ホノジロトヲジのレビュー一覧

  • 乙女の本棚9 外科室

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    ネタバレ

    あまりにも月並みな言葉になってしまうが、「エモい」とはこういうことか……みたいな気持ちになります。

    お互いにお互いのことなど知らぬまま続くはずだったろう人生が、思いがけない再会により覆ってしまうのは運命的で素敵だけれど、だからと言って何を望むことも出来るはずもなく。
    「忘れません」という言葉が、彼女にとってどれだけ救われ、どれだけ嬉しいものだったかを思うには、どうにも想像力が足りない気がしてしまう……。
    文字通り墓場まで持っていくつもりだったのだろう、秘めたる想いは、もしかしたら血よりも鮮やかな赤だったのかもしれない……などと思ったり。
    彼岸の向こうで、二人はもう一度逢えるのでしょうか……。

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    2020年08月14日
  • 乙女の本棚6 瓶詰地獄

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    ネタバレ

    過不足の無かったはずの楽園が、時を経て性徴という魔力を前にじわじわと崩壊していく様の、うつくしさと残酷さ。
    そして、神の目から逃れるように、救いを投げ出すように目印を倒し聖書を焼いたのに、瓶の中に残されていた手紙に綴られていたのはひたすらに懺悔だった。
    そういう歪さに、ただただ感服させられたというか、謎の高揚めいたものを覚えてしまいました。昔の作家はすごい……。

    第二の手紙を読み終えた時に、「間に合わなかった」(或いは抗えなかった)ことを示す第一の手紙の意味を知り、締めくくりの第三の手紙で得も言われぬ気持ちにさせられる構成の巧みさも良いです。
    挿絵がまた大変に美しいので、文章だけの本が苦手な

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    2020年07月25日
  • 乙女の本棚6 瓶詰地獄

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    夢野久作さんがすき!
    ホノジロトヲジさんのイラストも好き!
    な、私にとってこんなにも嬉しい本はないです。
    ありがとうございます…!!



    挿絵は20枚ほど収録されていて、全て描き下ろしです。
    見開きページの迫力、美しさは息を呑むほど…。
    各ページによって文字や紙の色に違いがあって、ページをめくるたびにドキドキしました。

    描かれる無人島の兄妹は西洋のお人形風で華奢な美男美女。
    耽美で繊細な線や色合いから、彼らの住まう無人島が現世から切り離された小さな楽園。という世界観も、鮮烈に伝わってきます。どちらかと言うと、あまり夢野久作作品からは想像もつかないような雰囲気なので読む人によっては違和感を

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    2018年01月03日
  • 文豪は鬼子と綴る 弐 幻想列車編

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    シリーズ2作目。
    白蓮がでてきたり、香月の出自がわかったり興味深い。
    前作の方が勢いはあった気がするけど、春彦と香月の兄弟のようなあたたかい関係が築いてる感じが良かった。

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    2025年11月09日
  • 人間椅子(乙女の本棚)

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    醜い容貌の家具職人。誰からも見向きもされない。そんな職人が思いもよらない目論見を。自分が作った椅子の中に身を隠し、その椅子に座る人との革一枚隔てて伝わってくる感触を楽しむように。ある日座った女性に名状しがたい熱情を抱くようになる。その思いをついに手紙で伝えて一度会いたいと。その手紙を受け取った女性は…。
    どんでん返しの結末に唖然とする

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    2025年10月26日
  • 縊死体 乙女の本棚作品集

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    ホノジロトヲジさんが描いた乙女の本棚の挿絵と、夢野久作の作品である、縊死体が収録された画集です。
    縊死体、夢野久作らしさ全開で意味が分かりません。読後の置いてけぼり感がすごかったです。挿絵はとても凝っていて、新聞の紙面風のデザインをよくよく見ると、別の夢野久作の作品のフレーズが隠れていたりして、そこでも楽しめます。妖しさも増々でした。

    画集としても、乙女の本棚シリーズの一冊としても楽しめるお得な作品でした。

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    2025年09月22日
  • 人間椅子(乙女の本棚)

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    江戸川乱歩の『人間椅子』を美しい絵と装丁で。
    この奇怪な話を最後まで読めたのは『乙女の本棚』シリーズだからこそ。
    挿し絵が繊細で、不気味さをもっと刹那的な美しさに昇華させてくれている。
    ラストのオチにうなり、考察を読みたくなりました。

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    2025年09月13日
  • 文豪は鬼子と綴る

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    どこか浮世離れ?した人気作家先生と、毒舌中学生の2人組で、とっても刺さった
    シリーズ1作目とのことなので、今後2人の秘密が明かされていくのも楽しみ!

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    2025年08月11日
  • 文豪は鬼子と綴る

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    くるたんさんの本棚からです。
    くるたんさんありがとうございます!


    時は文明開化の明治時代をへて、文化が花開いた平和な大正時代。
    舞台は博多。
    文豪の青年、香月と、自らを鬼子と蔑む十四歳の少年、春彦が物語の主人公です。
    作者あとがきにもありましたが、この時代の少年の精神年齢の高さには驚きました。
    十四歳とは思えない春彦。

    二人は堅粕町のバラバラ殺人事件を調べ始めます。
    そこで人の死ぬ日時を言い当てるという占い師に出会います。

    占い師は千代という十六歳の巫女で、同じく巫女の姉、八重を捜していました。

    二人は千代と一緒に八重を捜そうとしましたが…。



    この作品はタイトルからいって、私の

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    2025年07月25日
  • 人間椅子(乙女の本棚)

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    江戸川乱歩の屈指の名作が乙女の本棚に!
    あのエログロナンセンスの世界観にイラストをつけたら、どんな感じになるのかと思ったが、シャープな感じのイラストがこの作品を読みやすくしている。
    100年前の短編ながらホント良く出来た作品だよなぁと再認識!

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    2025年06月01日
  • 人間椅子(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズ。
    人間椅子という表題は聞いたことがありましたが、実際に読むのは初めてでした。

    想像していたお話と違っていて、最後の展開に驚かされました。結局、素直にこのお話を信じて良いんでしょうか?色々なミステリーを読みすぎたせいか、裏があるのか何なのか…困惑しました。
    でも、短編でこんな驚きを味わえるなんて、さすが名作。読んで良かったです。

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    2025年05月31日
  • 人間椅子(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    このシリーズの乱歩は、「押絵~」と「人でなし~」を読んだが、この「人間椅子」が一番絵と文章のバランスがよかったと思う。
    「人間椅子」は乱歩の変態性が最もいい形で表れた短編だと思うが、そこはやはり乙女のためのシリーズなので、うまく変態の要素が乙女好みの絵で薄められているように感じた。それがいいのかよくないのかは個人の好みだと思うが、大方の乙女はこれでいいのではないかな。
    他に「悪霊物語」「目羅博士~」「赤い部屋」があるので、いずれ読むつもり。

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    2025年05月25日
  • 文豪は鬼子と綴る

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    時は大正。
    中学生の春彦と作家香月蓮が出会うところから物語は始まる。父に頼まれ香月の原稿を取りに行った春彦が、香月に気にいられ師弟関係を結ぶ。そして取材の一環で噂の巫女に出会い物語は進んでいく。
    章分けがされている作品ではあるが、長編小説。
    嗣人さんの他の作品とは違い、人ならざるものに関わるというより関係する人達と共にいて見聞きするという感じ。
    まだまだ出だしという印象。主要な人物2人についてはまだまだ分からないことだらけ。今後の展開に期待。

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    2025年05月14日
  • 乙女の本棚6 瓶詰地獄

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    無人島に漂着した幼い兄妹が出したであろう3通のボトルメールのお話。
    3通の手紙が一体いつ書かれたものなのか?
    情報が少ないので読者に解釈が委ねられる作品となっています。
    ホノジロトヲジさんのイラストにより耽美的に天国と地獄が描かれた名作です!

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    2025年04月27日
  • 乙女の本棚6 瓶詰地獄

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    乙女の本棚シリーズ。
    夢野久作の作品はドグラ・マグラ以来初めてです。さすがの世界観。作中の兄妹と、イラストの男女は若干年齢が違いそうな気がしましたが、この作品にとても合っています。

    純粋な思いと、人間の欲望。3本の瓶に入った手紙がとても悲しく、2人の間に起こってしまった事が推察されて何とも言えない気持ちになりました。

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    2025年04月26日
  • 駈込み訴え(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    途中で、あ!キリストの話かっと気付いた。何だか日本的な雰囲気が漂っていて不思議な後読感だった。
    太宰治っぽい、ネチネチ、だらだらした独白で、私は好き。

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    2025年04月23日
  • 人間椅子(乙女の本棚)

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    この作品を読むたびに、ようこんなキモいこと思いつくなぁ、と思うと同時に、ほんの少しでもこの男に羨望を抱かない人っているのかな、と思うのです。
    そこにこの作品の肝がある。

    イラストにより、より際立つ歪さ。
    イラストで緩和される気持ち悪さ。
    緩和されるのが良いかどうかわかりませんが、読みやすさは増していると思います

    2025.3.4
    50

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    2025年03月04日
  • 人間椅子(乙女の本棚)

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    ずっと気になっていたけど読まなかった作品。
    江戸川乱歩を読むのは中学生以来。
    この不気味さは安定。最初から最後まで不気味。
    なのに読み進めたくなる不思議。

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    2025年02月23日
  • ホノジロトヲジ作品集 しろしろじろ

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     ホノジロトヲジさんは、乙女の本棚シリーズで知ったイラストレーターさんです。繊細でいてどこか怪しげでいながら、目が離せなくなる素敵なイラストを手がけられているホノジロトヲジさん…元はWEBで自身の作品を発表されていたのですね!ホノジロトヲジさん、初の作品集ということでちょっと前のものなんですが手にしました。

     「シキノメモリエ」という題材で、1年間WEBにて発表してきた作品が主に収められています。「シキノメモリエ」は、シキノ…は四季の、なんでしょうね…!その時々の季節にちなんだ作品を見ることができます。ホノジロトヲジさんが、自然を愛する思いが伝わってきます。あとは、食べ物に関するものをテーマ

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    2025年02月14日
  • 駈込み訴え(乙女の本棚)

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    文は素晴らしい。こういったタイプの絵は私にはわからない。ので、絵をシャットアウトして読んだ。読み終わって、じっくり絵を見た。

    1人の人間に執着した人間の愛憎、師など、高い位についた人間の振る舞いなどが、勢いある文章で描かれていた。まさかユダが主人公とは…。最初の方は気づかなかった。ただキリストと使徒の話をなぞらえて書いているだけだと思っていた。

    ここに描かれているユダの愛憎は、ある世界的ピアニストを慕い、ピッタリとくっついている、ある日本のピアニストを連想させた。彼女も似た様な心境なのだろうかと重ね合わせて読んだ。

    無駄のない力強い文章。素晴らしかった。
    この文に絵はいらないかな。

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    2025年02月09日