赤松利市のレビュー一覧

  • 鯖

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    2020年、33冊目は、約1年振り、『藻屑蟹』以来の赤松利市。

    「海の雑賀衆」一本釣りに特化した游漁船団。時代の変化に呑まれ、船頭、大鋸権座が率いるのは、オンボロ漁船一隻、乗組員四名だけである。現在は日本海の孤島を根城に、割烹料理屋に魚を卸すことで、糊口を凌いでいた。そんな彼らに、ビッグビジネスの話しが舞い込む。

    フォーマットは『藻屑蟹』と似た「欲」にとらわれた人間の物語なんだが、コチラは狂気的、デカダンス型。よもや、こんな結末になるとは、予想出来なかった。

    ストーリーの緩急。そして、中盤以後は一気に加速する展開。ソコに癖の強いキャラが絡んでくる。

    『藻屑蟹』より、読者を選ぶし、評価も

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    2020年11月18日
  • 鯖

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    日銭暮らしの漁師たちに舞い込んだビッグビジネスのチャンス。うまくいくかに思われた販路拡大の計画は金と欲にくらんだ事から狂気へと変わっていき……

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    2020年08月08日
  • 藻屑蟹

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    当たり前の日常が崩れ去ったあの日から生まれた、もしくは表面化した格差・偏見・閉塞感。
    大金を目の前にするとそれを得た者も得られなかった者も本性がむき出しとなる。
    綺麗事の裏に隠された生々しさ。見てはいけないものを見てしまった気分になった。

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    2020年03月20日
  • 藻屑蟹

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    Fukushima50/原発作業員/除染作業員というワードが飛び交う、震災をきっかけとする泥臭いような埃っぽいようなじめっとした話。どこからがフィクションなのだろう。どことなく「うなぎ鬼」っぽい。それにしても著者の経歴も負けず劣らず。

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    2020年03月18日
  • 下級国民A

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    ショッキングな現実。作者の経験は特殊ではなく、時代を先行しただけ。これから日本はこんないきあたりばったりな現場だらけの国になるんだろうな。

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    2020年03月16日
  • 下級国民A

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     東日本震災後の復興特需に群がる人間が描かれた「藻屑蟹」「ボダ子」は、あくまで小説だった。
     本書は、復興特需に乗っかろうとして、乗り損ねて住所不定無職となった筆者の随筆である。

     かつてバブル時代にはゴルフコースのコンサルタントとして120人の従業員を率いていたが、バブルとともに会社は弾けた。
     再起をかけて乗り込んだ東日本震災後の東北だったが、そこでは日雇いの土木作業員に揉まれる日々だった。

     復興ビジネスの裏表を知り尽くし、そして最後には限界に気づく。
     気が付いた時には下流国民へ。

     まもなく震災から9年、日本という国自体の下への流れが止まらない。

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    2020年03月09日
  • 藻屑蟹

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    除染作業員をやっていた経験を活かしての描写かと。。フィクションではあるが、この物語の中の事が本当にあったら、被災者、被災地に関わる人は、かわいそうだ。
    上級国民との言葉があるが、一番底辺で暮らしている人の弱さや憤りを描いている。

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    2019年12月14日
  • 藻屑蟹

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    2019年、26冊目は、新設の大藪春彦新人賞受賞作。先週までの不調がなかったかのような、一息、一気読み。

    東日本大震災、福島の原発事故。その様子をテレビで見ていた木島雄介は、「何かが変わる」と感じていた。震災から六年が経ち、木島はパチンコ屋の雇われ店長ではあるものの、将来の見通しもないまま、仕事に忙殺されるような日々を繰り返すだけだった。そこに、高校時代の友人から、東相馬市の除染作業員となる誘いが舞い込む。

    「一号機が爆発した。」という書き出しから始まる物語。ノッケから、なかなか衝撃的だ。

    地方の閉塞感に苛まれる青年、木島が、除染作業の裏側に見たモノ。物事の表と裏。隠蔽、癒着、そこで動く

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    2019年10月22日
  • 藻屑蟹

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    原発事故が残した様々な問題が書かれている。エンタメとしても面白い。主人公がミイラ取りがミイラになるんではないかと思っていたけどそうではなかった。ラストシーンは、まだ続きがあるのかとページをめくって確かめた。なんとも言えないラストシーンで、どう受け取るべきなのか考えた。

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    2019年09月04日
  • 藻屑蟹

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    原発事故、震災を経た人々の情と利の物語。
    利が生む安定と分断。情が手引きする救いと成し得ない理想。この狭間で揺れ動くハードボイルドなストーリーラインと文字通り「救いようがない」エンディングにニューシネマ的なロマンと切実なリアルを感じた。神代辰巳に映画化して欲しい。

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    2019年07月09日
  • 藻屑蟹

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    東日本大震災から8年が経ち、人々の意識からもあの大惨事の記憶が薄らいでいると思う。当時の日本を覆い尽くす暗い雰囲気を忘れたい気持ちは自然な事ではあるが、今も先の見えない福島原発の廃炉作業が続いており、震災のダメージから回復が出来ていない人もいる事は心に留めておかなければならない。
    震災後の各補償問題について当時、色々な情報が流れていた事を思い出した。最終的には補償イコール金銭となるが、実際の金額と向き合うと人の別の面が表れてくる。
    高額な補償金額、より多くの補償を望む気持ち、その補償を受け取る人々への嫉み、被害者意識などが交差してより嫌な雰囲気になったと思う。
    この作品はストーリーの展開の中で

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    2019年05月30日
  • 藻屑蟹

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    災害の裏で、利権を狙う者や立場のために分断を促す者、被害者ビジネス等、まあ人間の醜さのオンパレード。
    現実的なのに、陰謀論めいた遠い世界の話にも見える不思議な距離感。
    文章は癖がなく、展開も淡々としているが熱量は高く、1日で読み切れた。
    もっと派手に人が死ぬような反社や国家陰謀レベルの話かと思っていたのでそこは拍子抜けだったが、むしろ抑制された描写が現実感を強めている感じ。

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    2025年08月14日
  • らんちう

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    現代版の羅生門のようにその人により真実はいくつもあるという話しに、自己啓発セミナーがいかに人を洗脳する、それに赤松さんの得意領域の貧困に人たちが簡単にトラブルを起こし、巻き込まれるのかという話しです。ランチュウが健全な幼魚を間引いて、一番奇形なものだけを成魚にするという話しはいろいろ考えされられました。

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    2025年06月29日
  • 藻屑蟹

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    赤松利市さんの本は何冊か読みました。今まで読んだ本の中では、かなり控えめな内容。でも、被災地の現状が書かれてあり、こんなことももちろん起こるだろうなあと思いました。

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    2025年05月13日
  • 藻屑蟹

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    話題になっていたホームレス作家さんのデビュー作。原発事故に詳しくなかったので生々しい描写に引き込まれました。

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    2025年04月19日
  • 鯖

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    先に読んだボダ子があまりにも衝撃的だったので期待大でした。これまた一気に読みました。赤松さんの話の中には幸せな人はいないのか。

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    2025年01月19日
  • あじろ

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    読みやすかった
    こんな感じの馴染みの店があったら
    楽しそうだなと思って読んでました
    事件になった背景には
    色々考えさせられた
    行政がもっと行き渡っていれば
    こんなきっかけで事件が起きることもなかったのかなと思いました

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    2024年10月08日
  • 東京棄民

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    08月-14。3.0点。
    コロナ禍、「東京株」という変異株が発生し、東京が「逆ロックダウン」に。
    バイトでマン喫生活の主人公、東京に取り残され。。。

    一気読みした。この作家らしい「壊れ方」の人物描写が良い。

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    2024年08月30日
  • あじろ

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    大好きな赤松利市さんゆえに新作をいつも楽しみにしていますが、
    今作は赤松作品の味が薄く、というよりも無味無臭、
    赤松作品ならではの、どぎつく、何故そんなことを・・・というような気持ち悪さも無く、
    ・・・・・
    ただ、不思議でヘンテコな世界観はあったかな?

    また次の作品を楽しみにしています。

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    2024年08月18日
  • ボダ子(新潮文庫)

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    ぐぇぇぇぇぇしんどいものを読んだ。しかし一気に読ませる筆力がすごい。そうだろうね、実話なんだろうなと思う。家族を顧みず仕事に没頭する姿、怖いけどあるあるだとも感じてしまう。いや無いか…いやすごい本。「人に薦めたいけど薦めたくない」という紹介文も見かけたが、納得。ぐぅぅぅいろいろつらい。

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    2024年02月04日