赤松利市のレビュー一覧

  • 藻屑蟹

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    この作者は、現時点での最新作「救い難き人」から読み出し、受賞して最初に話題となった本作を読んだ。かなり遅咲きのデビューも、初期の文章はまだ若く無駄や邪心の見える初々しいものでした。ただ、ある種の使命感を感じるだけで無くエンタメ性も考えられた文章です。

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    2023年12月22日
  • 救い難き人

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    赤松さんらしい振り切れた物語。ストーリーは圧倒的やけれど結局何やったんかな、と言う感想。誰が主役で何を目指し何が間違っていて何が正しかったのか。最後まで読んでも良くわからんかった。けど面白く一気読みでした。

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    2023年12月07日
  • 東京棄民

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    文庫書き下ろし。
    まさか、赤松作品に悪と対峙するヒーローが登場するとは・・・!
    とは言っても、45歳で彼女いない歴45年、定職無し、マンガ喫茶住まいの冴えない男なのだが・・・
    今作は、氏の作品に期待する、キモチ悪い・狂気的な・読むのが嫌になるような、ドンヨリ暗い世界観、
    からは遠のいてしまった作品でした。(個人的感想)
    たまには良いか?!と思いながら次作に期待。

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    2023年11月03日
  • らんちう

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    千葉にあるリゾート旅館で、総支配人夷隅登が殺された。従業員から通報があり、警察が駆けつけると、そこにいた6名の従業員全員が犯人だという。

    本書は、6人の従業員らがその犯行を語ることから始まり、警察での取り調べでそれぞれの事情を詳細に語り、さらに周囲にいる関係者たちが参考人として供述、そして、受刑者となった6人の心中が語られて、幕を閉じます。

    「あとがき」にあるとおり、この小説には主人公と言える人物がいません。始めから終わりまで、代わる代わる誰かが話しています。なぜこうなるに至ったのか、少しずつ事情が見えてくるのですが、赤松利市さんのことだからきっとこのままでは終わるまいと思っていたら、やっ

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    2023年10月10日
  • 藻屑蟹

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    特に急展開!という訳でもないのに、終盤は主人公の心理描写にドドドッと惹きつけられた。
    震災と原発事故の被災者に対する支援金などの闇部も描かれ、どこまでが事実なのかはさておき、賛否両論になる事を厭わず描き切った作者の覚悟は凄い。
    ただ個人的にはラストシーンがちょっと尻切れトンボに感じる。アレが良いという人もいるだろうが。

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    2023年10月06日
  • 藻屑蟹

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    福島原発事故後のメディアがあまり報じない現実。
    地震や津波に直接被災していなくても心が壊されてしまった人達もいたんだな・・・。

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    2023年08月31日
  • 下級国民A

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    著者の土木建設会社勤務時代を中心に自身の体験を率直にかつ平易な文で記した自伝的作品。
    まず、震災の復興作業に集まった作業員達の粗暴さと無教養さに驚くと同時に、土木作業の技術と適性なコミュニケーション能力の両方を備えていなければまともな職場で働くことはできないのだなと感じた。また、国の除染事業も美味しいだけではなく多くの利権が絡み合う中で、パイプを持たないもの達はいかにその匂いを嗅ぎ分けるのかが大事かがひしひしと伝わってきた。
    経済も何もかもが下降するこの国で、自由競争社会の荒波に放り出された我々の明日は下級国民Aかもしれない。

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    2023年05月17日
  • ボダ子(新潮文庫)

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    実体験にもとづく衝撃作とあったので主人公は著者近影のイメージで読みました。全体的に自分が今まで全く見てなかった視点や考え方で物事が進んでいってハッとなることが多かったです。「何とかなる、何とかなる」が「何とかせな、何とかせな…」に変わるのはゾッとしました。

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    2023年02月12日
  • ボダ子(新潮文庫)

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    境界型人格障害を病を患った娘と、被災地で一攫千金のために踠く父親の話し。

    いやーな人たちしか出てこないで

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    2023年01月03日
  • ボダ子(新潮文庫)

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    バブル期に大いに働き大いに稼ぎ大いに遊んだ主人公。それでも家庭を持ち子を持つ。

    大人になった頃には既にバブルが弾けていた私には理解不能な価値観の人物たち。
    所謂グズ。グズでも本を読み働き夢を追いかける…だけれども、やっぱりグズ。
    私を育ててくれた大人たちがバブル期を経験してもこんな風にならなくてよかった、ありがとうという気持ちにさえなってしまった。

    筆者の体験に基づいて書かれた作品とのこと。
    ある意味自然主義文学さながらの物語。

    バブル期を経た人物が被災地へ流れて一攫千金を狙って再起を図るとは被災されたたくさんの方たちにとっては虫が良すぎるのだろうと感じ、やはり、震災後文学というものには

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    2022年12月04日
  • 純子

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    赤松利市『純子』双葉文庫。

    淡い色合いの綺麗な表紙イラスト、タイトルの主人公の『純子』とは裏腹に極めて尾籠なうんこ小説。

    四国の辺鄙な里で最下層の下肥汲みの家の家に生まれた美少女の純子を主人公にした赤松利市の『鯖』にも似たような胃がムカムカするような物語。

    下肥汲みもバキュームカーの登場で廃業せざるを得なくなり、純子の家は次第に困窮していく。

    本体価格680円
    ★★★

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    2022年11月27日
  • 饗宴

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    10月-17。3.0点。
    性的欲求の無い、定年を迎えたOL。送別会で訪れたショーパブで、両性具有の女性に出会う。
    新しい世界に耽溺していき。。。

    相変わらずの赤松ワールド。ラストは少し肩透かし。

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    2022年10月27日
  • らんちう

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    ネタバレ

    支配人が殺される。
    若女将との結婚から始まり、旅館の改革、リストラ、奉仕活動、啓発セミナーのまねごとの懺悔をする会等いろんなことをやって、評価が悪かった人物。

    だが、蓋を開けてみれば、若者社員と古参とでは意見が違う。働いている者と、リストラされた者、内部・中枢にいた者と、旅館そのもの、支配人の評価が真逆。現実の会社、社会にもある、その場をうまく過ごすために、同じ意見であると安心する、安心させる、仲間だという流れ…。旅館の内部事情に詳しい者は、自分のやって来たことを隠したいがために、悪口を垂れ流して自分の身を守るために一芝居打つ。それを真に受ける者もいたりして、支配人の評価は下がる一方。
    若女

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    2022年09月22日
  • 下級国民A

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    著者の経歴が書いてあった
    ゴルフ場の管理、アメリカやイギリスではそんなに優遇されるのかとびっくりした。
    寄せ集めの作業員、底辺の人はそのレベルなのかと思った。まぁ私も底辺で下級国民だけれども
    六文銭の男が気になった

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    2022年09月08日
  • 東京棄民

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    心がザワザワする。
    何故かというと今、またコロナの波が押し寄せてきているから…。

    収束したのか、したのか…いやまた感染拡大しているではないかの状態で…。

    この物語は、コロナの影響で勤務先を解雇され、マンガ喫茶暮らしとなった中年男性の行く末である。

    何度目かの感染爆発が起き、その都度ウイルスの名前も変わり、「東京株」という新しい株が発生。
    ついに東京逆ロックダウンという措置を政府が発表する。
    東京エリアに関して感染者数の増加が急激過ぎて、東京エリアの都民、市民を他の地域に移動、分散させる対策である。
    だが、マンガ喫茶にいた中年男性やホームレスやその避難計画から取り残された人たちが、どのよう

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    2022年07月27日
  • ボダ子(新潮文庫)

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    ネタバレ

    最終章が面白かった。
    「爾来小説を書いて、~」を読んだとき作者とつながった感じがした。
    男の周りには絶えず女性がいた。
    個性豊かな女たちは知らず男を追い詰めていく。
    転落ぶりが面白かった。

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    2022年06月30日
  • ボダ子(新潮文庫)

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    へぇ〜〜

    ↑あとがきを読んでつぶやいてしまいました。

    平気で嘘をつくのも、
    お金に執着するのも、
    現実逃避グセも良くないんだけど、

    被災地行って、今までの自分を変えられるかもしれないと期待することは、人間らしい心を持っている証拠かもしれないなぁと思いました。

    それにしてもいろいろホラーな内容でした…
    私は淡々と生きてゆきます…それが1番…

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    2022年06月25日
  • 東京棄民

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     著者初の文庫書下ろし。

     コロナ禍が続く日本、オミクロン株の次に流行したのは致死率が高い”東京株”だった。
     政府は県外移動ではなく、全東京都民を疎開させる措置をとった。
     「東京逆ロックダウン」と呼ばれる強硬政策により、東京はもぬけの殻となった。
     しかし、その枠から漏れる人間も存在した。

     イサムはコロナ禍の中で勤めていた調理器具商社が倒産し、フリーターを続けながらネットカフェ難民を続ける40代半ばの中年だ。
     ある日、突然にネットカフェにいた客どころか、店員もいないこと気が付く。
     ツイッターで東京逆ロックダウンが起きることは知っていたが、住民票もない自分のところには連絡が届くわけ

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    2022年06月04日
  • エレジー

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    平成のバブル時代の歓楽街の男と女を描いた赤松利市さんの新作は、ノワールっぽい恋愛小説?。新宿でニューハーフのショーパブに嵌る独身男の物語、フィリピンパブの女と結婚した北海道の漁師の物語、大阪の道頓堀に置き去りにされた少女を拾った中年男の物語といった感じの悲哀に満ちた3つの短編が収録される。これまでの赤松さんの小説とはちょっと違った作品だった。景気のよかったバブル時代の歓楽街を追体験したい人にオススメの一冊。

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    2022年05月24日
  • 東京棄民

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    おそらく、ほぼ人が居なくなって封鎖された東京を描きたかったんだろうけど、東京が逆ロックダウンされる過程がぼんやりしていて、まるでリアリティがない。あと一応コロナ小説として書いてるけど、物語的にコロナである必要がない。
    あと主人公にまったく感情移入できないのも、読んでてつらいかな。これはまぁ、とりあえず時事ネタで見たいな感じしかないね。そもそも東京を捨てるほど追い詰められたら、都民は東京から出さないんじゃないかな。

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    2022年05月17日