末に僕が生まれて 今こうして別の人々を組み伏している…」(p98)と西征の途上で想いを馳せるコルゲン。当時の人々がどんな思いで弓を取っていたのかは想像する他ないのだが、本作では共感する力の豊かな魅力的人物として描かれている。

今際の際に彼はドレゲネにとっての‘救い’を汲み取り、彼女の中の復讐心に気がつく。併せて、ドレゲネのそばに侍るファーティマの復讐心をも捉えるほど広い視野で物事を悟り、ドレゲネの子・グユクに「君にしかできない」(p134)と遺して世を去る。
この巻の圧倒的MVPはコルゲンでしょう。素晴らしいキャラ。

そしてそう、気が弱くて他の後継候補から遅れを取っていたグユクは「モンゴルのもとで今も生き続ける怨讐の血と記憶」(p148)と真っ向から向き合う覚悟を固めるのだった。顔つきが違う。

次の巻ではペルシア総督府で一波乱ありそうな気配。そう、ペルシアが復興を遂げていくという事はモンゴルの手で作り替えられていくということ。そんな事はファーティマにとって耐えられない屈辱。彼女の内の怒りは未だ鎮まる事はなく。

ドレゲネの息がかかったアルグンがこの後どういった顛末を迎えるのか。
彼の元主人・イルチダイとの軋轢はどう傾くのか。
ボラクチンとモゲも健在。

次巻がとっても楽しみ。


1刷
2026.7.27

1
2026年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

バトゥのキプチャク遠征からグユクのカラコルム帰還決定までを描く第6巻。

早々に退場してしまったけれど、コルゲンもまた魅力的だった。その死と遺志を受けて、向かう先を見据えたグユクの立ち姿がまた良い。

彼らに比べ、主人公・シタラの方はというと、大きな動きを取りづらいこともあり、出番は少なく、その計略は(今は)地味にも感じられる。しかし例えば、キプチャクに往かせたシラを見送る独白の凄まじさ、その孤独や虚しさ。それを見ると、この物語がきらびやかな表舞台に立つ男たちのための物語ではなく、シタラやドレゲネ、オイラト族の娘たちのような、虐げられる女性たちの物語なのだと改めて思わされる気がする。

0
2026年08月02日

購入済み

決定的

若干頼りないけど、ファーティマにとって本当の味方になってくれるかも知れなかった人物との・・・。まあ史実なのだから後戻りはできないのだけど。
そしてやはり年齢がわかりにくい。

0
2026年08月05日

Posted by ブクログ

前線に立つ人がオゴタイたちの子ども世代になってきた。お母さんに利用されるグユクちゃん…ドレゲネは今で言う毒親かしら。まぁ夫の仇との間に出来た子を愛するのは難しいよな…でもそれは生まれた子どもには関係のない話であって…
コルゲンやグユクの妻などメルキト族の血を引く者が集まり、グユクちゃん覚醒した?ファーティマとドレゲネはこれからどうなるんだ!?

あと、表紙ってクランがドレゲネの帽子を持ってるのかな?クランの想いが悲しいんですけど…

0
2026年07月17日

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