トーベ・ヤンソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これは8月末から10月3日までのお話し。
夏の終わりのある日、パパは、手もちぶさたに庭を歩いていた。しなけらばならないことは、すっかりやってしまったか、他の誰かがやってしまったように思い、悲しげに…。
ってつまり、自分が家族から頼りにされないことが気に入らない男なんですよ、このパパは。(新版訳者の畑中さんいわく、このパパはトーべの父そのものだろうと。)
ママがパパの地図を見て、私たちはここに住みつくのだとムーミントロールに語ります。
そしてその通り、一家は灯台のあるパパの島へと引っ越すことになるのです。(この時の一家とは、パパ、ママ、ムーミン、ちびのミイの4人!)
島には小さな漁師が住んでいる他にはだれもいない、何もない。
パパは灯台に明かりを灯したいのに、明かりの付け方が分からない。
ママは、お庭が恋しくて壁に絵を書き始める。
ムーミンは、うみうまに夢中。
ミイ…この子だけは、どんなときもいつも通り。
前半はとくに、ママがパパをやたらとたてることに胸が締め付けられて(頭にきて)しまう。
もうパパの勝手さには終始辟易…
ムーミンも自立心を顕にします。そして恋を知る?
スノークのお嬢さんを差し置いた、本物の恋?
ムーミン谷から明かりを求めてついてきたモランもいます。
このモランが…モランと4人の関係に注目の巻でした。
ママからも目が離せません。
この島では大切なママのカバンを持ち歩かなくなってしまったり…
家族のお世話もおろそかに、壁に絵を描き始めたりするのです 。
それはまるでトーべの仕事のようだと私には思えました。トーべが本当にしたい仕事を、そこに描いたかのようです。
今回も私がたまらなく好きだったのはなんといってもちびのミイ。名言あるいは迷言にあふれています。
最高なのはこちら -
Posted by ブクログ
孤島でひと夏を過ごすソフィアとお祖母さん(と、あまり作中には出てこない父)。ときには癇癪も起こすが、好奇心と想像力豊かな少女ソフィアに対し、一緒に島の自然とふれあい、時には喧嘩もする祖母。現代日本のように、ばぁばが孫の言いなりになって猫可愛がりするのではなく、あくまで対等で自然体な二人の関係がとても良い。
淡々と出来事が語られるが、いつかソフィアはあのひと夏のことを思い出すのだろうかと思うと羨ましい気持ちになる。
この祖母のモデルは著者トーベ・ヤンソンの実の母、そしてソフィアのモデルは著者の姪(弟の子)で、実際に夏を孤島で過ごしていたという。賃貸のように島を借りられる、フィンランドの自然に対するおおらかさもまた素敵だなと思える一冊。 -
Posted by ブクログ
フィンランド料理のボキャブラリーが欲しくて本書を手に取った。
なかなか不思議なレシピ本。
ムーミン作品から挿絵やフレーズを参照していて、ムーミンの世界観を楽しみながら、作品の中に登場していそうなレシピが紹介される。
とはいえ、作中では詳しい作成工程や材料などは当然載っていないし、ざっくりと「スープを飲んだ」くらいしか記述がなかったりする。
その欠落した情報を埋めるように、フィンランド料理で補填する。
本書の著者はトーベヤンソンと末延弘子とされているが、トーベはもちろんもう昔に亡くなっていて、本書の絵と引用文の担当となる。
一方末延氏は翻訳者だ。
レシピ部分もトーベが書いた原書があってそれが訳されたのか、
それともトーベはあくまでムーミンの元ネタ部分だけで、レシピ部分は末延氏が考案、編集などしたのだろうか。講談社の公式Webサイトを見てもそこについての詳細は見当たらない、
ただ、レシピはかなり本格的なフィンランドのものなので、フィンランドの食文化に相当詳しくないと書けないものなので、トーベが書いたレシピである可能性も充分あるだろう。
なおフィンランドの料理本によくあることだが、写真はないので文章だけから作るか、同等の料理をYouTubeやkotikokki等のレスぴサイトを参照して作る形となるはずだ。
レシピを書くほどでもない簡単なものもあれば、「ミムラのむすめのびっくりスープ」のように「ウソォ!?」と面食らうレシピもあってバリエーション豊かである。 -
Posted by ブクログ
これはパパが嫌いになる痛恨の一冊。
巷で言われている愚かな男性像がそのまま描かれていて、人生経験を積んだ女性にはきつい。ママに同情せざるを得ない。美しい庭の絵を描いて、壁の前で疲れて眠ってしまう場面には涙してしまいそうだった。子ども心には全く湧いてこない感情だ(子供の頃、シリーズのここまで辿り着いた記憶がないのだけれど)。
子どもにもいきなり引っ越しはきついが、ウキウキ発見冒険の未来も期待できるから、少しはマシだ。ムーミントロールもよく頑張っていた。海馬やモランとの遭遇は夢のようなファンタジーで、怖くもあるが美しい。
また20年くらい経ってから読むと、パパの横暴も可愛く思えるのかもしれない。ほんと人間って……心はいつまでも成長するし、どこまでも吸収できるのに、時々大事なものまで忘れてしまう。儚く移ろいやすいものさ。