ホノジロトヲジのレビュー一覧
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ネタバレあまりにも月並みな言葉になってしまうが、「エモい」とはこういうことか……みたいな気持ちになります。
お互いにお互いのことなど知らぬまま続くはずだったろう人生が、思いがけない再会により覆ってしまうのは運命的で素敵だけれど、だからと言って何を望むことも出来るはずもなく。
「忘れません」という言葉が、彼女にとってどれだけ救われ、どれだけ嬉しいものだったかを思うには、どうにも想像力が足りない気がしてしまう……。
文字通り墓場まで持っていくつもりだったのだろう、秘めたる想いは、もしかしたら血よりも鮮やかな赤だったのかもしれない……などと思ったり。
彼岸の向こうで、二人はもう一度逢えるのでしょうか……。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ過不足の無かったはずの楽園が、時を経て性徴という魔力を前にじわじわと崩壊していく様の、うつくしさと残酷さ。
そして、神の目から逃れるように、救いを投げ出すように目印を倒し聖書を焼いたのに、瓶の中に残されていた手紙に綴られていたのはひたすらに懺悔だった。
そういう歪さに、ただただ感服させられたというか、謎の高揚めいたものを覚えてしまいました。昔の作家はすごい……。
第二の手紙を読み終えた時に、「間に合わなかった」(或いは抗えなかった)ことを示す第一の手紙の意味を知り、締めくくりの第三の手紙で得も言われぬ気持ちにさせられる構成の巧みさも良いです。
挿絵がまた大変に美しいので、文章だけの本が苦手な -
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夢野久作さんがすき!
ホノジロトヲジさんのイラストも好き!
な、私にとってこんなにも嬉しい本はないです。
ありがとうございます…!!
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挿絵は20枚ほど収録されていて、全て描き下ろしです。
見開きページの迫力、美しさは息を呑むほど…。
各ページによって文字や紙の色に違いがあって、ページをめくるたびにドキドキしました。
描かれる無人島の兄妹は西洋のお人形風で華奢な美男美女。
耽美で繊細な線や色合いから、彼らの住まう無人島が現世から切り離された小さな楽園。という世界観も、鮮烈に伝わってきます。どちらかと言うと、あまり夢野久作作品からは想像もつかないような雰囲気なので読む人によっては違和感を -
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くるたんさんの本棚からです。
くるたんさんありがとうございます!
時は文明開化の明治時代をへて、文化が花開いた平和な大正時代。
舞台は博多。
文豪の青年、香月と、自らを鬼子と蔑む十四歳の少年、春彦が物語の主人公です。
作者あとがきにもありましたが、この時代の少年の精神年齢の高さには驚きました。
十四歳とは思えない春彦。
二人は堅粕町のバラバラ殺人事件を調べ始めます。
そこで人の死ぬ日時を言い当てるという占い師に出会います。
占い師は千代という十六歳の巫女で、同じく巫女の姉、八重を捜していました。
二人は千代と一緒に八重を捜そうとしましたが…。
この作品はタイトルからいって、私の -
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ホノジロトヲジさんは、乙女の本棚シリーズで知ったイラストレーターさんです。繊細でいてどこか怪しげでいながら、目が離せなくなる素敵なイラストを手がけられているホノジロトヲジさん…元はWEBで自身の作品を発表されていたのですね!ホノジロトヲジさん、初の作品集ということでちょっと前のものなんですが手にしました。
「シキノメモリエ」という題材で、1年間WEBにて発表してきた作品が主に収められています。「シキノメモリエ」は、シキノ…は四季の、なんでしょうね…!その時々の季節にちなんだ作品を見ることができます。ホノジロトヲジさんが、自然を愛する思いが伝わってきます。あとは、食べ物に関するものをテーマ -
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文は素晴らしい。こういったタイプの絵は私にはわからない。ので、絵をシャットアウトして読んだ。読み終わって、じっくり絵を見た。
1人の人間に執着した人間の愛憎、師など、高い位についた人間の振る舞いなどが、勢いある文章で描かれていた。まさかユダが主人公とは…。最初の方は気づかなかった。ただキリストと使徒の話をなぞらえて書いているだけだと思っていた。
ここに描かれているユダの愛憎は、ある世界的ピアニストを慕い、ピッタリとくっついている、ある日本のピアニストを連想させた。彼女も似た様な心境なのだろうかと重ね合わせて読んだ。
無駄のない力強い文章。素晴らしかった。
この文に絵はいらないかな。