宮田裕章のレビュー一覧
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今日5月13日の朝刊の一面には「デジタル庁、9月発足」の記事が出ています。そこでは行政の利便性というテーマばかりが語られています。マイナンバーカードの登録も個人情報に対する疑念から動かなかったものがこのコロナ禍でポイント付与がつくので登録が進むという便益性を押し出した導入が進められています。しかし、本書にはデータこそが社会変革の武器なんだ、変わらなくてはならないのは経済合理性を至上とする価値観からの脱却なのだ、という一見、DX=効率性というイメージと真逆のメッセージによって構成されています。「最大"多様”の最大幸福」を実現する手段こそがデータなのだ、そのためのデジタル化なのだ、という
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ネタバレ宮田氏によるデータ革命に関する本
データ利活用による不安を踏まえた上で人と人、人と世界がデータを通じて共鳴する新しい文明の可能性を提示するもの
メモ
・データは所有財というより共有財としての側面が強い。
・自己決定重視と同意至上主義はイコールではない。分けて考えるべき。gdprでも同意はデータ処理の正当化要件の一つ。同意至上主義ではない。自己決定を尊重していくことは重要。
・裾野のあるコミュニティを担保するうえで、信頼や自由をどうデザインしていくか。
・基盤の貨幣からデータへの遷移
・独占がかつての売り手としての価格に関する独占でなく、買い手を独占しデータを独占するという新しい形に変わってい -
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Posted by ブクログ
デジタル技術によって「最大多数の最大幸福」ではなく「最大多様の最大幸福」を目指すことが可能になってきている。相互の評価が参照可能な形で残るDiDiやUber Eatsのような仕組みにより誠実な行動が促進される社会になってきている。
そうしたテクノロジーに社会の方が追い付いていないこととして、GDPを唯一の指標とする社会評価や、政策の組み合わせを主張する人間としての政治家が多様な民意を代弁する間接民主制が挙げられる。より多様な指標をリアルタイムで評価し、政策単位で人々のニーズを吸い上げる直接民主制を実現できるはずである。
全員が納得する課題が解決され人々の不満が解消された今、社会のニーズは多様に -
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互いに気を遣ってき、深い掘り下げや反論が無いため論理が薄く広く、一般論的な見解のお披露目といった鼎談。そんな中にも気になるテーマが幾つかあって、面白い着眼点だなと思った。
例えば、「一回性」の話。観光地の誤謬のように、継続的な活用が担保されなければ、一度きりの利用者に対してサービスの質が低くなっても、短期的に利益を回収することの方がメリットがあるという思考だ。ぼったくりバーに通ずる。関係の永続性と言うものをコミュニティーに復活させることが重要である。
あるいは、宗教の布教おける3段階について。教祖から直接体験得るカルト、その体験を布教するエバンジェリストが活躍するセクト、これらの死後、布教 -
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デジタル化には米国型、中国型そしてEU型の三つがあると説明します。そして、EUのGDPR(一般データ保護規制)を絶賛し、これを前提に企業は善行を積むようになり新しい民主主義が生まれるとして、デジタル化された明るい未来を描きます。ところが日本のデジタル化についてはEUのGDPRにも課題が多々あるので米国や中国の良いところを取り入れるべきとの提言もあります。GDPRの具体的な問題点に踏み込まず持論のあるべきデジタル化を語られても、それはそれで良さそうではありますが、なかなかついていくのが難しい印象でした。また、ガバメントクラウドなど政府のデジタル化の安全保障への言及がないところも気になるところです
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最近多方面でご活躍の3人による対談集。
テーマは、タイトルから推察するに「DX」かと思って読んでいましたが、
若干ズレているような気がしてなりません。。
どちらかというと将来の未来構想について、3人(ときどき一人増えて4人)で議論しているのが、
本になったという感じ。
よくよくタイトルを見ると、DXではなく、
DX「進化論」とある。。
つまり、DXのその先の姿という意味合いなのか…!?
まぁ分かりにくい…。
自分は山口さんの論調は比較的好み(賛成)なのですが、
山口さんの考えが簡単に復習できるという意味ではよいものの、
クオリティとしては、やっぱり山口さんの本には敵わないかなぁ…という印象 -
Posted by ブクログ
筆者はとても賢く、色々なことに興味が旺盛な好奇心の塊なような人なのだろう。ここでは、データのよい活かし方が、well being と better co-being を促し、より良い社会、しいてはより良い国家を作れることを提唱してると思うのだが、筆者の多趣味が逆にテーマを希薄化し、誰に何を訴えようとしているのかボヤけた一冊になってると感じた。筆者の財政論、芸術論、所得分配論、専門のヘルステック論、イノベーション論、ダイバーシティ論と多く出てくるため、読み終わった後にどうしたらいいのかわからない。また、相当な意識高いインテリ層レベルに響くかもしれないが、日本では少数派なため、もったいない気がした
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ヘルスケア×データ系の本ということで、
少しだけヘルスケアをかじっている身として読んでみました。
著者は、最近メディアに色々と出始めている宮田さんという大学の先生。
本の内容には関係ないけど、
奇抜な?(個性的な)ファッションに身を包んでいる人です。
ヘルスケアにもデータにもそこまでの知見のない時分には、
この本は簡単なようで奥深く、そして哲学的で、ちょっと難しかったのですが、
著者のビジョナリーな思考にはとてもポジティブな影響を受けましたし、
(昔の)石油にあたるものが(今の)データに該当するという例えはなるほどと思わされます。
特に感銘を受けたのが、ヘルスケアデータのプラットフォームを