赤松利市のレビュー一覧

  • らんちう
    千葉にあるリゾート旅館で、総支配人夷隅登が殺された。従業員から通報があり、警察が駆けつけると、そこにいた6名の従業員全員が犯人だという。

    本書は、6人の従業員らがその犯行を語ることから始まり、警察での取り調べでそれぞれの事情を詳細に語り、さらに周囲にいる関係者たちが参考人として供述、そして、受刑者...続きを読む
  • 藻屑蟹
    特に急展開!という訳でもないのに、終盤は主人公の心理描写にドドドッと惹きつけられた。
    震災と原発事故の被災者に対する支援金などの闇部も描かれ、どこまでが事実なのかはさておき、賛否両論になる事を厭わず描き切った作者の覚悟は凄い。
    ただ個人的にはラストシーンがちょっと尻切れトンボに感じる。アレが良いとい...続きを読む
  • 救い難き人
    エンタメ性高い赤松利市作品
    「ボダ子」「らんちう」「藻屑蟹」「犬」のほうがパンチもバイオレンスも強い
    ミン・ジン・リーの「パチンコ」を読んだ時
    赤松利市さんも書けば良いのにと思った
    Twitterでも褒めておられたので、たぶんパチンコ業界を舞台の在日韓国人の小説を書かれると確信してた
    「パチンコ」は...続きを読む
  • 藻屑蟹
    福島原発事故後のメディアがあまり報じない現実。
    地震や津波に直接被災していなくても心が壊されてしまった人達もいたんだな・・・。
  • 下級国民A
    著者の土木建設会社勤務時代を中心に自身の体験を率直にかつ平易な文で記した自伝的作品。
    まず、震災の復興作業に集まった作業員達の粗暴さと無教養さに驚くと同時に、土木作業の技術と適性なコミュニケーション能力の両方を備えていなければまともな職場で働くことはできないのだなと感じた。また、国の除染事業も美味し...続きを読む
  • ボダ子(新潮文庫)
    実体験にもとづく衝撃作とあったので主人公は著者近影のイメージで読みました。全体的に自分が今まで全く見てなかった視点や考え方で物事が進んでいってハッとなることが多かったです。「何とかなる、何とかなる」が「何とかせな、何とかせな…」に変わるのはゾッとしました。
  • ボダ子(新潮文庫)
    家族を省みることなく仕事にのめり込んだ末に、娘を境界性人格障害発症まで追い詰めた男の、起死回生をかけた物語。精神障害や東日本大震災の話が出てきて興味深かったが、読んでいる間は気持ちが暗くなる一方だった。ハードボイルドという区分が合うのかどうか分からないが、大藪春彦賞を獲っている作家なので、そんな感じ...続きを読む
  • ボダ子(新潮文庫)

    境界型人格障害を病を患った娘と、被災地で一攫千金のために踠く父親の話し。

    いやーな人たちしか出てこないで
  • ボダ子(新潮文庫)
    バブル期に大いに働き大いに稼ぎ大いに遊んだ主人公。それでも家庭を持ち子を持つ。

    大人になった頃には既にバブルが弾けていた私には理解不能な価値観の人物たち。
    所謂グズ。グズでも本を読み働き夢を追いかける…だけれども、やっぱりグズ。
    私を育ててくれた大人たちがバブル期を経験してもこんな風にならなくてよ...続きを読む
  • 饗宴
    10月-17。3.0点。
    性的欲求の無い、定年を迎えたOL。送別会で訪れたショーパブで、両性具有の女性に出会う。
    新しい世界に耽溺していき。。。

    相変わらずの赤松ワールド。ラストは少し肩透かし。
  • らんちう
    支配人が殺される。
    若女将との結婚から始まり、旅館の改革、リストラ、奉仕活動、啓発セミナーのまねごとの懺悔をする会等いろんなことをやって、評価が悪かった人物。

    だが、蓋を開けてみれば、若者社員と古参とでは意見が違う。働いている者と、リストラされた者、内部・中枢にいた者と、旅館そのもの、支配人の評価...続きを読む
  • 下級国民A
    著者の経歴が書いてあった
    ゴルフ場の管理、アメリカやイギリスではそんなに優遇されるのかとびっくりした。
    寄せ集めの作業員、底辺の人はそのレベルなのかと思った。まぁ私も底辺で下級国民だけれども
    六文銭の男が気になった
  • 東京棄民
    心がザワザワする。
    何故かというと今、またコロナの波が押し寄せてきているから…。

    収束したのか、したのか…いやまた感染拡大しているではないかの状態で…。

    この物語は、コロナの影響で勤務先を解雇され、マンガ喫茶暮らしとなった中年男性の行く末である。

    何度目かの感染爆発が起き、その都度ウイルスの名...続きを読む
  • ボダ子(新潮文庫)
    最終章が面白かった。
    「爾来小説を書いて、~」を読んだとき作者とつながった感じがした。
    男の周りには絶えず女性がいた。
    個性豊かな女たちは知らず男を追い詰めていく。
    転落ぶりが面白かった。
  • ボダ子(新潮文庫)
    へぇ〜〜

    ↑あとがきを読んでつぶやいてしまいました。

    平気で嘘をつくのも、
    お金に執着するのも、
    現実逃避グセも良くないんだけど、

    被災地行って、今までの自分を変えられるかもしれないと期待することは、人間らしい心を持っている証拠かもしれないなぁと思いました。

    それにしてもいろいろホラーな内容...続きを読む
  • 東京棄民
     著者初の文庫書下ろし。

     コロナ禍が続く日本、オミクロン株の次に流行したのは致死率が高い”東京株”だった。
     政府は県外移動ではなく、全東京都民を疎開させる措置をとった。
     「東京逆ロックダウン」と呼ばれる強硬政策により、東京はもぬけの殻となった。
     しかし、その枠から漏れる人間も存在した。

    ...続きを読む
  • エレジー
    平成のバブル時代の歓楽街の男と女を描いた赤松利市さんの新作は、ノワールっぽい恋愛小説?。新宿でニューハーフのショーパブに嵌る独身男の物語、フィリピンパブの女と結婚した北海道の漁師の物語、大阪の道頓堀に置き去りにされた少女を拾った中年男の物語といった感じの悲哀に満ちた3つの短編が収録される。これまでの...続きを読む
  • 東京棄民
    おそらく、ほぼ人が居なくなって封鎖された東京を描きたかったんだろうけど、東京が逆ロックダウンされる過程がぼんやりしていて、まるでリアリティがない。あと一応コロナ小説として書いてるけど、物語的にコロナである必要がない。
    あと主人公にまったく感情移入できないのも、読んでてつらいかな。これはまぁ、とりあえ...続きを読む
  • ボダ子(新潮文庫)
    ボーダーの娘の話と思っていたが、実際は娘よりもその父親を描いた物語。欲望に満ち、傲った人間が堕ちていく様は、多くの小説の題材としてあるが、東日本大震災の復興の裏側が覗かれ、奇妙な生々しさに溢れている。悲惨な内容を滑稽さで中和しているが、ノンフィクションの部分もあるということで、主人公の周りの人間が不...続きを読む
  • ボダ子(新潮文庫)
    お金があったって、幸せになれるわけじゃない。
    もっともっと、そうやって欲を出して失敗する。

    無責任な大人はたくさんいるもんだ。
    相手のことを慮れずに、自分の欲には貪欲なまでに溺れる。

    けどしっぺ返しは必ず起こるよな…とこの小説を読んで思った。
    相手が怒っていることも、自分には関係のないことだと決...続きを読む