ポールアルテのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルから示唆されるように、過去に不自然な死が起こった書斎を舞台に、謎の事件が続く。
取り憑かれたように、書斎に閉じ籠り、物語を書き綴っていた、館の現当主の大叔父。
彼の突然の書斎から出た瞬間の死、書斎の暖炉のそばだけ絨毯が水浸し、疑問は解かれることなく、不審死のまま、書斎と共に封印されてきたが、当主の結婚を契機として、封印が解かれる。
この館を舞台として、2組の結婚により住むことになった人々の間で、書斎の開放とともに、過去の不審死を彷彿させるような事件が起こる。
登場人物の因縁めいた関係が絡まり、事件は暗礁に乗り上げるが、地元の警察署長から個人的な依頼を受けたロンドン警視庁警部が、犯罪学者 -
Posted by ブクログ
初ポール・アルテでどんな作家なのか知らないままに読んでいましたが、なかなか凝ったプロットとアジな演出な作品でした。
次々と起きる事件やおどろおどろしい物語背景から、なんかあの人の作風のモノマネっぽいなあと思っていたら、これはオマージュだったんですね!(^-^)
後半のトリックの種明かしで題名がそのまんまやんけ!と心のなかで叫んでいましたが(笑)、どうりでこれもオマージュっぽさを出していたんですね!(^-^)
最後はそのオマージュも勢い余って飛び出していて、これまたびっくり!!
半分ニヤニヤもんのラストなだれ込みでした!(^-^)
読み終わってみて、警部がみんなを集めての推理披露とか、一人称の語 -
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オーウェン・バーンズシリーズ。「世界七不思議」に見立てた七つの不可能殺人。芸術的にすら見えるその数々の事件と、次々と予告状を送り付ける大胆不敵な犯人。ミステリとしての楽しさがもうめいっぱいに詰まっている印象です。振り回される警察は気の毒ですが。
ただ、数々の事件のトリックは明かされてみると意外にシンプルで逆に驚かされました。解決編でテンポよく明かされていく謎に唖然茫然。そんな単純なことだったの? 中でも第四の事件の真相に一番びっくり。ていうか、そんなんありか! とぶっ倒れそうになりました(笑)。
そしておまけというには豪華すぎる芦辺拓「解凍された密室」。ツイスト博士と森江春策の共演という読みご -
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不可解現象をトリックに使った本格推理小説。ポール・アルテ著のオーウェン・バーンズというアマチュア探偵が謎を解くミステリ。体裁としてはシャーロック・ホームズやクリスティのような謎解き。本格好きにはしっくりくる作品。しっくりしすぎて、どこかで読んだ気になってしまうのが惜しいところか。特にロンドンを舞台にしているので、どうしてもホームズと比較したくなる(してはいけない)。作品自体は、「どのように不可解な謎を解くのだろう」とドキドキしながら読んだ。最後の謎解きで明かされる、犯人の巧妙な手口については、本格らしく天と地をひっくり返される驚きもある。さくっと読めるので、謎解きが好きな人におすすめ。
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「名探偵オーウェン・バーンズ」シリーズの第二弾。今回も不可能犯罪物で、雪の密室がメインの謎になっている本格ミステリ。
雪上の足跡トリックは、もう出尽くしたと思っていたが、まだこういうアイデアがあったとはね。アルテ氏、流石です。面白かったです。
ただ、今作は構成だけがあまり好みではなかった。過去と現代が交互に描かれていて、名探偵は過去の殺人事件にのみ活躍する。現代の方の謎と、それが過去の出来事にどう関わってくるかが見所でもあるのだが、その点は巧みと思えなかった。もっとシンプルに、名探偵が不可思議な謎に真っ向から挑む話が読みたいなあ。次回作はそうであって欲しい。 -
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この頃はさっぱり手にしない推理小説。帰郷している週末、土曜日の新聞の紹介を見て日曜日に昔通っていた本屋さんで見つけ実家の自分の部屋で一気読みです。40年前ははそうやってカーとかクイーンとか読んでいたな…と読書気分タイムトリップになりました。実は本書もディクスン・カーとか本格推理小説への深いリスペクトを感じます。完全密室とか交霊会とか道具立ても万全。あまりの不可能性に「あれ?実は…」とも思ったりするのですが、そのタイミングで構成自体にサプライズが用意されていて、そしてその後は、本格派の嫡流というだけにとどまらないような展開に翻弄されました。動機の設定も全く衝撃的だし、ラストの着地も「マジ?」です
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Posted by ブクログ
やっぱ殺人事件だけ起きてそれを名探偵が解決するだけじゃ味気ないよねぇ。だから裏にはラブストーリーは突然にあっても良い、ってこれじゃ火サスか。
でもコナンみたいに最初から最後までほとんど事件に関わってるのに何ら役に立たずに何人も死んでしまうような展開ではなく、その場に居合わせなかったからしょうがないぜよ、という探偵なら許せるよね。
そんなこんなで今回は好きなのに気持ちを伝えられずに紆余曲折を経て最後にはハッピーエンドというわりかしオーソドックスなストーリーにさりげなく殺人事件をまぶしてみたという、そしてその二人を結び付けるためになんか都合よく人が死ぬっぷりが、全体的に硬派な流れに反してちょっと適