赤松利市のレビュー一覧

  • 藻屑蟹
    除染作業員、原発避難民、東北の苦悩の一端を知る事ができたと思う。大好きな仙台、まだ訪れたことの無い福島。どちらも必ず行こう。
  • 救い難き人
    ザ·赤松利市ワールド!
    最初から最後まで独特な気持ち悪い世界をしつこくしつこく、これでもか!っと描き続けます。
    楽しめる方、そうでない方、一度は手にとってみては?
    読後の爽快感ゼロ、後悔感は...?
  • 救い難き人
    パチンコ経営を中心として、ありとあらゆる救い難い人が登場。そして救いようのないことの繰り返し。生まれながらにして救い難い人ではなく、差別が怪物たちを産んだのだと信じたいです。1字1句が突き刺さる小説でした。
  • 鯖

    誰しも心当たりがある、人間の心の裡に潜む汚さや黒さや醜さを抽出して娯楽性を兼ね備えた文学に昇華させている、という点において、作風は違えど西村賢太氏の著作にも通じるものを感じた。
    なんだかんだありながらも結局は乗り切って収まるんかなもしかしたら…と思いきや、中盤以降の新一の壊れっぷりがこちらの予測を遥...続きを読む
  • 藻屑蟹
    面白すぎて1日で読み終わる。
    地の文で、俺たちは虫けら以下だな。とか書いちゃう。「てにおは」の使い方も独特。そこがなんだか面白く読んでいて飽きない。
    そのせいか、リアリティがありドキュメンタリーを見ているかのよう。と思ったら著者は本当に除染作業員だった。
    痺れた。
  • 下級国民A
    赤松さんの作家デビュー前の壮絶な被災地生活。
    逃げれば良いのに抜け出せない、そんな状況がしかと伝わってきます。凄い本でした。
    私の同級生も派遣会社に就職後、未経験にも拘らず即、現場監督就任。入れ墨の入った方々をビビりながら指揮していたようで、ホント滅茶苦茶な状況だったようです。
  • エレジー
    赤松流大人の恋愛小説。
    この独特な気持ち悪い世界観が最高に心地よい!
    今回は特に温かい、人間味溢れる素敵な物語でした!
    バブル戦士とニューハーフの恋愛、
    還暦過ぎの漁師とフィリピンパブの女の結婚、
    13歳の捨て子と中年男性とのプラトニックな同居生活、
    の短編三作。
    怖がらずに赤松作品の門を開いてみて...続きを読む
  • 風致の島
    ぎらぎらとした南の島で、男と女と獣、血と体液と金と神と悪魔と欲望。ぐるぐるぐちゃぐちゃ絡みあって終始あつさを感じる。はじめから金脈にむかう船は泥舟なんだろうなと感じて読み進めるのがつらくなるけれど読まずにいられなかった。アオキも気づいていて船に乗らずにいられなかったのかも。ああ面白かったです!!!
  • 風致の島
    かなりアブノーマルで過激な話から始まり、ちょっとしんどいかなぁと思うあたりで本題が見えて来て、そこからはググっと惹きつけられ俄然面白くなって、気付けば最後まで読み切ってしまうという赤松ワールドの真骨頂な作品でした。

    今回の話はバリ島が舞台で、マフィアや国家プロジェクトという大きな話でハラハラドキド...続きを読む
  • 藻屑蟹
    どこか知らない世界のフィクションだと思いたい。
    でもこれが日本で起きてる現実を描いた物語なのだと思うと辛く目を背けたくなる。

    あの震災、原発事故はここまで人を変え、分断してしてしまっていたことを私は全く知らなかった。偽善的なのかもしれないが、私は近くて遠い安全な場所に身を置くことで、被災者や避難者...続きを読む
  • 藻屑蟹
    大型犬に散歩させられてるおじいちゃんの様な隅っこで背中をまげる老練なベース弾きが、コントラバスのゴツい弦を揺らして、間接照明が照らす空間を低く鈍く振動させる。
    たまたま入った店が、行きつけになりそうな一冊。
  • 藻屑蟹
    心を鷲掴みにされる感覚。内臓を蟹に掴まれたヤマメの気分。フクシマ事故や被災者について描かれているけれど、人間とはなんなのか、ということを深く突きつけられる。あつい魂がこもっている。夢中で読んでラストにはぐっときた。最後まで読んでもう1度、始めから高橋の爺さんとの日々を読むと、たまらない気持ちになる。...続きを読む
  • 藻屑蟹
    メッセージ性が強く、ストーリーとしても申し分ない。文章は荒削りだが、そのことがかえって切実さを感じさせることもあり、小説は技術より内容が大切だと改めて思わされる。最後の一行は、こんな終わり方があるのかとぞくりとなった。
    また、作中後半に以下の文がある。
    「どうして世の中は、こんな風にできているんだろ...続きを読む
  • 藻屑蟹
    さすが賞を取った作品です。非常に秀逸で飽きさせず一気に読んでしまいました。文章も上手いです。この作者の他の作品も読みたくなりました。
  • 鯖

    とっつきにくい設定かなと思ったけど、

    馴染みのない設定で難しい話かなと思いましたが、職業がなんであれ住まいがどこであれ、生き物としての人間はやはり男女でありお金であり快楽を求めてしまうのだなぁと、面白く読み終わりました。そう簡単に映像化できそうもないし、小説って強いなぁと思いました。赤松さんの作品、どんどん読んでいきたい。
  • 下級国民A
    赤松ワールド入門編に最適。将来、赤松研究書が出た日には初期必読書となるだろう。これまでに出版された「藻屑蟹」「鯖」「ボダ子」「らんちう」の原型的な出来事がそこかしこに簡潔に描写される。そして描写「されなかった」であろう詳細がこれからの作品で展開されることを思う。おそるべし。
  • 藻屑蟹
    初赤松。原発事故を題材にした人間ドラマ。すべてが真実なんじゃなかろうかと、感じる程の力強い作品。確かに批判もあるだろうが、私は推したい!星五つ。
  • 藻屑蟹
     人間とはまったく厄介な生き物だ。本書を読んでつくづくそう思った。
     「一号機が爆発した。セシウムを大量に含んだ白煙が、巨象に似た塊になって、ゆっくりと地を這った」
     本書の書き出しであるが、読み終えた後、あらためてここを読んでみると、著者の物語を紡ぐ巧みさにあらためて気づかされる。
     2011年、...続きを読む
  • 藻屑蟹
    東北で大震災、津波が起こり、原発が爆発した。その光景をテレビで見ていたパチンコ店の店長、木島は世の中が変わると思った。彼はその変化に期待し、愉快な感情さえこみ上げた。

    そして、数年後、彼に訪れた大きな変化。彼は崩壊した原発の利権に携わることになり、大金も手に入れた。身近な人が亡くなることもあった。...続きを読む
  • 藻屑蟹
     時たま、期せずしてホンモノにぶち当たることがある。
     読んでいて、久しぶりにその感覚を思い出した。
     これは、ホンモノだ。


     序章にて、福島第一原発が爆発する様子を見ながら「ザマアミロ」と呟く、福島県のとある市のパチンコ店店長の木島雄介が原発処理をめぐるカネに翻弄される姿を描く。

    「町に流れ...続きを読む