赤松利市のレビュー一覧
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赤松利市『東京棄民』講談社文庫。
初の文庫書下ろし。
まさに今、日本が苦しめられている新型コロナウイルス感染禍を題材に描かれた世紀末近未来サバイバル小説。
リアリティを感じるストーリーであるが、少し欲張り過ぎた感じがする。
国民の自助と自衛に頼るばかりでワクチン接種の一本足打法以外に打つ手の無い政府の新型コロナウイルス対策。政府はスペイン風邪の時のように2年半程度で自然終息すると軽く考えていたのか。それとも集団免疫獲得という幻想を抱いているのか。
政府側近の人材派遣会社トップが労働者派遣制度を歪め、安価な人件費を変動費に変えたことから広がり続ける格差社会。新型コロナウイルス感染禍でさ -
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バブル末期の平成初期年代。
場所も違った場末の風俗にも、その不景気の予兆が訪れる。
新宿二丁目では、もう何人も”飛んで”いる。
北海道の寂れゆく離島には東南アジアからの女が流れ着く。
大阪の道頓堀に子どもが捨てられる。
彼ら彼女らの悲哀が込められた、平成初期の風俗街に焦点を当てる。
「ショコラ」
新宿二丁目のゲイバー、不況の煽りを食らって閉店が相次いでいた。
大吾は金融の世界で家庭も作らずに仕事に没頭し、遊ぶときは二丁目で盛大に金をバラまいていたが、不況の気配を感じて自分の得意な領域のコンサルとして独立する。
なじみの店でNo.1を争うカスミが自分の店を持ち、カスミには -
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2021年、19冊目は、3年連続、この時期に読む(文庫の刊行ペースがそぅなのか?)、赤松利市。
千葉の海に面した旅館、望海桜。その総支配人が殺された。犯人は、従業員と元従業員の六人。
『藻屑蟹』『鯖』そして、今作が『らんちう』。水性生物括り。と言う冗談は、さておき、今作も社会の歪みの狭間や、下側にいる人々が展開の核を成す。
まづ、驚いたことに、全編そのパートの主人公の主観、一人称で描かれている。
「人はそれぞれ正義があって」何て、どこかで聞いた歌詞を思い浮かべたりもするが、六人の犯人達のベクトルが合致した先に「総支配人殺害」があったのだろう(もちろん、異分子的存在もあったし、果たす役割 -
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2020年、33冊目は、約1年振り、『藻屑蟹』以来の赤松利市。
「海の雑賀衆」一本釣りに特化した游漁船団。時代の変化に呑まれ、船頭、大鋸権座が率いるのは、オンボロ漁船一隻、乗組員四名だけである。現在は日本海の孤島を根城に、割烹料理屋に魚を卸すことで、糊口を凌いでいた。そんな彼らに、ビッグビジネスの話しが舞い込む。
フォーマットは『藻屑蟹』と似た「欲」にとらわれた人間の物語なんだが、コチラは狂気的、デカダンス型。よもや、こんな結末になるとは、予想出来なかった。
ストーリーの緩急。そして、中盤以後は一気に加速する展開。ソコに癖の強いキャラが絡んでくる。
『藻屑蟹』より、読者を選ぶし、評価も -
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東日本震災後の復興特需に群がる人間が描かれた「藻屑蟹」「ボダ子」は、あくまで小説だった。
本書は、復興特需に乗っかろうとして、乗り損ねて住所不定無職となった筆者の随筆である。
かつてバブル時代にはゴルフコースのコンサルタントとして120人の従業員を率いていたが、バブルとともに会社は弾けた。
再起をかけて乗り込んだ東日本震災後の東北だったが、そこでは日雇いの土木作業員に揉まれる日々だった。
復興ビジネスの裏表を知り尽くし、そして最後には限界に気づく。
気が付いた時には下流国民へ。
まもなく震災から9年、日本という国自体の下への流れが止まらない。 -
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ネタバレオーディブルで。福島の原発と除染に関連した話。
除染作業員の世界、金の流れ、震災後の歪み、そういう大きな圧には本物の迫力がある。
違和感があったのは、出来事そのものではなく、それに対する人物の心の動き方だ。人を殺すこと、友人が死ぬこと、大金を手にすること、自分が加害者になること、自分が被害者になること。それぞれの場面で、登場人物たちはちゃんと悩み、苦しんでいる。罪悪感も喪失感も書かれている。けれど、その苦しみがリアルに迫ってくるというより、「苦しんだ」と書かれているように感じた。感情は説明され、出来事は興味深いが、読者としてその苦しみの中に入る感じは薄かった。
特にマキという女性人物にはか