ジョン ル カレのレビュー一覧
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「寒い国から帰ってきたスパイ」に続いて、ジョン・ル・カレを読む。
私は、「寒い国から帰ってきたスパイ」の方が好きだったけれども、この小説も、スパイ小説の傑作と評価されていて、自分もそういう風に読んだ。
この作品は「スクールボーイ閣下」「スマイリーと仲間たち」と続く、三部作の一作目。たぶん、30年以上前にスパイ小説を数多く読んでいた時期に、この「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」までは読んだ記憶があるけれども、あとの二作はおそらく読んでいない。この作品の主人公である、ジョージ・スマイリーが登場する小説は、あと一作、「スパイの遺産」という作品があるようで、この三作品は、読んでみようと思っている。
「寒い国からかえってきたスパイ」の感想にも書いたけれども、この作品の背景となっている東西冷戦、そして、東側と西側の諜報戦というのは、現在ではリアリティはないけれども、諜報活動、インテリジェンス活動は、世界中で現在でも活発に行われているはずであり、そういう意味では、物語としてのリアリティは損なわれていないように思う、 -
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若い頃、もう30年前くらいになると思うが、ミステリー、スパイ小説、冒険小説と呼ばれる本ばかり読んでいた時期があり、ジョン・ル・カレはお気に入りの作家だったし、この「寒い国から帰ってきたスパイ」も夢中で読んだ記憶がある。
およそ30年ぶりの再読であるが、ストーリーを全く忘れていた。それは悪いことではなく、30年ぶりの再読も夢中になって読むことが出来た。
スパイの闘いは、頭脳戦である。
英国情報部は東ドイツの情報部の幹部の失脚を図るために、情報部員のリーマスにある工作を命じる。そこから二転三転、派手なアクションはほとんどないが、英国情報部、リーマス、失脚を画策されたターゲットの頭脳戦が展開される。
この話は、冷戦時代の西側と東側の対立が前提となった話であり、そういう意味では、東西冷戦を背景としたインテリジェンス戦というのは、当時ほどのリアリティを持てないが、今でも、中国やロシア、中東の国々ではこのようなインテリジェンス戦が繰り広げられているはずで、場面は変わっているが、それでも、相変わらずリアリティを持った物語なのだろうと思う。 -
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ネタバレ『海外ミステリーマストリード100』より。
「ハニートラップ」の単語の出典元という興味深さ。
一小説で使った造語からこんな言葉の定着が起きるなんて凄い。
そんなにたくさんの人が読んだの?影響を受けた人が、同様な色んなとこで使ったから?
さて、内容は国際諜報物。
このジャンルには苦手意識があった。
ベースにある各国情報機関の腹の探り合い、騙し合いみたいなのにあまりわくわくしない。
裏の裏は表、最初の面はどっちで何回ひっくり返ったかだけのような気がするし、組織内でのパワーゲームも不毛で、追うものが覇権、そのエネルギーが野心てとこも萌えない。
そういう生き方に魅力を感じないから。
ところが本作、思っていたよりはるかに楽しめた。
まさに諜報物だし、枠組みが小出しにされるので、それぞれの関係性がわかったようなわからないような状態(あぁ、こいつとこいつ過去に何かあったんだなー、でも詳しくは今は教えてくれない、みたいのが沢山)で進む。
名作と謳われるだけあってエピソードの出し方、話の展開がバラエティに富んでいて飽きることはないながら、そんな状態が続き何となく悶々とするのだけど、200ページ過ぎたくらいで見え始める。
そして少しページを戻り、はぁなるほどこのことを仄めかしていたのね。あ、これもの凄い複雑な関係性と過去の因縁をある意味とてつもなく上手く語っていると気付く。
組織の失態の落とし前をつけさせられて今や一介の隠遁者、ジョージ・スマイリー。
とある筋から浮き上がってきたあの事件の元凶を今一度追う。
この追っていく過程がすこぶる楽しい。
スマイリーがめっちゃ地味なんだけど、確実に迫っていく感じが夢中にさせる。
終盤ちょっとまた無理に意味深な感じが出て読み難いところもあったが、「むろん最初からわかっていた」というくだりが、向き合わざるを得ない真相のやるせなさを強く感じ、凄く印象に残った。
結果、ハニートラップはあんまり筋と関係ない(むしろ頭に残るのは「もぐら」)っていう。
でもまぁ、飛び交う符牒と3部作というこの先にあるであろう大ボスとの対決への予感めいたものが多くの読者を虜にしたのであろう。
次は『スクールボーイ閣下』。 -
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ちょっと忙しくてあんまり本が読めなかったな〜
なんて思ってあらためて確認したら、前の本を読み終えてから2日しかたってなかった
そういうことってあるよね
それにしても背中が痛い
これはもしかしてあれだろうか
あれの症状だろうか
伝説の奇病「背中痛い病」(ネーミングセンスが小学生)
はい、スマイリーである
イギリスが生んだ伝説のスパイ、ジョージ・スマイリーである
もちろんノンフィクションですが?
そして、スマイリーシリーズ最高傑作との呼び声高い『スクールボーイ閣下』を遂に
「スクールボーイ」とは小学生の意、デーモン閣下が小学生の時の話ではない
ネーミングセンスが小学生の人の話でもない
スマイリーの話
それにしても、回りくどい、ぜんぜん進まない、派手なアクションも全くない、そして小太りのチビが主人公、貫禄なし
でもすげーのスマイリーすげーの
そして、言葉数の多い文章なんだけど、なんかかっこいいのよね
かっこいい文章
痺れる -
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序文だけでもうすっかり心つかまれてしまった。
大人による、大人のための文章。
これよ、これ! こういうのが読みたかったのー! と、私の脳みそ含むからだ全部が喜んでいるのを感じた。
もともと、ミステリや探偵小説の類はあんまり好きじゃないから、ジョン・ル・カレの作品も「ナイロビの蜂」しか読んだことない。
でも、これまで読んだ推理小説は読んだ端から忘れていって、ほぼ頭の中に残っていないけど、「ナイロビの蜂」だけは、割と心の深いところに沈殿していて、読み終わった後もよく思い出します。
小説があんまり良かったので、映画もすぐ見たほど。(そして、映画も悪くはなかったけど、小説の方がだんぜん良かった)
この回想録を読んで思ったけれど、この人の文章スタイルが非常に私好みなんだろうと思う。たぶん。
ある出来事について語るとき、「その出来事のどこを切り取るか」っていうのは人によって全然違うと思うし、それによって話がどこへ向かうか、というのも全く変わってくると思うのだけれど、この人の視点とか切り取り方、それによって導かれる結論が、私は本当に好きだと思った。
それはもう序文から現れていて、タイトル「地下道の鳩」の由来となったル・カレの子供のころの記憶の話もそう。あとの方の回想で出てくるメンフクロウのエピソードとセットでとても印象的。
ただ、残念なことに、私の知性がル・カレに全くついていけていないせいで、この素敵な序文の最後の文章を読んで、え、と思った。
「この光景がずっと私の心に焼き付いている理由は、私自身より読者の方がわかるのではないだろうか。」
・・・え・・・すみません・・・私にはわかりません・・・(涙)
ああ、でも、こんな風に、いちいち全部説明しないクールなところがとてもとても好きなんです。(と、珍しく熱く愛を語る)
読んでいて、ぎょっとしたところがあった。
ナチス狩りに携わっていたジャーナリストを取材した時の話。
もちろん、ナチス狩りということが戦後ずっと広く行なわれていたことは私も知っているけれども、私はずっと、ナチス狩りは裁判にかけるために行われているのだと思っていた。
そうじゃなくて、復讐が最大の目的で、裁きを受けさせるためではない、と知って驚愕してしまった。(もちろん裁判に持ち込まれた人もいたとは思うが、ここではそうではないケースが出てくる)
そのナチス狩りの様子(=要するに殺人)について淡々と語るジャーナリストとの会談場面――
「こちらの仕事の説明をしている暇がないこともあった、とマイクは言う。そうなるとわれわれは、たんに彼らを殺して去った。時間があるときには、どこかへ連れていって説明した。野原や、倉庫に。泣いて罪を告白する者もいれば怒鳴り散らす者も、命乞いをする者もいた。ほとんど何もできない者も。(中略)
”われわれ" と言いました? "われわれ" とは具体的に誰ですか。あなた――マイク――自身も復讐に加わっていた? それとも、もう少し一般的な "われわれユダヤ人" という意味で、あなたはたんにそのひとりということですか?
マイクは、私にはよくわからない "われわれ" を使いつづけ、別の殺しの方法を説明する」
この「よくわからない "われわれ"」がなんかじわじわ怖い。
このエピソードのそこを切り取るル・カレがさすがだ、と思った。
ほかにも、ソ連崩壊直後の完全に混乱したモスクワで「保険屋が来たせいで従業員が出社しなくなってしまった」という、そこだけ聞いてもまったく意味の分からないエピソードもそうだったが(もちろん、読めば意味はわかります)、私という人間は、本当に「秩序のある世界」しか知らないんだなと、自分のナイーブさ(日本語のナイーブじゃなくて、英語の意味のナイーブ)と混乱の世界との大きな隔たりを思って気が遠くなった。
子供みたいな感想で申し訳ないけれど。
学校を卒業して働き始めたとき、「ああ、社会というのは学校みたいに1+1=2っていう明快な答えがないんだなぁ」とため息が出たが、この本を読んでいると、私の暮らしている場所は、やっぱりだいたい「1+1=2」が普通に通用している世界だと思った。
向こう側の世界(たとえばパレスチナとか)から見れば、私の人生は、さまざまな理不尽からは信じられないくらいに無縁でいる。
そのことを強く実感させられた。
なんと幸せなことかと。
ところで、サッチャー。
有名人のエピソードって、話す人や場面によって、人物像が全然違ってたりするものだけれど、サッチャーって、誰が語っても、誰の回想録を見ても、いつもキャラが全然ブレないところ、ちょっと笑ってしまった。 -
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最後にびっくりですよ、えっこれで終わりなの⁈
まぁル・カレらしいと言えばらしいのですが…
でも最後は映像で来ますよ、皆さん
あの情景がリアルに浮かんできて、えーっ!となるので、色々長いですが頑張って読んでください
あと、次の「スマイリーと仲間たち」の中で、「ティンカー〜」から出ている(割と)主要キャラが出てこなくなるのは、この最後で××したからなのか!と分かるので、頑張って読んでください
TTSS映画版ではジェリーはスティーブン・グレアムが演じているのですが、この本ではイメージに合わないなーと(背低いし坊ちゃんぽくないし)
どなたかが、ジェラルド・バトラーで演って欲しいと書いていたのが頭に残っていたので、この本を読むときはずっと彼で想像しながら読みました
(ちょっとマッチョすぎますけどね) -
購入済み
村上訳最高
スマイリーシリーズが好きだったので、あまりこちらには関心を持たなかったのですが、BBCのドラマが良かったので買ってみました
村上訳最高です。(すみません呼び捨てで)
始まりの雪のホテルからの描写も良かったですが、情報部でのやり取りが素晴らしく、おーこれこれ!と電車で身悶えしてしまいました
村上訳のTTSSがお好きな方は今すぐ読むべき -
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【罠にかかると知りながら】『寒い国から帰ってきたスパイ』,『テンィカー,テイラー,ソルジャー,スパイ』等の至極の諜報小説で知られるジョン・ル・カレが著した回顧録。自身も従事したスパイとしての活動から父親への葛藤した思いまで,謎の多かった著者の半生が明らかになっています。訳者は,推理小説の翻訳でも知られる加賀山卓朗。原題は,『The Pigeon Tunnel: Stories from My Life』。
極端に言えば,ジョン・ル・カレの小説をまったく読んだことがなくても十二分に面白い作品(ということは読んでいる場合は言わずもがなです)。描かれる内容そのものが興味深いのはもちろんのこと,その叙述の仕方がスパイの世界「らしい」陰影をもたらしており,読む者をつかんで話しません。
〜詐欺師と詐欺師が顔を合わせれば,どちらもしまいに相手が悪いとなじるものだ。〜
これを読んでしまったらジョン・ル・カレの小説に足を踏み入れざるを得ないでしょう☆5つ -
購入済み
面白かったです。
スマイリーが褒めてある箇所にくるたびニヤニヤしてしまいました。
ギラム、今回は出ないのねと思っていたらいい所で出てきました。スマイリーにギラムが付いてないなんて有り得ないですもんね -
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スパイ小説と言えばフレデリック・フォーサイスと、本書の著者である
ジョン・ル・カレなんだよね、私にとっては。しかもふたりとも実際に
スパイだった。あ、フォーサイスは協力者だっけ。
私の中の2大巨匠のひとりでるジョン・ル・カレも既に85歳だそうだ。その
人の回想録だもの。読むでしょ、やっぱり。
時系列になっていないので「自伝」と捉えて読むと読み難さがあるが、
全38章のそれぞれが短編小説を読んでいるような感じだ。
小説の取材の過程であった人々のなかでもPLOのアラファト議長との
邂逅はまるで映画のよう。尚、アラファト議長のヒゲは柔らかく、ベビー
ローションの匂いがしたそうだ。あぁ、触ってみたかったよ、議長のヒゲ。
イギリス最大の裏切り者キム・フィルビーの友人であり、同僚であった
ニコラス・エリオットとの会見の様子もあるし、『寒い国から帰って来た
スパイ』の映画化をめぐっての話、そしてイギリス諜報機関に在籍し
てた頃の話も少々。スパイだったから多くは語れないんだろうね。
最大の注目はル・カレの父親ロニーのことを綴った章だ。常習の詐欺師
にしてDV夫。この為、ル・カレとその兄の生母はふたりが幼いうちに家を
出てしまう。
ル・カレもお兄様も、きっと多大な苦労をしたに違いない。家庭環境を考え
たら相当に重い話なのだが、ユーモアを交えた筆致が読ませるんだよな。
各章がル・カレの人生の断片なのだ。それをパズルのように組み合わせて
いくと、彼の数々の作品が生まれる。
近年は小説から離れてしまっているが、昔々に読んだル・カレの作品を
引っ張り出したくなった。
困ったな。フレデリック・フォーサイスの自伝も買って積んである。きっと
こちらも面白いはずなんだよな。 -
Posted by ブクログ
有名すぎるほどに有名な古典的スパイ小説。どうして今まで読まなかったのだろうか、というくらい。
今になって読んでみて、すごい、面白い、につきますね。
最初の方は人の名前とか、よくわからなくて、文体も理解しにくくて、私も年をとったな、名前覚えらんないや、と思っていました。他の人のレビュー見て、あ、私だじゃなかったのね、とちょっと安心。
さらにレビューでよく書かれていた映画の「裏切りのサーカス」もみました。私は原作を先に読んだので、ああこのシーンね、とわかったのですが、映画だけ見た人にはわからないことも多かったのでは。
若い頃に読めばそれはそれで面白かったでしょうが、今、読んでよかった。
組織への忠誠とはなにか、信条とはなにか、人生において、それは、いかなる意味があるのか、ないのか。
愛もまた、同じように繰り返し問われている。国への愛、妻を、恋人を、愛するものを信じること、裏切ること。愛ゆえに自分を裏切るものもいれば、自己愛ゆえに自分を裏切らないものもいる。
スパイ小説、探偵小説であるとともに、愛の物語だったりするところが、この話のずるいところ。犯人が分かってそれで終わりにはならないのはそのせいだ。
最後の方に行けば行くほど、この話が切なく、深くなるのは、問いかけの果ての答えが、この伏線の多い、二重スパイがテーマにふさわしく、複層だからだろう。 -
Posted by ブクログ
映画「裏切りのサーカス」を観てから読みました。
ストーリーの大まかな流れは同じだけど、原作のこちらの方がかなり濃密で複雑。
冷戦の知識がないので苦労しながら読み進めました。
面白い!
頭脳戦でスリリングで、緻密な描写は風景が見えるよう。
自分も一緒に相手の眉の動きや目線の行方を見てるような気持になった。
お陰で読むと疲れたけど(笑)
冷戦下のスパイは本当にこんなことしてたの?
情報をめぐる攻防戦がすごすぎる。
そしてピースが集まったら怒涛の終盤への流れ、
読む手が止まりません。
レビューでは翻訳が分かりにくいとの評判でしたが、読み進めるうちに慣れました。
ちょっと古臭く?感じる表現もあるけれど、逆に時代背景に合っていたように思う。
話の流れも映画で予習済だったのでそこまで困らず。
とっても面白かったけどボリュームが大きいのでなかなか再読出来ない。
でもまた読みたい作品です。