あらすじ
5年前、組の幹部を殺害して大阪を後にした橋爪優作は、北陸の海辺の町で所帯を持ち、一見かたぎのような生活を送っていた。だが、その裏では元タンカー乗りの老人と手を組み、「表沙汰にできない金」を強奪するという裏仕事に手を染めていた。冬のある日、京都のお茶屋で闇献金を奪取した優作は、旧知の女実業家に現場を押さえられ、ありがたくない仕事を押しつけられる。ある業者から広域暴力団、共和会に渡る3億円の横取りだ。やむなく女の言い分を受け入れた優作は、因縁の男たちと対峙することになるが……。傑作ロマン・ノワール。
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Posted by ブクログ
久しぶりの香納諒一は、長かったけどぐいぐい引き込まれて一気に読み切った。
うーん、感動。いい話だった!
香納作品に出てくる男性はいつも、女性に一途で紳士で、
不器用でとほうもなくカッコイイ!
今回の主人公、優作も同じ。
自分が引き起こした事件で解散に追い込んでしまった組の組長の娘を
いつしか想い、気にしながらも決して伝える事なく身を引き不器用に金を送る。
最後の解説の香山氏が、あまりに見事に本作品を分析しているので
ここでへたくそな分析は差し控えるが、この作品は代表作の「幻の女」同様、
もしかしたらそれ以上に名作だと思う。
香山先生に、心からのエールを。