香納諒一のレビュー一覧
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「熱愛」の鬼束が再登場。とは言っても、読んだ後にそれに気付いた。元刑事で私立探偵の鬼束の人物設定が引き継がれているだけで、特に今作と繋がりがあるわけでないので、前作が未読でも全く問題なし。
一体どういう結末を迎えるのか、最後までハラハラ。淡々とした文章ながら、この作家さんの作品は読みごたえがあって、読むのを途中で止めることが出来ない。悪気があるようで自覚のない母親が一番未熟で罪深く、信じがたい存在だと思うが、昨今の世情を見ていると意外と居そうな気もして怖い。果たしてこの真相は暴かれて良かったのかどうか、疑問を問いかける終わり方だが、どれだけ隠していてもやはりいつかは破綻する時が来たんじゃない -
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人がたくさん集まる都会。
周りを多くの人が行きかい、喧騒にあふれ、
活気ある都会に生きても、寂しい。
いや、人が多くいればいるほど寂しさは増す。
隣を歩いている人、座っている人は家族でも、友人でもなく「単なる人」。
挨拶を交わすわけでも、心を通わすわけでもない。
「単なる人」ばかりの中では余計に、「独りぼっち」という感覚が際立つ。
十六歳の少女が、他人のアパートの一室で死体となって発見された。
遺留品の中に、ネットカフェの会員証があり、捜査から、片桐舞子という名と、静岡の施設を逃げ出したことが
判明する。
十六歳の少女に何があったのか。
他人の部屋で、なぜ殺されなければならなか -
Posted by ブクログ
警視庁捜査一課シリーズ、大河内率いる小林班と庄野率いる中本班のタッグ。
「贄の夜会」等で活躍する大河内チームと「刹那の街角」で活躍する庄野チームが一緒に読めるなんて、何て私得。と言っても、既出の作品を読む必要はなく、今作は単独で読むことが出来ます。二班の合同捜査になっても、子供の喧嘩のような変なバチバチ感は少なく(ないわけではない)、ストレスなく読めて良かった。そういうお約束みたいな足の引っ張り合いの展開ってよくあるだけに、大事なポイントだと思う。そして、個々の捜査員による地道な捜査。一人の変人刑事による卓越した推理とかではなくて(そういうのもアリだけど)、捜査の積み重ねで得た事実の一つ一つ -
Posted by ブクログ
とても若さを感じる短編集です。若さと言っても溌剌とした若々しさではなく、若さゆえの未熟さ・せつなさ・孤独感・そして希望を感じました。
一番気に入ったのは表題の「タンポポの雪が降ってた」のラストかなぁ。
ただ、
「時速百キロ以上で走るバスと、たぶん同じぐらいのスピードで走っているにちがいない列車がすれ違うのに、四分も五分もの時間がかかるなんて、いったいどのぐらい多くの貨車を引き連れているのだろうか。」
という文は、理系としてちょっと気になります。
仮に、主人公が乗っているバスが時速百キロだとすると、時速二百キロの差となります。
時速二百キロということは、60分で200kmで