白尾悠のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この本の存在はNHKの本の紹介番組で知った。
読んでみて、ありありとウン十年前の留学時代に感じた記憶が読みがえって来た。
何度「チャイニーズ!」っと遠くから叫ばれた事だろう。
土曜日の、まだ街が起きだす準備をしている静けさに包まれている朝に、街の中心を突っ切り駅へ向かう道で、私は顔面に黒い色の皮膚を持つ人に唾をかけられたのだ。
一瞬、何が起こったのかを脳が理解する事が出来ない…息も出来ない…
近くのスタバの入り口を叩き、顔を洗わせて欲しいと懇願する自分がいた。
怒りより驚きが、何度顔を洗っても落ちない唾の感覚が残る。
こんなに露骨にも差別とはこの世に存在するものなのだ…
あの日の事は一 -
Posted by ブクログ
人は、何かを理解しようとする時、
自分の知っている既存の知識や常識の枠で
ものを捉えようとする。
それは自然なことに思えるけれど、
それゆえに、決めつけや差別を無意識にしてしまっていることに気づかないこともある。
自分の価値観や考え方は、変わるものであり、育てるものだと思う。
未知の人、もの、ことに出会った時には、まずはよく観察し受け入れることから始めたい。
それは学習と同じだと思う。
あらゆる差別やマイノリティに対する考え方が発信される世の中において、だんだんと身動きが取りにくい感覚に陥ることがある。
時に、過剰な理解や配慮に感じることがあるけれど、『それは過剰じゃないか、』という部分は -
Posted by ブクログ
ネタバレ5人の登場人物の目線で物語が進んでいき、最終的に6人目の物語で全ての登場人物が一同に会する群像劇。1章につき二人の登場人物の深堀りがあるが、短い章ながらもその人物を表現するに足りており、感情移入ができるようになっている。1章毎に、一人の登場人物の目を通して、もう一人の登場人物を描いており、それが上手く二人の人物の深堀へとつながっているのだろう。大きく人生観が変わる人物もいれば、少しだけしか道を進めない人物もいる。その違いがご都合主義ではない、十人十色の人生を感じさせた。
最終章では劇中劇でリア王が上演されるが、リア王を演じる勇が自分の過去の人生や考えを自分の引き出しから取り出し、リア王に落とし -
Posted by ブクログ
第1章 人に呆れられたことの無い優秀な男子高校生×生活の達人、老女
東大を目指せる程、勉学に長け、大人に求めれれるタスクを軽々こなしてきた賢人は、誰かを馬鹿にすることはあれど、馬鹿にされたことは無い。
子供っぽくて、周囲からハブられている淳也とつるんでいたことで、女友達に、「あんたは同類、いつも傍観者であることがかっこいいと思って、当事者にならない卑怯な人間。井の中の蛙として、狭い世界で生きてろ」と、自分が思われている人間像と全く違ったそれに、ショックを受け、自分のことが全然わからなくなった。
「僕は大事なことを一つも知らない…馬鹿なんですかね」
老女「ものを知らないのは馬鹿とは違う。自分が -
Posted by ブクログ
彩瀬まるさんの『新しい星』での白尾悠さんの解説が面白かったので、読んでみました。白尾悠さん初読み。
ご自身の留学経験に基づく、カルチャーギャップや友情・すれ違いの物語かと思いきや、もっと重い内容でした。
留学先でぼっち化したナオミが参加したサード・キッチン・コープはマイノリティ学生のためのセーフ・スペース。あらゆるマイノリティに食事と居場所を提供する協同組合。
サード・キッチンのメンバーの考えに100%賛同する事はできないけれど、可視・不可視のさまざまな差別が主人公の実体験として提示される事で、それらの問題についてじっくりと考えることが出来ました。
小説という形式の説得力・パワーを感じられる -
Posted by ブクログ
人生は長いようで短く、取り戻すことはできない。一方で、いつからでも自分の時間を情熱で燃やすことはできる。キャリアを考えているミドルからシニア世代の方に読んで頂きたい一冊。
「老いること」を恐れる者、楽しむ者がいる。
「生きること」に理由を見出せない者、生きがいを見つけ進む者がいる。
老後生活の中で生きがいを見出す者、過去の過ちに気付き悩み苦しむ者、人生に希望を見出せない学生…。人生の分岐点でそれぞれが進む先は、とある劇の一つの舞台に集約される。
劇中の物語と役者の人生が重なり合って感情が震える。人はいつからでも新しい一歩を踏み出せる。そして、その一歩を歩み続ければいつか大切な人に届くのだ -
Posted by ブクログ
隣人は少し面倒で、うるさいこともあって、でも、1人じゃ無いと実感させてくれる瞬間もくれる。
人との距離感を上手にすることが難しい今のご時世。こんなちょうどいいコミュニティーあったらいいな。と思うし、やっぱり完璧じゃなくて、ここで浮いちゃう人もいるしはみ出しちゃう人も居るのが、逆によかった。
その人にもきっとどこかにあるはず。しっくりくる場所が。
こどもを育てるのは必ずしも親だけじゃないし、大人を癒してくれるのも必ずしも夫や彼氏だけじゃない。友達ともなんか違う、でも、他人とも言い切れない。まさに隣人に救われることってあるんだと思う。
隣人が欲しいし、誰かの隣人になりたいなぁと思わせてくれた本でし -
Posted by ブクログ
戦争、性差別、労使の反発といった逆境の中で、自分たちの意思が伝わる映像作品を作るという信念だけは貫いた、1940年代のアメリカの女性アニメーターたち4人のストーリー。
性差別により、実力に反して自分たちの発言力もない中で追い討ちをかけるように労使対立によるリストラの陰が彼女たちを待ち受ける。それを乗り越え、自分たちが思い描いたプロジェクトがようやく認められつつある中で、戦争により制作会社は政府からの戦争プロパガンダに基づいた作品作りしかできなくなり、お蔵入りとなってしまう。
そのような中であるきっかけで、約50年後の日本で、当該のアメリカ制作会社にあこがれを持つ女性アニメーターが、彼女たちが