あらすじ
64歳の大隅一郎は気ままなひとり暮らし。ある日、行きつけの喫茶店でアルバイトをしている咲子に「父親の借金返済のために愛人にしてください」と言われて承諾する。32歳の咲子と同衾を果たした末に、「子供を産みたい」と懇願され数十年ぶりに恋の炎が燃えたぎる。咲子の体に溺れた一郎は結婚を決意するのだが、彼女の父親の借金問題に悪い輩が絡んで一郎の貯蓄はみるみる溶け、一気に奈落の底へと堕ちていく。愚かな男の性(さが)を大藪春彦賞作家が生々しく、はかなく描いた傑作性愛小説。
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Posted by ブクログ
赤松利市『隅田川心中』双葉文庫。
64歳の独身男性が32歳の女性と金銭を介して、ただならぬ関係となり、それを勘違いした男性は暴走し、やがて破滅へとまっしぐらに進むという悲喜劇転落小説。
丁寧な語り口で綴られる文章とは裏腹に、老いらくの恋というよりも、性欲のままに暴走してしまう初老の独身男性の悲哀と滑稽さを残酷な視点で描いているようだ。主人公が若い女性と泥沼に嵌まり込んでいく姿を見ると、男とは何と馬鹿な生き物なのだろうと思う。
浅草の社団法人ゴルフ場協会の事務局長を務め、悠々自適に働く64歳の独身男性、大隅一郎は馴染みの喫茶店店主の小川正夫からアルバイトの32歳になる咲村咲子の相談に乗って欲しいと頼まれる。
咲子の相談とは、「アル中で博奕狂いの父親の借金返済のために30万円を都合して欲しい。その代わり大隅の愛人になる。」という驚きの内容だった。老後のためにと貯めていた500万円の蓄えの中から、30万円を渡した大隅は咲子との情事に心踊らせ、ED薬まで購入する始末だった。
ED薬の飲んで臨んだ咲子との初めての情事で5回も果てた大隅は、咲子から「あなたの子供が産みたい。」と懇願され、咲子が同居し、寄生されている父親から咲子を引き離す方法を模索する。
しかし……
本体価格840円
★★★★★