ジョン ル カレのレビュー一覧

  • ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

    購入済み

    スパイ小説の金字塔

    ル・カレの世界を堪能させていただきました!
    荒木飛呂彦風にいうならば、男が泣ける、男の悲哀を感じさせるサスペンス、というところでしょうか。★5つでは足りません!
    実は、紙の本で積ん読数年。その間に新訳が出て、電子化されて、やっと読みました!何でもっと早く読まなかったんだろう?
    まあ、確かに本をパラパラっとめくった時に感じる重苦しいオーラに、つい本棚に戻してしまう、ということを繰り返していました。
    電子書籍にはその拒絶感がありませんね(笑)。

    内容に関しては随所で語り尽くされていますが、とにかく暗く,重く、緻密でスリリング。
    組織に潜む2重スパイを捜し出すことを命じられた、老いた

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    2013年12月14日
  • スマイリーと仲間たち

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    ジョージ・スマイリーは、元英国情報部の現地指揮官。冷戦時には有能なスパイとして情報部を指揮していたが、世界情勢は緊張緩和(デタント)へと舵を切り、顔ぶれを一新したホワイト・ホールは情報戦も英米協調をうたい、かつてのような英国独自のスパイ網の必要性を認めなくなった。自前で情報をさぐるよりアメリカのいとこ(カズンズ)から聞けばいい。そのほうが安上がりだ。大幅な予算削減の結果、現地協力者は解雇。「首狩人」や「点燈屋」といった特殊な分野を受けもつ工作員グループも解散してしまっては、その指揮を執るスマイリーに出番はなかった。早い話がリストラである。

    電話がかかってきたのは深夜だった。亡命エストニア人グ

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    2013年06月19日
  • ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

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    二度読んだ。結果から言えば、ここは、と思わせる部分がないこともないが、全体的にはさほど読みづらさは感じなかった。読みづらさを感じる原因は、フラッシュバックを駆使した回想視点の導入による時制の交錯や、複数の視点人物の瞬時の転換といった原作者の文章にあるのではないか。しかし、一度目は多少苦労しても再読時は、主人公スマイリーの独白の沈鬱さを紛らわそうとするかのように絶妙のタイミングで挿入される情景描写の巧みさや、込み入った伏線を多用した構成の妙味にうならされるはず。旧訳や原文とつき合わせていないので、訳の巧拙についてはひとまず置く。ただ、それを理由に読まないですますのはもったいない。そう思わせる作品

    0
    2013年06月19日
  • スクールボーイ閣下 上

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    ショージ・スマイリー率いる英国情報部隊が、ソ連情報部カーラの資金先である香港の実業家ドレイク・コウに徐々に迫っていく。
    現地工作員ジェリーがドレイクや周辺人物に接触していくヒリヒリした緊迫感にグイグイ引き込まれてしまう。
    さらに、英国情報部チーフでありながら、二重スパイのカーラに対し、英国紳士たるフェアプレイ精神を貫こうとするスマイリーがたまらなくカッコよすぎる。

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    2013年03月28日
  • ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

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    スマイリーシリーズ第一弾。
    英国情報部の中枢に潜むソ連の二重スパイを探すため、元情報部員であるスマイリーが調査を開始する。膨大な資料と関係者の証言を頼りに次々に明かされる情報部"サーカス"の真実。
    妻アンの浮気と情報部員の一線から外されたスマイリーの苦悩も見逃せない。
    淡々と事実を追っていく文章ではあるものの、それがかえって手に汗握る緊張感とスピード感を高めている。
    第二次世界大戦からアメリカとソ連の冷戦時代まで、各国のスパイによる激しい情報戦が繰り広げられていたのだろう。

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    2013年03月23日
  • スマイリーと仲間たち

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    過去に一度会ったきりの仇敵カーラとの決着ついに!英国とソ連の情報部を背負い、暗躍し、追い詰めあった二人が互いの目に見るものは…
    ここから先は激しくネタバレですね。でもきっと、わかったようでわかっていないんです。もうちょっと年を重ねたら、また読もうと思います。

    後半からじわじわ情報を固めカーラに迫っていく辺りがゾクゾクです。
    常に冷静な描写で淡々と書かれるため表面上はどこか調書を読むよう。でも行間から現場工作員の息遣いや緊張感、スマイリーの震えるくらいの慎重な気遣いがにじみ出てるようでした。
    ラストシーンはスマイリーの内と外の描写が印象的。雪降る夜の痛いほどの緊張と静寂、内面で吹き荒れる衝動、

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    2013年02月14日
  • ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

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    老練スパイ、ジョージ・スマイリーの終わりかけの人生に始まった大事件。

    静かに壊れていくlife(生活ほど世俗的でなく人生ほど重たくないニュアンスの言葉が見つからない…)とか、何気ない狂気を帯びた日常とか、危うげな人たちが危うげにすれ違う感じというか。
    そういうのが一番のスリルだし、サスペンス。

    あと、文章が軽快。難しくて長い話には必ずいいタイミングで、窓の外になにかが見えたり、スマイリーが集中力切らしたり、腰を折らない程度の横やりが入る。これは技術だなあと。
    「自然なことをいかにも自然に見せる」スパイの技術って本文中に出てきたけど…これのことだろうか。

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    2012年08月11日
  • スクールボーイ閣下 下

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    ネタバレ

    上巻でへこたれずに読む事。
    それにつきる、かと。

    スカルプハンター=現場 と
    サーカスとの諸々な距離感が
    とてもリアル。他人事ではない
    共感を覚えて苦笑。

    ラストで報われるかといったら・・微妙。
    じっくり腰据えて 楽しむ本。
    ストーリーを追うばかり
    与えられるエンターテインメントを
    消費する作品ではない。
    横文字の登場人物多数だもんだから時に『これ誰だったっけ?』
    行きつ戻りつ手間はかかるし気力体力使うけれど
    その価値はあると思う。

    0
    2012年05月20日
  • スマイリーと仲間たち

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    ネタバレ

    ああ読み終わってしもた。

    あまりに時間をかけすぎて読むものだから
    肝心のストーリーを誤認してしまう始末。
    あっぶなーい

    後半数十ページが本当に濃ゆい。
    登場人物達の息づかいまで
    聞こえてくるような臨場感。

    スパイ小説というより スマイリー・サーガ。
    堅苦しいだけでなく 時に『ここで?』てな
    タイミングで飛び出すウイットに大笑いしたり。

    ・・・スマイリーの短編があるらしいが
    絶版てのがツライ。

    0
    2012年05月20日
  • 寒い国から帰ってきたスパイ

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    冷戦時代、主人公である英国情報部のリーマスはベルリンに赴任していたが、東へ送り込んでいた配下のスパイが殺害されるなど作戦失敗が重なり、ロンドンに呼び戻されて閑職に左遷された挙げ句にクビになってしまうが、そこに東側から謝礼と見返りに情報提供をするよう誘いを受ける…というスパイ小説。
    その誘いにリーマスが乗って東側へ寝返るというのが、東ドイツ情報部のムント副長官を失脚させるための英国情報部の策略だったのだが(と裏表紙の粗筋紹介に書いてある)、なんせスパイの諜報戦なもので、一筋縄ではいかないというもの。
    「国の大義名分のためには個人など駒にすぎない」という東側の主義は、西欧には到底受け入れられないも

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    2025年11月28日
  • スマイリーと仲間たち

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    「うん。そうだな、そうかもしれない」

    英国諜報部の生ける伝説ジョージ・スマイリーとソ連諜報部の工作指揮官カーラの冷戦下での対決を描いたスマイリー三部作の最終決戦です

    いやー、なんていうか情景描写過多
    やり過ぎだと思うが、まぁこれがジョン・ル・カレなのだからしょうがない

    そして「小説のジレンマ」ね

    冷戦なんてものはない方が良い
    それはとりあえずそうだと思う
    まぁ、色々問題は残っていたり、新たな問題が起きたりはしているわけだけど
    とりあえず核弾頭の数は減ったし、経済のグローバル化も進んだし、東欧諸国の人たちがそれなりの自由ってやつを手に入れたわけだからね

    東西のスパイたちが頭脳戦を繰り広

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    2025年10月24日
  • シルバービュー荘にて

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    相変わらず不親切で難しい。でもワクワクしちゃう。
    ジュリアンとプロクターがいつ接触するんだろうとやきもきしながら読み進めた。
    意外なエンディングにやったったな〜! と拍手。
    著者が亡くなったのは2020年12月。もう5年か。
    本著が遺作。

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    2025年08月18日
  • スクールボーイ閣下 下

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    「あれはどこかべつの土地、まったくべつの宇宙での出来事だった。彼はここでは場違いな人間だった。けれども、彼もまたこの悲劇にどこかで加担してきたのだ。」

    スパイ小説には悲劇が似合う

    ソ連の伝説的スパイ”カーラ”によって被った壊滅的打撃からの復活を目指す新生英国諜報部
    率いるのは我らがジョージ・スマイリーだ

    スマイリーは”カーラ”に反撃すべく、ソ連からの金の流れを追う
    たどり着いたのは香港に住まう中国人富豪ドレイク・コウ

    送り込まれたのはスマイリーを師と仰ぐ新聞記者で工作員ジェリー・ウェスタビー

    ジェリーの活躍もあり、中国諜報機関中枢にいるコウの弟ネルソンが”カーラ”のスパイであることが

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    2025年05月20日
  • スマイリーと仲間たち

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    将軍と呼ばれる老亡命者が殺された。将軍は英国情報部の工作員だった。醜聞を恐れる情報部は、彼の工作指揮官だったスマイリーを引退生活から呼び戻し、後始末を依頼する。将軍は死の直前に、ある重要なことをスマイリーに伝えようとしていた。彼の足どりをたどるスマイリーは、やがて事件の背後に潜むカーラの驚くべき秘密を知る! 英ソ情報部の両雄が、積年の対決に決着をつける。三部作の掉尾を飾る本格スパイ小説。

    38年ぶりに味わいながら読む。

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    2025年05月14日
  • スクールボーイ閣下 下

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    カーラの資金を受け取る香港の大実業家ドレイク・コウ。彼の弟ネルソンは中国情報機関の中枢に送り込まれたカーラの二重スパイだった。そして今、ウェスタビーの調査でドレイクが重大な計画を企てていることが判明した。スマイリーは、それを利用して秘密作戦を開始する。が、ウェスタビーが指揮下を離れ、独自に行動していたとは知るよしもなかった。

    38年ぶりに再読。ページ数はそれほど多くないが、活劇シーンも読ませます。

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    2025年05月06日
  • スクールボーイ閣下 上

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    ソ連情報部の工作指揮官カーラの策謀で、英国情報部〈サーカス〉は壊滅的打撃を受けた。だが、その長に就任したスマイリーは反撃を開始する。〈サーカス〉の膨大な記録を分析し、カーラの弱点を解明しようというのだ。浮かび上がったのは、パリから東南アジアへと伸びる極秘送金ルート。その受取人を探るべく、スマイリーは臨時工作員ウェスタビーを香港に派遣した!

    徹底的なペーパーチェイスが、新たな事実を発掘する。

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    2025年05月02日
  • ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

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    英国情報部〈サーカス〉の中枢に潜むソ連の二重スパイを探せ。引退生活から呼び戻された元情報部員スマイリーは、困難な任務を託された。二重スパイはかつての仇敵、ソ連情報部のカーラが操っているという。スマイリーは膨大な記録を調べ、関係者の証言を集めて核心に迫る。やがて明かされる裏切者の正体は?スマイリーとカーラの宿命の対決を描き、スパイ小説の頂点を極めた三部作の第一弾。

    辰巳四郎の表紙が印象的な菊池光訳の文庫を読んだのが1986年だから、38年前である。映画は公開されてすぐと、一昨年リバイバル公開の際に観た。アナログの世界に生きるスパイたちの暗闘。翻訳の良し悪しは分からないが、小説として一級品である

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    2025年04月25日
  • 寒い国から帰ってきたスパイ

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    元英国諜報員であった著者によるスパイ小説の古典的名作。舞台は米露冷戦が続く東西ドイツ。
    最後まで読まないと全体像を把握するのは困難だが、薄氷を踏むような緊迫した騙し合いはリアル。何が真実で何が真実でなかったか理解するのも難しいが、場面場面を振り返ると管理官指令と工作活動がよくわかる。真実はリーマスとリズの愛だけであったか。
    ジェームス・ボンドのような銃撃戦やカーチェイス、ボンドガールとの色恋といった派手な場面は皆無だが、ゆえにより一層生々しいスパイ活動の実態が伝わってくる。

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    2025年02月03日
  • 寒い国から帰ってきたスパイ

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    素晴らしかった
    全体的に無機質な印象を持ったけど、それが等身大の主人公があくまで組織の歯車でしかないことを暗示してたようにも感じるし、ハイスペによるスパイアクションにはない重みを与えてたと思う

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    2024年12月12日
  • 寒い国から帰ってきたスパイ

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    話が込み入っていて、筋立てを追うのがなかなか難しかったが、個人より組織を優先させる考え方の残酷さ、そして、優先された組織の恣意に踏みにじられる個人の悲しさが胸に迫った。

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    2024年10月19日