ホノジロトヲジのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ何だか切なくて、可哀想な話だと思った。
せっかく海難事故から逃れて、兄妹2人、南国の楽園のような島にたどり着いて生きながらえたのに、聖書という書物があったからゆえに、ある意味その地で生きるには不要な知識を植え付けられてしまい、悩み苦しむことになってしまったのだ。
聖書を読んでいなければ、一般的な世界でタブーと言われることは起こってしまったかもしれないが、2人とも、そこまで深刻に思い悩むこともなく、楽しい人生を送れたのではないか。二度と元の社会へ戻れないのであれば、今いる土地で幸せに生きられる道を模索することの方が、ずっと良いのではないか、と考えさせられた。
色々な解釈ができると思うのだが、 -
Posted by ブクログ
読みにくい。文章が古めかしいのも、あまり使わない漢字を使うのも、核心にあまり触れない描き方も、何度も読み返してなんとなくしかわからない本だった。
胸の手術を麻酔なしで受けると言い張る夫人と、執刀医の高峰に特別の感情があった、と言うことなのか???
9年前に小石川植物園ですれ違って、手術室で再会。で、次のページで2人とも死んだとあるけど。
夫人がそこまでして秘密にしたかったことが今でもピンときていない。心の中はどうあれ、実際はただ一度すれ違っただけじゃない。不貞でもないと思うのだけれど。
ただ夫人が心配したように、麻酔手術の後に暴れたりする「せん妄」という状態は実際にある。
三国志の関羽雲長が麻 -
Posted by ブクログ
「乙女の本棚」というシリーズで、文豪の名作に人気イラストレーターがイラストをつけた、大人向けの絵本シリーズらしいです。
恥ずかしながら、夢野久作はドグラマグラしか知らず、この「瓶詰地獄」を読んだことがなかったので、「えっこれだけ?抜粋版なのかな?」と思ってしまいました…
(後で元のを読みましたが、元々短いお話でした)
絵が綺麗です。
このホノジロ・トウジさんというイラストレーターの方は「刀剣乱舞」のイラストレーターもしてらっしゃるとのこと。
ちょっと夢野久作の作品に充てるには美化しすぎな気もしましたが、それはそれでいいんじゃないかと。
ただ話の内容と絵が合ってない細かい部分があったの -
Posted by ブクログ
泉鏡花文学忌、鏡花忌
また読んでしまった外科室
青空文庫で読んだ2年ほど前のレビューを転記
上 で、手術室の場景が描かれる。美しいであろう伯爵夫人が、手術にあたり、麻酔を頑なに拒む。遂に、麻酔をせず、執刀が始まる。彼女は、昏睡の中での、うわ言を恐れていたのだ。
医師のメスを、自らの胸に突き、最期に秘密を囁く。医師も彼女を追う様に死す。
下 で、夫人と医師が若かりし頃、すれ違い、互いに、その一瞬で惹かれあっていた過去が描かれる。
9年前のただ一度のすれ違い
米澤氏の『儚い羊たちの祝宴』の「身内に不幸がありまして」の作中に出てきて、寄り道読書。
今回は、“うわ言”がポイントでしょうか。