本城雅人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
かつて、「読んでから観るか、観てから読むか」という映画の宣伝文句があった。
読み手としては、映像が先では出演者とかのイメージが強く残り、原作を読むときの自由なイマジネーションが損なわれるので、「読んでから観る」派に与したい。
この小説も、近くドラマ化されるというので、先手を取って、読んでみた。
過去と現在の幼女誘拐殺人事件を軸に、話は展開する。
新聞記者と警察との間の関係者たちのいがみ合いや駆け引き。
他メディアとのスクープをめぐっての取材競争。
ライバルを支局へとたらいまわしさせる新聞社内の権力闘争。
さらには一面トップをかけての政治部と社会部との、臨場感あふれる丁々発止。
業界内部のあれこ -
Posted by ブクログ
かなり骨太な、社会派の一冊。
ときどき行く本屋さんで、店員お勧めの
気合いの入ったポップを見て購入。
滅多に読まない系の内容で、新鮮でした(^ ^
ストーリーは、新聞記者と警察・検察などとの、
狢と狸と狐とアナグマの腹の探り合いがメインかな(^ ^;
少女の誘拐事件とか殺人事件とかの話なのですが、
印象に残るのは泥臭い&男臭い人間関係。
作者が描きたかったのは、もちろんそこだろうし(^ ^
最後のオチは、「スカッと爽やか」とはいかないが、
まぁ、現実なんてそんなもんだろうな、という
妙なリアリティ(^ ^;
でも、最後の警察の発表は、7年前の事件に遡り、
そうしたら「すでに死刑を執行され -
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「球界消滅」では球団が消滅する危機に立ち向かう球団フロントを、「嗤うエース」では野球賭博をめぐるエースピッチャーと刑事との人間ドラマを描いた本城氏がサッカーを題材に描くのは日本代表の監督選考をめぐるドラマです。
他の本城氏の作品と同じく、プレーシーンの描写は少なく、選手自身はストーリーの中で存在感は大きくありません。しかし、日本サッカーの将来を考えて監督選考の最前線に立ち続ける主人公と、監督選考を自らの協会内権力闘争に利用しようとする協会幹部、協会幹部と癒着したマスコミなど様々な立場の登場人物が現れ、最後まで誰が黒幕なのか、誰が味方なのかハラハラさせながら最後まで読めました。
実際の代表監督選 -
Posted by ブクログ
プロ入り以来、常に勝ち数が負け数を上回り安定した成績を残してきたエース級ピッチャーの浪岡。しかし彼には八百長疑惑が付きまとう。和歌山の寒村から球界のスターにのし上がった浪岡の小学生の頃の姿を見かけた刑事の半沢は、小学生ながら地元の博打好きな大人と生々しいやり取りをする現場を目撃して以来、半沢の八百長疑惑を払拭できずにいた。果たして、浪岡は八百長に手を染めているのか否か。
浪岡を追い詰める浪岡の高校時代のチームメイト四之宮は高校時代に浪岡との確執を抱えつつ、浪岡の八百長疑惑に迫ろうとしていた。果たして、真実はいかに。
野球を題材にした小説ですがプレーシーンはほとんどなし。野球をめぐる暗部を生々し -
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再読しました。
ダークヒーローとも言える牛島の造形は見事だと思います。
日本プロ野球のステークホルダー相関を考え直してしまう。良書だと思います。
スポーツ小説でもあり、経済・企業小説でもあります。
一昔前、実際にパ・リーグで球団が消失し、1リーグ制が提唱されました。その時、ファンと選手会が反発し選手会が主導してストライキに突入しましたが、ファンを中心とした世論のほとんどは選手会を指示していました。
その様子は非常に感情的でポピュリズムと捉えられても仕方がない状態でした。
プロ野球は文化なのか?ビジネスなのか?
プロ野球球団にとってのステークホルダーとは誰なのか?
プロ野球球団の社会的目的 -
Posted by ブクログ
ネタバレフィクションということで読むと、メジャー好きにとっては素晴らしい作品。著者の取材力も光る。
一方で、現実の世界ではこんなにトラブルは起きないし、大事な仕事を一番下っ端のクラビーに任せることはないし、そんなに気軽に選手と出かけることもない。関連した業務を囓ったことのある人間の感想。
NYCでうだつの上がらない留学生の描写は秀逸。アメリカにはこんな感じの裕福な「苦学生」が山のようにいる。
前者で現実離れしているので星を3つにしようとしたが、大ファンの吉井理人氏の解説がうれしく星を1つ追加。続編が見たい気もするが、現実離れした話の連続になりそうなのでなんとも言えない。