ポールアルテのレビュー一覧

  • 虎の首

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    バラバラ死体と密室殺人。このネタだけで中篇ミステリが二作完成する。それをひとつの長編として世に送り出した作者の構成力には素直に感心せざるを得ない。トリックも特に目新しいわけではなく、犯人も推理可能。部分的には平均レベルなのだが、ひとつの作品として見たときの完成度がずば抜けているのだ。パズルのピースがレドンナム村へ集まり、そこで事件が始まり探偵が登場する──よくある事件のアプローチもアルテにかかると吸引力は倍増。繋ぎ目がなくシンプルでスムーズで飽きがこない。お馴染みの怪奇趣味やラストのプチ爆弾(?)など、スパイスの調合も完璧。似て非なるネタのコラボに成功した海外本格の秀作。

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    2009年10月04日
  • 赤い霧

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    クドイ(笑)けど、発想力が奇抜で豊かだなと思う。”フランスのディクスン・カー”とはまさに良い得て妙かと。先が読めてしまうところはあるけれど、それはそれで許せるし楽しめるって思わせるのがこの作者の一番の見せ所かな。『第四の扉』も必読。

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    2009年10月04日
  • 赤髯王の呪い

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     短めの長編1作と現在の所発表されている短編3作を収録されたもの。

     赤髭王の呪い
     思春期に見せる回想、時代とその場所における出来事をうまい具合に動機に結びつけ、犯罪を成立させている。これが賞(アルザス=ロレーヌ作家協会賞)を受賞したというのも、なんか分かるような気がする。

     短編も全て不可能犯罪。短いページに上手くまとめたもんだなぁ、と思う。3作の中では「コニャック殺人事件」が好みです。

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    2009年10月04日
  • 赤い霧

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    19世紀を舞台にした密室殺人事件モノ。なんだか黄金時代の本格を読んでいる印象がずっとあった。密室殺人のネタはまあまあだけど面白い。
    ただこれが中盤からがらっと雰囲気変わる。まさかこういう趣向で来るとは。「えっ?」と驚いたあとはドキドキしながら先を読み進めた。いや、すごかった。

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    2009年10月04日
  • 赤い霧

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    切り裂きジャックの話とは途中まで全然気づきませんでした。
    でも、異常者になってしまった原因がちょっと、安易すぎないかなあ、と思ってしまいました。
    なかなか、ぐいぐい読ませる力は
    感じました。

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    2009年10月04日
  • 第四の扉

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    ネタバレ

    密室×2は正直しょぼい…最近読んだ「スウェーデンのディクスン・カー」や「中国のディクスン・カー」と比べても派手さがまるでない。でもこのしょぼさがなんか嫌いになれない…というか好きだ。怪奇、憑依、密室、メタネタなどサービス精神旺盛なのに、ここまでコンパクトにまとまっている点も評価したい。(日本の作家だったら500ページは優に超えそうw)

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    2025年10月31日
  • 死まで139歩

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    フランス人作家による、古色蒼然たる本格ミステリ。
    いかにも本格ミステリ然とした雰囲気がとても心地よい。
    魅力的な謎に較べて、信じられないくらいバカバカしいトリックだが、そこも含めて愛すべき作品。

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    2025年07月30日
  • 第四の扉

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    ネタバレ

    初めてのお方でいいのかな?カーに憧れてミステリを書き始めたとのこと。密室、オカルト、入れ替わり芸などとにかく情報量が多い。名前もなかなか覚えづらいのも読みにくさアップでちょっと苦しかったかも。読み進めていくうちに、作中劇から実はノンフィクション、そしてラストまでガンガン展開が突っ走り、ラストの一言でとどめって感じ。読みやすくはあったけど、肝心の部分がちょっと分かりにくかったかなあ。頭の整理整頓を上手くやりたい。

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    2025年06月25日
  • 第四の扉

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    この物語は起承転転転転転。
    小さなトリックに注視すると、背後の思惑に気づかない。

    やられた!
    と思わせるラスト1行。
    爽快な気持ちで本を閉じ、さてお会計をと席を立つ瞬間、いやまてよ。。
    再度席を正し本を開いた。
    物語を辿ると、なるほど、もう一段階「転」があるのか。。私は最後まで犯人が誰か分からなかった。

    薦めてくれた友達に感謝する。

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    2025年04月30日
  • 金時計

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    1991年の初夏――劇作家アンドレは、子供の頃に観たサスペンス映画を探していた。スランプに陥っていたアンドレは妻のセリアの助言もあって、自身の創作の原点といえるほどの影響を受けながら、タイトルすら忘れてしまったその映画にもう一度向き合おうとしたのだ。隣人の勧めで、アンドレは映画マニアの哲学者モローを訪ね、彼の精神分析を通じて少年時代に立ち返っていく……。名探偵オーウェン·バーンズの2作目ということですが、1作目を読まずに先にこちらを読んでしまいました。名探偵?というほどの活躍でもなかった気もしますが…面白かったので良しとします。

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    2025年04月27日
  • 死が招く

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    ネタバレ

    火のついた鍋に頭を突っ込んだ状態で発見されるという、なかなかショッキングなシチュエーションで始まる。
    構成自体は良くあるミステリーだけど、犯人の動機が読者にしか知らされないなど、ちょっとひねった演出が面白い

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    2024年04月21日
  • 吸血鬼の仮面

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    オーウェン・バーンズシリーズ第5弾。
    バーンズが関わったロンドンの変死事件が、小さな村の吸血鬼騒動につながってゆく。煙とともに密室から消える怪人、鏡にうつらない男、1年以上腐敗していない死体。吸血鬼が跋扈しているとしか思えない怪現象の真相とは…
    吸血鬼と噂される外国の伯爵に嫁いだ友人のもとを若い女性が訪れるパートは、まさにゴシックホラーという感じ。無理やり感もあるが、怪奇現象が論理的に解明されていくのは楽しい。

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    2023年09月22日
  • 赤髯王の呪い

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    ネタバレ

    フランボワーズのブランデーってどんな味か気になる。すもも酒も味見してみたい。

    内容としては複数作品いくつかが「赤い霧」の草稿かと思わせる。普仏戦争とかドイツの支配とか、あの辺の歴史が、当事国と外国とでは全く意味が違うのだろうな。

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    2023年09月03日
  • 第四の扉

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    ネタバレ

    カーをリスペクトした作品だと知り読んでみた。
    舞台設定や雰囲気までならず、本作に登場する探偵役(?)ツイスト博士はカーのフェル博士がモデルらしい。モデルどころか、初めはフェル博士そのものとして書いていたそうで、著作権の問題でキャラを変えざるを得なかったという。

    立て続けに起こる謎に満ちた事件。
    当然、真相も犯人も分からなかったが、実はこのトリック、最近読んだある作品とそっくりで、後から思えばどうして気づかなかったのかと残念だ。

    二部構成になっていて、最後には驚くべき事実が明かされる。おもしろい構成の本だった。

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    2023年07月07日
  • 第四の扉

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    フランス人作家ポール・アルテの1987年のデビュー作。
    フレンチなのにノワールではなく本格ミステリーなのは、本人がジョン・ディクスン・カーのファンだから。

    洋館、屋根裏部屋、夜響く足音、奇術師、密室殺人、
    ……怪しげな霊媒師の女
    私にとって、どれも江戸川乱歩の香り漂うものばかり。

    こんな古風なムードでありながら、起きる事件はハチャメチャ。
    いつものように犯人のめぼしをつけようとしても、そのあとすぐゴチャゴチャにされてしまう。
    なぜこんな展開なのかは、読み進めるとわかるのだが、ネタバレなので✖

    実際あのまま終わっていたら、「なんじゃこれ!」に……危ないところでした。

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    2022年10月31日
  • 第四の扉

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    冒頭読み進めて、まず思ったのが「雰囲気が軽い!」ということでした。
    ギミックとしては、幽霊屋敷、密室殺人、交霊、生まれ変わり、etc…。
    意外な展開の連続で、実は何十年にも渡る殺人絵巻的なストーリーだったり、メタミステリぽかったりもします。

    重厚なゴシックミステリを期待すると肩透かしを食らうと思いますが、物語の仕掛け自体は楽しめました。

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    2022年08月17日
  • 死が招く

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    ディクスン・カー風の怪奇味こそ横溢しているものの、謎とその解明以外の、物語的要素をかなり思いきりよく切り捨てた感じのミステリ。この手の趣向は、本邦でもよく見られるが、大体がクイーンを崇めるというタイプの作家さんが好むもの。ディクスン・カーの名前を出す作家さんなら、犯人らの人物造形と、おぞましきその動機的なところに、本編と同じくらいに力が入るのがスタンダードな気がする。そう考えると、解説に密室好きなのに、あっさりした作風の大山誠一郎氏というのはぴったりかも。

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    2022年07月25日
  • 混沌の王

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    オーウェン・バーンズシリーズ第一作。
    毎年聖夜に現れて誰かの命を奪ってゆく「混沌の王」という仮面の怪人、交霊会、雪密室、とクラシックなガジェット満載の本格ミステリ。
    魅力的な謎に比べて解決はいろいろ都合がよすぎな気もするが、ワクワク感があって楽しく読めた。
    探偵役のバーンズがいまいち好きになれないのが残念。

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    2022年07月01日
  • 赤い霧

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    ネタバレ

    前半と後半の繋ぎが無理やりに感じられた。
    別々の本にした方がよかった。
    前半の雰囲気は好きだった。
    語り部の正体については予想してなかった人物だったので、新鮮な驚きをもって次に読み進める事ができた。
    犯人(1人目)が殺戮に至る経緯や心の動きは、この枚数では表現できておらず、不自然さしか感じなかった。
    被害者が即あんな犯罪を犯す人格に変貌する訳ないじゃん、としか思えない。
    また、この本の主役といえる犯人の方は、経歴などで途中から分かっていたが、そのサイコな心理を追う物語にするのか、パズラーの要素を追求するのか、どちらかに振った方が良かったのではないか。どちらも中途半端になってしまった印象しかない

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    2022年05月22日
  • 虎の首

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    ポール・アルテのツイスト博士シリーズは好きで何冊か読んできたが、この作品だけは後味が悪く、好きになれなかった。
    不可能犯罪や全体の雰囲気は悪くないが、ページ数の割にいろいろと詰め込みすぎで、其々に対する印象が薄まってしまったことと、最後の彼のやり方に対する疑問と違和感でモヤモヤしてしまう。

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    2022年05月12日