白尾悠のレビュー一覧

  • いまは、空しか見えない(新潮文庫)

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    ぜったいにつらいのに、どうして何度も闘う物語に手を伸ばしてしまうのだろう。それはきっと、いつかのじぶんを救いたいからだ。繰り返し立ち上ってくる恐怖と暴力に、なんどでも立ち向かわなければならないからだ。こんな理不尽なことはない、膝をついてもう立ち上がれないと涙も渇れるとき。それでもおもいだすため。ひとびとが繰り返し綴ってきた、絶望とのあまりに尊い闘いの記録と、意志の有り様を。息ができなくなるような苦しみのなか、息をするように求めている。闘い、闘い、疲れはてても。闘う限り「いつか」はくるかもしれないと信じて。

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    2023年03月13日
  • サード・キッチン

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    どこからどこまでを差別とするか難しいと感じた。違う扱い受けたらそれは差別なのか。サードキッチンに白人生徒が許可なく入った件がきっかけでなおみと白人学生の議論からもおもったこと。皆が人種性別国籍等問わず心地よく過ごすための是正措置としてなら、簡単に差別と言ってしまっていいのかなって思いました

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    2023年02月05日
  • サード・キッチン

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    1990年代、アメリカに留学した主人公がマイノリティの集う学生食堂で交流しながら偏見、差別、さらにそれを自らが持っていることに気づいていく

    まず、主人公が留学当初ルームメイトと性格が合わなかったりうまく話せずに疎外感を感じる場面で、自分は留学に行ったことがないのにこの経験あるな、留学したら確実にこうだなと思ってしまった。

    差別、偏見を知る中で自分の中の全く無意識の差別意識にも気付き、終わりが見えなくなるというのも本当にリアルだった。

    言い方悪いが陽キャの人がこれを読んだらどういう感想になるのか気になる。

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    2023年01月14日
  • サード・キッチン

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    彩瀬まるさんの『新しい星』での白尾悠さんの解説が面白かったので、読んでみました。白尾悠さん初読み。

    ご自身の留学経験に基づく、カルチャーギャップや友情・すれ違いの物語かと思いきや、もっと重い内容でした。
    留学先でぼっち化したナオミが参加したサード・キッチン・コープはマイノリティ学生のためのセーフ・スペース。あらゆるマイノリティに食事と居場所を提供する協同組合。
    サード・キッチンのメンバーの考えに100%賛同する事はできないけれど、可視・不可視のさまざまな差別が主人公の実体験として提示される事で、それらの問題についてじっくりと考えることが出来ました。
    小説という形式の説得力・パワーを感じられる

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    2025年11月02日
  • 隣人のうたはうるさくて、ときどきやさしい

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    同年代でなく、幅広い年齢層や家族構成の人たちと共に過ごすのはとてもいい刺激が得られそう。考え方や暮らし方を参考にできたり。

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    2025年10月11日
  • アンソロジー 舞台!

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    自分が舞台に上がるなんて、とんでもないけど、
    袖幕は好き。
    バレエをやってた娘の発表会で
    一度だけ袖幕に関われて、とても充実してた。
    ゼロから何かを作り上げる歯車、
    として機能出来る自分が、
    すごく誇らしく嬉しく、楽しかった。
    だからダンス・デッサンの瀬木さんに一番共感した。
    バレエ衣装作成の、宝石さがしも好きだけど。
    だいたい全般、肯定的な物語ばかりで、
    安心して読めるアンソロジーでした。

    2.5次元舞台を観に行きたくなった。
    見たことないけど。
    その前に、推し活出来てる人たちが、
    そもそも羨ましいかも。

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    2025年10月04日
  • ゴールドサンセット

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    人生は長いようで短く、取り戻すことはできない。一方で、いつからでも自分の時間を情熱で燃やすことはできる。キャリアを考えているミドルからシニア世代の方に読んで頂きたい一冊。

    「老いること」を恐れる者、楽しむ者がいる。
    「生きること」に理由を見出せない者、生きがいを見つけ進む者がいる。

    老後生活の中で生きがいを見出す者、過去の過ちに気付き悩み苦しむ者、人生に希望を見出せない学生…。人生の分岐点でそれぞれが進む先は、とある劇の一つの舞台に集約される。

    劇中の物語と役者の人生が重なり合って感情が震える。人はいつからでも新しい一歩を踏み出せる。そして、その一歩を歩み続ければいつか大切な人に届くのだ

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    2025年09月13日
  • 隣人のうたはうるさくて、ときどきやさしい

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    素敵なタイトルで気になっていました。エッセイをイメージしてたけど、連作短編でした。緩やかなコミュニティアパートの住民たちの視点による物語。歳を取ったら、こんな暮らしがしてみたいな。

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    2025年09月11日
  • 隣人のうたはうるさくて、ときどきやさしい

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    隣人は少し面倒で、うるさいこともあって、でも、1人じゃ無いと実感させてくれる瞬間もくれる。
    人との距離感を上手にすることが難しい今のご時世。こんなちょうどいいコミュニティーあったらいいな。と思うし、やっぱり完璧じゃなくて、ここで浮いちゃう人もいるしはみ出しちゃう人も居るのが、逆によかった。
    その人にもきっとどこかにあるはず。しっくりくる場所が。
    こどもを育てるのは必ずしも親だけじゃないし、大人を癒してくれるのも必ずしも夫や彼氏だけじゃない。友達ともなんか違う、でも、他人とも言い切れない。まさに隣人に救われることってあるんだと思う。
    隣人が欲しいし、誰かの隣人になりたいなぁと思わせてくれた本でし

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    2025年08月25日
  • 隣人のうたはうるさくて、ときどきやさしい

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    優しいお話。できすぎなところもあるけれど、こうなればいいな、と。老女の意外な過去エピソードが胸を打う。

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    2025年08月24日
  • 魔法を描くひと

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    戦争、性差別、労使の反発といった逆境の中で、自分たちの意思が伝わる映像作品を作るという信念だけは貫いた、1940年代のアメリカの女性アニメーターたち4人のストーリー。
    性差別により、実力に反して自分たちの発言力もない中で追い討ちをかけるように労使対立によるリストラの陰が彼女たちを待ち受ける。それを乗り越え、自分たちが思い描いたプロジェクトがようやく認められつつある中で、戦争により制作会社は政府からの戦争プロパガンダに基づいた作品作りしかできなくなり、お蔵入りとなってしまう。

    そのような中であるきっかけで、約50年後の日本で、当該のアメリカ制作会社にあこがれを持つ女性アニメーターが、彼女たちが

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    2025年05月06日
  • 魔法を描くひと

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    4人のミューズが醸しだした物がたり。ふたつの地、ふたつの時を越えて描き続けた人びとに心を揺すぶられた。

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    2025年04月22日
  • 隣人のうたはうるさくて、ときどきやさしい

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    住民同士のほどよい距離感。
    助けられたり助けたり。そうするうちに、小さくかたくなった心が大きく柔らかくなっていく。
    出ていっても帰りたくなる場所。
    いいなあ、こんなところがあったら入居してみたい。
    せめてコハンだけでも参加したい。

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    2025年03月29日
  • 魔法を描くひと

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    ウォルトディズニーの会社になぞらえた、架空の会社、架空の人々、戦前戦中戦後を生きたアニメーションに携わる女子4人。第二次世界大戦、ストライキ、赤狩りに翻弄される時代を生き抜いた4人。僅かな痕跡しかない4人の業績を現代の同じ会社女子が解き明かしていく過程が面白い。大変な時代だったなと思うと同時に女性の地位がとてつもなく低くて不安定だった時代。
    ディズニー映画好きだから、たいへん興味深く読めました。
    映画題名も微妙に変えてあるから、これは白雪姫、これはバンビのことか?これはファンタジアだな?と想像するのも楽しい。
    ただ漫画映画の素晴らしさを文字にするのはホントに難しいんだなとは思いました。ちょっと

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    2025年03月28日
  • 隣人のうたはうるさくて、ときどきやさしい

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    ちょっと変わったシステムのシェアハウスのお話
    最初はこういうとこ私は無理だな…と思ったけど、読み終わった頃には…ありかもしれない、に変わってた不思議
    子供が欲しいと思えない男性のお話に1番共感
    子供が欲しくなくても結婚していいし、逆に籍入れてない2人に子供がいてもいいし、自分の子供じゃなければ育ててみたいと思う人がいてもいい
    この国もそのくらい柔軟な考えが普通になればいいなと思った
    男女共に働きやすく生きやすい社会になってほしい

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    2025年02月25日
  • いまは、空しか見えない(新潮文庫)

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    父親を喜ばせるように振る舞い、父親の思う通りに生きることを強いられた智佳を中心に、智佳の母、大学の同級生の翔馬、高校の同級生の優亜、それぞれの内なる闘いを描く連作短編集。

    中でも、高校生の頃にレイプされ、美容師になった今でもPTSDに苛まれる優亜の物語は秀逸。
    男性恐怖症の優亜を心配して、大人になりたくないと泣いた少年のくだりは泣けて泣けて。

    物語それぞれの主人公が、今ある状態に留まり流される安易さを選ばず、前に進むために闘う姿が清々しい。
    閉塞感から抜け出すには闘うしかないこと。闘えば、傷ついても次にもっと広い場所に行けること。そんなエールを贈ってくれるお話でした。

    気がかりだったのは

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    2025年02月17日
  • 隣人のうたはうるさくて、ときどきやさしい

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    登場人物たちがそれぞれ色々な人生の帰路に向き合った後、どんな生活してるのかもうちょっと深掘りして読みたかったなぁと思ったり、あとは想像に任せて自由に彼らの未来を想像しようかなぁと思ったり。
    余白があるのが良かったのかなと思います。
    あのアパートが出来たいきさつにフォーカスしなくても、物語が成り立つ時代にはなってきたのかなと思います。
    やっぱり人間って、年代も性別も家族構成もバラバラな人たちで寄り添って生きるのが、結局理にかなうのかな、と言うのも考えさせてられました。
    保育園だったり、おひとりさまだったり、老人ホームだったり、良いと思ってやってみて、色々な考えが時代と共に生まれても、またぐるっと

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    2025年02月08日
  • サード・キッチン

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    留学生の直美がアメリカの大学で人種差別やジェンダーの問題に直面します。差別の構造がいろいろな面から明らかにされます。私の中にも差別意識があるのに気づきました。

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    2025年02月08日
  • 隣人のうたはうるさくて、ときどきやさしい

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    北欧型コミュニティマンションに住む、色々な家族(親子、夫婦、カップル)のそれぞれの人生と、マンション住人との交流を描く小説。
    乾いた笑いを浮かべながら読んでたと思ったら気付くと涙がボロボロ溢れているような作品。
    特にモラハラ夫との結婚生活の終わりまでを語ったエピソードでは、恐怖で鳥肌がたち、無事離婚できてよかったねーと知人かのように泣けた。
    好きずきがあると思うけど、子育て中の悩み多い人に響くのかも?

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    2025年02月02日
  • 隣人のうたはうるさくて、ときどきやさしい

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    家族単位でも入れるシェアハウス。
    シェアハウといえば個人なイメージ。でもここは個人でも、家族でも、カップルでもいい。小さなこどもがいる家庭やシングルパパ、ママ達はお互いに助け合える。理想的。コハンという当番制の食事会もみんなでワイワイして楽しそう。理想的。
    将来こんな環境で生活できたら理想的。

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    2025年01月31日