白尾悠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
彩瀬まるさんの『新しい星』での白尾悠さんの解説が面白かったので、読んでみました。白尾悠さん初読み。
ご自身の留学経験に基づく、カルチャーギャップや友情・すれ違いの物語かと思いきや、もっと重い内容でした。
留学先でぼっち化したナオミが参加したサード・キッチン・コープはマイノリティ学生のためのセーフ・スペース。あらゆるマイノリティに食事と居場所を提供する協同組合。
サード・キッチンのメンバーの考えに100%賛同する事はできないけれど、可視・不可視のさまざまな差別が主人公の実体験として提示される事で、それらの問題についてじっくりと考えることが出来ました。
小説という形式の説得力・パワーを感じられる -
Posted by ブクログ
人生は長いようで短く、取り戻すことはできない。一方で、いつからでも自分の時間を情熱で燃やすことはできる。キャリアを考えているミドルからシニア世代の方に読んで頂きたい一冊。
「老いること」を恐れる者、楽しむ者がいる。
「生きること」に理由を見出せない者、生きがいを見つけ進む者がいる。
老後生活の中で生きがいを見出す者、過去の過ちに気付き悩み苦しむ者、人生に希望を見出せない学生…。人生の分岐点でそれぞれが進む先は、とある劇の一つの舞台に集約される。
劇中の物語と役者の人生が重なり合って感情が震える。人はいつからでも新しい一歩を踏み出せる。そして、その一歩を歩み続ければいつか大切な人に届くのだ -
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隣人は少し面倒で、うるさいこともあって、でも、1人じゃ無いと実感させてくれる瞬間もくれる。
人との距離感を上手にすることが難しい今のご時世。こんなちょうどいいコミュニティーあったらいいな。と思うし、やっぱり完璧じゃなくて、ここで浮いちゃう人もいるしはみ出しちゃう人も居るのが、逆によかった。
その人にもきっとどこかにあるはず。しっくりくる場所が。
こどもを育てるのは必ずしも親だけじゃないし、大人を癒してくれるのも必ずしも夫や彼氏だけじゃない。友達ともなんか違う、でも、他人とも言い切れない。まさに隣人に救われることってあるんだと思う。
隣人が欲しいし、誰かの隣人になりたいなぁと思わせてくれた本でし -
Posted by ブクログ
戦争、性差別、労使の反発といった逆境の中で、自分たちの意思が伝わる映像作品を作るという信念だけは貫いた、1940年代のアメリカの女性アニメーターたち4人のストーリー。
性差別により、実力に反して自分たちの発言力もない中で追い討ちをかけるように労使対立によるリストラの陰が彼女たちを待ち受ける。それを乗り越え、自分たちが思い描いたプロジェクトがようやく認められつつある中で、戦争により制作会社は政府からの戦争プロパガンダに基づいた作品作りしかできなくなり、お蔵入りとなってしまう。
そのような中であるきっかけで、約50年後の日本で、当該のアメリカ制作会社にあこがれを持つ女性アニメーターが、彼女たちが -
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ウォルトディズニーの会社になぞらえた、架空の会社、架空の人々、戦前戦中戦後を生きたアニメーションに携わる女子4人。第二次世界大戦、ストライキ、赤狩りに翻弄される時代を生き抜いた4人。僅かな痕跡しかない4人の業績を現代の同じ会社女子が解き明かしていく過程が面白い。大変な時代だったなと思うと同時に女性の地位がとてつもなく低くて不安定だった時代。
ディズニー映画好きだから、たいへん興味深く読めました。
映画題名も微妙に変えてあるから、これは白雪姫、これはバンビのことか?これはファンタジアだな?と想像するのも楽しい。
ただ漫画映画の素晴らしさを文字にするのはホントに難しいんだなとは思いました。ちょっと -
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父親を喜ばせるように振る舞い、父親の思う通りに生きることを強いられた智佳を中心に、智佳の母、大学の同級生の翔馬、高校の同級生の優亜、それぞれの内なる闘いを描く連作短編集。
中でも、高校生の頃にレイプされ、美容師になった今でもPTSDに苛まれる優亜の物語は秀逸。
男性恐怖症の優亜を心配して、大人になりたくないと泣いた少年のくだりは泣けて泣けて。
物語それぞれの主人公が、今ある状態に留まり流される安易さを選ばず、前に進むために闘う姿が清々しい。
閉塞感から抜け出すには闘うしかないこと。闘えば、傷ついても次にもっと広い場所に行けること。そんなエールを贈ってくれるお話でした。
気がかりだったのは -
Posted by ブクログ
登場人物たちがそれぞれ色々な人生の帰路に向き合った後、どんな生活してるのかもうちょっと深掘りして読みたかったなぁと思ったり、あとは想像に任せて自由に彼らの未来を想像しようかなぁと思ったり。
余白があるのが良かったのかなと思います。
あのアパートが出来たいきさつにフォーカスしなくても、物語が成り立つ時代にはなってきたのかなと思います。
やっぱり人間って、年代も性別も家族構成もバラバラな人たちで寄り添って生きるのが、結局理にかなうのかな、と言うのも考えさせてられました。
保育園だったり、おひとりさまだったり、老人ホームだったり、良いと思ってやってみて、色々な考えが時代と共に生まれても、またぐるっと