白尾悠のレビュー一覧
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ネタバレ【自分が持つ差別意識と向き合い続ける物語】
以前読んだ短編集「舞台!」の5人の作家で一番気になった、白尾悠の作品である。
アメリカ合衆国に留学しているとは言え、決して英語がぺらぺらなわけでも頭が冴えているわけでもない主人公、尚美。彼女は、今まで気づかなかった自分の中にある差別意識や、国際感覚のなさに日夜うにょうにょしながら、非白人が集まる学内組織「サード・キッチン」に少しずつ居場所を得ていく。
40年前、多少はひっかかりひっかかりしながら、留学先のメキシコで自分の立ち位置を探していた僕。自分が差別意識の固まりだからこそ、その意識と「社会的に差別されている人たち」に対する向き合い方は区別を -
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【日常の中にいる、クララとドロッセルマイヤー】
ミュージカル、2.5次元、バレエ、ストレート・プレイ……様々な舞台を題材に描かれた5編が収録された短編集である。
ただ、「華やかで遠く感じる『舞台』というその空間は、自分という役を生き、誰かの人生に思いを馳せる私たちにとって、意外に身近な場所なのかもしれません。」という扉に書いてある触れ込みって、読んでみたら結局、3編目の白尾悠「おかえり牛魔王」だけの話なんとちゃうのん?と感じた。
毎日定時で退社する、社内の人付き合いも忖度もへったくれもない後輩の派遣社員、桐ヶ谷を探るうちにその演劇の指導者しての並々ならぬ実力に触れ、自らも演劇に助けられた -
Posted by ブクログ
舞台をテーマにした5作の短編。
舞台を見る人なら、いろいろとわかる!と思うことあって楽しく読めると思う。
『ここにいるぼくら』
2.5次元舞台に出演することになった主人公。しかし、その役はシリーズもので、彼はいわゆるキャス変だった。
いやー、2.5のキャス変は私も経験あるからわかるなー。(見る側だよ、もちろん)演者側からの立場として読んでて面白かった。
『宝石さがし』
バレリーナと衣装デザイナーの話。
舞台の衣装って、いろいろなことを考えて作られているのと同時に、演者にとってはその役になるために、舞台に立つ上ですごく大切なんだなって感じた。2人の関係性がとても素敵だった。
『おかえり牛魔 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後智佳が父親に電話するシーンかっこよかった
無茶苦茶な人間に何を言ってもこちらの声なんて届くことはないけど、智佳の最後まで貫き通して冷静に話す言葉。父親は支配出来なかったことに絶望を覚える。最高の復讐。
あと智佳の母の回が個人的に1番好きだった。
望まれず産まれた 無関心な母親の元で育った雪子
そんな雪子の母親の危篤を聞いて重い腰をあげて尋ねる。この人に以前は認められたかった。でもそれをやめて自分の家族を作れた時 息が吸えたような感覚。亡くなった母親に自分を見て欲しかったと最後ビンタするシーンに雪子の苦しみが溢れてた。
そしていま自分の家族も危ういことを認めざるえなくて、でもそれが果たして