あらすじ
東南アジアでの巨大リゾート開発推進のため日本のスーパーゼネコンから現地役員として「島」に乗り込んでいた青木は、資金として投入された莫大な裏金の一部を着服して会社を離れ、計画が頓挫した後も島で隠遁生活を送っていた。現地で飼い殺しにされている元同僚の西村から、カジノを中心とする新たな開発計画の存在を聞いた青木は、その利権に食い込むため動き出す。
一方で青木は、島の男の二番目の妻になっていた日本人の女ミチコを「飼って」いた……。
金、酒、官能、暴力、逆転に次ぐ逆転……大藪春彦賞作家が描くすべてが“過剰”な物語。
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Posted by ブクログ
赤松利市『風致の島』講談社文庫。
人間の限りない欲望や穢れた心の内をあからさまに描いたピカレスク小説。
騙し、騙され、家族にも見放され、東南アジアで地獄の果てまで堕ちていく男の惨めさと悲哀。何時、どうなるか解らぬ一瞬先は闇のような、今の世の中をデフォルメしたような小説だった。
東南アジアでの巨大リゾート開発推進のため日本のスーパーゼネコンから現地役員として乗り込んでいた青木は開発に失敗し、日本に帰国させられ、関連会社に出向する。出向先は福島原発事故の除染作業を担う企業で、青木は下請企業から1億円余りの裏金を手に入れると、あっさり会社を辞める。
会社を辞めたことで、妻に三下り半を突き付けられた青木はかつて現地役員を務めていた島に住み着き、隠遁生活を送る。そこで、飼い殺しにされている元同僚の西村から、カジノを中心とする新たな開発計画の存在を聞いた青木は、その利権に食い込むため動き出す。
本体価格920円
★★★★★