柊サナカのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
短歌が重要なキーとなる中編がふたつ。
『彼の空のユンカース』
高校生の雅美は亡くなった曾祖母の鏡台に隠されていた自分宛ての手紙と、一冊の手書きの歌集をみつける。字は曾祖母のもの。しかも曾祖母は短歌結社に属していたらしい。しかし、歌集には消しゴムで消した跡のある聞いたことのないひとの名前が記されていた。この人は誰なの?そして曾祖母との関係は?
一冊の本から辿り、謎を解いてゆく。
曾祖母と「この人」の人生をひもとき、追体験をする。
NHKの『ファミリーヒストリー』のようなお話だった。
そこに思春期ならではの主人公の悩みも絡む。
上質なヤングアダルト小説のような小説。
***
『ベッドひとつぶんのわたしたち』
主人公・梓は出産の近い妊婦。毎月の定期検診を受けると医師から低置胎盤と診断される。そのままでは母体にも赤ちゃんにも危険なため、出産まで入院することに。
梓には歌人の友人がいて、お見舞いのときに歌集を持ってきてくれる。その歌集を読んでいたら同室の妊婦たちも興味を持ちはじめ……。
こちらも短歌への愛、ひいては書物への愛がたっぷり詰まった一編。
うんうんと頷きながら泣いた。
どちらも、短歌好きでも、短歌にそんなに興味がなくても楽しめると思う。
詠む者にとってはあるあるもあって、ふふふと思う。
あとがきは、ちゃんと本編を読んでから読むのがおすすめ。
-
Posted by ブクログ
ガクブチ屋さんの父が亡くなり、息子と娘で継ぐことになった。が、ガクブチ屋さんだけでは食べていけないので、一階をカフェに改装する。珈琲ではなく紅茶と日本茶の喫茶店。
第1話 父を看取り、母を認知症で介護中の多喜子。昔はバックパックひとつ担いでいろんな国に行ったものだが、もうこの生活をしている以上どこにもいけない。昔から撮りためた各国で撮った写真を売ってしまうことにする。
第2話 夫が死んだ。たくさんの下手な写真を残して。しかも写真の個展を開けという。いったい誰が来るというのだと思いつつ、個展の場所代を問合せたところ100万円もするという。
第3話 結婚出産以来、てんやわんやな生活を送っている梨々花。いつも保育園に迎えにいく時にフローズンドリンクの空をガクブチ屋さんにポイ捨てしていたのを見つかってしまい、警察に突き出されそうになる。
第4話 婚活に今回こそ成功しそうな一直は、今度こそ成功させて新婚生活を手に入れたい。しかし同居にあたって亜衣は幼い頃から大事にしているUFOを始末しろと言われる。
第5話 ガクブチ屋の兄妹の従兄弟が引きこもりになってしまった。しかも夜出歩いていたら覗きの疑いをかけられてしまう。
第6話 お隣のおじいちゃんのお家の掃除を手伝っている蒼空。うまいこと本などを売って小遣い稼ぎをしている。どうやらガクブチ屋におじいちゃんの絵が売れそうだ。こんなお絵描きが売れるなんてなんて思ってたら… -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
「いらっしゃいませ。喫茶ガクブチへようこそ!」
東京・高円寺の街角--〈あなたの思い出買い取ります〉と書かれたド派手な看板と、元気な掛け声に吸い寄せられるように入ったカフェは、壁が大小様々な額で覆われていた。
中には靴紐や映画の半券、玩具など‶誰かの思い出の品〟らしきもの……?
そこは、父親の跡を継いだ美咲兄妹が切り盛りする額縁店。寂れた店を復活させようと、妹の真日留は一階をカフェに大改造。兄の伸也はお客さんから持ち込まれた”思い出の品“を額装。額は客が大切に持ち帰ることもあれば、カフェの壁に飾られ、別の誰かが買っていくこともある。
店を訪れるのは、〈かつて世界中を旅し、いまは親の介護に明け暮れる多喜子〉〈カメラが趣味だった夫の遺言で、個展を開こうとしている郁恵〉〈無職の夫へのイライラが止らない梨々花〉〈大切なUFOの玩具を手にした、結婚を控える一直〉〈隣りの”おじいちゃん”の絵を持ってきた中学生の蒼空〉……。
【個人的な感想】
本の厚みはそこまでないので、内容もそこまで濃くないのかな〜と思って読み始めたら、ページ数は少ないけどとってもほっこりして、ただ優しいだけじゃない内容で面白かった!