トマトスープのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ13世紀モンゴル帝国の皇后に側近として仕えたファーティマ・ハトゥンを題材にした中央アジアの歴史を描く漫画の第1巻。
「このマンガがすごい!2023オンナ編」第1位受賞作品の謳い文句に恥じない読み応えがあった。
歴史漫画というとまず劇画調で描かれた緻密な絵柄を想像してしまうのだが、「天幕」の絵柄はデフォルメの効いたシンプルな線で描かれている。
あまり立体的な絵ではないが下手というわけではなく、むしろ装飾や文様はかなり繊細に書き込まれており、作画の労力のメリハリをきかせているように感じる。
作中の時代が13世紀なので平面的な絵柄が中世の西アジア~東アジアの絵柄をリスペクトしているようにも思える(考えすぎかも)。
こういうデフォルメの強い絵柄でも読ませる歴史漫画を描けるんだという点にまず驚いた。でもよくよく考えれば昔から少女漫画がフランス革命を扱ったりしてたしまったく不思議ではない。
今巻では、後のファーティマ・ハトゥンとなる奴隷少女シタラが、イラン東部(ホラズム朝)の学者の家に拾われ、その町がモンゴル軍によって破壊され、捕虜となったシタラがモンゴルまでの虜囚の旅を経て、チンギス・ハンの末子トルイの皇后に仕えるまでを描いている。
本作でたびたび強調されているのが知識の重要性だ。
身元を引き受けた学者の家では奴隷身分のシタラにも教育を施そうとするが(イスラムの教えでは奴隷にも相応の人間扱いをするよう規定されている)、奴隷としての価値が高くなると母のいた町から離れてしまうとシタラは当初教育も愛嬌も拒否しようとしていた。
学者の家の息子ムハンマドから「勉強して賢くなればどんなに困ったことが起きたって何をすれば一番いいかわかるんだ」と諭されてからは勉強して十分な教養を身に着ける。それがこのあと起こるモンゴル軍に起こる侵略の後の彼女を救うことになる。
単に教養によって出世ができるから、というだけではない。「相手を知る」という態度そのものが彼女の身を助けるのである。
モンゴル軍の侵略によって知人が多数死に、仕えていた女主人の大切にしていた書物も奪われ、復讐を誓うシタラだが、そこで「まずは彼らを知らなければ」という冷静な態度をとれたのがすごいのだ。日頃から知識を得ることを習慣としていなければ、彼女はここで激情に任せて生涯を終わらせていただろう。
不条理にさらされながらもそのさなかで自分がとるべき選択を冷静に見据え、相手を理解した上で最適な行動をとることができる、端的に言えば、運命を覆す力が知識にはあるのだということを本書は感情移入のしやすい物語として提供してくれる。
背景・装飾・習俗・道具・コーランなど、当時の社会基盤となっている諸要素の下調べを綿密にやってきたのがよくわかり、ひとつひとつの要素を深掘りしながら読んでいくのも面白いかもしれない(巻末に当時の情勢や習慣、地図の解説も掲載されている)。
聞き慣れない地名がたくさん出てくるので自分は世界史の資料集を手元に置きながら読み進めていった。物語に身を任せるのもよし、深い理解を求めてじっくり調べなら読むのもよしの良作なのは間違いない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレモンゴル帝国で、捕虜から皇后の側近にまでなった史上の人物、ファーティマ・ハトゥンを主人公にして物語が展開する歴史漫画。
手塚治虫を思わせるようなキュートな絵柄ながら、主人公や周囲の人々の表情の見せ方が巧みで、感情が生々しく伝わってくる。コマ運びなどの演出も、繊細かと思えば、大胆さも併せ持っていて、質の良い漫画を読む、という快楽をじっくり味わうことができる。
幼いファーティマがもらった大事な言葉、「でも 勉強して 賢くなれば」「どんなに困ったことが 起きたって 何をすれば一番いいか わかるんだ」にも表れているように、この第一巻は、思うように生きることのできない少女が、学ぶこと、現実を直視すること、そして生きる方策を考えることから始まっている。置かれた状況が過酷すぎて、主体的に生き方を選ぶ姿さえ痛々しいけれど、そこには潔さと知の美しさを感じる。
第二巻の展開はさらに過酷になるだろうけれど、時間をかけて読んでいきたい。 -
Posted by ブクログ
何が起こるか分からない未来でも、知識があれば、世の中を俯瞰し、自分の位置を知り、どう動けばいいかが分かる。
モンゴル帝国が勢力を拡大し始めた13世紀前半の中東。学者の家で働くことになった少女シタラ。息子ムハンマドから勉学の必要性を教わり、働きながら様々な学問を習得する生活を送っていた。
しかしある日、モンゴル帝国の一派に襲撃され、シタラは自分を大切にしてくれた一家を失ってしまう。身につけた知識を武器に復讐の道へと歩んでいくことへ…
線が太くてイラストのようなかわいい画風からはイメージできなかったけど、とても壮大でリアリティがあって一気に引き込まれた。
モンゴル帝国は他地域よりも女性の地位が高かったということも初めて知ったし、そこに注目して女性たちから見た歴史をたどれることが興味深い。シタラの復讐相手ではあるものの、2巻では宗教の統制はされてなかったことや、政策決定の場に女性(皇后)が参加していたことなど、元寇のイメージしかなかったモンゴル帝国の世界をもっと知りたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ダンピアに夢中です。
歴史漫画として17世紀の海賊についてリアルに描かれていておもしろいです。ホンジュラスとニカラグアあたりの原住民の狩りについてや、コバンザメやイグアナやウミガメを人は食べてきたのだというのも凄い。
長期の船旅や密林をゆく過酷さ。病気、諍い、原住民への残虐な行為、原住民の思惑、危険な植物マンチニール、、、。壊血病について。。
人種、メスティソ、国への忠誠心、奴隷、トップの素質。。
とにかく、知識は本当に重要。不本意に犯罪に巻き込まれないためにも必須。体を守るためにも必要。
人間にとって、水や食料は欠かせない、、、
というようなことを改めて思う。
そして、、リングローズやジョン・クックが好きです。
もちろんダンピアも。
今一番推しの漫画!! -
購入済み
ユーラシア大陸の広さを感じる
ボニータ連載とのこと、少年マンガにない主人公、デフォルメされたイラスト、初めての歴史設定、とても良かった。今後の展開が楽しみです。
-
無料版購入済み
これは、止まらない
舞台はモンゴルへ移るんですね。
これは、ヒロインがどうなるのか、気になって仕方がないです!
なんて中途半端なところまでが無料なんだ!
まんまと罠にかかった感笑 -
無料版購入済み
世界史を専攻したことがなく、無知で申し訳ないのですが、元寇の頃のモンゴル民族は蛮族のイメージしかなく。
本を探す第四王子に衝撃でした。
当時はイランがトップレベルの学問の国とも知らなかったです。
反省。 -
無料版購入済み
興味深い
イスラムの不思議な感じがして興味深かったです。身近にある数学の元になる三平方の定理など、学問についても物語のなかに溶け込むように載っています。描き方が個性的でよりその時代の雰囲気を感じました。
-
購入済み
2020年1巻発売漫画の傑作
本当にこの漫画は面白い。
史実だからこその「人間らしさ」がある。
物語ではまずやらない話の運びは事実だからこその深みがある。
物語を全否定するわけではないし、この漫画も物語ではあるのだが
ダンピアが接する海賊としての日常には
かつて、こういった船乗りがいて
今の私達が知る文化や知識が彼らの知識の延長線上にあるという事を
とても濃密に感じる事ができる。
学生の頃にこの漫画と出会いたかった。