あらすじ
「いらっしゃいませ。喫茶ガクブチへようこそ!」
東京・高円寺の街角――〈あなたの思い出買い取ります〉と書かれたド派手な看板と、元気な掛け声に吸い寄せられるように入ったカフェは、壁が大小様々な額で覆われていた。
中には靴紐や映画の半券、玩具など“誰かの思い出の品”らしきもの……?
そこは、父親の跡を継いだ美咲兄妹が切り盛りする額縁店。寂れた店を復活させようと、妹の真日留は一階をカフェに大改造。兄の伸也はお客さんから持ち込まれた”思い出の品“を額装。額は客が大切に持ち帰ることもあれば、カフェの壁に飾られ、別の誰かが買っていくこともある。
店を訪れるのは、〈かつて世界中を旅し、いまは親の介護に明け暮れる多喜子〉〈カメラが趣味だった夫の遺言で、個展を開こうとしている郁恵〉〈無職の夫へのイライラが止らない梨々花〉〈大切なUFOの玩具を手にした、結婚を控える一直〉〈隣りの”おじいちゃん”の絵を持ってきた中学生の蒼空〉……。
生まれ変わった思い出が、傷ついた心と体を癒し、いつしか新しい出会いに繋がっていく。
『人生写真館の奇跡』『天国からの宅配便』著者が贈る、とっておきのハートウォーミング・ストーリー。文庫書き下ろし。
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Posted by ブクログ
【あらすじ】
「いらっしゃいませ。喫茶ガクブチへようこそ!」
東京・高円寺の街角--〈あなたの思い出買い取ります〉と書かれたド派手な看板と、元気な掛け声に吸い寄せられるように入ったカフェは、壁が大小様々な額で覆われていた。
中には靴紐や映画の半券、玩具など‶誰かの思い出の品〟らしきもの……?
そこは、父親の跡を継いだ美咲兄妹が切り盛りする額縁店。寂れた店を復活させようと、妹の真日留は一階をカフェに大改造。兄の伸也はお客さんから持ち込まれた”思い出の品“を額装。額は客が大切に持ち帰ることもあれば、カフェの壁に飾られ、別の誰かが買っていくこともある。
店を訪れるのは、〈かつて世界中を旅し、いまは親の介護に明け暮れる多喜子〉〈カメラが趣味だった夫の遺言で、個展を開こうとしている郁恵〉〈無職の夫へのイライラが止らない梨々花〉〈大切なUFOの玩具を手にした、結婚を控える一直〉〈隣りの”おじいちゃん”の絵を持ってきた中学生の蒼空〉……。
【個人的な感想】
本の厚みはそこまでないので、内容もそこまで濃くないのかな〜と思って読み始めたら、ページ数は少ないけどとってもほっこりして、ただ優しいだけじゃない内容で面白かった!
Posted by ブクログ
暫く積んでしまった1冊ですが
読み始めたらとても読みやすく
ほっこりと良い話ばかりでした。
1小節毎が程よい長さで飽きることもなく
かと言って薄っぺらでもなく
小説読む習慣がない方でも読みやすいと
思います。面白かった!
Posted by ブクログ
⭐️喫茶ガクブチ 思い出
買い取ります
ハートウォーミングな連作短編集。依頼主の抱える問題は重いが、思い出の品に向き合うことで希望を持ち再生していく。
第一話の「家族は、バランスの下、成り立っている」は刺さった!第六話のじいちゃんと蒼空の絆に感涙!
Posted by ブクログ
天国からの宅配便』『あとはおいしいご飯があれば』などの著者 柊サナカ先生の新刊
『喫茶ガクブチ思い出買取ります』
短編なので、乗り物に乗っているときや待ち時間に読む用に購入したものの、面白くてすぐに読んでしまいました。
舞台は喫茶ガクブチ。
妹の真日留(まひる)と兄の伸也(しんや)の営む喫茶ガクブチは思い出となるものを買い取ったり、もちろん額縁も販売するお店。
1階の部分には喫茶があり、2階が額縁を販売している。
喫茶で妹の淹れてくれる興味深いお茶やバターチョコ饅頭、餅ワッフル、キュラメリゼどら焼きは、どのようなものかと興味をそそられます。
物語りのなかには『あとはおいしいご飯があれば』を思い出す一面も。
ホッと温かい気持ちになる一冊でおすすめです。
Posted by ブクログ
二階で額縁屋を営業する兄伸也と、その一階でカフェを開いた妹真日留。
”喫茶ガクブチ”ではお客様の持ち込んだ思い出の品を買い取り、大小さまざまな額に入れられたものたちが、アートのように壁にびっしりと飾られている。
額装された過去の思い出たちが新しく生まれ変わる、とても心温まる物語です。
個展などで絵や写真を展示する際に、額の選び方や並べ方にもプロの技があって、伸也の持つ腕前が冴えわたっていて圧巻です。
繰り返される日常はすぐには変わらないけれど、思い出の品も額装一つで心の持ち方が変わるのです。
性格の全く違う兄妹コンビの掛け合いが絶妙で、柊サナカさんの描く人間模様が現実にもありそうで、最後にはホロッとさせてくれます。
続編があったらまた読みたいなぁ。
Posted by ブクログ
『喫茶ガクブチ 思い出買い取ります』
著者 柊サナカ
柊サナカさんは、温かみのある小説を書かれるので好きな作家さんです。
今作は帯にも“ハートウォーミングな連作短編集”とあり、安心して手に取りましたが、額縁屋で思い出を買い取り作品として売りに出すという、馴染みのない設定に少々戸惑いを感じてしまい、時間を置いて再読しました。
二話、三話と読み進めると、やはり“温もりの作家さん”(勝手にそう読んでます(笑))なんですよね。一気に読み終えました。
主人公たちはそれぞれに悩みを抱えていたり、伴侶との別れの後だったりするんですが、抱える悩みの重さに関係なく、みんなそれぞれの心に導かれるように、手放そうとした思い出に新たな輝きを感じ取りながら手元に残す決断をして、前向きに進みだして終わります。そのそれぞれの人生のアシストをするのが、喫茶ガクブチの兄妹なんですね。(この二人が、とてもいい仕事をしていますよ。)
個人的には、第二話の「最初で最後の写真展」の亡くなった夫の遺言で、写真の個展を開くという郁恵さんのお人柄が大好きです。
第四話の「婚活UFO」のお二人もほのぼのとまとまって、よかったなぁ~。
第五話の「夜歩く息子」は引きこもりの息子さんという重めの設定に、謎解き要素が加わって、これだけで一冊の作品になってっしまうくらいの内容が短編でまとめ上げられています。
そして、最終話第六話「おじいちゃんの絵」。これは号泣でした。またまた柊サナカさんにやられてしまいました。人には人としての心があると、どんなに自分をごまかしながら、偽りながら生きてきても、身近な誰かに与えてもらった愛情に気付けたとき、その想いへの感謝は生きていく上で一生の支えとなると思います。
あー、、、読み終わってしまいました。(´・_・`)次はどの作品を手に取ろうかな。(続編も希望します。)
(ひだまりトマトさん、遅ればせながら読み終えました。ひだまりトマトさんのご感想も大変参考にさせていただきました。人の温もりに触れることができた読書の時間となりました。まだまだ読んでいない柊サナカさんの作品もありますので、愉しみは続きます。ありがとうございました。(*´︶`*))
Posted by ブクログ
喫茶店に思い出を売りにくる人と額装する兄妹のどちらも描写も読めて物語がより丁寧な感じで満足感がありつつサクサク読めた。売るつもりでも思い出と向き合い新しい形になるとまた感じるものも違うのかな。そんな経験してみたい。最終話のおじいちゃんの絵がよかった。思わず電車でホロリだった。
Posted by ブクログ
初めましての作家さん
表題とカバーに惹かれて読んでみる
旅の空と今日の空/最初で最後の写真展/ポイ捨ての果てに/婚活UFO/夜歩く息子/おじいちゃんの絵
信也と真日留の兄妹が営む額縁店とカフェ
二人の個性と独創的な営業形態が面白い
持ち込まれる思い出をどう料理するのか?
読み初めは文章に少し角がある感じがして
あれ? どうしてかなと思いつつページを繰る
だんだん角が取れた感じがして(慣れた?)
あとは泣いたりホッとしたりに集中できました
Posted by ブクログ
柊サナカさんのヒューマン・ハートウォーミング
ストーリーですね。
父親が亡くなり、額縁屋を継ぐことになった美咲兄妹だが、額縁屋はお客が減って、母はもう店仕舞いしてしまいたいと言う。
兄の伸也はアメリカでデザイナーの修行をしていて、もう少しで独立出来る所を、帰国しての家業引き継ぎを引き受ける。妹の真日留は、店に愛着があり潰したくない。
元気いっぱいで気転のきく真日留は、二階建ての店の一階をカフェにして、二階を額縁屋に改造。
そして、アイデアを出して、お客さんから持ち込まれた“思い出の品”を兄の伸也が額装して、お客さんが買って帰るか、カフェの壁に飾られて、別の誰かが買って帰ることで、店を復活させようとするのだが…?
目次
第一話 旅の空と今日の空
第二話 最初で最後の写真展
第三話 ポイ捨ての果てに
第四話 婚活UFO
第五話 夜歩く息子
第六話 おじいちゃんの絵
それぞれの持ち寄った“思い出の品”には、聞けば深い馴れ初めがある。何でもないような“思い出の品”でも額装してみると、気づかなかった回想を巡る。
生まれ変わった“思い出の品”が、傷ついた心を解放し、温かなな癒しと希望を産み出していく。
柊サナカさんの見事な手法に、癒されますね♪
ますますファンになりました(=゚ω゚=)
Posted by ブクログ
柊サナカさんの作品は3作目。
「喫茶ガクブチ」というカフェが舞台です。
「喫茶」と言ってもコーヒーはメニューには無くて、緑茶、中国茶、紅茶、ハーブティーがあって、他のメニューはその時々違うらしい。
焼き芋だったり、キャラメリゼどら焼き、黒蜜いっぱいの団子あんパフェ(黒糖まぶし)というちょっぴり謎のメニューがあって気になりました。
「ガクブチ」の方は、元々額縁店だったので、そのままの仕事もしつつ「思い出買い取ります」の宣伝で色んなものを額装していきます。
額装を依頼してくる人たちは、
認知症の母親の介護で外出がままならない人
亡くなった夫の遺言で夫の作品展をしなければならない人
夫が仕事を辞めて昼夜逆転の生活をしていて、保育園に通う子どもがいる女性
婚活でチャンスが巡ってきたけれど、大切なものを否定されそうになっている人
不登校の高校生
育児放棄され続けた中学生
色んなものを持ってお店を訪れます。
そして、額装されたものを見て元気になっていきました。
とても優しい物語でした。
自分だったら、どんな思い出を額装してもらおうかな〜と、考えたりするのも楽しかったですね。