【感想・ネタバレ】サード・キッチンのレビュー

あらすじ

留学先のアメリカで孤独な日々をおくる19歳の尚美を救ったのは、多様な生徒が自ら運営する学生食堂〈サード・キッチン〉との出会いだった……仲間に支えられ成長していく姿に共感、感涙必至の青春小説!

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Posted by ブクログ

偶然なのだけれど、ここのところ、差別問題と料理の本を立て続けに読んでしまった。この本は1990年代後半にアメリカの大学に留学した日本人が主人公。得意だったはずの英語もネイティブの前では片言でしか話せない。周囲の日本人は元々帰国子女だったりしてネイティブ並みの発音。疎外感で鬱々と過ごしている。共感するところも多いのだけれど、彼女が英語に出来ずに内心で毒ずく場面はちょっと苦手。でもこれは最初だけで、学内でサード・キッチンというマイノリティのための場所を見つけて、友人が増えてくる。一方で差別という問題に向き合わざるを得ない状況になる。言葉にならないモヤモヤを、きちんと文章にしてくれる本。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

アメリカ留学で様々な事に気づく物語

以下、公式のあらすじ
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都立高校を卒業しアメリカ留学した尚美は拙い英語のせいで孤独な日々。どん底に現れた美味しくてあたたかい食事と人種も性別もバラバラの学生たちが、彼女を変えていき……感動の青春成長譚!
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理想的本箱「人にやさしくなりたい時に読む本」で紹介されていた本
あと、読書会でも紹介されたので、何かと記憶に残っている


加藤尚美は都立高校を卒業し、アメリカに留学している大学生
父を亡くした母子家庭で、経済的に裕福ではないが、山村久子という高齢の女性からの支援を受けて留学できている
その援助を受ける条件として、定期的に手紙のやりとりをしている
ただ、その内容は孤独な生活を送っているにもかかわらず、心配させまいと嘘で塗り固められた内容

尚美は英語が拙い事もあってか、周囲の人間と上手くコミュニケーションが取れず、ルームメイトであるクレアやセレスタとは上手くいっていない
英語ができない事から、子供っぽく思われたり、頭が悪いという扱いを受けている

自分の本分は勉強して良い成績を修める事と勉強に励む尚美

、他の人達はパーティーに出かけたとある日の夜、向いの部屋から物音がし、気になって覗いてみると、絵を描く女性アンドレアと出会う
自分の話を真摯に聞いてくれ、同じく絵を描く事で二人は理解を深める
そして、アンドレアの友人であるマライカがも登場し、学生が運営する食堂「サード・キッチン・コープ」に誘われる

サード・キッチンは、マイノリティ学生のためのセーフ・スペース
それまで孤独だった尚美は、サード・キッチンに入ることで、新たな気づきを得ていく


日本で暮らしていると、自身がマイノリティであるとはあまり思わない
ただ、アメリカでば黄色人種も"peaple of color"としてマイノリティとして扱われる

また、人種だけでない差別
戦争の加害国としての日本
性的マイノリティなどへの偏見と差別

異性愛が「ノーマル」で同性愛が「アブノーマル」という言葉
ただ、「ストレート」という言い方もどうなんだろ?
真っ直ぐではないというのはネガティブな意味にならないのか?


日本では気づかなかった、自分がマイノリティで「差別される側」という認識
それと同じく、自分も事柄によっては「差別する側」でもあるという気付き

尚美は偏見について
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私はどういう人間か。それを、よく知らない他人に決められるということ。いやだーほとんど、反射的に、そう思う。
--
と思っているけど、私個人としては、別に他人がどう思っていようと、勝手に思ってれば?と思うけどね
あくまで思う分にはで、口に出したり行動に影響を及ぼさない限りはね
内心の自由は、差別的な考えや頓珍漢な偏見であろうと問題にはならないと思うよ


韓国のジウンとの確執
「無知」と「無関心」は罪なのか?というテーマ

この問題に限らず、差別的言動の言い訳に「知らなかった」を振りかざすことや
「知らないからそっちが教えろ」という態度の問題点
なぜ差別される側が負担を強いられなければいけないのか?

ただまぁ戦争責任については、祖先の罪を背負う必要はあるのか?や
同じく、祖先の被害の補償を求める事は是か?という課題も出てくる

罪はないけど、責任はあるのか?
責任も背負わなくともよいのか?
そんな事言いだしたら、直近ではなくもっと昔の歴史まで引っ張り出すけど、それでいいのか?とも思う
国同士、政府間での交渉事ならともかく、個人間で歴史を持ち出すのは愚かな行為に思えるけどね


それにしても、差別に関しては自身を顧みても色々と難しい
自覚している差別心は表に出さない事ができるけど
無自覚な差別心は隠すことができない

前述の通り、その差別の訴えをマイノリティに押し付けているという批判もあるけど
でもどうすればいいのかがわからない

また、差別と区別の違いはどこかか?
何が偏見で、何が差別か?
対応の違いが許されるケースとはどんなものか?

また、時には類型化も必要な状況はあると思うし
本当にこの手の問題は難しい


日本にいると、今でも圧倒的な人種や民族の偏りがあるため
自分はマジョリティでいる側はその優位性を特別に意識したりしない

マイノリティ、そして作られたイメージによる差別もある

アメリカでは様々なな人種が昔からいるけれども、その接し方について最適解はない
今でも酷い状況ではあるが、遥か昔に比べればましではある


尚美も日本人だからといって差別を受けていたわけではなくて、自分が言葉の壁を感じて自ら相手方に対して壁を作って塞ぎ込んでいる側面もあるのではないかと後に気づく
結局は、文化の尊重と個人の相互理解が必要って事だと思うのだが


ジウンは「ちゃんとした韓国人じゃない」と言われる
尚美も自分を馬鹿にしてきたアメリカ育ちの日系人を「日本人じゃない」「本当の日本語じゃない」と馬鹿にしていたという気付き

本当に、差別というのは単なるヒエラルキーでもないし、きっちり全てが分けられるものでもないし
厄介なものだよ


世の中、スッキリ理解できたほうが楽で気持ちいい
そんな単純化して理解できればいいのだろうけど
理解できない状態でも受け入れる、認めるという姿勢が求められるのだろうなぁ


あと、解説でも語られているように、舞台が1998年
湾岸戦争から続く中等のあれこれが問題になっていて、この後にイラク戦争があり、911があり、リーマンショックがある

本当に、尚美はどんな人生を歩んでいるのだろうな?と物語の続きを想像すると陰鬱な気分になってしまう


また、これは著者の留学経験が大いに反映されている小説らしい
となると、著者もこんな時代を生き抜いてきたという事なのだろうか?

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

海外に留学している日本人女子が語る物語。
「サードキッチン」とは、差別や貧困など、何らかの問題を抱えた留学生たちが利用できる、安心できる居場所としてのキッチン。
なかなか海外の大学になじめず、言葉の壁から生じる様々な障壁や差別を日々感じながら勉学に打ち込む主人公が、サードキッチンと出会い、世界の扉を開いていく。
日常に潜む潜在的な差別や偏見について、考えさせられる内容。
そして英語がネイティブのように話せないことで感じるもどかしさや孤独感、そして起きてしまう差別についても考えることができた。
「差別を受けたり弱者であることを理由に、逆にマジョリティをサードキッチンから排除して、被害者づらすることこそ、差別なのでは」という、ストーリー中の訴えにもなんとなく共感を覚えた。
作中で主人公が感じることは、人種差別に限らずに当てはまる部分も多いなと感じて、良い刺激になる一冊。
海外の人たちと、交流してみたくなった。

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2025年07月18日

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差別はしてはいけない、なくすべきものである。
そう思っていても、自覚なく差別してしまっていることが誰にでもある。だからこそ、気づいた時にどうするかが大切なのだと思う。そんなことをぐるぐる考えさせられた。もがきながら、諦めない。

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2024年12月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ゴールドサンセットがすごく良かったので、白尾悠の過去作を読んでみようと手に取った1冊。いや、これもまた凄かった。

あしながおじさんの現代(というても1998年)版、女子一人でアメリカの大学に留学した主人公のナオミ。幼いころに父親を亡くした彼女の家は決して裕福ではないが、正体を母しか知らない謎の援助者のおかげで留学資金を調達できた。条件は一つ「学園生活の手紙を定期的に送ること」

この設定であれば、そりゃもう外国で色んな友人を作って揉めたり仲直りしたり、恋したり挫折したり、青春学園モンの楽しいヤツ…って思うやん。その金八感や裏切られるから。

ダイバーなんとかとかLGBTQとか価値観の多様性とか、最近色々騒がしい昨今のあれやこれや…がぶっ刺さるぞ。そういう問題に直面して主人公思いっきり悩むから。白人社会で差別される側の苦悩かと思ったらそれだけちゃうから、そんな甘いもんじゃないから。

読んでどんどん苦しくなる。自分の言ってきたことやってきたこと、常識かなぁと思っていたけど違ったよねって最近気づいたそのクソ甘え…。もう人と顔を合わすのがイヤになるから。主人公もそうなるんやけど、こんないい子がそうなるのに、俺程度は「生きててすみません」だから。

それでもね、そういう罪科を背負って生きるんよ。赦しは得られないだろうけど、これ以上罪を背負わないよう、そして少しでも償える言動をして生きるんよ。

覚悟を迫られる小説。読んでる間結構ツラかったけど、読んでよかった。もっぺん腹を括れた

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2024年10月15日

Posted by ブクログ

この本の存在はNHKの本の紹介番組で知った。

読んでみて、ありありとウン十年前の留学時代に感じた記憶が読みがえって来た。
何度「チャイニーズ!」っと遠くから叫ばれた事だろう。
土曜日の、まだ街が起きだす準備をしている静けさに包まれている朝に、街の中心を突っ切り駅へ向かう道で、私は顔面に黒い色の皮膚を持つ人に唾をかけられたのだ。
一瞬、何が起こったのかを脳が理解する事が出来ない…息も出来ない…

近くのスタバの入り口を叩き、顔を洗わせて欲しいと懇願する自分がいた。
怒りより驚きが、何度顔を洗っても落ちない唾の感覚が残る。

こんなに露骨にも差別とはこの世に存在するものなのだ…

あの日の事は一緒忘れない。

大好きな国の醜い一面。
世界の中にいるアジア人の私。

一方で、表には出さないが私の中にも間違い無くある差別的な感情。
人間の心は複雑で、また、世界も複雑なのだと痛感させられる。

言語の問題で、自分をうまく表現出来ないもどかしさと悔しさ。
白人、黒人だけではない、わかりやすさからくる差別。
無知であることへの自覚。

折に触れて、何度も読もうと思う一冊です。

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2024年10月02日

Posted by ブクログ

人は、何かを理解しようとする時、
自分の知っている既存の知識や常識の枠で
ものを捉えようとする。
それは自然なことに思えるけれど、
それゆえに、決めつけや差別を無意識にしてしまっていることに気づかないこともある。

自分の価値観や考え方は、変わるものであり、育てるものだと思う。
未知の人、もの、ことに出会った時には、まずはよく観察し受け入れることから始めたい。
それは学習と同じだと思う。

あらゆる差別やマイノリティに対する考え方が発信される世の中において、だんだんと身動きが取りにくい感覚に陥ることがある。
時に、過剰な理解や配慮に感じることがあるけれど、『それは過剰じゃないか、』という部分は、自分の立場から見た一つの意見であって、『必要である』と感じる人もいることに気づく。

何事も、良い悪い、0か100かでは割り切れないし、決めれられない。話し合っても、結論が出ず、平行線のこともある。
主人公ナオミの良いところは、
手を離して、考えるのをやめて、楽になりたいと思うような複雑な他者との関係性や価値観の理解を放棄しなかったこと。読んでいて、とってもネガティブな発言が多くて疲れるけど、それでも逃げなかったことがナオミの成長を描いていて、象徴的だった。

そして、外国人同士だけでなく、家族や友達
色々な関係性を引用しながら、本書では、
もっと本質的な、
人と人が分かり合うということの難しさ示しながら、
なお、私たちにどうするかを問うている。

分かり合えないというのはある意味当然だと思うのだが、それでも分かり合いたいと願い、分かり合えた時に喜ぶことは世界共通のことなのかな、と感じた。

自分の感覚を、いつも柔らかく保っていたいと思った。

私はこういった、問いをくれる本がとても好きなので、
面白かったです。

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2024年09月07日

Posted by ブクログ

アメリカに住んでた身として、主人公のナオミに超共感。
アメリカにおいてマイノリティの身分でありつつ、マイノリティが直面する、提起する問題がいまいちピンときていなかった。
単なる無知。無知であることの恥ずかしさ。声を上げることの大切さ。
簡単にわかるものではないけど、知ろうとし続けること、話し合おうとし続けること。それが重要。

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2024年07月06日

Posted by ブクログ

海外留学した事のある人なら、共感できるところがたくさんあると思う。うまく外国語が話せないもどかしさ、相手にめんどくさそうな顔された時に傷ついたり、簡単な言葉しか使えないから、子供扱いされたり… 自分でも無自覚な、差別と偏見。それに向き合い、考え続ける事の大切さを改めて考えさせられた。

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2024年03月31日

Posted by ブクログ

少しも上達しない英語の勉強も、答えのない差別や人間関係の問題を考え続けることも、諦めないで頑張りたい。励まされました。

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2023年04月13日

Posted by ブクログ

どこからどこまでを差別とするか難しいと感じた。違う扱い受けたらそれは差別なのか。サードキッチンに白人生徒が許可なく入った件がきっかけでなおみと白人学生の議論からもおもったこと。皆が人種性別国籍等問わず心地よく過ごすための是正措置としてなら、簡単に差別と言ってしまっていいのかなって思いました

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2023年02月05日

Posted by ブクログ

1990年代、アメリカに留学した主人公がマイノリティの集う学生食堂で交流しながら偏見、差別、さらにそれを自らが持っていることに気づいていく

まず、主人公が留学当初ルームメイトと性格が合わなかったりうまく話せずに疎外感を感じる場面で、自分は留学に行ったことがないのにこの経験あるな、留学したら確実にこうだなと思ってしまった。

差別、偏見を知る中で自分の中の全く無意識の差別意識にも気付き、終わりが見えなくなるというのも本当にリアルだった。

言い方悪いが陽キャの人がこれを読んだらどういう感想になるのか気になる。

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2023年01月14日

Posted by ブクログ

彩瀬まるさんの『新しい星』での白尾悠さんの解説が面白かったので、読んでみました。白尾悠さん初読み。

ご自身の留学経験に基づく、カルチャーギャップや友情・すれ違いの物語かと思いきや、もっと重い内容でした。
留学先でぼっち化したナオミが参加したサード・キッチン・コープはマイノリティ学生のためのセーフ・スペース。あらゆるマイノリティに食事と居場所を提供する協同組合。
サード・キッチンのメンバーの考えに100%賛同する事はできないけれど、可視・不可視のさまざまな差別が主人公の実体験として提示される事で、それらの問題についてじっくりと考えることが出来ました。
小説という形式の説得力・パワーを感じられる作品。面白かったです。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

留学生の直美がアメリカの大学で人種差別やジェンダーの問題に直面します。差別の構造がいろいろな面から明らかにされます。私の中にも差別意識があるのに気づきました。

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【自分が持つ差別意識と向き合い続ける物語】

以前読んだ短編集「舞台!」の5人の作家で一番気になった、白尾悠の作品である。

アメリカ合衆国に留学しているとは言え、決して英語がぺらぺらなわけでも頭が冴えているわけでもない主人公、尚美。彼女は、今まで気づかなかった自分の中にある差別意識や、国際感覚のなさに日夜うにょうにょしながら、非白人が集まる学内組織「サード・キッチン」に少しずつ居場所を得ていく。

40年前、多少はひっかかりひっかかりしながら、留学先のメキシコで自分の立ち位置を探していた僕。自分が差別意識の固まりだからこそ、その意識と「社会的に差別されている人たち」に対する向き合い方は区別をつけたいと考えている僕。そんな僕を、自覚しながら読ませる作品だった。

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2024年11月15日

Posted by ブクログ

偏見や差別、マイノリティを描いた物語。
難しくも考えさせられた。

主人公が他者からの差別意識を感じ取ったり自分の持つ偏見に気付いたり、根深いそれらに傷つきながらも真摯に向き合っていく姿が苦しくも美しかった。

自分自身も無意識に差別意識を持っていて、いきなり変えることはできないけれど知ること、向き合うことはできるんだと思った。

☆3.7

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2024年10月10日

Posted by ブクログ

人権、多様性、バイアス…。現代で注目されているキーワードですが、何となく知識的という感じもありましたが、本書を読んで、日常に潜むリアルとして受け取ることが少しはできたかもしれません。考え方や視野を広げさせてくれる一冊。よい読書体験になりました。

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2024年08月31日

Posted by ブクログ

こうして人は成長するのだなと、感銘を受けた。
人種、文化、ステレオタイプ、色んな悩みと向き合って、生きていくことは大変だけど。絶対に人生を豊かにするんだ

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2024年07月25日

Posted by ブクログ

あらすじを読んだ時、留学前かつ国際寮で生活する私にとって、通ずるものが多いと感じ、手に取った。

誰でも差別をする側に回る可能性があるが、それを恐れて人と接することを避けるのではなく、相手と自分の体、心、言葉で向き合うことが大切だと学んだ。

国際交流に限らず、人と関わる上で大切なことについて描かれているため、全ての人にお勧めしたい本である。内容は簡単とは言えないため、少しずつ読み進めていくスタイルをとった。

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2024年07月22日

Posted by ブクログ

単に、留学先でいろんな国のご飯の話かと思って読み始めたので、内容、重かった。
留学さえしたことがない私には、差別は頭の中で考えてるだけのことなのか、、、しっかり勉強しなくてはと思う。一方で永遠と身につくことがないことではないかとも、思ってしまう。
他人の立場になって、行動するのは、なんて難しいことなんだろう。
ため息しか出ない。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

差別ってなんだろう。
ノーマルではなくマジョリティ。
日本にいるとわからない部分がたくさん。肌の色とか、国々の歴史的な背景とかではなく、その人個人個人を大事にしたい。

自由のために、自立して考えて知性を育てる。先入観とか思い込みとかをなくして世界を見てみよう。

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

足長おばあさんに助けられアメリカの大学に留学した尚美の成長物語。
始めはままならない英語力と引っ込み思案のため友達もできずただ勉強する毎日。ところが大学内のコープサードキッチンを知ってどんどん世界が広がると共にマイノリティの問題、差別、逆差別に気付いていく。涙あり笑いありまた涙ありで最後までぐいぐい引き付けられた。

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2023年10月22日

Posted by ブクログ

なおみの心の中のモヤモヤやプラスではない感情に、あーこういう気持ちになることってあるよなと、自分の中で見え隠れするものを実感すると共に人と繋がることの温もりも感じた。そして差別や歴史など新しい見方や考え方を知ることができ、明日からは世界が少し違うように見えるかも知れないと思った。

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2023年07月02日

Posted by ブクログ

主人公は19歳の日本人ナオミ。
アメリカの大学へ留学する。
決して英語が得意ではなく、言葉の壁や疎外感に悩む。
そんなナオミが出会うのがサードキッチン。大学内にある協同食堂として多様なマイノリティ学生が集い自分達で運営する居場所。
ナオミはそこで居場所を得るが、自分自身の偏見や差別意識と向き合って行く。
友情や信頼、葛藤や和解などナオミの成長が描かれている。
読者も同じく考えさせながら読み進めるハズ。
ちなみに、久子さんとの手紙のやりとりも印象的。

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2025年11月20日

Posted by ブクログ

留学していた時を思い出す、若々しく苦々しい小説。

最初は青春小説のように読めた。「周りを恨んで巡りが悪い時って何もかもだめ」というあるあるとか「人と出会って成長、好転していく様」とかは小説として面白かった。

ただ、中盤から主人公があまりに内省的すぎて「めんどくさ!」となってしまった。考えすぎている思考をトレースされる感じで、読み飛ばしてしまった。
頭で考えるより、目の前の景色を見なさいよ、と思っていたら、最後はそういう着地点に落ち着いていた。とりあえず、主観と自分の考えを鍛えるのが大事だなぁという感想に至った。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

潜在的な差別とか偏見ってあるよね。って話。
そういったバイアスともうまく付き合っていくことでよりよい関係は作れるのかもしれない。
ただ、バイアスがあることで理解のしやすさもできるのもまた事実なんだよな。
そのあたりのバランス感覚は難しい。

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

多様性を考える 十人十色わかりあいたくて伝えたくて言語を学び歴史を考える 差別を感じ心のこもった料理に癒やされる 読んでる私も主人公と共に考えた。

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2024年05月25日

Posted by ブクログ

人種、性別、種類、ラベル。私たちは色んなもので色々なカテゴリに振り分けられる。

自分が何に振り分けられて、自分以外は何に振り分けられるのか。

そんなことを考えさせられる小説だった。

ステレオタイプだったりと、日本でしか生活したことのない私にはなるほど、自分はこんな偏見を向けられるのかもしれない、私だって気づかないうちに偏見を向けているのかもしれないと思った。

無知や無関心は差別と一緒。

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2023年11月06日

Posted by ブクログ

ナオミの目を通してアメリカの大学生活を見る。生活の中に当たり前にある差別、経済格差。
中でも日本人が自国(他国)の歴史や政治に対して鈍感なところをちゃんと自覚するところまで描いてて良かった。
日本人として生きていくってこういうことだと思う。
文化の盗用の話、ステレオタイプの話、差別に対してどう向き合えば良いのか、ひとつずつ拾い上げていく。
無知は確かに差別に繋がることもあるが、そこから行動を起こせたら、勉強をし続ければ、もっと世界が良くなるはず。

敢えて指摘するとすれば、12章のティーチ・インのところ。
黒人の学生がBlack Lives Matterを叫んだ後の
「黒人、白人、ラテン、アジア、どんな肌だろうと国だろうと命だ!」の言葉はまずいと思う。
All lives mattrになるのでは?
なっていると思うよ。
アメリカが舞台でこの流れは絶対にありえない。

引っかかるところもあるが、アメリカで生活をしているような、生き生きとした文章が心を躍らせる。
一人称小説だからダイレクトに感情が伝わって目頭が熱くなることもあった。
久しぶりに1週間もかけずに読み終えてしまった。

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2023年01月29日

Posted by ブクログ

主人公の女子大生尚美が米国留学して味わった孤独感。そんな中学生食堂サード・キッチンでの経験は米国で日本人としてマイノリティな彼女に出身地やLGBTQ、経済格差によらない人として大切な事を教えてくれた。

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2023年01月14日

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