あらすじ
大西浩平は精神を病んだ15歳の娘・恵子と二人暮らしを始めた。部屋から出られない恵子につきっきり、仕事も放り出しての父子密着生活は、平穏で幸せな時間でもあった。しかし、恵子への欲望が見え隠れする主治医、ヒステリックな恵子の母親、浩平の愛人など、周囲の人々との関わりが、二人の前途に不穏な影を落としていく――。衝撃作『ボダ子』の前日譚!!
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Posted by ブクログ
赤松利市『女童』光文社文庫。
『ボダ子』の前日譚。タイトルの『女童』は「めのわらわ」と読む。
著者の実体験に基づく小説。仕事一辺倒で家庭を省みない親の身勝手さが娘の人生を狂わせ、上手くいっていた家族の生活をも破綻させる。『ボダ子』の前章という感じで、『ボダ子』の世界をさらにリアルに脹らませてくれる。
54歳の大西浩平は精神を病んだ15歳の恵子のために仕事を諦め、二人切りでの生活を始める。ある日、浩平はクリニックの主治医が秘かに恵子に手を出していることに気付く。
再び生活を建て直そうともがく浩平を悲劇が襲う……
身につまされるような物語。今は男もワークライフバランスなどという言葉を持ち出し、仕事より家庭を選ぶのだそうだ。そう言う男は、仕事もしないくせに権利ばかり主張し、給与が安いと不平をこぼすか、仕事より家庭だと虚勢を張るのだろう。時代は変わった。
本体価格680円
★★★★★