宮田裕章のレビュー一覧
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最高に面白かった。医学書ではないけれど、医療に関してガッツリ書かれている本。
若手医師が読むと確実に刺さる内容がいっぱい散りばめられていると感じた(というか、自分には刺さる内容が沢山あった)
自分のやりたいことは、最近「病気治し」よりも「病気になりかけの人を良くすること」だと感じている。1番自分の中で印象に残っている患者も、入院している重症患者や高齢者ではなく、外来で(当初あまり使われていなかった)SGLT2阻害薬を導入してDMや心不全や肥満が改善した、明らかに「予後が伸びた」と感じることのできた中年男性だった。
また、小さい子を育てている層の患者(腎臓内科ならIgA腎症の患者が多い)の慢 -
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あらゆる立場の人が誰も取り残されることなく、その人らしく生きる。そのために、使えるデータを集め、フィードバックしていく。数字遊びではなく、提言に繋がる、提供者に利益がなければ収集は出来ない。そして、当然、そこには信頼があることが前提。Facebookはそれが不足していて銀行になることに失敗した。一方で、データを共用財産とする制度を検討できていないために、活用するにも及び腰になる。そこに石油があるのに。しかし、GAFAは隙間から狙い、医療機器としても承認され、距離を測りながらも確実に進めている。世論から、それが当たり前のサービスにしていくことで、埋めているようにも思える。
自分中心のデータ活用 -
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データは人類の共有材として、人間を軸に世界を考え、多元的な価値を人々が協創していき、共鳴する未来を目指そうとこれからのデータ駆動社会のグランドデザインを提示します。具体的には著者の仕事であるヘルスケアでのデータ活用を皮切りに欧州、米国、中国そして日本のデータガバナンスを議論し、社会貢献を伴うビジネスでのデータ活用を芝麻信用やGAFAの事例を挙げて説明します。終章では、民主主義や社会を駆動する価値の多元化を提唱します。「データで儲ける」、「ビジネスでデータ活用」ももちろん大切ですが、本書のように人類を俯瞰するような思考実験をすることで、新しいアイディアが生まれそうな気がして来ました。
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病院で働く医者というよりは、公衆衛生や民間企業に腰を据える医療関係者の人たちの対談コラム
私自身病院に来る手前の人たちに医療従事者側が介入するシステムを構築することに興味があるので色々と参考になる内容が多かった。横文字が多くてちょっと読みづらかったけど。
医者としての将来に不安はつきないが、同時に変化していく未来が楽しみでもある。何でもできるし、何者にでもなれる。多分。
✏少子高齢化や人口減少で社会保障費の負担がどんどん大きくなる中で、サステナビリティだけを考えれば、医療費を抑えるために治療を「諦める医療」にシフトすればいいという話になりがちである。しかし、質を担保したまま持続可能な医療にす -
Posted by ブクログ
産業革命以降、石油や石炭を基幹資源として、貨幣、モノを中心とした資本主義をエンジンに物的な成熟を迎えた
その過程において人は産業や企業のいわば歯車、部品、一部の構成要素として活用され、全体主義の中から利己主義的な振る舞いなどの問題も存在した
21世紀に入り情報革命がおきたことで、情報の生成、蓄積、伝達、共有のレベルが爆発的に上がった
そうなったことで、従来のエネルギーや貨幣中心の価値から、情報価値が相対的に上がってきた
情報革命が起き、データを活用し高度な分析、アルゴリズム/ソリューション/オペレーションの開発ができるようになったことで、人類は個別最適化の手段を得られるようになった
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PHP新書「データ立国論」から逆上がりの河出新書「共鳴する未来」。初版が2020年9月なのでコロナ禍とシンクロしながらの出版がすごいと思います。次の新書の初版が2021年3月なので半年でのアップデート。ここぞとばかりに持論を展開するタイミングとスピードに著者が。「今」を勝負所と考えているような気合を感じます。民主主義を軸にしながら資本主義をアップグレードする、という使命感にかけてみたい気がしました。著者の今までのプロジェクトの延長線にあるhuman Co-beingという考え方がどこまで大きなうねりになるか、それは希望です。一方で今年一番のショックだった斎藤幸平『人新世の「資本論」』による資本