香納諒一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
香納諒一の作品を讀んだのは、これが初めてである。
第52囘日本推理協會賞受賞作品だと裏表紙に書いてあつたので、面白くない譯はあるまいと考へて購入した。
面白かつた。
主人公が愛した女は5年前に突然、主人公の前から姿を消した。
そして偶然、再會したその日の夜に何者かに殺されてしまふ。
女は何故殺されたのか?
その理由を探るうちに、殺された女は自分の知つてゐた名前ではないことが判明する。
自分の愛した女の正體は?正體を隱したことと殺されたこととの關係は?
主人公は次第におほきな陰謀の存在に氣づき始める。
主人公は辯護士なのだが、スーパーマンではない。
ハードボイルドなのだが、ことさら意志の勁い -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々に真っ当なハードボイルド小説を読んだ気がした。
香納諒一デビュー作の本書はハードボイルド小説を書く事に真摯に向き合っている姿勢が感じられ、作者の作家になることに対する並々ならぬ決意という物を感じた。
第1作目にして、作者は結構複雑なプロットを用意している。
暴力団の影がちらつく余命幾許も無い老人の頼みとその老人が記録上、シベリア抑留者の死亡者リストに上がっていること、老人が何故麻薬と金を持ち逃げしたのか、逃亡する老人を複数の暴力団のみならず、ロシア人もなぜ追いかけるのか、などなどなかなか読ませる。物語の進め方も一つ一つ手掛かりが解るたびに更に謎と新たな関係者が登場し、事件の裾野がどんどん