香納諒一のレビュー一覧
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「ガリレオの小部屋」
閉塞感、怖い。
香納諒一は「30代の終わりから40代の頭にかけておよそ3年ほどに亘り、自分の目指す小説世界と現在書いているもののギャップに苦しみ、仕事を生活が出来るぎりぎりまで絞り込んで、一から小説修行をやり直した」と本書初出のあとがきに記している。
半年くらいで何かが見つけられるだろうと始めたことだが、なかなか納得が出来ず、その間短篇について発表することを封印し、とにかく多くの短篇を読むことと習作に明け暮れたという。
これを読むに、香納諒一とは昔の文豪みたいな空気を持っている。自分の理想とする小説を身を削るように作りだそうとする姿は、なかなか今の小説界では珍 -
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ネタバレ「心に雹の降りしきる」に続いて2本目の香納作品。
色んな要素が複雑に根深く絡んでてて、
本が厚いのもうなずけるのだが、この作家の文章は好きにしてもちょっと長過ぎかも。
もう少し簡潔にすすめばもっと、手が進んだのではと思う。
ともあれ、後に自覚する “ただ「愛していた」” 事だけが、主人公を突き動かし、気が晴れるのか晴れないのか判然としない事実にまで向かわせたことが、読後、なんだかこれで良かったような想いにもさせる。
愛している、を後から気が付くなんて、馬鹿な男だし、
無言で消える女も罪深い。
でも、そんな二人でも良いかも知れない。 -
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今度の作品は期待した。人間描写を主体にしたかつての香納諒一が甦ったのかと思った。過去に傷を負った警官。しかも内勤警官が駆り出される物語。意地を見せたりする小説ではないのかと、誰だって思う。
しかし、物語は想像以上に暗く重たかった。凄惨な死体の状況から見て、かつて類を見ないサイコ殺人というだけで、あまり快くない方面の物語であることが知れ、おっと『贄の夜会』みたいに、錯綜した謎解きストーリーなのかと想像してしまう。
終章まで読み終えた印象はもっとよくなかった。何よりも屈折しすぎている物語であるからだ。東野圭吾の謎解き小説のように、人間の体温の感じられる読後感、情緒のようなものがあるわ -
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香納諒一という作家を知らない人がこれを読んだとしよう、あるいは前作『ステップ』、あるいは『贄の夜会』、『第四の闇』を。きっとその読者は、香納諒一という作家は、プロットが複雑で錯綜していて、アイディアが豊富で、奇想と仕掛け満ちた作風の持ち主だと。
『贄の夜会』以降、香納諒一の作風はがらりと変わった。
しかしそれに先んじて数年間の沈黙があった。何しろ2,000年に『炎の影』を上梓して以来、2004年に『夜空の、向こう』という連作短編集、『あの夏、風の街に消えた』という長篇を書いたっきり、2006年まで、香納諒一という作家はその後の変身を全く予期させなかった。少なくとも、ぼくは予期しな -
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この作家の作品は大好き!
でも、この作品はフツウかな〜という感触。
言語に関する記憶が失われるとか思い出せないようにブロックかかるとか、
医学的にそうなの?という疑問が残ったのがその理由。
あともうひとつは、愛する地元・横浜が舞台で、しかも利用駅のみなとみらいが出て来て
テンションあがっていたのだが、エスカレーターの表記に間違いじゃないの?
という一点があってナットクできず。
謎解きのキレの悪さとクライマックスであろうと思われる船のくだりで、
待ち構えていたメインキャラがあっさりと脱落したあたりで完全に醒めるの巻。
ふむむ。消化不良だ。 -
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5年前に突然姿を消した不倫相手・小林瞭子と偶然再会した弁護士・栖本。
しかし瞭子はその夜、弁護士事務所の留守電に「相談したいことがある」とメッセージを残した数時間後に殺害された。
手がかりを探るうちに浮上した新たな謎。「小林瞭子」とは誰なのか?
そして事件は20年前の工場誘致に絡む陰謀へとつながっていく。
やがて明らかになる事実。彼女は誰なのか?
初めての作家さんです。第52回日本推理作家協会賞受賞作。
このときは小野不由美さんの『屍鬼』、東野圭吾さんの『秘密』を抑えての受賞だったそうです。
ハードボイルドとのことですが、他には桐野夏生さんのミロシリーズぐらいしか読んだことがないのでそのへん