赤松利市のレビュー一覧

  • 鯖

    役立たずはいらない。
    恐ろしい。
    さいご、母の言葉は重いなと。
    展開のテンポがよくワクワクしながら読めた。
    楽しかった!
  • 藻屑蟹
    東日本大震災と原発事故を題材に人々の分断が描かれていて、一筋縄では行かない本だった。
    その地に住む者でないと分からないような心情も事情もあり、著者の除染作業員の経験がこの物語を生んだのだと思うが、知らない視点を与えられ驚くことが多かった。どれも他人事じゃない。圧倒される凄みがある。特にラストの迫力に...続きを読む
  • 風致の島
    27これまでに作風とは違った国家間や大規模ゼネコンのしがらみなど、背景を感じさせる。30年という月日は大きな差になるのか、それとも進歩しない主人公の勘違いか。深い一作でした。
  • 風致の島
     過去の成功体験から自分の力量を誤って、最後には破滅する男の話。
     もはやこの展開は、赤松利市の独壇場だ。
     だって、キャラクターの立場・職種は違えど、本人の経験によるものだから重みが違う。
     
     今回は、東南アジアのリゾートの島の村の一角で残りの人生を過ごしている男の話。
     青木はかつてスーパーゼ...続きを読む
  • 鯖

    2020年、33冊目は、約1年振り、『藻屑蟹』以来の赤松利市。

    「海の雑賀衆」一本釣りに特化した游漁船団。時代の変化に呑まれ、船頭、大鋸権座が率いるのは、オンボロ漁船一隻、乗組員四名だけである。現在は日本海の孤島を根城に、割烹料理屋に魚を卸すことで、糊口を凌いでいた。そんな彼らに、ビッグビジネスの...続きを読む
  • 鯖

    日銭暮らしの漁師たちに舞い込んだビッグビジネスのチャンス。うまくいくかに思われた販路拡大の計画は金と欲にくらんだ事から狂気へと変わっていき……
  • 藻屑蟹
    当たり前の日常が崩れ去ったあの日から生まれた、もしくは表面化した格差・偏見・閉塞感。
    大金を目の前にするとそれを得た者も得られなかった者も本性がむき出しとなる。
    綺麗事の裏に隠された生々しさ。見てはいけないものを見てしまった気分になった。
  • 藻屑蟹
    Fukushima50/原発作業員/除染作業員というワードが飛び交う、震災をきっかけとする泥臭いような埃っぽいようなじめっとした話。どこからがフィクションなのだろう。どことなく「うなぎ鬼」っぽい。それにしても著者の経歴も負けず劣らず。
  • 下級国民A
    ショッキングな現実。作者の経験は特殊ではなく、時代を先行しただけ。これから日本はこんないきあたりばったりな現場だらけの国になるんだろうな。
  • 下級国民A
     東日本震災後の復興特需に群がる人間が描かれた「藻屑蟹」「ボダ子」は、あくまで小説だった。
     本書は、復興特需に乗っかろうとして、乗り損ねて住所不定無職となった筆者の随筆である。

     かつてバブル時代にはゴルフコースのコンサルタントとして120人の従業員を率いていたが、バブルとともに会社は弾けた。
    ...続きを読む
  • 藻屑蟹
    除染作業員をやっていた経験を活かしての描写かと。。フィクションではあるが、この物語の中の事が本当にあったら、被災者、被災地に関わる人は、かわいそうだ。
    上級国民との言葉があるが、一番底辺で暮らしている人の弱さや憤りを描いている。
  • 藻屑蟹
    2019年、26冊目は、新設の大藪春彦新人賞受賞作。先週までの不調がなかったかのような、一息、一気読み。

    東日本大震災、福島の原発事故。その様子をテレビで見ていた木島雄介は、「何かが変わる」と感じていた。震災から六年が経ち、木島はパチンコ屋の雇われ店長ではあるものの、将来の見通しもないまま、仕事に...続きを読む
  • 藻屑蟹
    原発事故が残した様々な問題が書かれている。エンタメとしても面白い。主人公がミイラ取りがミイラになるんではないかと思っていたけどそうではなかった。ラストシーンは、まだ続きがあるのかとページをめくって確かめた。なんとも言えないラストシーンで、どう受け取るべきなのか考えた。
  • 藻屑蟹
    原発事故、震災を経た人々の情と利の物語。
    利が生む安定と分断。情が手引きする救いと成し得ない理想。この狭間で揺れ動くハードボイルドなストーリーラインと文字通り「救いようがない」エンディングにニューシネマ的なロマンと切実なリアルを感じた。神代辰巳に映画化して欲しい。
  • 藻屑蟹
    東日本大震災から8年が経ち、人々の意識からもあの大惨事の記憶が薄らいでいると思う。当時の日本を覆い尽くす暗い雰囲気を忘れたい気持ちは自然な事ではあるが、今も先の見えない福島原発の廃炉作業が続いており、震災のダメージから回復が出来ていない人もいる事は心に留めておかなければならない。
    震災後の各補償問題...続きを読む
  • 藻屑蟹
    第一回大藪春彦新人賞受賞作。

    木島雄介は飲み屋街にあるパチンコ店の店長。
    東日本大震災、50キロと離れていない福島第一原発で爆発が発生する。
    何故か雄介は愉快な気持ちになっていた。
    何かが変わる。変わらざるを得ない。

    そんな中、高校時代の同級生、純也から除染作業の仕事を持ちかけられる。
    その月給...続きを読む
  • ボダ子(新潮文庫)
    ぐぇぇぇぇぇしんどいものを読んだ。しかし一気に読ませる筆力がすごい。そうだろうね、実話なんだろうなと思う。家族を顧みず仕事に没頭する姿、怖いけどあるあるだとも感じてしまう。いや無いか…いやすごい本。「人に薦めたいけど薦めたくない」という紹介文も見かけたが、納得。ぐぅぅぅいろいろつらい。
  • 藻屑蟹
    この作者は、現時点での最新作「救い難き人」から読み出し、受賞して最初に話題となった本作を読んだ。かなり遅咲きのデビューも、初期の文章はまだ若く無駄や邪心の見える初々しいものでした。ただ、ある種の使命感を感じるだけで無くエンタメ性も考えられた文章です。
  • 救い難き人
    赤松さんらしい振り切れた物語。ストーリーは圧倒的やけれど結局何やったんかな、と言う感想。誰が主役で何を目指し何が間違っていて何が正しかったのか。最後まで読んでも良くわからんかった。けど面白く一気読みでした。
  • 東京棄民
    文庫書き下ろし。
    まさか、赤松作品に悪と対峙するヒーローが登場するとは・・・!
    とは言っても、45歳で彼女いない歴45年、定職無し、マンガ喫茶住まいの冴えない男なのだが・・・
    今作は、氏の作品に期待する、キモチ悪い・狂気的な・読むのが嫌になるような、ドンヨリ暗い世界観、
    からは遠のいてしまった作品で...続きを読む