本城雅人のレビュー一覧
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19年前に起きた事件の再捜査のために沖縄からきた刑事の調べを手伝うことになった伴刑事。
当時、沖縄のリゾートホテルで4人のロックグループバンド・メアリーのギタリストが、泥酔して部屋の浴槽で溺死した件である。
事件性を疑う報道もあったが、ドラッグを使用してたのが死因だったと週刊誌には出ていた。
バンドを組みギターを弾いていたことのある伴は、このミュージシャンに裏切られた気がしていたが、19年経った今になって、殺人事件として被疑者にあがっているのが、ボーカルだと聞き調べ始める。
ロックバンド「メアリー」のメンバー同士の絆や軋轢だけではなく、ロックバンドに魅せられ、人生のすべてを注ぎ込んだ男たちの -
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シューメーカー、靴を作る職人、という知らない世界を見せてくれるという意味では、非常に丁寧で面白い作品だった。
ロンドンに店を構える、人気の靴職人斎藤。
そんな斎藤に挑むのは、日本で靴の修理をしながら細々と靴作りをする若者の智哉。
前半の、隙がなく清濁併せのみながらのし上がっていく感じの斎藤が、後半はどんどん変化していく。
靴作りの大切さとして挙げられた「痛みと快適さ」をはじめとして、「写実と創造」「野心と礼節」など正反対と思われることが、実は同一線上にあったり、入れ替わったりが面白い。
職人、ビジネス、ミステリー、色々な味付けの、やはりハードボイルド小説という印象でした。 -
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ネタバレ産経新聞の駐ソ特派員であった斉藤氏をモデルとした「東洋新聞 土井垣」記者が,ペレストロイカ半ばのモスクワに赴任し,改革派と保守派の抗争,ベルリンの壁崩壊,保守派クーデターとエリツィンの台頭を経て,ソ連が解体されロシア共和国が設立されるまでの5年間を描く.
ゴルバチョフのペレストロイカは,国民の民主化運動よりも,むしろソ連構成国の民族運動に火をつけ,それはゴルバチョフらの予想を上回るスピードで進行し,グリップを失った共産党は70年間に及ぶ統治者の座から降りざるを得なくなる,
一方,赴任当初は当局発表の行間を読み取り,各方面を刺激しないような記事を作成することが特派員の業務であったのに対し,チェル -
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久しぶりの本城氏の作品。序盤・中盤にかけての展開、「友を待つ」という意味深な言葉に対して刑事側の攻防や元同僚の調査が進んでいくあたりは非常に引き込まれたが、結末はイマイチだった。少し話が込み入りすぎていて、頭が追いつかなかったのが大きい。小説というよりはテレビドラマ向きな内容かなと思う。
作者の作品の登場人物はリアリティがあり人間味があって非常に好きだ。今回も瓦間や石橋、新見はひと癖があるが日常にいそうな人物として書かれていると思う。ただ、刑事側の主人公である涼子が少し激しくて苦手だった。警察内部の不倫を糾弾する一方で、自分は夫と別れ、文句を言う割に子供のお迎えの時間には遅れ、自己正当化する -
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IT大企業の創業者・釜田芳人が、余命六か月という時に自叙伝のゴースト依頼を上坂傑にするというところから物語は、始まる。
以前にも三冊の著作を代筆した際に金銭でのトラブルがあり、断るつもりが…
結局、病床にある釜田を訪ね、1日1時間という約束で仕事を受ける。
取材を進めていくにつれ、驚きの真実が続々と出てくる。
前半は、少々ありがちなこと…(今ならではのITに力を入れて、起業家になるまでのいきさつ等)
なんて思いながらも中盤以降にはぐいぐいと引き込まれてしまう。
ちょっと予想できなかった真実に驚愕する。
個人的には、上坂傑に好感がもてなかったのが残念だった。