赤松利市のレビュー一覧

  • 藻屑蟹

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    (Audibleで聴取)
    今まで全く気づかなかった原発行政の闇に驚かされました。登場人物に中に本当の悪人は存在せず、誰もが同情すべき事情があると感じました。

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    2026年09月14日
  • 藻屑蟹

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    すごく面白かった。怖かった。
    権力、金、弱いゆえの当然の権利に、本流に巻き込まれてしまう。
    自分の気持ちを大事にしたいと思いながらも金を前にしては何も反抗できず流されてしまう様子、特にATMに記帳することに平静を保ったふりをしながら朝から何も手につかない、車をわざとゆっくり走らせる描写などはリアルでよく分かる心情だと思った。
    原発そのものも、その裏も、ここまで人を変えてしまうのって、恐ろしいと思った。
    語彙力小学生笑

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    2026年09月01日
  • 鯖

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    最後まで一気に読んでしまいました 、途中 かなり描写の激しいところもありましたが これほどのめり込めるのもなかなかないです!
    次々に変化する内容がとっても描写がうまくて 引き込まれた

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    2026年07月30日
  • 藻屑蟹

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    これがデビュー作だなんて本当ですか!?
    文章がめっちゃ上手かったです!
    テーマは東日本大震災です
    そのためトラウマがある人は読むのを控えた方が良いと思います

    福島原発の除染作業を描いた物語でした
    金と利権について大変リアルに描かれています
    それに翻弄される一般市民たちの哀れな末路がしんどい…
    震災で1人生き残った者の苦悩についても触れられています
    全員がこうなるわけではないけれど、少なからずの人達が自暴自棄になったと思わされる説得力がありました
    大きな金か動く場所には多くの闇が蠢いている
    それをしっかりと描かれています

    映画化されるようですね
    どんな作品になるのか期待です

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    2026年07月15日
  • 藻屑蟹

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    ネタバレ

    フィクション、ノンフィクションの点はおいておいても凄まじい物語だった。新しい視点や価値観を教えて貰えるような。単純な救いでは終わらないのも良かった。テーマは重いのにさくさく読めた。この作者さんの別の本も読みたい。

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    2026年01月11日
  • 下級国民A

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    ネタバレ

    石巻や福島といった被災地でのビジネスを行った著者のエッセイ。
    土木作業や除染作業での壮絶な体験が述べられている。

    仕事も辛いが、とにかく人間関係が酷い。
    出てくる登場人物のほとんどが性格が悪い。
    しかし、妻と娘に送金するために収入を失うわけにはいかない。耐えなければならない。
    その悲哀が『昭和枯れすゞき』の歌詞や桜を見る会問題で答弁した官僚への同情という形で示されている。

    様々な愉快というよりは不愉快という方が明らかに適切な登場人物の中で、印象的なのがベテラン土木作業員Kだ。
    彼は幼稚かつ陰湿な人間で、著者を虐めて苦しめている。
    土木作業をしていた頃の著者にとって最悪の存在だったK。しかし除染作業のため福島に移った著者が重機オペレーターを探した時には、優秀なオペレーターとして救世主となるのだ。
    とはいっても性格が悪いのは変わらない。実際、寝タバコで宿舎(禁煙)に設置されていた新品のカーテンを燃やすなど、トラブルの元になっておる。
    Kは性格が悪い。人格破綻者と言っても過言ではないレベルで、口の悪さゆえにチームワークに大きな問題を抱えている。
    しかし仕事ができる。万能の作業員であり、仕事が早い。段取りにも長けており、頭の回転もかなり速そうに見える。
    仕事ができる人間は仕事以外も優れている。そんな通念に対する生きた反証がKなのだ。いくらできる人でもKと一緒に働きたい人間はいないだろう。

    この本で特に印象的なのが著者ら土木作業員や除染作業員の悲惨な扱いである。
    「おまえたちのような下賎の者を、あのお方に見せるのは目の穢れであるが、(中略)決して手を止めたり、顔をあげたりしないように。いいか、厳命しておくぞ。』
    この引用文は、大名行列に出会した農民に対して、姫を見てはならぬと命令する武士の台詞ではない。
    有名な女優が拡張工事中の病院に視察するに際して、スーパーゼネコンの現場所長が言い放った言葉なのである。

    除染作業は差別が酷い。福島の復興にとって欠かせない彼らに部屋を貸すオーナーはほとんどいないというのだ。しかもその数少ない物件は除染アパートと呼ばれるのだという。
    しかも、作業服のままでスーパーに入り迂闊に商品に触れば、「除染の人が触った」と大声を挙げられることがあるというのだから恐ろしい。
    私は福島県に住んでいたが、こんな差別が罷り通っているとは思ってもみなかった。

    「美しい国?日本が?この話、すべて真実」と帯にあるように人間※の陰湿さがこれでもか、と示されている。
    ※日本人と書こうか迷ったが主語が大きくなるため人間とした。

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    2026年01月07日
  • 鯖

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    どんなジャンルの本でどんな毛色の物語なのか、全く情報なく読んだことが結果良かった。

    男臭い漁師の世界は私の日常とは掛け離れた新鮮さがあり、一本釣り漁法の描写などが興味深く、「あぁ、へしこ食いたいなぁ。白酒は描写だけで胸焼けするなぁ。」とか思いながら楽しく読んでいた。

    その矢先。

    物語が3分の2くらいに差し掛かった時に急転直下。
    そのまま予想だにしなかった展開に。

    どっとめまぐるしく、自分の感情をどこに持っていけばいいのか分からない。

    作者の特異な経歴も相まって、唯一無二の作風だと感じた。
    「全員悪人」ってアウトレイジのキャッチコピーは秀逸だな、とふと思った。

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    2025年06月10日
  • 救い難き人

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    清濁ぐちゃぐちゃに併せ呑み下す登場人物たちを悪人と断罪するには躊躇してしまう、人間力に溢れたアウトローたちの物語。明るい小説ではないが、軽妙な関西弁や時系列の分かりやすさもあって読みやすい。筆者の経歴から、遠からずこの本に近い現実を見てきたのだろう。石橋を叩くだけの平民である私は敬服するしかない。

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    2024年10月24日
  • 風致の島

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    赤松利市『風致の島』講談社文庫。

    人間の限りない欲望や穢れた心の内をあからさまに描いたピカレスク小説。

    騙し、騙され、家族にも見放され、東南アジアで地獄の果てまで堕ちていく男の惨めさと悲哀。何時、どうなるか解らぬ一瞬先は闇のような、今の世の中をデフォルメしたような小説だった。

    東南アジアでの巨大リゾート開発推進のため日本のスーパーゼネコンから現地役員として乗り込んでいた青木は開発に失敗し、日本に帰国させられ、関連会社に出向する。出向先は福島原発事故の除染作業を担う企業で、青木は下請企業から1億円余りの裏金を手に入れると、あっさり会社を辞める。

    会社を辞めたことで、妻に三下り半を突き付けられた青木はかつて現地役員を務めていた島に住み着き、隠遁生活を送る。そこで、飼い殺しにされている元同僚の西村から、カジノを中心とする新たな開発計画の存在を聞いた青木は、その利権に食い込むため動き出す。

    本体価格920円
    ★★★★★

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    2024年08月13日
  • 隅田川心中

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    赤松利市『隅田川心中』双葉文庫。

    64歳の独身男性が32歳の女性と金銭を介して、ただならぬ関係となり、それを勘違いした男性は暴走し、やがて破滅へとまっしぐらに進むという悲喜劇転落小説。

    丁寧な語り口で綴られる文章とは裏腹に、老いらくの恋というよりも、性欲のままに暴走してしまう初老の独身男性の悲哀と滑稽さを残酷な視点で描いているようだ。主人公が若い女性と泥沼に嵌まり込んでいく姿を見ると、男とは何と馬鹿な生き物なのだろうと思う。


    浅草の社団法人ゴルフ場協会の事務局長を務め、悠々自適に働く64歳の独身男性、大隅一郎は馴染みの喫茶店店主の小川正夫からアルバイトの32歳になる咲村咲子の相談に乗って欲しいと頼まれる。

    咲子の相談とは、「アル中で博奕狂いの父親の借金返済のために30万円を都合して欲しい。その代わり大隅の愛人になる。」という驚きの内容だった。老後のためにと貯めていた500万円の蓄えの中から、30万円を渡した大隅は咲子との情事に心踊らせ、ED薬まで購入する始末だった。

    ED薬の飲んで臨んだ咲子との初めての情事で5回も果てた大隅は、咲子から「あなたの子供が産みたい。」と懇願され、咲子が同居し、寄生されている父親から咲子を引き離す方法を模索する。

    しかし……

    本体価格840円
    ★★★★★

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    2024年04月15日
  • 藻屑蟹

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    除染作業員、原発避難民、東北の苦悩の一端を知る事ができたと思う。大好きな仙台、まだ訪れたことの無い福島。どちらも必ず行こう。

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    2023年10月16日
  • 救い難き人

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    ザ·赤松利市ワールド!
    最初から最後まで独特な気持ち悪い世界をしつこくしつこく、これでもか!っと描き続けます。
    楽しめる方、そうでない方、一度は手にとってみては?
    読後の爽快感ゼロ、後悔感は...?

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    2023年08月28日
  • 救い難き人

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    パチンコ経営を中心として、ありとあらゆる救い難い人が登場。そして救いようのないことの繰り返し。生まれながらにして救い難い人ではなく、差別が怪物たちを産んだのだと信じたいです。1字1句が突き刺さる小説でした。

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    2023年08月14日
  • 鯖

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    ネタバレ

    誰しも心当たりがある、人間の心の裡に潜む汚さや黒さや醜さを抽出して娯楽性を兼ね備えた文学に昇華させている、という点において、作風は違えど西村賢太氏の著作にも通じるものを感じた。
    なんだかんだありながらも結局は乗り切って収まるんかなもしかしたら…と思いきや、中盤以降の新一の壊れっぷりがこちらの予測を遥かに上回るペースで加速及び驀進し、一気に奈落の底へ落ちて破滅に至るのかやっぱり。
    逆説的ながら、ある意味で大団円とも言える幕切れに違和感はないが、終盤の畳みかけるような展開は急ぎ過ぎの感が否めず、もっと紙幅を費やして丁寧に描いても良かったのでは…等と僭越ながら思ったり。
    これが長編デビュー作とのことだが、著者のバックボーンあってこその物語か…と得心する、本来小説を味わうのにその情報は不要のはずとは分かりつつ。

    筋半ばではあるが、5人の中国娘たちが歌い寅吉が滂沱と涙するシーンは、崇高さと清浄さにおいてピークを極めた1つのクライマックスだ。

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    2023年06月08日
  • アウターライズ

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    赤松利市『アウターライズ』中公文庫。

    東北地方が独立するという設定は、井上ひさしの『吉里吉里人』と似ているが、そこは赤松利市の小説だけに一味も二味も違う。

    赤松利市が描く『東北国』は、国家としての理想の姿だろう。医療費は無料で、ベーシックインカムにより食事が保証され、住まいも無料の『東北国』。非正規雇用を増やし、労働者を低賃金で働かせるブラック企業を野放しにし、増税の連発と物価高騰に何ら手を打てない日本国よりも、国家としての体を成している。

    散々復興だの、絆だの綺麗事を並べておいて、東北の津波瓦礫の受け入れを拒否した東京都民、陸前高田市から奉納しようとした護摩木を放射能汚染の懸念があると言って拒否した京都府民。住民の意見など無視した東京電力が所有する福島第一原発の汚染水の海洋放出。復興五輪とか言いながら、それが復興の障害となり、結果的に汚職と金権にまみれた東京五輪。

    国家にも中央からもバカにされる東北地方は、本気で独立した方が良いのかも知れない。

    東日本大震災から10年後、再び東北の三陸沿岸をアウターライズ地震により、東日本大震災を超える巨大津波が襲う。復興への道程を歩み続けた10年は泡沫のように消え行く。

    しかし、巨大津波の犠牲者は僅か6名。異常に速い自衛隊の動き。やがて、東北県知事会は東北国の独立宣言を行い、国としての実態が整うまで鎖国政策を行う。

    鎖国から3年、ついに『東北国』はジャーナリストを招待し、国家の全貌を明らかにする。

    犠牲者が6名だけで済んだ理由に驚愕。ラストに感涙。

    本体価格840円
    ★★★★★

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    2023年03月28日
  • 女童(めのわらわ)

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    赤松利市『女童』光文社文庫。

    『ボダ子』の前日譚。タイトルの『女童』は「めのわらわ」と読む。

    著者の実体験に基づく小説。仕事一辺倒で家庭を省みない親の身勝手さが娘の人生を狂わせ、上手くいっていた家族の生活をも破綻させる。『ボダ子』の前章という感じで、『ボダ子』の世界をさらにリアルに脹らませてくれる。

    54歳の大西浩平は精神を病んだ15歳の恵子のために仕事を諦め、二人切りでの生活を始める。ある日、浩平はクリニックの主治医が秘かに恵子に手を出していることに気付く。

    再び生活を建て直そうともがく浩平を悲劇が襲う……

    身につまされるような物語。今は男もワークライフバランスなどという言葉を持ち出し、仕事より家庭を選ぶのだそうだ。そう言う男は、仕事もしないくせに権利ばかり主張し、給与が安いと不平をこぼすか、仕事より家庭だと虚勢を張るのだろう。時代は変わった。

    本体価格680円
    ★★★★★

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    2022年08月11日
  • 下級国民A

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    赤松さんの作家デビュー前の壮絶な被災地生活。
    逃げれば良いのに抜け出せない、そんな状況がしかと伝わってきます。凄い本でした。
    私の同級生も派遣会社に就職後、未経験にも拘らず即、現場監督就任。入れ墨の入った方々をビビりながら指揮していたようで、ホント滅茶苦茶な状況だったようです。

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    2022年07月13日
  • エレジー

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    赤松流大人の恋愛小説。
    この独特な気持ち悪い世界観が最高に心地よい!
    今回は特に温かい、人間味溢れる素敵な物語でした!
    バブル戦士とニューハーフの恋愛、
    還暦過ぎの漁師とフィリピンパブの女の結婚、
    13歳の捨て子と中年男性とのプラトニックな同居生活、
    の短編三作。
    怖がらずに赤松作品の門を開いてみては?

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    2022年04月25日
  • ボダ子(新潮文庫)

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    赤松利市『ボダ子』新潮文庫。

    著者の実体験に基づく衝撃の小説。親の身勝手さが娘の人生を狂わし、上手くいっていた家族の生活をも破綻させる。

    何が正しくて、何が悪なのか。人間はあさましいまでに金のあるところに群がり、男性は女性に溺れ、酒に逃げるのだ。そのうちに善と悪を区別する感覚も麻痺し、地獄のような泥沼にハマっていく。

    面白かった。

    35歳で起業し、年収2,000万円を稼いだ大西浩平は全く家族を顧みない仕事一辺倒の生活で離婚と結婚を繰り返す。四度目の妻と暮らす中、三度目の元妻から娘が境界性人格障害で入院したことを告げられる。軌道に乗っていた大西の事業は、自傷行為を繰り返す娘に付き切りの生活を選択したことで破綻する。

    東日本大震災の復興事業に起死回生を賭けた大西は、娘と元妻とともに被災地へと向かうが……

    本作に描かれた主人公の大西と家族の関係はよく解る。自分も月に100時間とか200時間とか残業していた時期がある。家庭など顧みる余裕など無く、月収は増えるものの、家族と会話する時間もなく、やがて家族とは距離を感じるようになる。そうなると会社から家に帰るのも億劫になってくる。そんな時期は出張が嬉しかった。また、金が入れば、飲みに行ったり、様々な女性と親密になったりと、仕事が忙しいのにどうしてそんな時間があったのか今思うと不思議だ。

    本体価格710円
    ★★★★★

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    2022年01月30日
  • らんちう

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    赤松利市『らんちう』双葉文庫。

    これまで味わったことの無いテイストの小説。本編も去ることながら、著者の実体験を綴ったあとがきが面白い。あとがきを読むと本作のどろどろした背景がより鮮明になる。

    リゾート旅館で起きた総支配人の殺人事件を巡り、殺人に加わった6人の従業員と退職した元従業員や関係者の証言で物語が綴られるクライムノベル。総支配人は死ぬに値する人物だったのか、それとも……終盤の元従業員の証言で印象は大きく変わり、新たな事実が見えてくる。誰が一番悪いのか……

    千葉県のリゾート旅館の望海楼で総支配人の夷隅登が従業員6人により絞殺される。夷隅が総支配人になってからの違法な長時間労働やセクハラ、パワハラなどの横暴振りに従業員6人全員は少しずつ恐ろしいまでの殺意を燻らせていた。殺人に加担した6人と元従業員と関係者の証言で少しずつ炙り出されていく事件の真相……

    本体価格690円
    ★★★★★

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    2021年11月13日