本城雅人のレビュー一覧

  • 二律背反
    ストーリもプロットも今一つだし、人格に問題ある主人公の言動には違和感も多々あるが、何といってもピッチャーという一筋縄ではいかない天邪鬼の典型のような人種が非常によく描かれている。そこだけで評価:4にした。複数のピッチャーに取材したとしてもここまで描けるのは相当なもの。筆者の描写力は流石だ。
  • 夢を喰う男 3勝を遂げた馬主、ノースヒルズ前田幸治の覚悟
    盛っているとか美談化しすぎという指摘もあるし首肯せざるを得ない部分もあるが
    オーナーブリーダーをまして現代で突き詰めるような人物を描こうとするなら、立ち振舞と業績との兼ね合いをフィクションとの境界線上に見出すような形になるのかなとは。

    競馬モノとして見知った競走馬の話が見れるものは貴重なので読んで...続きを読む
  • にごりの月に誘われ
    最初はかなり矛盾した内容に、どう収拾をつけるのだろうかと不安にもなる。
     最終的には、うまく収まったと納得できる。ほろ苦くはないラストは肯定したい。
     「善人」とは何なのかということを考えさせる。
  • 夢を喰う男 3勝を遂げた馬主、ノースヒルズ前田幸治の覚悟
    ノースヒルズ 前田幸治氏のノンフィクションになります。
    企業から馬主、牧場経営の歴史を知ると同時に、ノースヒルズ関連と競馬関係者がどうやってつながっていったかがわかる一冊でした。
  • 残照
    ただお手軽にストーリーを読みたいのならば、もう少しシンプルな小説をどうぞという感じ。
     たくさんの縦糸・横糸が巡らされている。ただ、ミステリーの読者ならば、これくらいはそんなにしんどくはないだろう。むしろよく組み立てられていると思い気がするのだが。
     それにしても、ジョッキーというのは、これほど過酷...続きを読む
  • にごりの月に誘われ
    とても興味深い内容で、話も複雑に絡み合って面白かった。ただ、最後のあたりがややこしくて、頭に入らない所があった。
  • にごりの月に誘われ
    厚顔なカリスマ経営者と、売れないノンフィクション作家のテンション低いやり取りから、次第にギアを上げてきてどこを目指しているのか分からない話に夢中になっている自分が居ました。
    誰にでも若いころが有り、紆余曲折有りながら、知らないうちに人生も終局に近づいてあら不思議、いったい自分は何の為に色々なものを犠...続きを読む
  • ミッドナイト・ジャーナル
    被害者女児死亡-。誤報を打ち、飛ばされた3人の新聞記者。さいたま支局の関口豪太郎、本社の遊軍記者・藤瀬祐里、整理部員の松本博史。7年後、児童連続誘拐事件が発生する。
  • 嗤うエース
    八百長ってよく聞く言葉だけど、チームスポーツとなると、実際に成功させるのは、なかなか計算通りには行かないんだろうなあ。八百長だったのか、違かったのか、グイグイ惹きつけられて読みました。こんな主人公には幸せになってほしい。
  • 残照
    元スポーツ新聞記者出身の作家さんの作品。ベテラン人気騎手が性分のおせっかいのせいで事件に巻き込まれていく物語。騎手の生活パターンや苦悩などが主軸にあり興味深く読むことができました。
  • 黙約のメス
    臓器移植に関する壮大な物語で、医学用語が頻出だったが外科医師、移植コーディネーター、病院経営者、医師会、厚生労働省の官僚、厚生族の代議士、医療ジャーナリストなどが登場し、それぞれの人間的な動きが克明に描写されており、非常に楽しめた.舞台は四国にある潮メディカルセンター(UMC)で鬼塚鋭臣医師が主役だ...続きを読む
  • にごりの月に誘われ
    余命僅かなカリスマIT経営者からの謎深い自叙伝の代筆依頼に係るミステリ小説。
    二転三転の展開に引き込まれて、夜更かしをして一気に読みきった。
    ミステリとしてとても面白かったけど、後味は悪いような良いような何ともいえない感じである。
  • 黙約のメス
    主人公である外科医の周辺の人物8名に焦点を当て彼ら、彼女からの視点で、この話が進む。其々の気持ち、主人公との関わりに触れながら、全体の道筋が明らかになっていく。作家本城雅人の中々の力作かもしれないと思いつつこの本を読み終えた。
  • 崩壊の森
    ゴルバチョフの壮大な夢と試み。ペレストロイカ、グラスノスチに代表されるソビエト連邦の行く方。そしてエリツインの野心。ゴルバチョフの失脚とエリツィンの台頭。やがてプーチンに引き継がれる。
    それをあたかも本当にいたかのような、その下の人物たちが動き、悩み、もがく。主人公の土井垣という記者ががむしゃらに情...続きを読む
  • 四十過ぎたら出世が仕事
    125お仕事小説は身につまされることが多いね笑。間違いがあってもやり直せることと取り返しのつかないことがある。その時に大事なのはやっぱり周りにどんな人物が居るか?ということかな。ねじまき直してもう一丁頑張りますか!
  • にごりの月に誘われ
    103企業の存続と親子のお話し。頭のいい人は色々考えてかえって墓穴を掘るんやなあ。この作者は心情や背景も丁寧に描いていて複雑な関係もスッキリと読めて嬉しい。次作にも期待です。
  • 傍流の記者(新潮文庫)
    同じ読書好きながら、好みが違う友人に薦められた一冊。

    大手新聞社の社会部を舞台に、黄金世代と呼ばれる6人の男達を描いた作品です。

    6人6様、得意なジャンルも違えば性格や仕事の仕方も異なるものの、40歳を過ぎ、それぞれがデスクとなり(1人は人事部長になる)、次期社会部長の座を争いながら、部下の育成...続きを読む
  • にごりの月に誘われ
    文系ミステリ。なぜこの人物はこんな依頼をしたのか、を最後まで考えさせられることになる。トリックに凝った理系ミステリは文章力に難があることも多いが、本作は読みやすかった。
    途中では各「〇〇の章」が文字通り、作中作に収録されている章で、後継の正当化のために読者まで騙されているのではなどと疑ったりもしたが...続きを読む
  • 残照
    途中から小説を読むというより、競馬ファンとしてジョッキーの過酷さのノンフィクションを読んでいる心持ちになった。元春は田原成貴で、潮田は聖奈ちゃんあたりがモデルか。ジョッキーの心情や日常が確り描かれていて、事件のエピソードの数々も小説としての面白さは増幅しているが、このラストはどうなんだろう。負けるこ...続きを読む
  • にごりの月に誘われ
    思わせぶりな展開に期待。予想が裏切られ、裏の裏が次々。ただ、「子どもを作る事が結婚の前提条件」はまったく理解出来ず、そのあとの展開腑に落ちないまま…。「人生なんて思い通りにはいかないよ」当たり前だけど、すべてを手にしたと見える成功者が呟くと説得力はある。