あらすじ
ココ・アパートメント――心地よい暮らしを作るために住人が協働するコミュニティ型マンション。住人たちが一緒にダイニングルームで食事する「コハン」があったり、互いの子供を預けあったりする一方で、個人の独立性も重視した住まい。家族と離れて暮らす男子高生、結婚を前に惑うカップル、シングル家庭の親子、秘められた過去を背負う老女……。それぞれの胸の裡を繊細に浮かびあがらせながら、多世代の心の交流を温かな筆致で描く。静かな感動を呼ぶ連作小説。
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Posted by ブクログ
本を読むタイミングって縁だと思う
以前から気になっていた作品だけど、わたしにとっては今読むのが大正解だった
年齢性別家族構成も様々な彼らの生活を垣間見て、なんとなく抱えていたもやもやの答えが見えた気がする
好きです、この作品
Posted by ブクログ
心地よい暮らしを作るために住人が協働するコミュニティ型マンション、ココ・アパートメント。
それぞれの居室はあるが、共有するリビングは当番制で掃除をしたり、定期的に食事当番が皆に食事を振る舞ったり。季節毎のイベントもあったりと。
なんて楽しそう!だけど人見知りの私には無理無理‥‥と思ってしまいます。
でも若者達のシェアハウスと違って(若者のシェアハウスが如何なるものかも良く分かっていませんが‥‥)ここに住む人達は訳あってここに辿り着いた人達。そんな人達の連作短編集です。
老若男女、様々な人が暮らしています。一人暮らしだったり、家族と一緒だったり、同棲するカップルだったり。
正直、若者の話の時は、軽くてうるさい文章で読むのをやめようかな?なんて思ってしまったのだけれど、読み進んでいくと、泣けたりしている自分がいました。これこそが、ココ・アパートメントの真髄なんだなと思いました。年齢や立場や性別が違うからといって理解できないと切り離すのではなく、まずは話してみること、相手を知ることで関係はがらりと変わる。
(あ!今気付いたけど、タイトルがすでに“うるさい”だった!)
こちらがうるさいと思っているように、あちらもこちらをうるさいと思ってますよね。でも、相手を知ることで関係が変わる。
そしてココ・アパートメントの何よりも良いところは、困った時に助け合うのはもちろんのこと、程よい距離感で放っておいてくれるところ。
共用リビングで泣いている住人に声をかけることなく、そっとドアを閉める場面に号泣しました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
是非とも連続ドラマにしてほしい!
とても良かったです(о´∀`о)
Posted by ブクログ
読書をしていると、不思議な縁を感じるときがある。意識せず続くときは続くというか、「水車小屋のネネ」に続いてこの本を読むという縁。生きづらくなった環境を飛び出して、新しい生活の場を描く小説を立て続けに読むという縁。
というか、俺はどうにも、近隣の人々が助け合って生きていくという物語が好きなんだということなんだろう。東京バンドワゴンもおけら長屋も宇江佐真理等の市井人情モノも、俺の好きな小説たちは、自助と公助、「奪い合えば半分以下だが分け合えば倍以上」の思想に溢れたものが多い。
成功人生のレールに乗るために勉強も学生生活を上手く生き抜く高校生から、父子母子家庭、発達障害をもった兄弟を育てる一家、謎の過去を持つ婦人や大家の男性。
この小説の章それぞれに描かれた、生きること暮らすことに一生懸命な彼らを追うごとに、俺も明日からもっと暮らすことをしっかりやっていこうと思えてくるのである。
そういう小説を今後も出会い、都度自分の生活を改めていきたいのである。
Posted by ブクログ
日常的に他人と関わらなければならないココ・アパートメントの生活は一人が好きな者にとってはなかなかハードルが高そうだ。
けれど様々な年齢、性別、事情を抱えた人々との交流は生き方の見本市みたいなもので煩わしさを超えて気付かなかった発見も多くあるのだろう。
個人の特性や主張が重視される今の世の中で忘れかけしまっていた共生することで得られる良さを再認識できた。
生きているとどうしても起きてしまう辛い出来事ややるせなさを描きながらも各章の終わりには爽やかな気持ちになっている。
こんな本に出会えて私は幸せだ。
Posted by ブクログ
どの話も終わるたびにほっと優しい気持ちになれる作品でした。
人に干渉されることを煩わしく思う時もあるけれど、自分が困った時に助けてくれるのは自分以外の誰か。人との関わりをほどよく保てるココ・アパートメント、私も住んでみたいなと思いました。
時が経ち、ココ・アパートメントを出て行く人がいてもまた遊びに来れる関係性も素敵だなとも思いました。子供でも大人でも、住んでいる場所以外に行く場所があるのは、救いです。
ちょっと家に帰りたくないなって思う時に、安心して行ける場所があるのは素晴らしいことだと思います。
章ごとに話の主役は変わるけれど、他の話でそれぞれの進捗もしれるのが面白かったです。
どれも未来が明るく感じられる終わり方で、読んでいて幸せな気持ちになりました。
欲を言えば一章の賢斗くんのその後がもう少し見たかったです!
Posted by ブクログ
他人との繋がりは面倒だがここに住んでいる人たちはコミニケーションを適度に過干渉せずに暮らしている。
あったかい雰囲気と過去との折り合い多様に織り混ざった暖かい雰囲気の内容だった
Posted by ブクログ
「女による女性のためのR-18文学賞」大賞&読書賞ということを知り、本作を読んで見ました。
この本読んで、とても心が温かくなりました。
最近、近所の人とも、コミュニケーションを取ることが少なくなっているように思える。
周囲の人とコミュニケーションを取ることの大切さを感じ、私も、将来的には、コミュニティ型マンションに住むという未来もありだなと思った。
Posted by ブクログ
コミュニティ型マンションで暮らす住人たちの心の交流を描いた連作小説__
人間関係が希薄になりつつある社会で生きる私たちに、目には見えない温かな繋がりを感じさせてくれる素敵なお話です(興味ある方読んで欲しい)
私も入居したいな〜〜!
住人同士適度な距離感があるところと
全員がこのコミュニティで救われるわけじゃない、合う合わないがあるところまで書いてあるのが良かった。
Posted by ブクログ
素敵なタイトルで気になっていました。エッセイをイメージしてたけど、連作短編でした。緩やかなコミュニティアパートの住民たちの視点による物語。歳を取ったら、こんな暮らしがしてみたいな。
Posted by ブクログ
隣人は少し面倒で、うるさいこともあって、でも、1人じゃ無いと実感させてくれる瞬間もくれる。
人との距離感を上手にすることが難しい今のご時世。こんなちょうどいいコミュニティーあったらいいな。と思うし、やっぱり完璧じゃなくて、ここで浮いちゃう人もいるしはみ出しちゃう人も居るのが、逆によかった。
その人にもきっとどこかにあるはず。しっくりくる場所が。
こどもを育てるのは必ずしも親だけじゃないし、大人を癒してくれるのも必ずしも夫や彼氏だけじゃない。友達ともなんか違う、でも、他人とも言い切れない。まさに隣人に救われることってあるんだと思う。
隣人が欲しいし、誰かの隣人になりたいなぁと思わせてくれた本でした。
Posted by ブクログ
住民同士のほどよい距離感。
助けられたり助けたり。そうするうちに、小さくかたくなった心が大きく柔らかくなっていく。
出ていっても帰りたくなる場所。
いいなあ、こんなところがあったら入居してみたい。
せめてコハンだけでも参加したい。
Posted by ブクログ
ちょっと変わったシステムのシェアハウスのお話
最初はこういうとこ私は無理だな…と思ったけど、読み終わった頃には…ありかもしれない、に変わってた不思議
子供が欲しいと思えない男性のお話に1番共感
子供が欲しくなくても結婚していいし、逆に籍入れてない2人に子供がいてもいいし、自分の子供じゃなければ育ててみたいと思う人がいてもいい
この国もそのくらい柔軟な考えが普通になればいいなと思った
男女共に働きやすく生きやすい社会になってほしい
Posted by ブクログ
登場人物たちがそれぞれ色々な人生の帰路に向き合った後、どんな生活してるのかもうちょっと深掘りして読みたかったなぁと思ったり、あとは想像に任せて自由に彼らの未来を想像しようかなぁと思ったり。
余白があるのが良かったのかなと思います。
あのアパートが出来たいきさつにフォーカスしなくても、物語が成り立つ時代にはなってきたのかなと思います。
やっぱり人間って、年代も性別も家族構成もバラバラな人たちで寄り添って生きるのが、結局理にかなうのかな、と言うのも考えさせてられました。
保育園だったり、おひとりさまだったり、老人ホームだったり、良いと思ってやってみて、色々な考えが時代と共に生まれても、またぐるっと回って人間としての原点に回帰すると言うか、様々な個が集まって暮らす事が試みられる事になるのかなと、思いました。
私も、こんなアパートがあって、引越すチャンスがあったら暮らしてみたいなと、思いました。
Posted by ブクログ
北欧型コミュニティマンションに住む、色々な家族(親子、夫婦、カップル)のそれぞれの人生と、マンション住人との交流を描く小説。
乾いた笑いを浮かべながら読んでたと思ったら気付くと涙がボロボロ溢れているような作品。
特にモラハラ夫との結婚生活の終わりまでを語ったエピソードでは、恐怖で鳥肌がたち、無事離婚できてよかったねーと知人かのように泣けた。
好きずきがあると思うけど、子育て中の悩み多い人に響くのかも?
Posted by ブクログ
家族単位でも入れるシェアハウス。
シェアハウといえば個人なイメージ。でもここは個人でも、家族でも、カップルでもいい。小さなこどもがいる家庭やシングルパパ、ママ達はお互いに助け合える。理想的。コハンという当番制の食事会もみんなでワイワイして楽しそう。理想的。
将来こんな環境で生活できたら理想的。
Posted by ブクログ
R-18文学賞大賞・読者賞をダブル受賞した『いまは、空しか見えない』以来ずっと注目している白尾悠さん。
最新作はコミュニティ型マンション「ココ・アパートメント」で暮らす人々を描いた連作短編集。
世代は違えども、皆それぞれに事情を抱え、心の痛みと闘っている。
特に第4章で描かれる家族関係はあまりにも歪で吐き気を催すほど。
主人公の女性の苦しみが伝染し胸が抉られた。
家族じゃなくても共有出来る思いはある。
この場所で出逢った人達との縁は必然だと思えた。
諦めない心を持ち続ければ、きっと私たちはいつでも前へ進むことが出来る。
Posted by ブクログ
コミュニティ型マンションで暮らす人々と隣家の大家さんの話し。
こんな場所があれば、救われる人がいると思うし、あの頃の自分もこんな場所で暮らしてみたかったなぁ。と思う。
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ココ・アパートメント、寄宿舎に近いアパートってとこかねぇ。それも会社や学校が提供する共同生活施設ではなくて、不特定多世代の人たちのコミュニティ施設なわけでしょ。隣人ばっかしは選べんからはてさてどんなもんだろう。康子さんみたいな波乱万丈に生きた方から人生訓を授けていただけるならばありがたいかなぁ。俺自身から他者に授けられるもんはないわけだし。たまに会って語るぶんには薄っぺらい語りでも繕えるけど、日々顔を合わせるとなるとそうもいかん。酔っておだをあげるさもしい自分が浮かぶ。と、己をココに置いて悩みながら読む。
Posted by ブクログ
・自分を大切にすることで家族や周りの人を大切にできる。自分の環境を自分でより良くできる人。自立って、本当はこういう事なのではないのかなぁと感じる。
・康子さんの、周囲との距離のとり方が素敵。近すぎず遠すぎず、相手を尊重できる人。
Posted by ブクログ
コミュニティ型マンションってなんだろう?
そんな思いを持ちながら読んだこの本
部屋は独立しているけれど、共同の場所もあったり、当番が食事を用意したり、掃除をしたり
そんなマンションの住人たちのお話
こんな共同生活もいいのかもしれないと思いつつ、私にはハードルが高いかなぁと思ってみたり
案外慣れれば住みやすいかも?
完全に一人ではないし、それぞれの暮らしを尊重し合えればきっと楽しい
お隣さんと仲良くしましょう
そんな時代ではない今だからこそ、新鮮で人との繋がりってやっぱり大事だよなぁと思う、そんな作品でした
Posted by ブクログ
人が人を思う気持ちには色々な種類がある。
大事にしたい人が何を考えているのか、どうしたらより幸せなのかを考えること。
時には周りを頼っていいと知っておくこと。
Posted by ブクログ
様々な事情を抱えた多世代が協働するコミュニティ型マンション。
適度な距離感で関わり合って、助け合う暮らし。
繋がりが少しずつ積み重ねられていつの間にか信頼関係が生まれていく。
ほんの少しの優しさが誰かの力になれるのかもしれない。
もちろんいいところだけじゃなくて、合わない人もいるっていう部分も描かれていて、そこもよかった。
Posted by ブクログ
正直ご近所付き合いは煩わしい。それでも、人と人のふれあいはこんなにもあたたかい。
まさにタイトルの通りだな、と思う。
様々な生き方や自由が認められるようになり、あまりにも多い選択肢に途方に暮れてしまうなぁ、なんて悩んでいる今日この頃。
コミュニティ型マンションで協働しながら生活をする中で、様々な幸せの形があることを傍で再確認できることはとても安心するし、救われた気持ちになるだろうなぁ。
読み終わってからもう一度プロローグを読み返すととても優しい気持ちになった。
Posted by ブクログ
ココ.アパートメントとは
「心地よい暮らしを作るために、多世代の住人が協働するコミュニティ型マンション」
住人は単身者、ファミリー、老年夫婦、抱えている事情の違う人たちに視点をあてた6つの短編集。入居した経緯も明かされていきます。
発達障害を持った子どもの存在を実家から拒否された和正さん。
「こんなに小さくても、自分なりのこだわりがいっぱいで個性が全開なんだね。」
入居者の大治郎さんの言葉に、私も目頭があつくなりました。
人と関わっても関わらなくても、面倒なことは日々あると思います。
人とうまく付き合いながら、より良い人生を送りたいと思うのはみんな同じじゃないでしょうか。
年代、価値観の違う人たちの集まりだからこそ、刺激を受けながら、より気づきを感じる生活が
できるんだと思います。
ヒエラルキーに固執する晋太郎さん、ココ.アパートメントに対応できなかった人にも視点をあてたこの作品、興味深かったです。
Posted by ブクログ
素敵な話。
素敵な庭の大家さんと、隣のシェアアパート。
誰もみんな、何かしらの問題はあると思うし、この生活が合うひと・合わない人。
確かに子育て中のいっぱいいっぱいの時など、すごく助かる感じ。
社交的で、寂しがりやさんには、とてもいい環境かもね。
いろいろな人のいろいろな話が盛り込まれてて、面白かった。
Posted by ブクログ
ココ・アパートメントと言うコミュニティ型マンションに住む住人達のそれぞれの視点による短編集。心温まる話が多くて仕事で荒んだ私の心が少し癒されたと共に突き刺さる言葉もあった。「この先子供たちに仕事を抜きにして、胸を張れる自信がない。」
Posted by ブクログ
康子さんがいれたミントのハーブティを飲んで、スッキリしたいな。私もここに住んだらなにかが変わりそうな気がしました。
ココ・アパートメント。NPOが管理する賃貸マンション。心地よい暮らしを作るために多世代の住人が協働するコミュニティ型マンション。ここに住み、集う人々の連作短編集でした。
ここには、月に一度の定例会、月に数回あるコハン、共同設備の掃除やストック管理、庭仕事など様々な役割を分担する各コミッティーなどがありました。誰かが責任者ではなく、みんなでという考え方です。
今までの自分の考え方がおかしかったことに気づいた17歳の賢斗。甥の大我の世話を頼まれたことでマンションの人と関わり、ようやく兄と心から話せた由美子。子を持つことに不安を感じている亨、そして彼女の茜。娘の花野を守るために頑張る聡美。障がいをもつ子達を育てる和正夫婦。つらい過去をもつ康子。大家の勲男さん。老若男女がみんな仲良しというのではなく、ほどよい距離感で暮らしていました。子ども達がのびのびしているのは、いつも誰かが見守っていてくれる安心感からのように思いました。皆、他の家族と関わったり話したりするうちに、自分の問題に気付きを得たりと、いい影響を与えあっていました。
今、世の中で違和感を感じる出来事が物語のなかに盛り込まれていて、色々と考えながらの読書でした。おかしいと思うことをさりげなく伝えられるのは、やはり年の功と思うことも多かったです。これだけ様々な生き方や考え方があるなかで、忘れてはいけないことを伝えてくれる感じがしました。どんなに仕事や勉強ができても、自分の世話は自分でできないと恥ずかしいということです。賢斗くんは、気づいてよかったです。
育つ環境の大切さと、世の中にはいろんな人がいるのが当たり前で、だからこそ思いやる心が大切だということが伝わってきました。全部が全部うまくいくわけではなかったけれど、理想的な暮らしかたのように思いました。
最後まで読み終えてもう一度プロローグを読むと、感慨深かったです。